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損得にかかわらずその時々の実態を知り明らかにするために、、、絵空事の経済の唯一の評価基準である時価会計は必須。。。
■時価会計凍結に反発 公認会計士協会長ら会見
世界的な株安で含み損を抱え、財務が悪化する恐れのある銀行界などから「時価会計を凍結すべきだ」との声が出始めた。しかし、会計ルールの恣意(しい)的な変更は十年前の金融危機の際、投資家の売り浴びせを受けた“いつか来た道”。強硬に反対する意見も相次ぎ、しばらく両者のせめぎ合いは続きそうだ。
「会計は企業の実態を反映する鏡。時価会計の凍結は到底、賛同できない」。日本公認会計士協会の増田宏一会長は二十三日に異例の会見を開き、語気を強めた。
時価会計は、株式や証券化商品など企業が保有する有価証券を決算ごとに市場の取引価格で原則評価する方法。保有する証券が取得価格より下落するほど評価損が生じる。このため横浜銀行の小川是頭取は「時価会計適用の停止を考えてほしい」と要望。自民党内にも同様の意見がある。
これに対し、増田会長は「(基準変更で)経営状態が良くなるわけではない」と強調。実際、十年前の金融危機で、国内銀行に株式の評価損が生じない会計処理法が認められたが、投資家が独自に銀行が保有する株式の含み損を計算し、銀行株の下落に歯止めはかからなかった。
東京証券取引所の斉藤惇社長も二十三日開かれた企業会計審議会の席上、「われわれは再び十年前に戻る恐れがある」と発言。過去の教訓に学ばない関係業界に苦言を呈した。 (桐山純平)
[読売新聞]
■【主張】時価会計緩和 透明性確保に努力が必要
米国発の金融危機に対応するため、日本も米国と欧州に歩調を合わせて時価会計を一部緩和する方針を決めた。
一部の金融商品の時価評価を凍結し取得時の価格(簿価)での計上を認め、決算期ごとに損失処理をしなくて済むようにする。
ただ、これは、企業の価値を公正に判断するための世界標準ルールを曲げるわけで、「劇薬」ともいえる。あくまで、緊急避難措置であることを踏まえた上で、新基準や適用期間について慎重に判断してもらいたい。
時価会計の一部凍結は、米国が最初に打ち出した。サブプライムローン関連商品は、激しい価格下落と信用収縮で市場での取引さえ成り立たなくなっている。このため、時価会計を厳格に適用すると金融機関はさらなる多額の損失計上を迫られる。
そこで、米政府は今月成立した金融安定化法に時価会計を一時停止できる措置を盛り込んだ。これに、金融破綻(はたん)が相次ぐ欧州も追随することになった。
金融機関の資本増強のため、米欧は公的資金による一斉資本注入を実施するが、保有金融商品の損失が拡大し続ければ、いくら資本増強しても自己資本が棄損される。「止血」効果のある時価会計緩和は、非常事態の米欧にとっては必要な措置であろう。
一方、日本も現行会計基準のままだと日系企業や金融機関が国際競争上、不利になる可能性が出てくる。そうした意味では、米欧にあわせて時価会計を一部緩和するのは妥当な選択肢の一つかもしれない。
しかし、これは「両刃の剣」の側面を持つ。
日本はバブル崩壊後に米国の強い圧力で時価会計を導入した経緯があり、それを欧米が危機になったからといって変更するのは勝手すぎるとの批判もある。だが、時価会計が結果的に不良債権の早期処理を促したのは事実だ。
目先の痛みを和らげようと損失処理を先送りすれば、損失の実態がかえって不透明になって、経営に対する不信を拡大しかねない。それが日本が不良債権処理で学んだ教訓のはずである。
国内の金融機関は、米欧ほど傷んでおらず、従来の時価評価でも耐えられるとされてきた。時価会計が緩和されても、邦銀は経営の透明性を確保する努力を怠ってはならない。
[読売新聞]
■会計士協会長、時価会計凍結議論に釘
日本公認会計士協会の増田会長は10月23日、「時価会計等に関する所感」を公表した。これは、サブプライム問題を契機に金融商品に係る時価会計が凍結されるかのような新聞報道等に対するもの。
確かに、米国会計基準や国際財務報告基準はサブプライム問題を受けて改訂に至っているが、金融商品の時価会計そのものの凍結を容認したわけではなく、「流動性の著しく乏しい債券等の時価の算定等に係る取扱いについて、現在の基準の枠組みの中での対応が図られている」だけにすぎない。この点、所感において注意を喚起するとともに、「金融市場の混乱を契機に金融商品の時価評価を凍結することは、到底、賛同できない」としている。
時価会計凍結議論は、コンバージェンスに向けての関係者の取り組みがようやく実を結びだそうとしている矢先におこった「政治問題」といえる。金融商品の時価評価凍結は、ようやく回復しつつある我が国会計への信頼を著しく毀損しかねない。覆い隠すことが会計の役割でないことを、しっかりと認識すべきといえよう。
[上場.com]
Posted by nob : 2008年10月24日 23:09