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少しの見識と勇気で回避は可能、、、原子力では人は幸せになれない。。。

■女川原発:3号機プルサーマル計画事前協議申し入れ 知事「避けて通れない」 /宮城

 ◇「住民の安全最優先」

 東北電力は5日、女川原発3号機での「プルサーマル」実施に必要な事前協議を県と女川町、石巻市に申し入れた。6日、経済産業省に原子炉設置変更許可申請を行う。原子力を持続的に利用するうえで重要な核燃料サイクルの切り札ともされるが、安全性を不安視する声もある。今回の申し入れを機に、県内で今後、具体的な論議が進む見通し。申し入れを受けた村井嘉浩知事は必要性は認めつつ、「住民の安全を最優先する立場で検討したい」と語った。【石川忠雄、藤田祐子、青木純、比嘉洋】

 プルサーマルとは使用済み燃料に含まれる「プルトニウム」と、現行の原子力発電を意味する「サーマルリアクター」を組み合わせた言葉。プルトニウムを再利用して作る「MOX燃料」で発電を行うため、放射性廃棄物を減量できる▽核兵器の材料になるプルトニウムを余分に持たずに済む▽新しい燃料を節約できる--といった利点がある。

 一方、通常の燃料とMOX燃料では特性が異なり、女川原発など一般的な原子炉でのプルサーマル利用には▽緊急停止などに使われる制御棒の効き目が落ちる▽通常より低い温度で燃料が溶け出す--などのデメリットも指摘されている。

 同社は、制御棒の効き目について「若干は落ちるが、余裕を持って設計してあり安全上の問題はない」と説明。燃料が溶け出す温度についても「通常の燃料が約2790度なのに対し、MOXは約2720度。原子炉稼働中に異常運転をしたとしてもMOXは約2320度までしか上がらないとされており、通常の燃料とリスクはほぼ同じ」としている。

 同社は今後、県、石巻市、女川町と事前協議を行い、並行して国の審査を受ける。同社によると、審査には通常1年程度かかるという。地元住民への説明会開催日程については未定としている。

 高橋宏明社長は県への申し入れ後に会見し、「我が国の基本方針であるプルサーマル計画の推進を最も重要な課題の一つに位置づけ、先頭に立って地域への理解を進めていく」と述べた。10月以降の株価暴落と金融不安にも触れ「原油価格はこのところの世界経済低迷で下落傾向にあるが、今後の動向は不透明で、いつ再び高騰しないとも限らない。エネルギーの安定確保のためにも原子力発電は欠かせない」とした。

 一方、国が目標としている「2010年度末までの導入」に関して残された期間は約2年5カ月。高橋社長は知事との面会後には、「間に合わせるのは厳しい状況だが、全力を尽くしたい」と述べた。また、計画が実現した場合、当初は、フランスから輸入するMOX燃料を使用するとの見通しを示した。

 ◇「十分な情報公開を」 地元自治体、正副社長訪問受け

 高橋社長は5日午後に県庁を訪れ、同社が県などと結んでいる安全協定に基づく事前協議を村井知事に申し入れた。

 村井知事は面会後の取材に対し「国の審査が完了し、住民の理解も得られれば(プルサーマル実施を)認めたい」と表明。「エネルギー資源が乏しい日本では、核燃料の再利用が必要。原発を持つ県としてプルサーマルは避けて通れない」と強調した。

 県は08年度中に実施に合意した場合、国がプルサーマル計画推進のために設けた「核燃料サイクル交付金」を60億円受け取ることができるが、村井知事は「(合意するかどうかの)判断を前倒しすることはない」とした。

 また、女川町と石巻市には斎藤恒夫副社長が訪れ、事前協議を申し入れた。

 安住宣孝町長は「安全対策は国内外の実証実験などを踏まえ、あらゆる角度から検証していく必要がある。そのプロセス、結果を地域住民に分かりやすく説明することが大事。情報提供と十分な情報公開を行うべきだ」と注文。「住民、関係自治体とともに注視しながら安全性を確認していきたい」と基本姿勢を示した。

 土井喜美夫市長は、「計画の必要性は理解できる。市民の理解が得られるかどうか非常に大切。国の安全審査を見守りながら、安全最優先という立場で、県や女川町と情報を共有しながら対応を検討していきたい」と述べた。

 ◇払拭されない不安

 女川原発は05年の「8・16宮城地震」で1~3号機すべてが緊急停止したほか、98年に起きた原子炉緊急停止が9年間隠ぺいされるなど、耐震性や情報開示に対する地域住民らの不信感は払拭(ふっしょく)されていない。また、MOX燃料を巡っては、99年に関西電力で使用する予定だった燃料の検査データ捏造(ねつぞう)が発覚し、国内での供給に必要な使用済み燃料再処理工場(青森県六ケ所村)の試運転終了時期も不透明なままだ。

 原発を考える石巻市民の会の日下郁郎事務局長は「プルサーマルは事故の危険性が増すうえ、万一事故が起きた際の被害も深刻化する可能性が高い。県沖地震がいつ起きても不思議でない中での実施は、さらに危険」と指摘。「他国のように使用済み燃料はそのまま処分するというシンプルなやり方があってもいいのでは。地元自治体には慎重に判断してほしい」と語った。

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 ■ことば

 ◇プルサーマル計画

 核燃料サイクル推進のため、10年度までに全国の原発16~18基で実施すると、電気事業連合会が計画をまとめ、97年に閣議了解された。既に全国の原発8カ所9基に関し、国から実施に向けた許可が出ている。そのうち、Jパワー(電源開発)が新設予定の青森県・大間原発新設計画は、世界初となるMOX燃料専用原発とする計画。だが、福島県の福島第1原発3号機のように、地元の了解が得られないなどの理由で実施のめどが立っていない原発も少なくない。今年4月には、北海道電力が泊原発3号機での実施を目指し、地元自治体に事前協議を申し入れた。

[毎日新聞]

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Posted by nob : 2008年11月06日 22:27