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まるで演劇のよう。。。
■オバマ大統領就任演説要旨
オバマ米大統領が20日、行った就任演説の要旨は次の通り。
一、44人の米国人が大統領就任の誓いを立ててきた。その誓いは繁栄の高波や平和の静かな水面に語られることもあったが、多くは暗雲と嵐の中で行われてきた。米国は、政府高官たちの技量によってではなく、祖先の理想と建国の文書に忠実だったから存続してきたのだ。
一、われわれはいま危機の真っただ中にある。果てしない暴力と憎しみに向けて戦争を続けており、一部の強欲で無責任な人々のせいだけでなく、皆が困難な道を選び、次の世代に備えることができなかった結果、経済的困難にあえいでいる。
一、この危機は本物であり、短期的で安易な解決方法はない。だが、米国は克服する。今日われわれは、恐れより希望を選び、不和を超えて目的の下に団結した。あまりにも長い間、この国の政治を抑圧してきた卑小な恨み言や誤った約束、使い古された教義に別れを告げる。
一、忍耐の精神を再確認し、より良い歴史をつくろう。神の前ではすべての人民が平等で自由であり、幸福を追求するためにあらゆる機会に恵まれている、という世代を超えて受け継がれた崇高な理想を実行に移すときだ。
一、米国の偉大さは所与のものではない。自らつかみ取らなくてはならない。われわれの旅に近道はない。その旅路は、臆病(おくびょう)で名声や富だけを欲する者たちのためではない。むしろ、リスクを恐れず、自らの手で物をつくり出す人々、われわれを繁栄や自由へと続く長い険しい道に導いてきた、多くは無名の労働者たちのためにある。
一、それは、語るべき所有物もなく新たな人生を求めて海を渡ってきた人々。汗を流して働き、西部に移り住み、硬い大地を耕した人々。コンコード、ゲティズバーグ、ノルマンディー、ケサンで闘い、死んでいった人々のことである。
一、彼らはもがき、犠牲を払い、その手がすりむけるまで働いてきた。それも、われわれが善き人生を送ることができるようにだ。彼らにとって、米国は個人の野望の集積よりも大きく、出自の違いや貧富の差を超えた偉大な存在であり続けてきた。
一、われわれは世界で最も繁栄した強い国家であり続ける。しかしやり方を変えず限られた利益を守り、嫌な決断を先延ばしする時は確実に過ぎ去った。今日からわれわれは元気を取り戻し、ほこりを払い、米国を再生させる仕事に取り掛からなければならない。
一、(現在の)経済状態は大胆で早急な行動が必要だ。われわれは新しい仕事をつくり出すだけでなく、新たな成長の基盤を築くため行動する。道路や橋、配電網やデジタル回線をつくり、自動車の燃料や工場の動力のため太陽や風力、土壌を利用する。新しい時代の要望に応じるため学校や大学を改革する。これらをわれわれは成し遂げることができる。
一、われわれのシステムがこれらの大計画に耐えられないと指摘する人もいるが、彼らはこの国が成し遂げたものを忘れている。想像力が共通の目的と結び付き、必要性が勇気と交わった時、自由な人間が成し遂げることができるものを忘れている。
一、今日問われているのは政府の大小ではなく、政府が機能するかどうか、政府が仕事を各家庭が見つけるための手助けができるかどうかだ。われわれは国民のお金を、賢明に使い悪い慣習を改革するために運用する責任を問われるだろう。なぜならそれによってのみ、人々と政府の間の不可欠な信頼関係を再生することができるからだ。
一、富を生み出し自由を拡大する市場の力は無類のものだ。しかしこの(経済)危機は、絶えず注視していなければ市場が制御不能になることを再確認させた。国家が繁栄だけを望んでいると繁栄が長く続かないことを再確認させた。国内総生産(GDP)の規模だけがわれわれの経済の成功を決めるのではなく、繁栄の範囲、やる気のある者に機会を与えるわれわれの力も経済の成功を決定してきた。
一、防衛に関し、われわれの安全と理想が二者択一であるとの考えはまやかしであり、否定する。建国の父たちは、想像を超える危機に直面しながらも、法の支配と人権を保障する憲章を起草した。この理想の光は今も世界を照らしており、ご都合主義で手放すことはできない。米国は平和と尊厳を求めるすべての国、男性、女性、子どもの友人である。大都市やわたしの父が生まれた小さな村まで、今日の日を見ている人々に告げたい。われわれはいま一度先頭に立つ用意があると。
一、先の世代の人々が、ファシズムや共産主義と対決したのはミサイルや戦車の力だけではなく、確固たる同盟関係と信念であったことを思い起こしてほしい。自身だけの力ではわれわれを守ることはできない。先の世代は、軍事力は思慮深く用いることでその力を増すことを知っていた。われわれの安全保障は、われわれの大義の正しさや自制にある。
一、われわれは、この遺産の守護者である。この信条にいま一度立ち返ることで、より過酷な努力、国と国の間のより踏み込んだ協力と相互理解を必要とする新たな脅威に立ち向かうことができる。われわれは責任ある形でイラクをイラク人に委ね、アフガニスタンでは努力を惜しまず平和を築き上げる。古き友、かつての敵とともに核の脅威を減ずるための努力を重ね、地球温暖化を食い止める。われわれの生きざまを謝罪はしないし、守ることにためらいもない。テロや罪のない人々をあやめて目的を達しようとする者に断言しよう。今こそわれわれの精神はより堅固であり、打ち負かされることはない。われわれは勝利する。
一、寄せ集めであるわれわれの伝統は弱さではなく、力であることを知っている。われわれはキリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ教、ヒンズー教、そして無信仰の人々の国である。この地球のいたる所から来たさまざまな言語や文化がわれわれを形づくっている。われわれは南北戦争や人種差別の苦渋を味わい、暗い歴史を超え強く立ち上がり、団結を強めた。だからこそ、過去の憎しみは乗り越えられると信ぜずにはいられない。部族間の隔たりは解消され、世界が小さくなるにつれ、共通の人間性が現れると。そして、米国は新たな平和の時代への先導役を務めねばならない。
一、イスラム世界に対しては、相互の利益と尊重に基づき前進する新たな道を希求する。争いの種をまき、自らの社会の災難への批判を西側社会に向ける指導者たちよ。諸兄が破壊するものではなく、築き上げるもので人々の審判が下るのだ。汚職と欺き、異議を抑圧することで権力にしがみつく者たちは、歴史の流れに外れていると知れ。ただ、その手を離すなら、われわれは手を差し伸べよう。
一、貧しき国々の人々には、田畑が豊かに実るよう、清潔な水があふれるよう、共に働くと誓おう。飢えた体に滋養を注ぎ、やせ細った心を癒やすために。そして、われわれと同様、豊かさにめぐまれた国々には、これ以上の無関心は許されないと訴えたい。
一、われわれの前に広がる道を考える時、はるか遠くの砂漠や山々をパトロールする勇敢な米国人を感謝の意を込めて思い起こす。時を超えてささやくアーリントンに眠る英雄たちのように、彼らはわれわれに語りかける。われわれは、彼らが自由の守り神というだけでなく、奉公の精神を体現しているからこそ敬意を表するのだ。われわれすべてが宿すべき精神だ。
一、結局、国民の信念と決意が、国が頼りとするところだ。
一、われわれが直面する課題は新しいものかもしれない。だが、われわれの成功は、勤勉、正直、勇気、フェアプレー、寛容、好奇心、誠実、愛国心にかかっている。求められているのは、こうした真実に戻ること、また「新たな責任の時代」だ。われわれが自身に、国に、世界に、喜んで義務を持つという認識、困難な任務に身をささげるほど精神を満足させるものはないとしっかりと認識することだ。
一、われわれが何者であり、いかに遠くを旅してきたか胸に刻もう。変革の成果が最も疑われるこのときに、建国の父は人々にこの言葉を聞かせるよう命じた。
一、すべての人種が性別や世代を超えてこの場に集い共に祝えることこそがわれわれの自由と信念の意味するところだ。
一、米国よ。希望と美徳をもって、冷たい流れに立ち向かい、どんな嵐が来ようとも耐え抜くような勇気をいま一度持とう。いつの日か、子孫たちから困難を前にわれわれが決してあきらめず、たじろがず、自由という偉大な贈り物を未来の世代に無事に届けたと言われるように。(共同)
[日刊スポーツ]
Posted by nob : 2009年01月21日 22:42