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結局は一部権力層の覇権争い、、、犠牲になるのはいつも一般民衆、、、今はいかなる支援もすべて受け入れるべき。。。
■ハマスが活動本格化 ガザ 見舞金配布 支配維持を狙う
【ガザ市(パレスチナ自治区)=内田康】停戦から一週間が経過したガザで、イスラム原理主義組織ハマスが本格的に活動を再開した。治安維持のため警官を街に配置し、イスラエル軍の攻撃で被害を受けた人たちに見舞金を配布。ガザの実効支配維持を狙う。
空爆で全壊した警察署前で二十五日、警察官ムハンマドさん(38)は「オレたちはハマスの警察官だ。それが何か問題なのか?」と胸を張った。だがカメラを向けると、撮影を拒否した。
イスラエル軍はハマスの警察施設を破壊したが、停戦後、約六千人の警官が銃を携帯し街を巡回するようになった。空爆を免れた建物を拠点にする。
ガザ市のモスク(イスラム教礼拝所)では二十四日夕方、ハマス幹部が自宅が全壊した人に一世帯あたり千ドル(約九万円)の見舞金を配布。封筒を受け取ったマヘルさん(38)は「家を借りる費用にする」。ハマスは今後、自宅が半壊した人にも見舞金を配る考え。
周辺親米国はハマスを経由しない支援を検討。パレスチナ解放機構(PLO)穏健派ファタハのガザでの復権をもくろむ。しかしハマス報道官は「政治的支援は断る。敵(イスラエル)はハマス壊滅に失敗したのだ」と語る。
[東京新聞]
■イスラエル:ガザ侵攻 米国が掲げる人道はどこへ=論説委員・布施広
◇ガザ攻撃---黙認された罪なき人々の犠牲
◇「過激」と「過剰」の連鎖---後退する中東和平
イスラエル軍のパレスチナ自治区ガザ地区への攻撃は後味の悪い出来事だ。子供を含めパレスチナ側に1300人もの犠牲者が出たのに、米国は最後までイスラエルの「自衛権」に重きを置いた。なぜなのか、と首をかしげる人も多いだろう。米国は「人権」や「人道」を重んじるはずの国なのに、と。
ガザの惨状を見ながら、98年暮れのクリントン米大統領(当時)の訪問を思い出した。大統領は、ガザ国際空港にヘリコプターで降り立ち、車でガザ市中心部へ向かった。そして、今思えば信じがたいことに、パレスチナの人々は、お年寄りから子供まで、沿道で星条旗を振って大統領を迎えた。ガザにもつかの間、幸せな時間があったのだ。
00年には米国でクリントン大統領と当時のバラク・イスラエル首相、アラファト・パレスチナ自治政府議長による中東和平3首脳会談が続いた。和平が現実味を帯びた歴史のひとコマだが、3首脳会談は決裂し、バラク首相は体面を失った。そのバラク氏が今回、国防相として仮借のないガザ攻撃を指揮したのは象徴的である。
10年前に比べ、和平交渉で進歩より後退が目立つのは悲しい現実だ。イスラエル軍のガザ撤退(05年)は大きな動きだが、その後も閉鎖空間のガザの窮乏は変わっていない。
ブッシュ政権は01年の米同時多発テロを受けてアフガニスタン攻撃からイラク戦争へと突き進み、米政界の重鎮たちが中東和平への努力を求めても重く受け止めなかった。親イスラエルのネオコン(新保守主義派)との関係が深いブッシュ政権の特質ではあるが、米国政治の空気の反映ともいえよう。
例えば、オバマ政権で国務長官になったヒラリー・クリントン氏は大統領夫人だった98年、パレスチナ国家の独立を支持する発言をしてユダヤ系組織の猛反発を買った。そのクリントン氏は上院議員選と大統領選予備選を経験し、いまやメディアで「イスラエル寄り」の国務長官と形容される存在だ。
米国最強のロビー団体ともいわれる「アメリカ・イスラエル広報委員会(AIPAC)」のホームページには、オバマ氏やクリントン長官のAIPACなどへの連帯の言葉が載る。米民主党歴代大統領候補者の政治資金の6割がユダヤ人社会からの献金で占められてきたとの調査結果もあるそうだ。
AIPACの元職員は紙ナプキンを見せながら語ったという。この紙の上に米上院議員70人(上院の定数は100人)の署名を24時間以内に集められると。この有名なエピソードは、あながち誇張ではなかろう。イスラエルの軍事行動に対し、米議会では圧倒的多数で支持決議が可決されるのが常だ。オバマ政権下で中東政策が大きく変わるとは考えにくい理由もこの辺にある。
もちろんロビー活動は正当な行為である。自分たちの利益を代弁する候補を選挙資金などで支援するのも有権者の権利だ。私はイスラエルの研究所に籍を置いてホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の生存者を訪ね歩いたことがある。胸がつぶれるような彼らの体験談は、米国におけるロビー活動にも色濃く反映しているだろう。
だが、問題は米国と国際社会の乖離(かいり)である。米国の2人の大学教授が書いた「イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策」(講談社)によれば、米国は72年から06年の間に、イスラエルに批判的な42の国連安保理決議を拒否権で葬り去った。こうした状況で世界の懸案を公正に解決できるのか、拒否権行使は本当にイスラエルの平和につながるのか、という重大な問題がある。
「ガザは時限装置付きの原爆だ」とアラブ系ジャーナリストから聞いたのは、イスラム原理主義組織ハマスがガザで旗揚げした80年代後半だった。希望がなくなると過激な勢力に支持が集まる。力で抑え込もうとすれば相手はますます過激になり、こちらの攻撃も激しくなる。誰も止めなければ「過激」と「過剰」の争いはエスカレートするだけだ。
ハマスも考えなければならない。かつてハマスの幹部は、パレスチナ自治区での独立国家樹立に満足せず、イスラムの連帯による「大きな家」を建てたいと語った。これはイスラエルとの果てしない戦いにつながる。だが、戦火に耐える庶民の苦しみを思えば、非現実的な夢を追わない勇気も必要ではないか。
[毎日新聞/27日追加]
Posted by nob : 2009年01月26日 11:47