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「生命の尊厳」の前には「時の壁」も「国家賠償」も存在しえない。。。
■時効見直し議論活発、遺族ら撤廃訴え 凶悪犯罪、重い「時の壁」
凶悪・重大犯罪に関する公訴時効を巡る議論が活発化している。殺人事件の遺族らが5月から、時効撤廃を求める活動を本格化させ、法務省も見直しに着手。未解決事件に立ちはだかる“時の壁”を越え、被害者救済に新たな道を開く期待がある一方、捜査の長期化に伴う証拠散逸などの問題もあり見直し慎重論も根強い。刑事政策の大転換でもあり、十分な議論が必要となりそうだ。
「被害者遺族だけでなく、事件の後遺症に苦しむ被害者自身の願いでもあるんです」。4月24日、法務省内で開かれた時効制度見直しを検討する勉強会。全国犯罪被害者の会(あすの会)の岡村勲代表幹事ら犯罪被害者の3団体が時効廃止を強く訴えた。「大幅延長ではどうか」と打診する同省側に「延長と廃止では意味が全然違う」と反論。消えることのない事件の傷や犯人への憤りを訴えかけたという。
[日本経済新聞]
■時効:「成立は国賠を」 見直しに加え、嘆願提出へ--「遺族の会」全国大会
時効制度見直しを求めて結成された「殺人事件被害者遺族の会(宙(そら)の会)」の第1回全国大会が3日、東京都千代田区の明治大学で開かれた。これまで求めてきた「時効の廃止」「時効の停止」に加え、「時効が成立した遺族に対する国家賠償責任」を三つ目の柱として嘆願書に盛り込んだ。月内にも法務省や各政党に提出する。
この日までに入会したのは、国内外の17事件の遺族と、賛助会員61人。大会には約200人が集まった。
上智大生殺害事件(96年9月)で次女を失った小林賢二・代表幹事(62)が嘆願書を読み上げ、「時効制度は、『生命』という最も崇高な『尊厳』を喪失させている」と、廃止・停止を改めて求めた。また、「国家は刑事・民事で処罰権・賠償権を行使することにより秩序の安定を図っている」として、義務を結果的に果たせなかった責任を賠償という形で救済すべきだと訴えた。
大会では冒頭、世田谷一家殺害事件(00年12月)で長男一家4人を失った宮沢良行会長(81)が「憲法記念日にあたる本日、『生命の尊厳』を多くの国民に考えていただき、時効制度の是非を問いたい」とあいさつ。
作家の柳田邦男さんが特別講演を行い「自分や家族が被害者だったらという視点が必要だ。宙の会の活動は命を大切にする社会の第一歩になる」と話した。
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■解説
◇救済に道筋を
時効成立後、刑事責任を追及できなかった遺族が、容疑者に損害賠償を求めるケースがある。民事でしか闘えない遺族のつらさは想像に難くないが、それ以上につらいのは、容疑者が浮かばないまま時効を迎えた遺族だ。刑事でも民事でも救われない遺族救済に道筋をつけるべきときではないだろうか。
90年12月の札幌信金職員、生井宙恵(みちえ)さん(当時24歳)殺害事件(05年時効)で、遺族が殺人容疑で指名手配された男に賠償を求めた訴訟で、札幌地裁は08年3月、男に7500万円の支払いを命じた。しかし、男は所在不明のままで、賠償金が支払われる見込みはない。
一方、78年に殺害された東京都足立区立小教諭、石川千佳子さん(当時29歳)の遺族が、時効成立後に名乗り出た元警備員の男(73)に賠償を求めた訴訟では、最高裁が先月28日、男の上告を棄却し、4255万円の支払いを命じた東京高裁判決が確定した。
しかし、時効成立事件で、容疑者が分かっていることはまれで、ほとんどの事件で、遺族は親族を殺害された怒りと悲しみをぶつける相手もないまま、事件捜査を終えた捜査当局から「容疑者不詳で不起訴」との処分通知を受け取るだけだ。今は、泣き寝入り以外の選択肢は遺族にはない。
15年間捜査した結果が、紙一枚ではあまりにも悲しすぎる。【山本浩資】
[毎日新聞]
Posted by nob : 2009年05月04日 21:09