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過去に縛られないで、、、過去は変えられないけれど、未来は必ず自ら変えられる、、、前向きに諦めてしまわないでいさえすれば。。。

■幸せと感じたことがない

 20代の会社員女性。今まで幸せと感じたことがありません。ずっと不幸です。名前の画数さえ大凶です。

 小さい頃は闘病のため好きな食べ物は禁止でした。いじめにも遭いました。大人になってからも父が借金を残して出て行き、家族を扶養しなければならなくなりました。最初に就職した会社では体調を崩すほど嫌な部署に配属され、人間関係も最悪でした。限界を感じ1年でやめました。今の会社も将来性はありません。しかしこの不景気、ほかに仕事もありません。

 友人たちは病気もせず職場にも恵まれています。どうして私ばかりこんな目に遭うのか。「すごい不幸だね」と言われます。毎日将来の不安を感じています。いつかは幸せにと願い続けてきましたが、選択するたびに悪い方向に行くのです。どう生きていけばよいのでしょう。(大阪・A子)

 確かに大変なご苦労を重ねておられる。それでも健気(けなげ)に頑張ってきたあなたに心から応援のエールを送りたいです。ご質問は「不幸な運命の中でどう生きるべきか?」というものですが、これは大げさに言えば、人類の一大テーマ。古今東西の哲学者が考え続け、文学の主題にもなっています。

 もちろん、「正解はこうです!」と発表できるようなものでもありませんが、「幸福か不幸かが問題ではない。とにかく生きることに人間の価値あり」という意見が多いようです。もっと積極的に「苦労するほど人格が磨かれて、人間として完成される」という見解もあります。これはどちらかと言うと西欧的価値観ですかね。東洋的には「災難は災難として受けるべし。それもまた良き哉(かな)」という一種諦観(ていかん)ですか……。

 ここまで読んで、私は答えを出せず、他人の意見を紹介して逃げようとしていると思われたかもしれません。ただ、「自分は不幸だな」と思った時に、屁(へ)理屈でも良い、気休めでも良い、私は右に述べたような先人の結論を思い出すようにしています。すると不思議に勇気が出ます。この方法があなたにとっても、前向きに生きるきっかけになると良いのですが。

(野村 総一郎・精神科医)

[読売新聞]

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Posted by nob : 2010年01月12日 00:48