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グーグルといえども。。。

■【コラム】グーグル、決断のとき-中国撤退は是か非か

これがグーグルにとって重大な決断の時であることは間違いない。

 中国からの撤退検討を明らかにしたことで、同社は拡大を続ける巨大市場でのトップの座よりも安全なサービスを提供することを重視する姿勢を示した。

 しかし、これは正しい決断だろうか。

 同社の中国事業は、まだ小さく、目先では、撤退しても大きな影響はない。シティ・インベストメント・リサーチによれば、同社の中国事業は、2010年の利益全体の1%に過ぎない。

 このためグーグルは、中国での負けを認めたくないばかりに倫理的な理由を掲げて撤退しようとしているという見方が出ているが、これは誤りだ。調査会社のアナリシス・インターナショナルによると、グーグルの検索サービスのシェアは2006年の13%から2009年の第4四半期には36%に拡大している。

 検索サービスでトップの百度の58%からは大きく離されている。しかし、この2社が市場をほぼ独占しており、このポジションは、同業他社の垂涎(すいぜん)の的だ。ただし利益は、他の中国でビジネスを展開している企業も同様だが、まだこれからだ。

投資家にとっては、この中国撤退の動きはグーグル経営陣が持っている理想主義の表れとみえるだろう。収益化がはるか遠くでも書籍の電子化のような事業についての先行投資は容認できる。同社には慈善団体のようなところがあるからだ。上場したときに、経営陣は、「短期的な利益にはならなくとも、世界に前向きなインパクトのある事業をやりたい」と言っていた。倫理的な観点以外からみても、いくつかの上場時の公約に忠実なことは理解できる。

 同社は膨大な個人情報を預かっており、顧客の信頼は重要だ。その情報を守るためには慎重でなければならない。また情報の自由を推し進めようという姿勢は、中国政府の情報規制の強化の流れと相容れないものがある。

 ともかく同社の中国撤退は中国で事業を展開する企業にとっては気の重くなる出来事だ。

 グーグルは、中国で事業を展開するため検索結果への自主検閲に同意した一方で、中国政府が規制を緩和する方向に向かうことを期待していたに違いない。

 しかし、反対のことが起きている。ハッカー攻撃によって、とうとうグーグルは堪忍袋の緒が切れたというところだろう。

中国が金融危機後の経済成長によって自信を深める一方で、外資にとっては事業がやりづらい環境になってきた。米コカコーラによる果汁メーカー中国匯源果汁集団(China Huiyuan Juice Group)の買収を中国商務部が承認しなかったり、英豪の資源大手リオ・ティントの社員4人をスパイ容疑で逮捕したりしたのも、そうした流れを示している。

中国の指導者らは、おそらくグーグルなどに興味を持っていないだろう。もし撤退すれば、中国政府の規制に従順な百度など地元企業が成長できる。中国のインターネットは、社内イントラネットに近づいていくことになるだろう。

 グーグルの中国事務所の前に花束を置いた人々が、こうした懸念を感じているのは確かだ。今回のグーグルの動きは、外からみると、インターネットの自由のための抵抗のようにみえるが、中の人々にとっては、一つの外資系企業の撤退以上のものがある。

[THE WALL STREET JOURNAL]


■「治安優先」中国譲らず グーグルの検閲撤廃要求に対し

 インターネット検索で世界最大手の米グーグルが中国撤退を視野に当局に検閲の撤廃を求めた問題を巡り、ネットの自由を重んじる米国・グーグルと、社会の安定を優先する中国がぶつかり合う構図となっている。中国政府はネット規制を譲らない方針を強調。中国共産党機関紙の人民日報は14日付で「インターネットの管理が国家の安全を保障する」と主張し、中国商務省は15日、グーグルが撤退しても「米中間の通商関係には影響しない」との見解を示した。

 「グーグルが中国から撤退すれば、中国のネットは暗黒の世界になってしまう」。厳しい寒さが続く北京市北西部のグーグル中国本部前。若者らが13日から詰めかけ、花束や支援のメッセージを置いていく。(北京=多部田俊輔、シリコンバレー=田中暁人)

[日本経済新聞/16日追加]


■Googleにとっての中国: 人権うんぬんよりも世界でのビジネスが第一

アメリカ人が中国について書くことは、どんな場合でも難しいが、アメリカの企業が中国で直面するいろんな問題は、書くことよりもはるかに難しい。率直に言って、中国のGoogleは羨望の対象ではない。シリコンバレーの有名企業の中では成功しているほうだが、決してここのマーケットリーダーではないし、今後そうなることもありえないだろう。リーダーになりたかったら、Googleの社是である「悪事を為さず(do-no-evil)」を曲げて、政府の検閲を容認しなければならないだろう、と西側の人たちの多くが感じている。今のGoogleは、手詰まりだ。中国という巨大市場を無視することはできない。しかし同時に、Googleが今の地位を獲得するために(主に西側世界で)払った巨額の、文化的倫理的企業イメージ的費用の成果を、ここであっさりドブに捨ててしまうわけにもいかない。

そこに、あの有名なブログ記事が登場する(英語のサイトのみだ)。それは、Googleは今後、中国政府のルールの下では操業しない、それが不可能なら中国から撤退する、という内容の記事だった。シリコンバレーのエリートたちは、Googleは合衆国政府よりも偉い、道徳的高潔さの模範を世界に示した、とTwitterやブログで褒めそやした。

私ならこう言う: Googleは悪い状況から、人間的にもビジネス的にも良いものを作り出した。Googleが人権という問題をまったく考えなかったとは言いたくないが、しかし今回の最大の動機はビジネスだ。おめでたい西欧人になってしまわないために、少なくとも3つのことを思い出す必要がある:

1. Googleの中国での業績はそれほど良くない。Googleが中国でトップシェアを占めていても、今回のように撤退云々と言い出しただろうか? まず、そんなことをしたら株主たちに訴えられるだろう。しょせんGoogleは、営利企業であり、しかも公開企業だ。Google ChinaのトップだったKai-fu Leeに北京で昨年の10月に会ったとき彼は、辞める理由の一つは、Googleが今後どんなに頑張ってもBaiduを抜いてマーケットシェアを大きく拡大することはありえないからだ、と言った。Googleは、中国での操業は割に合わないと判断し、その不利を今、マーケティングキャンペーンの素材として有利に生かすことによって、中国以外の世界での評価をなお一層高めようとしているのだ。

2. Googleは自ら退路を断っても平気だ。 今回のやり方は、中国式の交渉術ではない。それどころかGoogleはこれまで、それをさんざんやって/やらされてきたから、そんなことは百も承知だ。ブログなどの公開メディアで政府をたたいても良い結果は得られない…とくに英語のブログでは。Googleに、今後とも中国政府とうまくやっていく気があるのなら、書簡の公開はしなかっただろう。そんなことをしたら、今後いっさい相手にされなくなる。中国歴の長い起業家のMarc van der Chijsなど多くの人が、Twitterの上で言っているとおりだ。これはいわゆる焦土戦術であり、見捨てた中国市場を代価に世界の票を勝ち取ろうという作戦だ。中国人の顧客と社員たちは、要するに置いてきぼりを食らったのだ。

3. 次の10年で事態はさらに悪化する。 ShandaによるMochi Mediaの買収は、それ単独のできごとか? よく考えてみよう。中国のWeb企業は大量のキャッシュをたくわえ、高い株価を誇っているが、それでもまだ、比較的若いWeb市場だ。しかしこれからはますます、ここの企業が合衆国のスタートアップを買っていくだろう。その逆はない。そうなっても、シリコンバレーの…西側的…レトリックを固持できるのか?

おそらく、もっとも衝撃的な部分は: かつてYahooは中国でGoogleよりはうまくやっていた。しかし数年前に撤退したのは、Alibabaには勝てない(Aliの40%近くの株主になることはできない)と悟ったからだ。Alibabaは、中国での成長の仕方をいちばんよく知っている企業だ。中国に住む起業家でエンジェル投資家のBill Bishop…彼は私が書く中国記事を批判することもある… は、そう言ってから次のように付け加えた:“YahooがGoogleよりもお利口と思えたことは、あまりないのにね”*。〔*: そのときだけはYahooがGoogleよりも賢いと見えた、の意。〕
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

[TechCrunch/17日追加]

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Posted by nob : 2010年01月14日 23:46