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融合しつつある芸能界とスポーツ界。。。
■わが娘を「浅田真央」に育てる費用は?
■名コーチは大金を積んでも味方につける
トリノでの一世一代の舞いで、金メダルを獲得し国民的ヒロインとなった荒川静香さん、フィギュアスケートに国民的な関心を抱かせるようになった浅田真央、安藤美姫の両選手。彼女たちの銀盤での雄姿の陰には、様々な人たちの協力がある。そして、そこまで至るには多額のお金が必要になると言われている。では、我が子をフィギュアの女王に育てるためにはいくら必要なのか。「YUCASEE MEDIA(ゆかしメディア)」は、かつてフィギュアスケートの世界に身を置いたこともある元関係者に聞いた。
「年間3000万円」。一説にはオリンピック出場選手クラスで、そのくらいが相場とも言われる。スポーツとは優劣を決するものだが、本来参加するだけなら誰もが平等であることには違いない。しかし、門を叩くにあたって、これだけ敷居の高さを感じさせる競技は他にないだろう。
費用として必要になる項目を挙げると次のようなものがある。コーチレッスン、トレーニング、リンク使用、振付、衣装、クツ、遠征・滞在など。それぞれ決して安いものではない。
「一番高いのはコーチに支払う費用です。浅田さんのタラソワコーチ、安藤さんのモロゾフコーチあたりの超一流どころには、最低でも年間1000万円以上が必要になります。一般的に、契約書を交わさないことが多い世界なので、正確な条件や金額はわかりませんが、レッスン料金に振付料込みだったり、あとは、コーチの方から『俺がコーチをしてやる。お金は出世払いでもいい』などと売り込んでくることもあるそうです」
他のスポーツの感覚であれば、コーチが試合をするわけではない。だから「そんなの誰に頼んでも同じだろう」と考えたくはなるが、それは間違いだという。
「五輪でメダルを狙うなら、その可能性のあるコーチは限られています。日本国内なら20人もいないでしょうね。だから、良いコーチにレッスンを受けなければならず、それをケチることは無理でしょう」
だから選手たちは、超一流のコーチ陣の中から、自分のスタイルや考え方に合う人を選ぶ。次ページでは他の費用についても見ていく。
■1年間の金額は?
コーチのレッスン料は前項でも説明したが、そこはピンキリでもある。まず、最初は町のスケート教室で滑るところから始まる。この初歩段階では、普通の子供たちと将来五輪に出場するような金の卵たちがいっしょに滑る。そこから個人レッスンに昇格すると1時間1万円くらいが相場。1週間あたり1時間の割合で 1年間通うと50万円ほどになる。そして、競技者として日本一を目指すレベルになると、日本人トップコーチ、最後は五輪で勝てる国際大会で実績を持つコーチへと移っていくようだ。
◆リンク使用料 スケート場と貸切の契約を結ぶか、スケートクラブに入るか。年間50、60万円はかかるという。あるいは最近であれば、高橋大輔、織田信成の両選手が所属する関西大学や、安藤美姫、小塚崇彦の両選手がいる中京大学は専用リンクを持っている日本では数少ない団体でもある。所属選手は施設面で大きな便宜があり、ありがたい存在だ。
◆衣装、クツ代 下は10万円から著名デザイナー製作のものなら、100万円するものもあるという。クツは、1足5~10万円ほど。エッジは1足分で5 万円から。年間で5足は必要なために、25万円~50万円はかかる。またエッジも手入れをしても1年間保つか保たないかだという。
◆振付、楽曲 大会に出場するためにはショート、フリーそれぞれのプログラムと振付と楽曲が必要になる。振付は超一流どころに頼めば1回200万円、楽曲は1曲5~10万円となる。
◆その他トレーニング スケーターは当然リンク以外でも練習する。筋力トレ、バレエレッスンなど。これも個人によって違うが、1月に50~100万円使う選手もいれば、団体に所属していれば施設やトレーナーもいるために支払う必要がなかったりもする。
◆遠征費 遠征は基本的に連盟の負担のために必要ない。ただし、外国人コーチの下へ練習に行く場合には自己費用の場合が多い。団体に所属している場合には、いくらか費用負担をしてくれる場合も。
■フィギュアスケートは野球と並ぶ人気
ざっと見ていくと年間の活動費用は、2、3000万円は必要になってくるだろう。ただし、気付いた読者もいるだろうが、関西大学、中京大学は専用のリンク、トレーニング上を持つ。今回バンクーバー五輪に出場している高橋大輔、織田信成、小塚崇彦、安藤美姫の4選手は関西大、中京大に籍を置いており、メリットを受けることができるという。
「選手は国内、海外を行ったり来たりですが、国内で自由に使うことのできる練習拠点を持ち、しかも学校にコーチもいるので、今の選手たちは昔と比べて恵まれているのではないでしょうか。トップ選手でも国内の費用負担が軽くなっていると思います」(前出の元関係者)
これは、フィギュアスケートの存在がメジャー化したことが大きい。学校や企業にとっては、資金の一部を提供してでも選手を囲うことが大きなメリットになったからだ。
ちなみに、Gooリサーチが一昨年に実施した「子供が好きなスポーツ選手」ランキングで、男子は1位「イチロー」(20.1%)、2位「中村俊輔」(13.7%)、3位「松坂大輔」(8.5%)に対して、女子は1位「浅田真央」(36.7%)、2位「安藤美姫」(16.5%)と2人で過半数を占めてしまった。今や、野球と並ぶメジャースポーツだ。
浅田真央選手のTVCM出演企業も、NEC、コカ・コーラ、王子ネピア、オリンパス、伊藤ハム、ネスレ、オムロン、森永製菓、ロッテ、花王、日生と、そうそうたる一流企業の名前が並ぶ。まるで好感度の高い女優並みだ。
フィギュアスケートを取り囲む環境が昔とは全然違うことを雄弁に物語っている。スター選手を軸にしたビジネスが展開されているからだ。
■ローリターンからハイリターンの時代へ
「1990年に規定プログラムが廃止となり、そのためのレッスンとリンク使用の費用負担が減ったのと、ジャンプがうまい子が良い成績を収めやすい環境になりました」
つまり、ジャンプが採点の中で重要な位置を占めるようになったため、体が軽い若い選手の方が有利になるということだ。早くから頭角を現し、そして浅田、安藤の2選手のようにアイドル性があれば、相当の実入りを見込むことができるだろう。実際に最近の五輪の金メダリストも10代が多い。
「昔はフィギュアをやる人は、一家に子供1人がほとんどでした。それだけ、お金が掛るという意味です。でも、今は浅田姉妹(舞、真央)のような例もあります。真央さんは言うまでもないですが、舞さんも大手芸能プロと提携していたりしますから、稼げる時代になったということでしょう」
あくまでも習い事として、年間1000万円以上を負担。国内の上位クラスで活躍する選手でさえも500万円くらいは必要だという。しかし、かつては、ハイリスクローリターンだったが、現在はハイリスクハイリターンになった点が大きく違う。確かに費用はかさむのだが、すでに実力とアイドル性を持った浅田真央、安藤美姫の両選手はすでに収益を生んでいる。また、金メダリスト荒川静香さんは、スポーツキャスター、プロスケーターとして引っ張りだこで、将来的には指導者としても期待されており、前途は洋々だろう。
ただし、ここに名前が挙がった選手たちは、ほんの一握りのスーパーエリート。ハイリスクである現実は何ら変わらない。しかし、結果を残した選手がスケートで金を稼ぐことができるという環境は歓迎すべきものだろう。
「わが娘を浅田真央に」。
娘の輝かしい時間は、人生の時間に比べればほんの一瞬かもしれないが、お金だけでは計りしれない最上級の価値を持つ。理解を示して投資できるかどうか、それは読者の皆様の価値観次第だ。
[YUCASEE(ゆかしメディア)]
Posted by nob : 2010年03月02日 20:19