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本質的な是非はともかくとして、、、今回の外交手腕には驚き。。。

■クロマグロ:保護と消費の両立課題に…禁輸否決

 ワシントン条約締約国会議で焦点になっていた大西洋(地中海含む)産クロマグロの国際取引禁止案が否決されたことに、外食産業や流通業の関係者からは安堵(あんど)の声が上がった。ただ、マグロ資源の減少を懸念する声は業界にも多く、今後は資源を守りながら上手に生産・消費していく工夫が求められそうだ。

 ◇「完全養殖」に力…流通・水産

 東京都内で「すしざんまい」など26店を展開する喜代村(本社・東京都中央区築地)の木村清社長は「大西洋産の禁輸が決まっていたら、今のように安い値段でクロマグロを食べられなくなるのは確実だった」と、ホッとした表情を見せた。

 大西洋クロマグロの資源が減ったのは、幼魚を捕っていけすで育てる「蓄養」の拡大が主因とされている。

 木村社長は90年代初頭から、豪州ポートリンカーンやスペインなどの地中海沿岸で、地元水産業者とともにクロマグロやミナミマグロの蓄養を始めた第一人者。幼魚を減らさないため、産卵後の親マグロを捕って、いけすでさらに大きくする技術を開発した。

 欧米側のクロマグロ禁輸の主張に対しては「クロマグロの漁獲量年4万~5万トンに対し、マグロ・カツオ全体の年間漁獲量は800万~850万トン。大部分は欧州や米国の缶詰用で、生育前のマグロまで一網打尽にする巻き網漁で漁獲されている。それが資源減少の主因だ」と反論。今後も外務省や水産庁に、資源保護のための巻き網漁規制などの必要性を訴えていく考えだ。

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 卵の段階から育てる完全養殖も、資源に悪影響を与えない方法として注目を集めている。

 東京都と神奈川県を中心に店舗網を持つ中堅スーパー「小田急OX」は、川崎市麻生区の新百合ケ丘店など8店舗で近畿大水産研究所が養殖した「近大マグロ」を昨年9月から販売。19日時点の価格は大トロが100グラム2380円、中トロが1580円、赤身が1280円と天然物と同じ水準で、蓄養マグロより5割ほど高い。

 しかし、小田急OXを運営する小田急商事の松崎靖夫バイヤーは「所得に余裕がある団塊の世代を中心に、環境問題に関心が高い消費者に人気がある」と強調。1日に売れるのは10パック前後だが「ホームページを見て近大マグロを指名買いする顧客も増えている」と話す。同店で近大マグロを手に取った麻生区の男性(63)は「クロマグロの資源保護はある程度必要」と、規制強化に理解を示した。【大塚卓也、太田圭介】

 ◇「環境のEU」連敗

 【ブリュッセル福島良典】ワシントン条約締約国会議で大西洋(地中海を含む)産クロマグロの禁輸提案が否決され、欧州連合(EU)は昨年末の地球温暖化対策に続き、環境関係の国際会議で「2連敗」を喫した。いずれも途上国の支持を取り付けられなかったことが響いており、「環境のEU」が直面する南北問題の深刻さを露呈した。

 クロマグロ問題でEUはまず、域内の足並みをそろえるのに苦労した。当初は昨年9月に禁輸支持の方針を打ち出す予定だったが、フランス、イタリアなど漁業国の説得に時間がかかり、支持の正式決定は会議開幕前日の12日にずれ込んだ。

 EU筋は「加盟国以外に根回しする時間的な余裕がなかった。昨秋に決まっていれば、違う展開になっていた」と敗因を分析する。

 結局、EUは漁業国に配慮して禁輸発効まで1年余の猶予期間を置く独自案をまとめた。だが、即時発効を求めるモナコ提案と合わせて、禁輸提案が二つ並ぶ形になり、禁輸支持派を分断する結果を招いた。EU筋によると、モナコ提案の採決で加盟国の大半は賛否を決められず、棄権した。さらにEUが打ち出している「加盟国沿岸での伝統的な漁や域内取引は認める」との立場に途上国が「身勝手」と反発を強め、EU案が大差で退けられる結果につながった。

 昨年12月にコペンハーゲンで開かれた国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)でも、EUは新興、途上国を説得できず、京都議定書に定めのない13年以降の温暖化対策をまとめられなかった。

 今後10年のEUの経済戦略の柱の一つは、環境技術の革新を中心にした「グリーンエコノミー」。しかし、環境分野で相次ぐ途上国からの「NO」は、「独り相撲」を避けるための戦術見直しをEUに迫っている。

[毎日新聞]


■クロマグロ禁輸、EUが本会議採択を断念

 【ブリュッセル=尾関航也】欧州連合(EU)は18日、ドーハで開催中のワシントン条約締約国会議に提出した大西洋クロマグロの国際取引禁止の提案について、来週の本会議での採択を断念する方針を固めた。複数の欧州外交筋が明らかにした。

 18日の委員会で、取引禁止を主張したモナコ案とEUの修正案がともに否決されたのを受けたもので、EUの戦線離脱により、今回の会議での禁輸決定見送りがほぼ確実になった。

 同筋によると、EUの執行機関である欧州委員会と加盟各国は、18日の提案否決後に対応を協議し、最終日までに劣勢を覆すのは困難との判断で一致した。

 EUにとって、自らの提案への反対が72に上る委員会の採決結果は予想外だったと見られ、欧州委は18日、「ほかの締約国が(取引禁止の)利点に納得しなかったことは残念」とする声明を出した。会議規則では、出席国の3分の1以上が動議を出せば本会議での再投票に持ち込めるが、委員会でEU案に賛成したのがちょうど3分の1にとどまり、採択の見通しは全く立っていなかった。

 ◆「禁輸案拒否」を明記◆

 【パリ=林路郎】フランス政府は18日夜(日本時間19日未明)、大西洋クロマグロの禁輸を断念する代わりに、ワシントン条約の「付属書2」にクロマグロを追加し、適法に捕獲された分にのみ各国政府が輸出許可を出す制度の導入を目指すとの声明を出した。

 仏環境省と農業水産省が共同で発表した声明は、「モナコ案とEU案は共に拒否された」と明記した上で、許可制導入で足並みをそろえるようEU内で意思統一を図る方針を示した。25日までドーハで開催中の条約締約国会議の会期中に採択を目指す意向と見られる。

 仏政府の狙いは、輸出規制で環境保護団体の主張に配慮する一方、自国のクロマグロ漁関係者の利益確保も図ることと見られる。現行の大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)による資源保護では、漁獲枠を超えた漁が行われているとされ、許可制度が導入されれば漁獲量減などにつながる可能性がある。ただ、輸出国や途上国の間でワシントン条約による規制強化への警戒感は強く、仏提案にも反発が予想される。

 ◇ワシントン条約付属書2=条約にある3種類の付属書のひとつで、必ずしも絶滅の恐れはないが、取引を規制しなければ絶滅する可能性がある動植物のリスト。カバやホオジロザメが指定されている。密漁などの非合法な捕獲を防ぐため、各国政府が適法と認めたものに輸出許可証を発行する。18日の締約国会議で否決されたモナコ案は、商業取引を禁止する「付属書1」への追加を求めていた。

[読売新聞]

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Posted by nob : 2010年03月19日 23:02