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起業には収益追求と自己実現という二つの動機と社会貢献という共通の目的があるけれど、、、発想や手法についての多くは共通する。。。
■[jp]起業についてあなたが知っておくべき二、三の事柄
「起業するにはどんなアイデアが必要なんだろうか」「資金はどのくらい集めればいいんだろうか」「誰と起業するのがいいのか」「起業するのにマネージメントの経験はないけど……」などこれから起業する人が誰しも考える疑問にはどう答えるといいんだろうか――。
少し前の話になってしまったが、以前にレポート記事を掲載して反響のあったサイバーエージェントの起業家支援プログラム「Startup2010」のキックオフカンファレンス。その中でエンジニアの起業についてのパネルディスカッションがあった。ここ3年で起業した若いアントレプレナーと若いベンチャーキャピタリストたちの素直な意見が聞けたので紹介しておこう。というのも、これから起業する人たちにもヒントになるような話がたくさんあったからだ。きっと冒頭に書いたような疑問を解決してくれるんじゃないかな。
* スピーカー
o イストピカ代表取締役 福島道宣氏……福島氏は10年間ゲーム会社を経営していたが、その経営を離れて新たにFacebookアプリを作るソーシャルゲームのイストピカを2009年1月に創業。
o スペーシーズ代表取締役社長 佐藤大樹氏……スペーシーズはアドサーバーやアクセス解析ツールを提供。2008年5月に創業。
o パンカク代表取締役社長 柳澤康弘氏……柳澤氏が創業に携わったのはパンカクで3社目。2007年2月創業。同社のiPhoneアプリ「LightBike」は北米のアップストアの有料アプリランキングでNo.1になった。2007年に創業、3つめに創業に携わった。
o ファンタムスティック代表取締役 竹氏圭氏……ファンタムスティックはソーシャルゲームの会社で今年2月に創業
o ポケラボ代表取締役 佐々木俊介氏……当初はモバイル向けソーシャルブックマークを提供していたが、現在はソーシャルゲームの会社に。『サムライ戦記』などが絶好調。佐々木氏は創業以前はNTTコムウェアのエンジニアだった。2007年11月創業。
o インキュベイトファンド 和田圭祐氏……ベンチャーキャピタリスト。ディー・エヌ・エーが出資をしたことで知られるファンドの代表パートナー。以前にはサイバーエージェントの投資部隊に在籍していたが、個人でもベンチャーキャピタリストとして活躍している。ポケラボは投資先の1つ。
o サイバーエージェント 海老原秀幸氏……ベンチャーキャピタリスト。サイバーエージェントの投資部門に在籍。
* モデレータ
o ジークラウド代表取締役 渡部薫氏……創業経験を何度も持つ渡部氏。ジークラウドはiPhoneアプリのレビューサイトの運営やiPhoneアプリ開発のスクール事業などを手掛ける。
■アイデアは重要ではない。
さて、最初は「起業するのにアイデアは必要か?」という問題だ。実を言えば、アイデアが第一に重要なものではないと多くの人たちが指摘している。そう、誤解を招くかもしれないが、アイデアは起業に際してはもっとも重要なことではないのだ。
iPhoneアプリの開発を手掛けるパンカクの柳澤氏は「同じようなアイデアを考えている人は多い。それよりも、アイデアの実現のために全力を尽くせるかの方が大事」だという。つまりは、事業に打ち込む姿勢のほうがアイデアなんかよりもよっぽど重要だということだ。スペーシーズのように起業時には受託制作事業だけでアイデアはなかったけれど、その中から事業を作った(広告配信やアクセス解析)という会社もある。
ベンチャーキャピタル側の意見としてインキュベイトファンドの和田氏は自身がいくつもの創業に携わった経験から次のように述べている。
「10数社の立ち上げを一緒にやっているが、うまくやっている会社は最初のアイデアに固執せずに、成長する領域を選んでいて会社のゴールとしてはここだということを意識している。アイデアよりもどんなコンセプトでどんなゴールに向かっていくかに時間を割いたほうがいい。アイデアは外れることがあるので柔軟に当たるまでやり続けることが大事だ」
起業にはアイデア以上に重要なものがあるとうことが、この言葉からも理解できるだろう。
■起業したときとその後では事業内容は変化する
柔軟に成長領域を探り当てていけば、起業したときと事業内容は同じではなくなる可能性がある。変化の早いこの業界であれば当然のことなのことだろう。
イストピカの福島氏はもともとはFacebookやiPhoneのゲームを提供する予定で起業して参入したのだが、実際にはいまはモバゲータウンのような国内のプラットフォームが主戦場になっている。
これはまだソーシャルゲームであるので事業内容が近いものだが、パンカクは創業時とはまったく異なる。もともとは社名の由来になった「出版革命」(しゅっぱんかくめいを縮めてパンカク)から、新しい形のソーシャルパブリッシングという形態を事業として考えていた。ところが、時期尚早ということから iPhoneアプリにとりかかり、大ヒットとなったiPhone向けゲームのLightBikeを世に送り出し、いまではiPhoneゲームプラットフォームのPankiaを提供している。
ベンチャーキャピタリストから見れば、こういったことはよくある話らしく、和田氏によれば、今後「いまの事業に一円も投資せずに撤退しましょう」といった意思決定を経営チームですることがあるらしい。いろいろと手を尽くしても、自分たちが目指している成長速度に達しない場合には、ほかに成長できそうで勝てそうなプランがあれば、一気に舵を切ってビジネスを変えることをやっているのだという。繰り返しになるが、最初のビジネスプランにあまり固執しない経営者のほうが、成功の確度が高まるのではないかなと考えているという。
どうやら勝利の方程式はここにありそうだ。
■一人で起業するよりも誰かと起業するほうがいい
よく言われることは、起業するには共同創業者がいたほうがいいということだ。ただ、同じような人間じゃないほうがいいというのは過去にもTechCrunch Japanでは記事にしている。彼らも実際にそういう経緯をたどっている。
イストピカは福島氏が自身が経営していた前の会社から人を引き連れてきて、会社を起こしたというレアなケースだが、同僚という意味ではスペーシーズの佐藤氏も同じだ。ただ、同僚といっても年齢のかなり離れた、かつ、佐藤氏はエンジニアでもう1名はバックオフィスをやってきた人物だそうなので、そういう意味では補完関係にある。
仕事関係という意味ではファンタムスティックの創業が興味深い。竹内氏が言うには、起業した仲間はすべてフリーランスで出会った人たちだそうだ。友人というよりはプロフェッショナル同士が出会って起業ということなのだろう。印象的だったのは「起業前に本当にこのひとたちと起業していいのか、ものすごくよく会って話した」というところだ。その相手を信頼できるかというのは重要なポイントだろう。
仕事で出会っているだけまだ付き合いがあるからいいが、ポケラボはmixiの若手起業家コミュニティーを通じて知り合った二人が創業している。それまでは仕事でも生活でもお互いになんの接点もないのに、信頼し合えって起業まで至ったのはなかなか興味深い。
とまあ誰と創業するかはいろんな出会いもあって、これだというのはないようだ。もちろん友人同士で創業だっていうのもあるだろう。ただ、友人同士では言いたことが言えなかったり、逆に友人関係が壊れてしまったりと、ビジネスパートナーとしての互いの関係を阻害するのかもしれない。
視点は違うがベンチャーキャピタリスはどう見ているのか。
「一人でやれることの能力には限界がある。ものすごくヒットできるサービスを作るのは、一人でもできるだろうし、一人で生きていくためのサービスを作ることは可能ではあるけれど、日本や業界を引っ張っていく会社を作ろうとすると、遅かれ早かれ壁にぶちあたるのは眼に見えている。なので、なるべく早くに仲間として口説くというのは大事。中途半端なタイミングで口説くのは難しいので、最初から意識高く、共有して、スタートのタイミングでチーム化しておくのがいいと思います。」
また、「一人でやっていったときは、当たったときはいいのだけど、辛いときは精神的に厳しいいので、チーム内で競争したり、強力したりして障害を乗り越えていったほうがいい」と前出の和田氏は言う。
誰と起業するかは千差万別で一意に決まらないが、誰かとやるのは必須なのかもしれない。
■マネージメント経験なんていらない。ただ、やらざるを得ないだけ
起業するのにマネージメントの経験が必要なのだと考える人もいるかもしれない。でも、これは自明でそんなことは必要ではない。でないとほとんどの起業家は起業なんてできないからだ。
和田氏によれば、投資の際には起業家のレジュメ、つまり過去の経験は意識しないそうだ。たとえば、業務に営業が必要な場合は、営業の経験があったほうがいいが、事業はどうせゼロから作るから、それであれば今までのやり方に固執する必要はなくて、学習意欲が高い人のがほうが伸びるのだと明言している。同様にサイバーエージェントの海老原氏も素直に自分自身を改善していく姿勢が大事だと指摘している。逆に過去の経歴がすごいからといって投資に踏み切ることはないのだとか。
ファンタムスティックの竹氏氏の言葉がこの状況について的を得た発言をしている。
「人を変えるのは立場とか環境だと思います。環境を変えればやらざるを得なくなる。そういう環境を得られるチャンスがあるのであれば――そのチャレンジの選択の1つとして起業があるのであれば――それは幸せなことかなと思っています」
■資金は出せるだけ出す
資金調達については企業によってそれぞれ事情が違う。たとえば、ファンタムスティックは創業メンバーも出資しながら、サイバーエージェントから投資という形で資金を調達している。一方で、スペーシーズは100万円で創業したあとに、新しいサービスを作ろうというときに外部から出資を少しだけ受けている。
イストピカは投資も受けながら銀行や公庫から借りたようだ。心強いメッセージとしては、福島氏の言葉によれば、エンジニアであれば1,000万円ぐらい金融機関から借りられるのではないかということだ。起業しようなんてエンジニアぐらいになれば、それを返すだけの能力があるからだというが、それは実際のところ本当かどうかはわからない。
ただ、竹氏氏が言うように「自分でたくさん(お金を)出せるのであれば、より多く出したほうが、(会社に対して)責任感を持てる」のは本当だろう。和田氏も「いくらぐらいかは個人差があるのだけど、出せるだけ出してくれる経営者のほうが『腹をくくっているな』と思えるので、突っ込めるだけ(お金を)突っ込んだほうが仲間を呼びやすいと思っている」と指摘している。
和田氏の投資の話で興味深かったのは、「初期資金は一応、2年ぐらいのラウンドを目安にしている。2年ぐらいあれば1つの事業の結果が出せるというのと、1年たって駄目だったと思ってももう1回年勝負できるのだと思うと資金面は2年ぐらいコミットしている」ということだ。
つまり最小チームが2年ぐらい生きていくだけのお金が初期投資として必要だというのが目安のようだ。もちろん、成長すれば人材も必要になってくるので、それは別途投資が必要だということにはなるだろうが。
ここで答えている内容はインターネットの事業を手掛けるスタートアップの話がメインなので、ソフトウェアとかハードウェアとか、大規模な営業部隊が必要だとか、そういった事業には資金面などは適さない話なのかもしれない。けれど、起業に共通する考え方は変わらないと思う。起業をこれから考える人にヒントになったかな?
[TechCrunch]
Posted by nob : 2010年08月29日 13:48