« 似て非なるもの Vol.30 | メイン | 妥当な判断、、、日本の原発事故について「科学的には不可能としか思えないことが、実際に起こり得ることが示された」のだから。。。 »

すべての事態の予測は不可能、、、したがって制御できないものには依存しない。。。

■私は3月12日に日本で起こっているいくつかのトラブル──日本の原子炉の安全性──に関して心の平穏を与えるために、この文章を書いている。率直に言って状況は深刻だが、コントロール下にある。そしてこの文章は長い。しかし、この文章を読むことによってこの惑星に一緒に住むあらゆるジャーナリストよりも原子力発電所について詳しくなるだろう。

今までそしてこれからも深刻な放射能物質の漏洩は決して起こらない。

深刻なという意味は長距離フライトや自然放射能レベルが高い特定の地域で栽培された麦で作られたビールを飲むときに受けることになる放射能レベルという意味だ。

私は地震後のこの事故に関する全てのニュースに目を通した。正確で誤りのないレポートはただの一つも無かった。日本の危機報道における弱点でもある。誤りが含まれるので、私は偏った反原発記事を参照しない──これはこの頃非常によくあることだ。誤りの中には、物理学や自然法則に関するあからさまな誤り、原子炉が建築され運用される方法に関する基礎的・基本的理解の明らかな不足による事実の重大な誤認も含まれる。私は各パラグラフに誤りが含まれるCNNの3 ページのレポートを読んだことがある。

なにが起こっているかを見る前にまずいくつかの基礎を説明しよう。


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福島原子力発電所の構造

福島原子力発電所は沸騰水型原子炉(BWR)と呼ばれる。沸騰水型原子炉は圧力釜に似ている。核燃料は水を温め、水が沸騰し蒸気を作り、蒸気がタービンを回し、電気を作る。蒸気は冷却され、水に戻され、水は再度核燃料により加熱される。圧力釜はだいたい250℃で動作する。

核燃料は酸化ウランである。酸化ウランは約3000℃の高い融点を持つセラミックだ。燃料はペレット(レゴブロックサイズの小さなシリンダを想像すると良い)に成形される。これらのペレットは2200℃の融点を持つジルコニウムで作られた長いチューブの中に挿入され、固く密閉される。こうして組み立てられたものが燃料棒 (fuel rod)と呼ばれる。燃料棒はまとめられ燃料集合体にされる。多くの燃料集合体が原子炉の中に配置される。全ての燃料集合体をまとめて炉心(the core)となる。

ジルコニウムのケースが第一の格納容器だ。これは放射能燃料を外界から遮断する。

炉心は圧力容器 (pressure vessels)の中に配置される。これは先に述べた圧力釜だ。圧力容器は第二の格納容器である。これは釜の頑丈な部分の一つであり、数百℃の炉心が安全に格納されるように設計されている。これはいくつかの点で冷却を回復させるシナリオに関連する。

原子炉の全体のハードウェア──圧力容器と全てのパイプ、ポンプ、冷却(水)蓄積は、第三の格納容器に格納されている。第三の格納容器は分厚い鋼鉄で完全に密閉されている。第三の格納容器はただひとつの目的のために設計され製造されている。完全な炉心溶融を無期限に封じ込めるためだ。この目的のために、大きく厚いコンクリート製のたらいが圧力容器(第二の格納容器)の下に成形され、第三の格納容器の中は全て黒鉛で満たされる。これがいわゆるコアキャッチャ(core catcher)だ。もし炉心が溶融し圧力容器が爆発(最終的には融ける)したとしても、コアキャッチャが溶け出した燃料や他のすべてのものを捕える。このように核燃料が散開することで冷却されるのだ。


原子炉の基礎

ウラン燃料は核分裂によって熱を発生する。重いウラン原子はより軽い原子に分裂する。核分裂によって熱と共に中性子(原子を構成する一つの粒子)を生成する。中性子が他のウラン原子に衝突すると、ウラン原子は分裂し、さらなる中性子等を生成する。これが核分裂連鎖反応と呼ばれる。

多くの燃料棒を他と隣接するように単純にまとめると、急速に過熱が進み、約45分後に燃料棒の溶解に至る。ここで原子炉の中の核燃料は「決して」核爆弾のタイプの核爆発を起こすことは無いということに言及しておく価値があるだろう。核爆弾を作ることは実際とても難しい(イランに訊いて下さい!)チェルノブイリでは、過度の圧力上昇によって爆発が生じ、水素爆発と全ての格納容器の破裂、融解した原子炉材料が環境中に放出された(ダーティボムだ)。何故同じことが日本で起きないかは次に述べる。

核分裂連鎖反応をコントロールするために、原子炉のオペレータはいわゆる制御棒(control rods)を利用する。制御棒は中性子を吸収し、即座に連鎖反応を止める。原子炉はこのように作られているため、オペレーションが正常に行われている場合には、全ての制御棒が外される。炉心が熱を生成するのと同じ速度で、冷却水が熱を取り除くのだ(そして熱を蒸気と電気に変える)。正常運用時には250℃ 程度と十分な余裕がある。

制御棒を挿入し核分裂連鎖反応を停止させた後も、炉心は熱を放出し続ける部分に課題がある。ウランは連鎖反応を止めているが、多くの中間生成物である放射能元素がウランの分裂過程で発生する。特にセシウムとヨウ素同位体がメインとなるが、これらの放射性元素は最終的により軽い原子に分裂して、放射性物質では無くなる。これらの元素は崩壊の間熱を発生し続ける。熱がウランから再生成されることはないため(制御棒挿入後はウランの崩壊はストップしている)、熱はだんだん下がって行き、全ての中間放射性元素が使い果たされるまで、数日かけて冷えていく。

この残留熱が現在の頭痛の種だ。

一つ目の種類の放射性元素は燃料棒のウランとウランが崩壊するときの中間放射性元素であって、共に燃料棒の中にある(セシウムとヨウ素)。

二つ目の種類の放射性元素が燃料棒の外で生成される。最も大きな違いは、これらの放射性元素はごく短い半減期を有し、急速に崩壊し非放射性元素に分裂するということだ。おおよそ秒単位の話だ。そのため、もしこれらの放射性元素が環境中に出たとしても、そう、たしかに放射性元素は放出されたが、しかし、それは全く危険ではない。あなたが“R-A-D-I-O-N-U-C-L-I-D-E”と書いている間に、それらは非放射性元素に分裂し危険ではなくなるのだ。それらの放射性元素はN-16、窒素(空気)の放射性同位体(型)だ。あとはキセノンのような希ガスだ。しかしそれらは何処から来るのか? ウランが分裂するとき、中性子を生成する(前述のとおり)。ほとんどの中性子は他のウラン原子に衝突し、核分裂連鎖反応を継続させるが、一部は燃料棒を離れ、水分子に衝突する。そこで、非放射性元素が中性子を捕まえ、放射性元素に変わる。上述のように、それは速やかに(秒単位で)中性子を放出し、元の美しい自己を取り戻す。

二つ目の種類の放射線は、後で環境中に放出された放射性元素について話すときに非常に重要になる。


福島で何が起きたのか

ここで主な事実をまとめたい。日本を襲った地震は原子力発電所の設計値よりも5倍も強い(リヒタースケールは対数的に働くため、発電所の設計値である8.2 と実際の8.9の間は5倍である。0.7ではない)。日本のエンジニアリングに対して最初に賞賛すべきところで、全てが持ちこたえた。

8.9の地震が襲ったとき、原子炉は全て自動停止プロセスに入った。地震発生から数秒後には制御棒が炉心に挿入され、ウランの核分裂連鎖反応は停止した。今や、冷却システムが残留熱を取り除かねばならない。残留熱負荷は通常の運用条件の熱負荷のおおよそ3%だ。

地震は原子炉のゲイブ電力供給を破壊した。これは原子力発電所の最も深刻なアクシデントの一つで、発電所の停電はバックアップシステムを設計する上で最も注意される部分だ。電力は冷却ポンプを稼動させるのに必要だ。発電所が停止されているため、自分で必要な電力を供給することはもはやできない。

1 時間は物事はうまく進んだ。複数の緊急ディーゼル発電機のうちの1つが必要な電力を供給するために作動させられた。その後、津波が襲った。発電所設計時に想定されていた津波よりもより大きいものだ(上記のとおり5倍だ)。津波は全てのバックアップのディーゼル発電機を破壊してしまった。

原子力発電所を設計する際に、設計者は"Defense of Depth"と呼ばれる哲学に従う。これは、まず想像しうる最悪の大惨事に耐えうるようすべてを設計し、さらにその上で、(そんなことが起こりえるとは信じられない)各システム障害が発生しても対処できるように設計するというものだ。高速の津波による打撃が、全てのバックアップ電力を破壊することもそうしたシナリオの一つだ。最終防衛ラインは全てを第三の格納容器(上述)の中に閉じ込めるということだ。第三の格納容器は、全てが混在していても、制御棒が入っていても出ていても、炉心が溶融していてもいなくても、全てを原子炉の中に封じ込める。

ディーゼル発電機が故障した際、原子炉のオペレータは非常用バッテリパワーに切り替えた。バッテリはバックアップのバックアップの一つとして設計され、8時間にわたって炉心を冷却する電力を供給する。そしてそれはなされた。

8時間以内に別の電力源を発見し、発電所につながなくてはならない。電力網は地震によってダウンしていた。ディーゼル発電機は津波によって破壊された。そこで可動式のディーゼル発電機が投入された。

物事が悪い方向に進み始めた。外部発電機は発電機に接続することが出来なかった(プラグが合わなかった)。そこでバッテリが枯渇した後は残留熱を取り除くことができなくなった。

この時点で発電所のオペレータは「冷却喪失イベント」のために用意された緊急プロシージャに移行し始めた。これは"Depth of Defence"の一つのラインに沿ったものだ。冷却システムの電力が完全に失われることはあってはならない。しかし、そうなったとき、次の防衛ラインに「後退」する。我々にはショッキングに思えるが、これら全ては、オペレータとしての日々のトレーニングの一部であり、炉心溶融を管理することも同様だ。

現時点において炉心溶融について様々な議論が開始している状態だ。今日の終わりには、冷却系が復活しなければ、炉心は最終的に溶融するだろう(数時間か数日後に)。そして、最終防衛ラインであるコアキャッチャと第三の格納容器がはたらくことになる。

しかし、現時点において目指すべきは、熱を放出している炉心を管理し、技術者が冷却系を修復できるまで可能なかぎり長い間、第一の格納容器(核燃料を格納するジルコニウムチューブ)と第二の格納容器(我々の圧力釜)が無傷で機能し続けるように管理することだ。

炉心の冷却は極めて重要なので、原子炉はそれぞれの形で複数の冷却システムを有している(原子炉冷却材浄化設備、崩壊熱除去、原子炉隔離時冷却系、非常液体冷却システム、緊急炉心冷却装置)現時点ではこのうちのどれがうまく行かなかったのか、成功したのかは明らかではない。

ストーブの上にある我々の圧力釜を想像してみよう。熱は低いが電源は入っている。オペレータは、あらゆる冷却システムの能力を使って可能なかぎり熱を除去しようとする。しかし圧力が上昇し始める。現在の1stプライオリティは、第二の格納容器である圧力釜と同様に、第一の格納容器の完全性を確保することだ(燃料棒の温度を 2200℃以下に保つ)。圧力釜(第二の格納容器)の完全性を確保するためには、圧力を時々逃がしてやる必要が有る。非常時に圧力を逃がす能力は極めて重要なので、原子炉は11もの圧力逃しバルブを有している。オペレータは圧力をコントロールするために時々蒸気を放出し始めた。この時点で温度はおよそ 550℃となった。

これが放射能漏れに関するレポートが入ってきたときに起こっていたことだ。私は蒸気放出が理論的に環境への放射性元素の放出と同様であること、なぜそうなのか、それが危険ではないことを説明してきた。放射性窒素は希ガスと同様に人の健康に害を与えない。

蒸気放出のどこかの段階で爆発が発生した。爆発は第三の格納容器(最終防衛ライン)の外の原子炉建屋で起こった。原子炉建屋は放射能を封じ込めるのに何の機能も果たしていないことを思い起こして欲しい。まだ何が起こったかは明らかではないが、次が考えられるシナリオである。オペレータは蒸気放出を圧力容器から直接環境中にするのではなく、第三の格納容器と原子炉建屋の間の空間に行おうとした(蒸気中の放射性元素が安定するための時間をより確保するため)。問題はこの時点で炉心が高温に達していたことで、水分子が水素と酸素に分離し、爆発性混合物になっていたことだ。そしてそれが爆発し、第三の格納容器の外側、原子炉建屋にダメージを与えたのだ。これは爆発の一種ではあるが、チェルノブイリの爆発をもたらしたような圧力容器の内部の爆発ではない(設計が不適切でオペレータにより適切に管理されていなかった)。これは福島では起こりえないリスクだ。水素-酸素反応の問題は原子力発電所を設計するときの考慮点だし(ソビエトの技術者でなければの話だ)、格納容器の中でそのような爆発が起こりえない方法で、原子炉は建築され運用される。外部で爆発が生じることは、意図的なものでは無かったとしても、起こりうるシナリオで問題ない。なぜなら、それが格納容器に対するリスクとはならないからだ。

蒸気を放出することで圧力がコントロールされる。圧力釜が沸騰を続けているならば、次の問題は水位がどんどん下がることだ。炉心は数mの水で覆われ、炉心が露出するまでしばらくの時間猶予がある(数時間か数日)。燃料棒の上部が露出し始めると、露出した箇所は45分後に2200℃という臨界温度に達する。これは第一の格納容器、ジルコニウムチューブが破壊されたことを意味する。

続いて次が起こり始めた。燃料の覆いに対してある程度の(非常に限定的だが)ダメージが生じる前に冷却系を回復させることは出来なかった。核燃料それ自体は未だ健在であるが、それを覆うジルコニウムの被覆が溶け始めた。今起こっていることは、ウラン崩壊の副産物のいくつか──放射性セシウムとヨウ素──が蒸気に混ざり始めたということだ。大事な点として、酸化ウランの燃料棒は3000℃まで大丈夫なので、ウランは未だコントロール下にあるということだ。ごく少量のセシウムとヨウ素が大気中に放出された蒸気の中から検出されている。

これはメジャープランBの「GOシグナル」のように見える。検出された少量のセシウムによって、オペレータは、燃料棒の一つの第一の格納容器のどこかが破られたことを知る。プランAは炉心への正規の冷却システムを回復させることだった。なぜ失敗したかは明らかではない。一つの考えうる説明は正規の冷却システムに必要な純水が失われたか汚染されたということだ。

冷却システムに利用される水は混じり気がなく脱塩されている(蒸留水のように)。純水を利用する理由は、上述のウランの中性子による放射化だ。純水はそれほど放射化されないので、実質的に放射能フリーな状態を維持する。水の中の不純物や塩は中性子を急速に吸収し、より放射能を帯びるようになる。これはどんなものであれ炉心には何の影響も及ぼさない。炉心は何によって冷やされるかは気にしない。しかし、放射化した(うっすらと放射能を帯びた)水を扱わなければならないとなると、オペレータや技術者がより困難になる。

しかしプランAは失敗した──冷却システムはダウンしたか、追加の純水が手に入らなくなった──そこでプランBが登場した。これが現在起こっていると見られることである。

炉心溶解を防ぐためにオペレータは炉心冷却のために海水を使い始めた。我々の圧力釜(第二の格納容器)を海水で覆ったのか、第三の格納容器を海水で覆い、圧力釜を海水で浸したのかはちょっと良く分からない。しかしそれは我々には関係ない。

ポイントは、核燃料が冷却されているということだ。連鎖反応はずいぶん前に停止されているので、今は極めて少量の残留熱が生成されている状況だ。大量の冷却水が熱を除去するために利用される。大量の水なので、炉心は大きな圧力を生じさせるような大きな熱を生成することはできない。またホウ酸が海水に追加されている。ホウ酸は「液体制御棒」だ。仮に崩壊が進行してもホウ素が中性子を捉え、炉心冷却を加速させる。

発電所は危うく炉心溶融になりそうになった。ここで避けられた最も悪いシナリオを紹介したい。もし海水が利用できない場合、オペレータは圧力が上昇しないように水蒸気の放出を続けるだろう。第三の格納容器は、炉心溶融が起こっても放射性元素を漏出さないように完璧に密閉されている。炉心溶融の後に、中間生成物の放射性元素が原子炉の中で崩壊し、全ての放射性粒子が格納容器の内側に沈殿するまでしばらくの待機時間があるだろう。冷却システムは最終的には回復し、溶融した炉心は管理できる温度まで下げられる。格納容器の内部は清掃されるだろう。そして、格納容器から溶融した炉心を取り外す厄介な仕事が始まる。(再び個体に戻った)燃料を少しずつ輸送コンテナに詰めて、処理工場に輸送されるだろう。ダメージの程度にしたがって発電所の当該ブロックが修理されるか廃棄されるかが決められることになる。


さて結局このことで我々はどうなるのか?

* 発電所は現時点で安全であり、安全であり続ける。

* 日本はINESレベル4の事故を目にしている。ローカルの影響を及ぼす核事故であり、発電所を持つ会社にとっては悪いことだが、他の誰にも影響はない。

* 圧力弁が解放されたときにいくらかの放射線物質が放出された。放射化した蒸気による全ての放射性同位体は無くなった(崩壊した)。ごく少量のセシウムとヨウ素が漏出した。もし蒸気放出時にあなたがプラントの煙突のてっぺんに座っていたのなら、あなたは、元の寿命を回復するために禁煙しないといけないかもしれない。セシウムとヨウ素同位体は海に運びだされ、二度と出会うことはないだろう。

* 第一の格納容器には限定的なダメージがある。これは冷却水に幾らかの放射性セシウムとヨウ素が漏出したことを意味するが、ウランや扱いにくいモノ(酸化ウランは水に溶けない)が漏出したわけではない。第三の格納容器内の冷却水を扱う施設がある。放射性セシウムとヨウ素はそこから除去され、最終的に最終処理場に放射性廃棄物として貯蔵されることになるだろう。

* 冷却水として使われた海水はある程度放射化する。制御棒が完全に挿入されているため、ウランの連鎖反応は起こっていない。これは「主な」核反応が起こっていないことを意味し、放射化には関与しない。ウランの崩壊はずいぶん前に終了しているため、中間生成物の放射性元素(セシウムとヨウ素)はこの時点でほとんど消失している。これは放射化をさらに減少させる。結論として海水のある程度の低レベル放射化が見られるが、これは処理施設で除去される。

* 海水は通常の冷却水にそのうち置き換えられる。

* 炉心は分解され、処理施設に転送されるだろう。これは通常の燃料入れ替えの時と同様だ。

* 燃料棒とプラント全体は潜在的なダメージをチェックされる。これには4-5年かかる。

* 全ての日本のプラントにおける安全システムはM9.0(もしくはより悪い)の地震と津波に耐えるだろう。

* 私はもっとも重要な問題は長期に渡る電力不足になると考えている。おおよそ半数の日本の原子炉はおそらく査察されなければならないだろう。これにより国家の 15%の電力生成能力が失われる。これは通常、ピーク負荷時にのみ利用されるガス発電施設を通常時にも稼動させることでカバーされるだろう。これは電力料金の上昇をもたらす上、日本のピーク時における潜在的な電力不足をもたらすだろう。


炉心溶融が進む最悪のシナリオを通ったとしても、環境中への影響は極めて限定的に封じ込められることに留意して欲しい。40年前に建築された原子力発電所が、想定基準値をはるかに超えるM9.0という地震に遭遇し、その中で機能不全に陥りながらも最後の一線を超えないように現場の方々の不眠不休の努力が続けられている。そんな中で、根拠なく不安を煽り立てるような言説を流すことは、彼らへの冒涜であるばかりか、無用な社会混乱を引き起こし、不測の事態を誘発しかねない。正しい情報を正しく理解して、必要な行動をとるようにしたい。

[Dr. Josef Oehmen/Why I am not worried about Japan’s nuclear reactors.]


以下改訂版

■MIT原子力理工学部による改訂版・福島第一原発事故解説

MIT研究者Dr. Josef Oehmenによる福島第一原発事故解説が反響を呼んでいますが、これを執筆したOehmen氏は原子力の専門家でなく、内容が必ずしも正確でないことが指摘されています。そこで、MITの名前で広がってしまった責任を取るかたちでMIT原子力理工学部(NSE)の有志がmitnse.comを立ち上げ、改訂版を公開しました。

これをGoogle Docsを使って複数人で協力して和訳し、さらに注をつけたので、以下に掲載します。翻訳と校正の過程はGoogle Docs上の記事を直接見ればお分かりいただけると思います。(荒らされてもいいようにコピーは取ってありますが、まだ編集可能な状態になっています。直すべきところなどがありましたら編集願います。その後 @arcatdmz 宛てにお知らせいただければこの記事も直します。)

注意: この記事は日本時間3月14日2:43に掲載された記事で、福島第一原発の最新の状態を解説したものではありません。あくまで、日本時間3月12日前後までの早い段階で何が起きていたのかを紹介している点にご留意ください。最新情報はYahoo!ニュースなどをご覧ください。原発に関するQ&Aはサイエンス・メディア・センターが充実しています。

翻訳済みの記事一覧

2011/03/18 07:30PM追記: この記事のほか、MIT原子力理工学部による以下の記事が翻訳・掲載済みです。また、翻訳・校正作業が進行中の記事一覧がGoogle Docs上にあります。お暇がある方はご協力ください。

MIT原子力理工学部による改訂版・福島第一原発事故解説(この記事)
元記事: Modified version of original post written by Josef Oehmen
MIT原子力理工学部による1、3号炉の水素爆発に関する解説
元記事: Explanation of Hydrogen Explosions at Units 1 and 3
MIT原子力理工学部による16日夜時点での状況解説
元記事: News Updates and Current Status of Facilities

目次

* 前書き
* 福島原発の構造について
* 核反応の基礎
* 2011年3月12日の福島で起きたこと
* 記事掲載後の更新
* 訳者後書き

前書き

この記事はもともとMorgsatlargeで書かれたものです。記事の内容はMIT原子力理工学部が運営、維持しているmitnse.comに取り込まれました。NSEのメンバーは、元記事を編集してきた他、今後はコメントに返信したり、情報を更新・追記したりしていく予定です。詳しくはmitnse.comをご覧ください。

注意: 元記事のタイトル(Why I am not worried about Japan's nuclear reactors.)は当サイト著者らの意向に沿ったものではないことに注意してください。著者らは状況を注視しており、進展があるごとに事実を紹介していきます。元記事を完全に否定したり消したりしなかったのは、福島原発で起きていることの大まかな背景を説明するための、よい出発点になると考えているからです。

今何が起こっているかを説明する前に、少し基礎をおさらいしましょう。

福島原発の構造について

福島の原発はBoiling Water Reactor (BWR) と呼ばれるタイプで、沸騰した水の蒸気によってタービンを回すことによって発電する仕組みです。核燃料が水を熱し、水が沸騰して蒸気を作り、そして蒸気がタービンを回すことで電気を作ります。蒸気はその後冷やされ、液体の水に戻って、また核燃料で熱せられるのです。この機構はおおむね285℃で作動します。(訳注:下図のように水が液体=青と気体=赤の状態で循環しています。)

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原子力発電のしくみ|原子力|東京電力

核燃料には酸化ウランが用いられます。酸化ウランは2800℃近い高い融点を持つセラミック燃料で、ペレットと呼ばれる直径高さ共1cm程度の円柱状に焼き固められたものが用いられます。ペレットは一直線にまとめられ、燃料被覆管内に堅く封じられます。(訳注:下図で手のひらに載っている黒いものがペレット、銀色の長い棒が燃料被覆管です。)この燃料被覆管はジルカロイ(ジルコニウム合金)製で、1200℃で溶融します。この管の両端をとじたものが燃料棒と呼ばれています。燃料棒は束ねられ、数百本で一つの炉心となります。(訳注:Wikipediaによれば、正確には、BWRでは燃料棒を百本弱束ねたものが燃料集合体、燃料集合体をさらに数百本束ねたものが炉心と呼ばれるそうです。)

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燃料棒 - Wikipedia

ペレット状の固体燃料(酸化物系セラミック複合材)は核分裂の過程で生じる放射性核分裂生成物を閉じ込める一つ目の防壁となります。ジルカロイによる被覆管は放射性燃料を炉の他の部分とわかつ二つ目の防壁です。

そして、炉心は圧力容器の中に配置されます。圧力容器は鋼鉄製の厚い容器で、内部の圧力は作動時7MPa(だいたい1000psi─訳注:重量ポンド毎平方インチ、日本人には馴染みの薄い単位ですね。)程度ですが、事故が起きたときの高圧に耐えられるよう設計されています。この圧力容器は、放射性物質の拡散を防ぐ三つ目の防壁です。

圧力容器、パイプ、冷却剤(水)を含むポンプは、原子炉における主要なループ構造を形成し、格納容器に格納されています。この構造が、放射性物質の拡散を防ぐ四つ目の防壁です。格納容器は空気が漏れないように密閉されており、鋼鉄とコンクリートからなる大変厚い構造体です。この構造は「仮に炉心溶融が起きてしまったとしても炉心を構造内部に完全に永遠に封印する」というたった一つの目的のために設計され、建造され、テストされています。封印をさらに完全なものにするために、格納容器の周囲は大量の厚いコンクリートで覆われており、これは第二の格納容器と呼ばれています。(訳注:五つ目の防壁に相当します。)

これまでにご紹介した主たる格納容器と第二の格納容器は原子炉建屋に格納されています。建屋は外側の殻であり、外界の天候の影響をシャットアウトし中に何もいれないようにしているものです。(これは福島の原発において爆発で損傷を受けた部分です。詳細は後述します。)

核反応の基礎

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ウラン燃料は熱を中性子誘導による核分裂により生み出します。ウラン原子はこの核分裂によってより軽い原子(つまり核分裂生成物)に変化します。この過程で熱とより多くの中性子(原子を構成する粒子の一つ)が放出されます。これらの中性子の一つが別のウラン原子に衝突したとき、その原子が分裂し、より多くの中性子を生成し、これらのプロセスが同様に続いていきます。この一連の過程は原子核連鎖反応と呼ばれています。
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通常の状態、すなわち原子炉がフルパワーで稼働している間は、炉心内部の中性子数が安定し(すなわち同じ個数のままで)、その原子炉は臨界状態となります。

非常に大事なのが、原子炉内部の核燃料は決して核爆弾のように核爆発したりしない、という点です。チェルノブイリでは、圧力が極端に高まり、水素爆発が起きて全ての構造が崩壊したことによって原子炉が爆発し、溶融した炉心の物質が周囲に飛散したのです。注意しておきたいのは、チェルノブイリの原発が周囲への防壁としての格納容器を持っていなかったことです。日本でチェルノブイリのような事態が起きてこなかった、そして、起きないであろう理由について、以下で議論します。

原子核連鎖反応を制御するために、原子炉運転員は制御棒を使います。制御棒は中性子をよく吸収する原子であるホウ素でできています。BWRの通常の操業時、制御棒は臨界状態での連鎖反応を維持するために使われます。また、制御棒は原子炉を止める、すなわちパワー100%の状態からパワー7%の状態(余熱、すなわち崩壊熱)まで落とすのにも用いられます。

余熱は核分裂生成物の放射性崩壊により生じます。放射性崩壊とは、核分裂生成物が放射線(アルファ線、ベーター線、ガンマ線、中性子線)を放出しながら安定化する過程のことをいいます。原子炉内部では、セシウムやヨウ素を含む多くの核分裂生成物が生じます。余熱は、原子炉停止後から時間をかけて冷やして取り除かなくてはなりません。この冷却システムは、燃料棒がオーバーヒートすることによって、放射性物質の漏洩に対する防壁として働かなくなるのを防ぐ役割を担っています。原子炉内部の崩壊熱を取り除く冷却システムを維持することは、津波の被害をうけた日本の原子炉において即座になされなければならない課題です。

これらの核分裂生成物の多くがものすごい速さで熱を発生して崩壊していきます。たとえば「R-A-D-I-O-N-U-C-L-I-D-E」(放射性核種)と紙に書きつけている間にも、それらは無害になります。セシウムやヨウ素、ストロンチウム、アルゴンといった他の物はよりゆっくり崩壊します。(訳注:これが、原子炉の外でセシウムやヨウ素ばかりが検出されている=それ以外の重い生成物が検出されない理由です。ものすごい速さで崩壊する原子は原子炉の外に出る前に崩壊してしまうため、観測されません。)

2011年3月12日の福島で起きたこと

主な事実は次のようにまとめられます。日本を襲った地震は原発建設時に想定された最も酷い地震よりも数倍強いものでした。(マグニチュードは対数的に効いてきます;例えば8.2と今回の8.9の差は0.7倍ではなく5倍です─訳注:元記事の誤りと思われます。単純に差を取ると8.9-8.2=0.7ですが、地震が及ぼすエネルギーの差を得るには10の累乗を計算する必要があります。元記事は10の0.7乗を計算して約5を得ているようですが、正しくは10の0.7×1.5乗を計算する必要があり、エネルギー比は11.2201… です。詳しくはWikipediaの記事をどうぞ。)

地震が襲った時、原子炉はすべて自動的に停止しました。地震が起きて数秒以内に制御棒が炉心に挿入され、核分裂連鎖反応は止まりました。いまのところ、冷却システムによって通常の稼働条件下での全出力熱負荷の約7%にあたる残留熱を取り除く必要があります。

地震により原子炉の外部電力供給が破壊されました。これは外部電源喪失と呼ばれ、原発にとって対応が難しい事故です。原子炉とそのバックアップシステムはこの種の事故に対応するために、非常用電源システムを持つことで冷却ポンプの動作を保つように設計されています。外部電源を喪失した場合、もちろん発電所は停止していますので、発電所自ら発電して冷却システムに給電することはできません。つまり冷却ポンプが使えなくなってしまうのです。

最初の1時間の間に、多重の非常用ディーゼル発電機からなる最初の一組が稼働し、必要な電気を供給しました。しかしながら、史上最大規模の津波によってこれらのディーゼル発電機が水浸しにしなり、故障しました。(訳注:このあたりの流れについては当記事に2011/3/17 16:28についたs.yさんのコメントが分かりやすいです。)

原発設計の基本的な考え方の一つは多層防護です。つまり、いくつかのシステムが落ちても、深刻な大事故に耐えうるように設計されています。一度にすべてのディーゼル発電機を壊す大規模な津波はそのような一つの想定ですが、3/11の津波はさらにそういった想定を上回るものでした。こんなこともあろうかと、技術者はさらなる防衛線を用意していました。原子炉のシステム全体を、密閉可能なように設計した格納容器の中に配置したのです。

今回、ディーゼル発電機が津波によって故障した際、原子炉運転員は非常用バッテリ電力に切り替えました。このバッテリは炉心を8時間にわたって冷却する電力を供給するバックアップシステムのひとつであり、そしてバッテリは役目を果たしました。

8時間後、バッテリが干上がり、残留熱をそれ以上除去することができなくなりました。この時点で運転員は冷却損失時のために用意された緊急手順にとりかかりました。これらの手順は、多層防護の考え方に沿って予め定められています。驚くかもしれませんが、これらの緊急手順は運転員の日々の訓練の一部に組み込まれています。

この時点で、人々は原子炉内部で炉心溶融が起きる可能性について議論を始めました。もし冷却システムが回復しなければ炉心は数日後に溶融し、格納容器の中に溶け出すと予想されるからです。「炉心溶融」という言葉は曖昧な定義を持ちます。燃料破壊という言葉のほうが燃料棒の被覆管(ジルコニウム)が欠損したことを表すには適しているでしょう。これは燃料が溶融する以前に起こり、機械的破損、化学的破損ないしは熱破損が原因となります。(過度の圧力、過度の酸化、過度の熱)。

さて、実際にはこの時点で起きている現象は溶融からはほど遠く、主要な課題は

* 発熱を続けている炉を管理下に置くこと
* そして、可能な限り長く燃料被覆管を無傷に保ち、中から放射性物質が漏れ出さないようにすること

でした。

炉心の冷却は重要なことなので、原子炉は多くの独立した、複数の冷却システム(原子炉冷却材浄化設備、崩壊熱除去、炉心隔離冷却システム、非常用液体冷却システム、緊急炉心冷却装置を構成するその他のシステム)を有しています。そのうちのどれがいつ故障したのかは現時点では明らかではありません。

今回は電力喪失によって冷却能力のほとんどが失われていました。そのため、運転員は残された冷却システムだけで出来る限り熱を除去しなくてはなりませんでした。しかし熱生成が熱除去のペースを上回れば温度が上昇し、水は沸騰してどんどん気化して圧力が上昇し始めます。そうなると、最優先すべきなのは燃料棒の温度を1200℃以下に保ち燃料棒の安全性を維持しながら圧力を管理できる範囲のレベルに保つことです。システムの圧力を管理できるレベルに保つために、蒸気(および格納容器内に存在する他のガス)は時々放出しなければなりません。このプロセスは事故時に圧力が対処できるレベルを超過しないように抑えるのに必須であり、原子炉圧力容器と格納容器はいくつかの圧力開放バルブを備えるよう設計されています。したがってこの時点から、圧力容器と格納容器を無傷で維持するために、運転員は時々蒸気を放出(訳注:ここにvent=ベントという動詞が使われています。官房長官の記者会見などで何度も聞いた単語ですね。)して、圧力を制御し始めました。

上述のように蒸気と他のガスが放出されました。それらのガスの一部は放射性核分裂生成物ですが、ごく少量しか含まれていません。作業員は放射性ガスを統制のとれたやり方(フィルタと気体洗浄装置を通したごく少量)で環境中に放出を始めたので、サイト上の作業員にさえ、安全上の重大なリスクを与えませんでした。この手順はその放出量が極めて微量であり、逆に蒸気を放出ずに格納容器の健全性を損なうような潜在的なリスクと比較した場合には、妥当なものだと言えます。

この間に、可動式の発電機が搬入され、ある程度の電力が回復しました。しかしながら、原子炉に注水されるよりも多くの水が沸騰し、排出されたため、残存している冷却システムの冷却能力が奪われていきました。蒸気を排出するプロセスにおいて、水位は燃料棒の最上部よりも低いレベルまで低下したかも知れません。いずれにせよ、いくつかの燃料棒被覆管の温度は、1200℃を超過し、ジルコニウムと水の間の反応(訳注:下図)を引き起こしました。この酸化反応は水素ガスを生成し、水素ガスが放出された混合蒸気と混ざり合いました。

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これは想定されたプロセスですが、運転員は燃料棒の正確な温度や正確な水位を把握できなかったため、生成された水素ガスの量を知ることは出来ませんでした。水素ガスは極めて引火しやすく、十分な量の水素が空気と混ざると、空気中の酸素と急速に反応して爆発を生じます。排出プロセスのどこかの段階で、十分な量の水素が格納容器の内部に貯まり(格納容器の内部には空気はありません)、そして水素が空気中に排出されたときに爆発が発生しました。爆発は格納容器の外部で発生しましたが、原子炉建屋(防御機能はありません)の内部および周辺です。これに続いて同様の爆発が3号炉でも発生しました。爆発は原子炉建屋の天井と壁の一部を破壊しましたが、格納容器や圧力容器にはダメージを与えませんでした。これは予想外の事態でしたが、爆発は格納容器の外で発生し、原子力発電所の安全構造に危険を及ぼすものではありませんでした。

今回は、いくつかの燃料棒被覆管が1200℃を超えたため、ある程度の燃料損傷が発生しました。核物質それ自体は未だ無傷でしたが、それを覆うジルコニウムの殻は溶けて機能を失い始めました。この時点で、放射性核分裂生成物(セシウム、ヨウ素、等)が一部混ざりはじめました。少量の放射性物質(セシウムやヨウ素)が大気中に放出され、蒸気中に検出されたことが報告されています。

原子炉の冷却が充分に行われなかった結果、原子炉内の水は蒸発し、水量は減少していきました。技術者は燃料棒の水面からの露出を避けるために海水(中性子吸収体としてホウ素を添加)を注入することを決めました。原子炉は停止していましたが、原子炉が確実に停止した状態を維持するよう念のためにホウ酸が加えられました。また、このホウ酸は、水中の残留ヨウ素の一部を逃げられないよう捕まえる副次的な効果を持ちます。

冷却システムに利用される水は蒸留され脱塩された水です。純水を利用する理由は通常運用において冷却水による腐食の可能性を抑えるためです。海水注入は、事故から復旧するときの浄化処理をより困難にしますが(訳注:現状では廃炉確定なのでいらぬ心配だろう)、炉心を冷却することはできます。

この海水注入プロセスによって、燃料棒の温度がダメージが生じないレベルまで下がりました。原子炉は長い間停止されていたため、残留熱は極めて低いレベルまで低下しており、プラント内の圧力も安定し、放出作業ももはや必要なくなりました。

記事掲載後の更新

3/14 8:15pm ESTの更新

東電のプレスリリースによれば現在1号機と3号機は安定した状態にありますが、燃料への損傷の程度は不明です。現地時間3/14 2:30pmの時点で福島第一原発正門における放射線の観測値が231μSv(マイクロシーベルト、2.31mrem=ミリレムに相当)まで下がっています。

3/14 10:55pm ESTの更新

2号炉で起こったことに対する詳細は未だ流動的です。2号炉に関して起こったことに関する後続の記事(訳注:日本語訳が済んでいません。)はより最新の情報を含んでいます。放射能レベルは増加していますが、どのぐらいのレベルまで達したかは不明です。

訳者後書き

この記事は、Google Docsを使って複数人で同時に翻訳と校正を進めました。よく打った文字が消えたり日本語が打てなくなったりしますが(笑)、それでも実用的な共同作業ツールとして機能しているWebアプリに、プログラマとして改めて感心しました。

一緒に翻訳を進めた匿名ユーザの方々、翻訳だけでなく図表を作ってくださった @hoshimi_etoile さん、元記事翻訳者でもある @LunarModule7 さん、また、校正してくれた平山さんに感謝します。後続記事の下訳を作っていただいた @tyamadajp さんにも感謝します。こちらは周知の話が多そう、とのことですが、機会を見てまとめ直してアップします。次の記事に掲載しました。

更新履歴

* 11/03/17 11:30 表記の統一、細かな誤訳の修正
* 11/03/17 11:50 福島で起きたことの冒頭にマグニチュードについての説明を追加
* 11/03/17 18:55 冒頭で当記事が最新の情報をカバーしたものでないことを明記、不適切な訳注を削除、訳語を変更
* 11/03/17 19:40 マグニチュードとエネルギーの関係が誤っていたので訳注を追記

ここから続き

Posted by nob : 2011年03月15日 01:28