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様々な立場と視点。。。Vol.2

■「茨城・福島の牛乳 ほうれん草は無害だ」ヨウ素131の半減期は既に過ぎている

※この原稿は脳機能学者の苫米地英人さんよりご寄稿いただいたものです。中部大学の武田邦彦さんは「汚染野菜を買わない」と結論していらっしゃいますが、苫米地英人さんは別の意見のお持ちのようです。みなさんの意見は、記事下のコメント欄に書いてください。(ガジェット通信)

●茨城・福島の牛乳、ほうれん草は無害だ。ヨウ素131の半減期は既に過ぎている
(苫米地英人)

茨城、福島で、牛乳で932~1190Bq/kg、ほうれん草で6100~15020Bq/kgの放射性ヨウ素が検出されたとNHKで先ほど放送された。

厚生労働省の以下の発表を受けてのものだ。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000015iif.html

また、官房長官が、一年間食べ続けてもCT一回分より低い被曝量なので安全と言ってる姿が放送された。国民を安心させようとするあり方は評価できるが、ロジックが根本的に間違っている。この測定値は、きっと朝刊にも載るだろう。この報道で、また国民が不安になるだけでなく、牛乳やほうれん草の出荷者は大きな経済的損失を被ることは間違いない。

ロジックが間違ってるのは、一年間食べ続けても安全だからではなく、消費者が食べる頃には放射線ヨウ素の放射能が事実上なくなっているからだ。

この話については、一昨日このブログに書いた。官房長官もNHKも残念ながら私のブログを読んでなかったようだ。NHKが言う放射性ヨウ素とは、放射性同位体のヨウ素131のことだが、一昨日書いたように、ヨウ素131の半減期は8.02日である。既に昨日で半減期を過ぎている。放射線量は半減期の指数関数で減衰するから、半減期を超えると放射線量は一気に弱まるのは一昨日説明した通り。つまり、これらの牛乳やほうれん草が市場に出回る頃には、ベータ線の放射はほとんどないか、ヨウ素131そのものが無害の安定同位体キセノン131に変わっているということだ。

また、予想した通り、半減期が長くリスクが高いセシウム134やセシウム137は、牛乳やほうれん草から検出された量は極微量で厚生労働省の基準以下で問題にならない。セシウムの沸点は671℃。燃料棒を被覆しているジルコニウムが一時溶けたようなので、炉内で一時的にこの温度は超えて、セシウム 134、セシウム137も気化したはずだが、沸点が184.25 ℃のヨウ素と違い、炉内で気化したとしても、多くは炉外に出てすぐに沸点以下に下がっているはずなので、チリに付着して放射性物質として浮遊したのは微量なはずだからだ。

通常運転時の原子炉内の温度は300℃から450℃だから、セシウム134、セシウム137は通常運転中は気化しておらず、炉心溶融に伴って気化した分のみが大気中にチリに付着して漂った。ヨウ素131の沸点は184.25 ℃なので、炉内では常に気化状態にある。また、核分裂中に大量に生成されていたので、漏れて大気中のチリに付着した量ははるかに多いから、牛乳やほうれん草で検出されるのは十分予想内だ。

ただ、ヨウ素131の半減期はもう過ぎているので、問題にする必要がない。

つまり茨城や福島の牛乳、ほうれん草は全く無害と官房長官も発表し、NHKも報道すれば、それでよかった話。逆にWHOが20km圏外は生体に安全であると声明を出した事こそ報道すべき内容だろう。 NHKまでもが国民の全く不必要な不安を煽ってはいけない。民放については見てないのでコメントできない。

なぜか、政府まで勘違いしてるので、繰り返し書くが、今飛んでいる放射性ヨウ素(ヨウ素131)は、福島第一原発が臨界中、つまり通常運転していた時に核分裂でそれまでに生成されたもの。地震と同時に全ての発電機は停止、つまり臨界状態ではないので、その後ヨウ素131は生成されてはいない。だから、漏れたヨウ素131は既に半減期を超えており、放射線量は指数関数的に一気に下がっているので、昨日の計測で基準値を数倍というレベル越えて検出されたとしても、流通して皆さんが口にする頃には、基準値以下までベータ崩壊は進んでいるはずだ。もしその段階でまだ基準値を超えていたとしても、摂取後体内でも指数関数的に放射線量はどんどん下がる。昨日の計測時点で、一年間食べつづけてもCT一回分以下のレベルだったのだから、全く心配にはあたらない。また、一年間摂取しようにもベータ崩壊して、安全な安定同位体のキセノン131に変わっているから摂取しようがない。

念を入れるなら、厚生労働省は、出荷業者には一週間出荷を遅らせるなどの行政指導をして、消費者には、3月末までは茨城、福島地域の牛乳、ほうれん草は念のため一週間冷蔵庫に保管してから食べれば全く安全などと伝えればよいのではないか。特に一年間食べ続けても大丈夫といういい方は、一年間同じ基準値を超えた量で存在し続けるような全く誤った印象を与えるから、国民にいらぬ不安を与え、また、出荷業者には壊滅的な打撃を与える可能性が高い。

もちろん、放射性セシウムも臨界中に生成されたものだから、現在、基準値以下ということは、将来増えることは可能性が低いから心配無用と国民に伝えるべきだ。

官房長官が言い、NHKが何度か放送したからには、今日の朝刊やワイドショーなどでも取り上げられそうだが、皆さんは、地震で放出されたヨウ素 131は既に半減期を超えているから心配無用と周囲に伝えて欲しい。もちろんセシウム134、137についても現在基準値以下だから今後はベータ崩壊で減ることはあっても、増えることはないと伝えて、周囲を安心させて欲しい。政府も基準値を超えて計測されたヨウ素131は半減期が短いので、心配無用と国民にしっかり伝えるべきだ。

※この原稿は苫米地英人さんよりご寄稿いただきました。苫米地英人さんのブログ


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[ガジェット通信]


以下、武田邦彦氏の原論引用

■原発 緊急情報(18) ほうれん草は食べられるか?

茨城県は2011年3月18日に福島県境に近い高萩市で採れたホウレンソウから、国が示した規制値の1キロあたり2000ベクレルの約7.5倍にあたる1万5020ベクレルのヨウ素131を検出したと発表した。

福島第一原発から約100キロ離れたところにある.また同時に規制値を超す放射性セシウムも検出されたと報道された。

これに対して枝野官房長官は、

「被曝量は胸部CTスキャン1回分の5分の1程度である」とし、「ただちに健康に影響を及ぼす数値ではない」と強調した。

官房長官は放射線の人体に対する影響の素人であるから、この後ろに専門家がいる

千葉市の放射線医学総合研究所の環境放射線影響研究の専門家は

「このホウレンソウの数値を人体への影響を示す単位である「シーベルト」に換算した場合、0・24ミリシーベルトになる。

人体に影響があるのは一度に100ミリシーベルトを受けたときとされており、小鉢1人前のホウレンソウを100グラムと仮定すると、今回のホウレンソウは4200人分を口にしないと人体に影響を及ぼさない計算になる。」

と発言している.さらに、

この専門家は

「妊婦や子供など、放射性物質の影響が大きいとされる人たちについても、摂取しても問題がないレベルだ」

と言う。

本当は「ベクレル」とか「内部被曝」についてかなり丁寧に説明してからの方が良いのだが、ことは緊急を要するので、それらは後に説明することにしてここでは「汚染されたほうれん草を食べても大丈夫か」ということだけを説明する。

この専門家の言うことはムチャクチャである。おそらく国から研究費を丸抱えでもらっているので、国民を無視した発言をしていると考えられる。

まず、第1に放射性を持つ物質を食べた場合の健康への影響は詳しく調べられていて、この場合のヨウ素131のように放射線を出す元素(正確には同位体という)ごとに細かく決まっている。

またそれらが1種類の時とか、2種類の時についての研究されている。

その上で、規制値が決まっている。この手のものは同位体の数が多いので、同位体毎に詳しい「別表」があり、それで専門家は接種して良い限度を決める

だから、規制値の7.5倍でも安全だなどという話は全くない。そうなると専門家は自分で決めた規制値を自分で否定する事になる。

次に、ほうれん草で内部被曝することと、1年に100ミリシーベルととは、人の健康に影響するのがまったく違う。

でも、ここではこの専門家の通りに、もしも一般の被曝と比較するならば、一般人の1年間の限度は1ミリシーベルトである。

この専門家が言っている100が1になるのだから、まったく違う

具体的にはほうれん草を小鉢一杯、42回食べたら、1年間の規制値になる(小鉢1杯で100グラムは少し重いが)。

つまり、このホウレンソウは1年に42回しか食べられない。

また、妊婦や子供についての内部被ばく量(限度)はハッキリ決まっていて、これも1年当たり1ミリで、こちらの方は単なる基準値ではなく、法律で定められている内部被ばく量の限度である。

従って、汚染されたホウレンソウの汚染度が少し高くなることがあり得る事を考えると、安全をみて1年に10回ぐらいに限定されるだろう

放射線で汚れた農作物を捨てるというのは、それをつくった農家の人は断腸の思いだろう。また、経済的な損失も大きい。

でも、農作物に対する放射線で汚染されたものの規制値を決めた限りは、それを守るのが順当である。

また、医療行為の一つであるCTスキャン等と被曝量を比較するのは無意味で、いくら官房長官が素人と言っても政治家である

国民の健康を守る見識がない。

すでにこの国の政府も専門家も、国民の健康を考えずに電力会社を助け、ひたすら「国民がじっと我慢して放射線物質で汚れたホウレンソウを食べ健康害すること」を望んでいるようだ。

当面、放射線で汚染された野菜は食べない方が良い。産地から出荷するのは「規制値以下のもので、良く水で洗浄して、汚染がとれることが分かっているもの」に限るべきだ。

消費者の防御としては、汚染野菜を買わないことしかない。仕方が無い。汚染しているのだから。

(平成23年3月20日 午後1時 武田邦彦氏執筆)

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Posted by nob : 2011年03月24日 12:52