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説得し了承を得るための話術も大切だけれど、、、長期的本質的視点においては、解るべきように解ってもらうための真摯な話術が大切だと思います。。。

■「それではあなたの想いは届きません!」
聞き手の心をつかむ9つのテクニック
野村 絵理奈

 前回はロジカルな話し方の構成について説明しました。構成を理解したら、さらに聞き手の心をつかむ話し方のテクニックを使いこなしましょう。ここでは、多くのテクニックの中から、特にプレゼンや会議での発言、報告などで使える9つのテクニックをご紹介します。

1 テーマを決める
 プレゼンや報告の冒頭に、<タイトル>を言う人は多いのですが、<テーマ>を述べる人は意外と少ないものです。

 例えば、「今日は話し方研修のご提案です」というのはタイトルですが、「今日のご提案のテーマは、営業力UPの話し方です」は、プレゼンの主旨、すなわちテーマを述べています。 テーマとは、自分がプレゼンに込めている思い、願い、信念。テーマを述べることは、プレゼンへの思いを、聞き手と共有することでもあるのです。

2 インパクトのある言葉を使う
 スピーチの中に、ひとつでも印象に残る言葉、インパクトのある言葉を盛り込めたら、そのスピーチは大成功です。

 聞き手は話の内容の詳細までは記憶できません。けれど、インパクトのある言葉がひとつあれば、聞き手はその言葉をあなたのメッセージとして記憶することができます。歴史上、人の心に刻まれてきた名言はどれも短くストレートです。 オバマ大統領の「Yes, We Can.」、キング牧師の「I have a dream!」しかり…。「伝えたい」と強く思うことは、聞き手の脳裏に刻まれやすい、短くインパクトのある言葉で話してほしいのです。

3 シンプルな言葉を使う
 打ち合わせや会議の中で、できるだけ難しい専門用語や横文字を詰め込むことを競争している・・。というような事はないでしょうか?

 難しい言葉を使うと、「よく勉強している」「知識がある」と思われるという誤解が蔓延していますが、本当に優れた話し手は、内容を聞き手に伝えることを優先させ、できるだけシンプルでわかりやすい言葉で伝えようとします。

つい、文語調になってしまうことにも要注意です。話すときは、「さくじつ」「ただいま」「~であります」という文語調ではなく、「きのう」「いま」「~です」というような口語調で伝えましょう。

4 ツカミを大切にする
 聞き手の心をつかむための、「ツカミ」をいくつか覚えておくと便利です。

 <は>のつかみ・・聞き手を<ハッ>とさせるつかみです。例えば、「私は妻より、隣の奥さんと長く時間を過ごしています」など、「なんで!?」と聞き手が意外性を感じる内容です。

 <ほ>のつかみ・・聞き手の心が「ホッ」と和むつかみです。「実は私、薄毛の他にとても気になることがあります。それは日本経済です」など、自分の心境やキャラクターを《ぶっちゃける》話は聞き手に親近感を感じさせ、その後の話も聞いてもらいやすくなります。

 <ふ>のつかみ・・聞き手が「ふと」考えさせられるつかみのことです。「もし寿命があと1年だったとしたら、何をしますか?」。このように聞き手に一緒になって考えさせることで、一体感が生まれ、話に積極的に参加してくれるようになります。これらのつかみの鉄則は、<短く5秒以内>。話の冒頭で使うとインパクトがあります。

体感できる数字で客観性を持たせる

5 体感できる数字を使う
 人を説得できるかできないかの違いは、その話に《客観性》があるかないか、です。客観性のある話とは、<事実・現実・主観が入らないこと>が前提。統計やデータなどの数字は最たる例です。

 「この商品は良いですよ。買われた方は皆、そうおっしゃいます」と何百回言われてもいまひとつ、その気にはなりませんよね。では、「この商品を購入した88%が、リピーターになっています」と言われたらどうでしょう?「そんなに満足度が高いのなら買ってみようかな」という気になりませんか?

 しかし、数字は使いすぎると一気に説得力がなくなります。たくさんの数字は聞き手に「難解で血が通っていないもの」「自分には関係のないもの」という印象を与えてしまうのです。もともとある数字の説得力を活かし、さらにリアルで「自分に関係のあるもの」と聞き手に思わせられたら最強です。

 聞き手に数字を《体感》させればいいのです。たとえば、「このノートパソコンは900gしかありません」と言うのと、「このノートパソコンは500mlのペットボトル2本分より軽いんです」と言うのでは、どちらのほうがリアルにイメージが湧くでしょうか?

 数字はそのまま使うのではなく、体感できる《主観》に変換して提供する。それによって、さらに説得力を増すアイテムとなるのです。

6 エモーショナルな言葉を使う
 人間の感受性は3つのタイプに分類されるといいます。

(1) 視覚的にとらえる人
(2) 聴覚的にとらえる人
(3) 身体感覚的にとらえる人
 (1)の視覚的にとらえる人は中身よりも外見、ビジュアルで好き嫌いを瞬時に決める人。(2)の聴覚的にとらえる人は、詳細を聞き、納得しない限りは買わない人。(3)の身体感覚的にとらえる人は、ビジュアルや性能よりも、ハンドルを握ったときの「感触がいい」「すわり心地がいい」など身体感覚で選ぶ人です。

 話し方からいえば、これらの要素がすべてほしい。聞き手の目の前にパっと情景が浮かぶような<視覚的>要素、聞き手も一緒にドキドキワクワクするような<身体感覚的>な要素。ロジカルな柱にそういうエモーショナルな魅力を付け足してほしいのです。

 たとえば「御社の大きな社屋を見て、この会議室に来るまですれ違う社員様の颯爽とした様子を見て、ドキドキが抑えられませんでした。今も手のひらが汗でびっしょりです」と言うと、聞き手の目の前には情景が浮かび、会議室から一瞬、視点が社外に飛びます。

 擬音語、擬態語などもどんどん使いましょう。聞き手は勝手にいろんなイメージを働かせ、あなたの話に聞き入ってくれます。

7 エピソードを使う
 数字が人を納得させる<客観>だとすれば、エピソードは人の心をつかみ、動かす<主観>といえます。

 「余談になりますが」と前置きし、エピソードを盛り込みましょう。「余談になりますが」は、聞き手をリラックスさせ、話への集中力を高める<マジックワード>です。一見関係なさそうに見せて、それが一番大事なメッセージへと繋がれば、聞き手は「ほお」と心を動かされます。

 ただし、エピソードの盛り込みすぎにはご注意を。ただの雑談になってしまいます。

8 話にタグをつける
 戦略的な話し方の目的は、聞き手の心に長く残ることです。それには、聞き手の心に残り、さらにその話を思い出しやすくする工夫が必要。その役目をするのが<タグ>というわけです。

 「申し上げることが3つあります。1つは~、2つめは~」と、ポイントの数を明確にした上で、それぞれの項目に見出し、つまり<タグ>をつけておくと、聞き手もさらに整理がしやすく、また思い出しやすくなるのです。

欧米人になったつもりで感情をストレートに表現しよう

9 夢や情熱を語る
 人の心に残る話に欠かせない要素、それは<夢・情熱>です。身体感覚的に訴えられるのがこの要素です。

 話し手が夢や自身のうちにある仕事への情熱、そこに息づく生の感情をストレートに表現したとき、話し手と聞き手との間には共感が生まれます。だまされたと思って「ここ一番」のプレゼンで一度、試してみてください。恥ずかしがらず、欧米人になったつもりで、プレゼンの最初か最後に伝えるのです。

 「御社と仕事をするという僕の夢がかなわなくても、今日は本当にいい勉強をさせていただきました。ありがとうございます」

 いかがでしょうか。内容の違いがそれほどなかったとしたら、「情熱のある人に任せたい」と思うのが人間。ここは大いに<夢・情熱>を語り、聞き手の心にエモーショナルに働きかけましょう。

[日経ビジネス]


☆以下、バックナンバーからの一部抜粋です。

□「その順番では何が言いたいのか伝わりません!」
話を分かりやすくして結論を印象づけるロジックツリーの威力

ロジックツリーを使いこなす注意点

 ロジックツリーを使いこなすための注意事項は次のようなものになります。

(1)結論
 冒頭で《結論》をはっきり言います。結論はひと言でなければなりません。短く、インパクトのある言葉を使ってください。

(2)理由を言う
 なぜその結論に至ったのか《理由》を、おおまかなグループで述べます。

 ここでは、まだ、理由の詳細を述べず、まずは、《グループ名》をひと言で述べます。先のチャレンジ問題で言うと、『性能面、コスト面、その他の理由』というようなグループ名を述べるわけです。聞き手の頭の中で整理しやすくするためです。

 衣装を整理する時、ボックスに《冬物》《インナー類》とタグをつけておけば、何が入っているか思い出しやすいですよね。それと同じように、情報も整理しやすいように、ひと言でタグをつけてあげると分かりやすいのです。

(3)詳細を述べる
 詳細とは、理由を詳しく述べることです。『それでは、《コスト面》について詳しく説明します。PCの本体価格が平均的で、待機電力が低く抑えられます。次に《性能面》については、作業に適しており、故障が少ない・・』というように、理由をそれぞれ詳しく説明していきます。

 日本語は、この詳細から始まる言語ですので、仕方がありませんが、話が違った方向に行ってしまったり、話が長いと言われたりする人は、詳細から順に話し始めていることが原因です。

(4)再度結論を述べる
 最後にまた結論で締めくくります。

 これは、<結論のサンドイッチ>と覚えておいてください。聞き手は意外と、結論すらはっきりと覚えていないものです。言い換えれば、結論だけでも聞き手の印象に残れば、大成功です。「最も大事なメッセージ」として、再度結論で締め、聞き手の印象に残しましょう。

 プレゼンやスピーチをする際、一字一句書いた原稿を用意する人が多いようですが、それは間違ったメモの作成方法です。発言中に頭が真っ白になった時など、原稿では次にどこを話すのか目で探すことが難しく、ますまずパニックに陥ってしまうことが多々あるのです。

 その点、この<ロジックツリー>をメモとして持っておけば、次にどの段落を話すべきか、すぐ探し出すことができます。最悪、完全にアガッてしまい、パニックに陥ったとしても、結論くらいは言うことができます。


□「えっ、若手の話が分からないのは私のせいなの?」
ロジカルに話せれば「エレベータートーク」もこなせます!

 欧米人の話し方が「論理的=ロジカル」なのに対し、日本人の話し方は「分かりにくい」といわれます。

 断っておきますが、それは日本人が劣っているからではありません。単に、それぞれの文化の違いによるもの。もっと言えば、コミュニケーションの取り方に違いがあるのです。

 日本は世界一の<ハイコンテクスト文化>であるのに対し、欧米は<ローコンテクスト文化>だといわれています。

 「コンテクスト」とはコミュニケーションを取り合う同士が持っている基盤、例えば言語、風習、知識、体験、価値観などのこと。いわば、《以心伝心度》のようなものです。国民同士がこのコンテクストをいかに多く共有できているか? それがコミュニケーションの違いとして表れてくるのです。

日本人は《世界一》ロジカルじゃない?!

 人種も言語も同じ、教育も一定レベルの水準を保っている日本人同士は「日本語を話し、読み書きや計算ができる」ことを大前提としてコミュニケーションを取り、ビジネスもその上に成り立っています。

 《あうんの呼吸》が通用しない、ローコンテクスト文化の国では、どのようにコミュニケーションを取っているのでしょうか?

 簡単です。自分の意見を『分かりやすく、印象深く』伝えるだけなのです。すなわち、ロジカルに伝えること。残念ながら、《あうんの呼吸》という高度なコミュニケーション手段を使う日本人は、ロジカルであるという観点から見ると、ローコンテクスト文化の欧米より劣っているのです。

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 私どもの会社、KEE’Sには、さまざまな企業から研修依頼があります。担当者はおおよそ50代の管理職の方々。

 皆さん、「若い社員の話し方がなっていない。何が言いたいのか、まるで分からないので、ぜひ教育してほしい」と言われるのですが、私からするとその方々にも問題があることが多いのです。

 それは「年代」というコンテクストギャップ。言語、知識、体験、価値観、嗜好も年代によってまるで違うのです。

 「あいつの報告の仕方がなってない!」「上司の怒る意味が分からない」とコミュニケーションの壁を挟んで対立するのではなく、「今、伝えたいこと、伝えるべきことは何か?」と考えるべきなのです。

 部下の報告の仕方が悪いのならば、「報告のしかたを、こう改善してほしい」と言えばいいのです。

コミュニケーションの壁は日本人の間にも存在する

 ロジカルであることはフェアであることです。

 業務上のアドバイスをする時に、部下の性格や人間性にまで踏み込んで注意をすることは、とてもエモーショナルなことで、アンフェアです。話題にするのは、問題になっている《事象》だけにすべきです。

 さらに、改善した方が理由と改善の仕方を明確に伝えれば、日本語を理解する部下なら皆、納得するでしょう。

 「なんで、そうなるんだ!」「だから、お前はダメなんだ!」と感情的になりそうな時、その話で、自分は相手に何をしてほしいのか、目的を明確にしてください。それがすなわち、ロジカルになるということです。

 国の違いも、年齢の違いも、男女の違いも克服できるのが<ロジカルな話し方>。その他にも、たくさんの利点があります。

 例えば、

(1)短時間で大事なポイントが伝わる話し方ができる
(2)相手を論理的に説得できる
(3)聞き手のストレスが少ない

 こうした利点を持つロジカルな話し方は、欧米では戦略的に活用されています。

ここから続き

Posted by nob : 2012年01月23日 10:36