« 自らに疑いがなくなったとしたら、、、 | メイン | 私も全く同感です。。。 »

VIVA!老人天国!!

■【オピニオン】移民を拒否する日本の行く末
マイケル・オースリン

 日本人はゆっくりと消滅しつつあり、いまのところ救済計画はない。毎年1月、全国で成人の日を祝う催しが行われる。だが、新成人の数は毎年減っており、今年はわずか120万人で、1970年の約半分だ。

 国連の推計によると、日本の人口は2010年の1億2700万人から、2050年にはそれより20%少ない1億160万人となる。加えて、減少率は時間とともに高まり、2015年から2030年までの減少率が6.65%であるのに対し、2030年から2050年まででは13.4%と急激な減少が予測されている。これは世界でも飛び抜けて高い減少率だ。たとえば、パキスタンでは同時期に人口が倍増し、3億3500万人となることが予測されている。

 子供を持つことに関して、国は間接的な役割しか果たさないが、家族の作り方には社会的な傾向が反映されている。日本では、妊娠の年齢構成が全体的に変化している。女性が最初の子供を持つ年齢の平均は、1970年は25.6歳だったが、いまは29.4歳に上昇している。もっと劇的な変化もある。1970年には新生児の約半数が20代半ばから20代後半の母親から生まれたが、今日では38%が30代前半の母親から生まれている。子供を産み始める時期が遅くなっていることで、第2子や第3子を持てなかったり、持とうと思えなかったりすることになる。

 こうした状況は、今日の若者のライフスタイルと、上の世代の20代-30代の過ごし方との違いが一因となっている。平均結婚年齢は徐々に上昇し、女性では28.3歳、男性では30.1歳となっている。女性は、結婚するとしても、晩婚化が進んでいる。1970年代初期には、毎年100万組余りが結婚したが、いまでは70万組に減った。

 若い世代でも高齢者世代でも、日本では単身者世帯が急速に増えている。1975年はわずか60万世帯だったが、今日では400万世帯で、うち多くが高齢の女性だ。結婚せずに、年老いた親と一緒に暮らす若者は、「パラサイト・シングル」と呼ばれる。

 高齢の単身者世帯がこれほど多いのは、日本人の寿命が世界で最長であることによる。したがって、その分出生率も低くなる。日本人女性の平均寿命は現在 86歳で、2050年には91歳になると予想されている。男性は、2050年での予想平均寿命が83.5歳だ。さらに、2050年には人口の40%近くが 65歳以上となる。

 こうした傾向を、日本人はよく知っていたはずだ。出生率の減少が人口の減少となるまでには何十年もかかっている。1970年代初期から、出生率は人口置換水準を下回っていた。

 現代において、日本がやがて直面する人口減に相当するものは存在しない。食料生産、工業基盤の維持、国防力に対して、人口減がどう作用するのか、正確に予測する方法はない。明るい側面を見れば、世界的なイノベーションやオートメーション化で、日本の将来の人口問題に対応できることは考えられる。ロボットが社会を動かすという暗黒郷的な見方も、現実となるかもしれない。

 政策立案者は十分な準備を怠った。他の多くの社会は、人口減を移民の推進で補うだろう。だが、日本では煩雑な法律が一因となり、合法的な移民はごく少数だ。中国や北朝鮮、東南アジアや中東からの未登録の移民は多数存在する。こうした能力の低い労働者は、建設業やサービス業などで働く。だが、彼らは長期間滞在することはなく、日本語も話さず、わずかでも社会に溶け込もうとはしない。

 問題は、多くの日本人が西洋型の移民の実現を望んでいないことだ。日本人以外が社会に足場を築いたら、日本の文化は後戻りできないほど変化すると恐れている。代わりに、日本では移民を臨時の労働者として用い、彼らを教育や政治、経済に組み込まずにいる。

 どうすれば少ない人口で国を繁栄し続けられるかという重要な問題が検討されていない。今こそ、国全体での議論が求められる。もし日本人が移民に対する考えを変えたくないのなら、ライフスタイルを変える必要があることを認識すべきだ。高齢者を助けるために資源を回すか、ロボットをもっと作るのだ。ただ、何が問題かをいったん認識すれば、日本人は代替手段を受け入れる可能性がある。人々が入ってくることを認めるのだ。

 保守的な日本人は、間違いなく文化の問題を持ち出すだろう。移民率が高い西欧の国々では、国のアイデンティティの危機が珍しくなくなるだろうが、同質的な日本の社会は、これまでのところ、この問題に対処するのを避けてきた。現在のトレンドを考えると、文化を変えずに社会の縮小に対処する方法を決めている、時間の余裕はないかもしれない。

[THE WALL STREET JOURNAL]

ここから続き

Posted by nob : 2012年01月25日 00:38