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この蛮行愚行を止められない、、、これこそが最も深刻な問題。。。

■大飯原発再稼働  「アリの一穴」許してはならぬ

 政府は関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働方針を固めたが、地元同意の判断は先送りされた。福井県の西川一誠知事が野田佳彦首相に原発の必要性を国民に説明するよう求めたためだ。

 政府が原発政策でいまだに地元の信頼を得ていない実態が露呈したと言えよう。そもそも東京電力福島第1原発事故の十分な究明がされておらず、新しいエネルギー政策や安全対策も示さないまま、しゃにむに再稼働へと進む政府に拙速のそしりは免れない。

 そうした中で、地元だけが安易に再稼働に同意すれば「悪者扱い」される懸念があろう。西川知事は同意の前提としてエネルギー政策における原発の位置づけの明確化と、再稼働に反対する大消費地関西の説得などを政府に迫っていた。

 しかし、「脱原発」か「基幹電源に位置づける」かの国の根幹に関わるエネルギー政策の具体的戦略はまだ示されていない。新たなエネルギー基本計画に盛り込む2030年時点の原発比率についても検討段階だ。なのに原発の位置づけの明示など、どだい無理な話と言わねばなるまい。

 野田首相は先月末の関係閣僚会議で「原発は引き続き重要」と発言、知事向けのメッセージを込めたが、空々しいばかりだ。何を根拠にそう言い切れるのか。知事が求める国民向けの説明をしたとしても、説得力を持ち得ない。

 首相は「私の責任で判断する」と言うが、万一の場合、どのような責任をとるつもりなのか。首相退陣や議員辞職などで済む問題ではないことを指摘しておきたい。

 一方、関西広域連合は再稼働に反対し、政府に安全最優先の要求を突きつけておきながら、事実上の容認姿勢に転換した。再稼働を望まない一般市民の頼みの綱だっただけに、残念でならない。

 夏場の電力不足を乗り切る「期間限定」の稼働が条件との立場だが、政府は時限的稼働を否定している。いったん稼働すれば、再び止めるのは至難となろう。甘い対応と言わざるを得ない。

 政府は早くも大飯原発の再稼働を想定し、7月から関電管内で求める節電目標を引き下げる検討に入った。本来原発稼働ゼロを前提にした節電目標であり、脱原発依存社会への道筋を見通すはずだったものだ。企業や住民の節電意識が緩むのは避けられまい。

 ようやく新たな原子力規制組織発足の見通しが立ったとはいえ、新しい安全基準や再稼働のルールづくりはこれからだ。経済優先でなし崩し的に再稼働を進める手法は看過できない。これを許せば、同様のやり方が大飯原発以外の原発にも広がる「アリの一穴」になりかねない。

[愛媛新聞社]


■“脱原発依存”道筋示して

 嘉田由紀子知事と京都府の山田啓二知事は六日、原発政策に関する政府への再提言の会見で、再稼働について「国民的理解はまだまだ進んでいない」と強調し、最終判断する野田佳彦首相に「脱原発依存の道筋をしっかり示してほしい」と力を込めた。

 「大飯原発に何かあったときに深刻な被害を受ける『被害地元』として、言っておかないといけないことがある」。山田知事は提言内容を説明した後、申し入れの狙いを強調した。

 両知事で提言をまとめるのは四月に続いて二回目。嘉田知事は、福島の原発事故前から政官財癒着で原発政策を進めてきた構造を批判。再提言を「将来への提言」と表現し、「三月十一日以前の体質や構造を残してはいけない」と訴えた。

 両府県が参加する関西広域連合は五月下旬に声明を発表。「政府の安全判断は暫定的」として期間などを限定して稼働する条件で、最終判断を国に委ねた。声明は明確に容認を表明してはいないが、事実上の容認と受け取れる内容だった。両知事は、声明を電力需給などから「苦渋の決断だった」と振り返った。

 再提言は、広域連合の声明を踏襲した形で「稼働期間を電力需給が逼迫(ひっぱく)する時期に限る」と盛り込むが、再稼働と表裏一体の電力需給をにらみ、ぎりぎりの判断に迫られたことをにじませた。

 嘉田知事は「卒原発」、山田知事は「縮原発」。言葉は違うが、いずれも将来的に原発に頼らない社会の実現を目指す。再提言でも地元自治体と住民参加の仕組みづくりを法的に位置付けるように求めた。嘉田知事は「ゼロか百か、親原発か反原発かではない。未来に責任を負うということで提言を出した」と話した。両知事は、関西の電力供給を担ってきた福井県への感謝も繰り返し述べた。

(梅田歳晴)

 滋賀・京都「再提言」の主な内容

(1)【中立性の確立】 原子力規制庁の早期発足、地元自治体と地元住民参加の安全体制構築の法的位置付けの検討

(2)【透明性の確保】 大飯原発の放射性物質拡散予測システム(スピーディ)データの提供

(3)【福島事故を踏まえた安全性の実現】 安全基準が暫定的であることを踏まえ、再稼働時期は電力逼迫(ひっぱく)時に限定

(4)【緊急性の証明】 電力確保対策の積み上げの徹底

(5)【中長期的な見通しの提示】 廃炉計画、使用済み核燃料の最終処理工程の提示

(6)【事故対応の確立】 大飯原発の特別な監視体制への参加

(7)【原発事故被害者の救済と福井県の配慮】 除染計画などきめ細やかな対応、経済発展などを支えてきた福井県に対する国の具体的な支援方策の提示

[中日新聞]

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Posted by nob : 2012年06月07日 23:55