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最大の創造性、、、行き当たりばったり。。。
■行動すれば未来が始まる
【50】着手
アラン 、 村井 章子
今日の一言
怠け者は「そのうちやるさ」と言う。だが言うべき言葉は「いまやる」である。行動すれば未来が始まる。
着手することは、動機以上に重要である。やりたい仕事があって、そのためには大勢の力を借りなければならず、ずっと計画を暖め練っていても、とうとうやらずじまいということがよくある。だが心の中で膨らんでいる共同事業は、手をつけてくれるのを待っている。建築物の礎石のように、どんな作品でも最初の石を置けば、それが次に進む立派な理由となる。前日までの仕事の中に自分の意欲の跡を認められる職人は、しあわせ者である。
人はつねによきものをめざすと言われるが、理屈で決められた目的を前にすると、人間はむしろ怠惰になるのではないだろうか。まだこの世にない仕事にやる気を出させるのは、想像力をもってしてもむずかしい。やったらきっといいだろうと思いながら、やらずじまいの仕事がたくさんあるのはこのためだ。
想像力はいろいろなやり方で私たちを落胆させるが、何と言ってもいちばんの理由は、すっかりわくわくさせ、きっと現実になるにちがいない、と信じ込ませてしまうことにある。だがこのときめきは、虚しく掻き消える。いつだって興奮は現在のもの、計画は未来のものだ。
だから怠け者は「そのうちやるさ」と言う。だが言うべき言葉は「いまやる」である。行動すれば未来が始まる。とは言え何事もそうだが、未来が予測しがたいのは仕事も同じである。着手することで拓ける未来は、思い描いていたものとはちがうだろう、だがいつだってずっと美しい。だが誰もそうは思わないらしい。夢見る連中は、自分の計画は、他人がこれまでにやったものよりずっとすばらしいのだと言い張る。
いったんやり始めたらつまらない仕事など一つもない
だが、いま忙しく働いているしあわせな人たちを見るといい。この人たちは、着手した仕事に没頭している。それは繁盛している食品店でも、切手の蒐集でも、何でもいい。いったんやり始めたら、つまらない仕事など一つもないことを彼らは知っている。みんな想像することには飽き飽きし、最初の石を置きたがったにちがいない。
刺繍も、最初の数針はすこしも楽しくないが、進むにつれて、加速的にもっとやりたいという気持ちが募ってくる。こうしたわけだから、まずは信じること、期待はそのあとである。期待しないでともかくも着手することだ。仕事が進むにつれて、自然に期待は芽生える。
現実の計画も、仕事とともに発展するものである。ミケランジェロがあれだけの人物像をすっかり頭の中で決めてから描き始めたとは、私にはとても思えない。そもそもミケランジェロは教皇に命じられたとき、「自分は画家ではない」と渋ったという。そしてやむなく描き始めた。描き始めたら次々に人物が立ち現れてきた。これが描くということであり、自分の作るものを発見することである。
幸福は追いかけると逃げていくと言われる
幸福は影と同じで、追いかけると逃げて行くと言われる。想像の中の幸福ならたしかにその通りで、けっしてつかまえることはできない。だが自分で作り出す幸福は想像しないものだし、想像できもしない。そのような幸福は現実の中にだけ存在するのであって、イメージできないのである。
ものを書く人なら知っているように、よい題材というものは存在しない。いやむしろ、そんなものには用心した方がいい。さっさとつかまえて書き始め、幻影は追い払うことだ。つまり、まずは信念を持ち、期待は後回しにすることである。そして作ってはこわし、また作る。そうするうちに、小説を書くきっかけになった実際の冒険と小説との間には、驚くべきちがいが存在すると理解できるだろう。
絵描きよ、さあ描きなさい。モデルのほほえみに見とれていないで。
[日経ビジネス]
Posted by nob : 2012年07月08日 16:45