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できることからでなく好きなことから始める、、、やがてその好きなことが得意なことになる。。。

■自分の「強み」を知り、
時間をかけて育てていくことで成功した
「てるりん」の愛称で親しまれる
一級建築士のパーソナルブランド構築方法

 一生モノの顧客を獲得するには、「それなりの対価を支払ってでも他の人ではなく、貴方にお願いする」というような貴方のファンを多く持つ事が目標であり、そのためにも自分自身のブランドを作る=パーソナルブランドの構築が必要になります。

 このパーソナルブランドを構築する為の第一ステップが、「差別化」つまり「自分の強みを見つけて差別化をはかる」ということですが、ただ漠然と自分の強みは○○だからと思うだけでは、周りの人や縁があった潜在顧客に対して「差別化」をしているとは言えません。

 客観的に自分自身を明確に分析し、「長期的に儲けられるビジネスとしての強み=パーソナルビジネスモデルメッセージ」を掘り起こし、その「強み」を求めている顧客は誰なのかを見極め、そしてその顧客に「貴方でなくてはならない」という、より明確な理由を提示する為にも、その「強み」の強化が必要になってきます。

 今回は、この「強みを強化する」方法についてお話していきます。

~あなたの強みを強化する3つのヒント!~

 第4回まで、ビジネスにおける強みの分析、そしてその強みを求めるマーケットの選択についてお話をさせて頂きましたが、この強みをより強化することにより、貴方しかできないサービスの構築が可能になります。

 この強みを強化するには、どうしたら良いのか?

 最も大事なことをまずお伝えします。

 日々の仕事に使われている「優先順位」と「時間配分」です。

①60パーセントを強みに割り当てる

 自分のビジネスモデルを確立するのに必要なのは、自分の得意分野を伸ばし、自分の短所はカバーするだけにとどめる訓練をすることです。つまり、強みに焦点を移すということが重要です。

 自分の得意分野を伸ばすのは、自分の苦手な分野を得意分野に変えることより簡単で大切なことです。それなのに多くの人は、自分の苦手な分野を克服して、その部分をできるだけ伸ばしていこうとする努力をしてしまいます。それはとても素晴らしい事だと思いますが、そのことによって強みである得意分野を磨く大切な時間を削っているというのは非常にもったいないことです。

②30パーセントを新しいことに割り当てる

 これは、ただ単に新しいことに割り当てるということではありません。

 自身の強みをより強化し、常に競合の先を行くためには、常に強みをベースに修正を加えて、そのときの経済状況や時代に沿って、顧客の要求やニーズに適したものに変えていく必要性があります。

 つまり、ここでの新しいことというのは、「強みをベースとした新しいサービス・商品を作る」ことに割り当てるということです。

 私が常に意識している言葉ですが、「確固たる商品のブランドが出来上がっても安心してはいけない。なぜなら、顧客の好みは、賞味期限がついていて、陳腐化しやすいものであるから」というものがあります。

 これは「20世紀の三大広告人」のひとりに選ばれた、元コカ・コーラ社の最高責任者であるセルジオ・ジーマのブランド構築の定義の中の言葉です。

 ブランドが成功し、競合の先を行くのであれば、それがだめになる前に、修正を加えて、継続的に伝えるメッセージやイメージを顧客の要求やニーズに適したものに変えていく必要性があるということです。

 あなたがせっかく確固たる強みを構築しても、常に競合が追いかけてきますからその時代によって、自分の強みを新しい形で確立していく努力をしなければ、ある日気が付いたときには、競合に追い抜かれている可能性があるからです。

③10パーセントを弱みに割り当てる

 苦手な分野のない人、自分の苦手な分野に全く取り組まないで済む人は1人もいません。

 大事なことは、自分自身は弱点を最小限に抑えることであり、その部分を得意な分野に変えることではないということを知っておく必要があります。 そして、もう一つ重要なのは10%の時間の中で、弱みを強みとするパートナー又は、スタッフを見つけるということです。

「私の弱みを強みとする誰かを見つけよう。これで、1+1が11になる」

 これは、自己啓発分野でアメリカを代表すると言われるコーチの一人であるマーク・ビクター・ハンセンの言葉です。

 たいていの場合弱みを強みに変えようとする場合「自分」で行おうとするため、達成することが難しく不可能に思えてしまいますが、すこし視点を広げて考えれば「自分の弱みを強みに持つ自分ではない人」と連携することにより、弱みを強みに変えることは可能になるということです。

 今回は、一時的に収入は減っても、自分自身の「強み」を強化することによって口コミが広がり、ビジネスを成功させた「てるりん」の愛称で市民に愛される一級建築士、市成照一さんをご紹介させて頂きます。

明石市で活動しながら強みづくり

 兵庫県明石市でWING建築設計事務所を営む一級建築士の市成照一さんは「てるりんの住まいる相談会」で明石・神戸はもちろん大阪方面までその名を知られています。住宅の新築・リフォームの設計・工事監理、また住宅の調査診断を行い新築・中古物件の購入判定を行うサービスを商品として掲げています。さらに欠陥住宅やリフォーム詐欺の悩みを抱える消費者の相談に乗り、リフォーム業者との調整を行うといった依頼にも応じています。建築士という専門性を生かして消費者の安全や財産を守るために「NPO法人・欠陥住宅を撲滅する会」も立ち上げていますが、だからといって市成さんが市民運動家というわけではありません。一級建築士という専門性の中から自分の個性、他と異なる自分だけの強みを追求した結果、このような活動に至っているのです。

 市成さんは48歳でサラリーマン生活に終止符を打って起業。そこで直面したのが建築士の名義貸しや、住宅購入者に実態のない工事監理で欠陥住宅を平気で販売している住宅業界の知られざる裏面でした。

 住宅の新築やリフォームのビジネスには、住宅・不動産会社や工務店以外に建築士事務所が介在します。けれど実際には、施主から建築計画・設計を持ち込まれる建築士事務所はごく少数で、大半は住宅・不動産会社や工務店から設計図面の作成や確認申請の代願業務を受注する建築士事務所であり、そうした下請け業務においてはどうしても住宅・不動産会社や工務店側の利益を優先するのが常です。

 正義感の強い市成さんには消費者のために最善でない業務をおこなうことに耐えられませんでした。独立から2年後の平成2004年2月、50才の誕生日に市成さんは、明石から「欠陥住宅撲滅運動」を立ち上げました。

 住宅の調査診断、新築・中古住宅の購入判定調査、新築・リフォームの設計・工事監理、欠陥住宅の鑑定業務等々を、消費者側に立ってサービスする建築士に徹するのです。住宅に欠陥があるので調査をして販売会社に意見書を書いてほしい、リフォームの見積や工事が適正かどうかで悩んでいる消費者の相談に積極的に取り組み、依頼があれば住宅・不動産会社や工務店・リフォーム業者と交渉もします。

「ところが、多くの消費者にとって住宅を購入する際の相談相手は住宅・不動産会社や工務店であり、建築士事務所の建築士にお金を払って意見を聴こうとか相談しようという考えはなきに等しいのが、2004年当時の状況でした。したがってなかなかビジネスにはなりませんでした」と市成さんは当時を振り返ります。

 その年の9月に、西明石で初めて「欠陥住宅撲滅セミナー」をおこないました。11月には、明石市主催の「ゆうゆう塾」でセミナーを開く機会を得て、5ヵ月間にわたって講演をしました。また、自らにニックネーム「てるりん」と名付けて「てるりんの住まいる講座」「てるりんの住まいる相談会」等を開催しました。明石市内で毎月10万部発行している「ミニコミあかし」誌が毎月告知を掲載してくれる支援もあり、講座・相談会の存在は次第に明石市民に知られるようになっていきました。

 参加者も増え、個別の具体的な相談をする人も現れ始めましたが、それが市成さんの顧客となるまでにはなかなか至りません。

 それでも、地道な活動に注目してくれる人もいて、2005年1月に姫路のFM21Genkiに出演したのを皮切りに、5月には朝日放送のテレビ番組「おはよう朝日です」に出演するチャンスもめぐってきました。さらに朝日新聞・読売新聞・神戸新聞・建通新聞や神戸市のFMわいわいや三木市役所内のエフエムみっきい、明石ケーブルTVにも登場しました。

 市成さんは「おはよう朝日です」で、住宅リフォーム詐欺の問題を取り上げ、消費者が悪徳リフォーム業者にだまされないようにする方法を話しました。

 すると、このテレビ番組を見た人から「おばあちゃんがリフォーム会社にかなりのお金を払ったようなのだが、工事内容と金額が適正かどうか調査してほしい」という依頼が市成さんに舞い込みました。

「調査をした結果、私が出した見積金額の10倍ものお金を払っておられました。私がリフォーム業者に工事内容にかかる金額への疑問を指摘すると、業者は調査結果を認め、払ったお金の70%を返して来ました」(市成さん)

 この話は、2005年8月27日付の神戸新聞・明石版朝刊の記事になりました。

 市成さんはリフォームトラブルの解決と予防いう実績で、知名度アップを勝ち取ったのです。

欠陥住宅騒ぎの1年前から培った実績が花開く

 その年の2ヵ月半後に、市成さんの活動を後押しする大きな風が吹きました。

 2005年11月17日に国土交通省が、千葉県にあった建築設計事務所の元一級建築士による地震などに対する安全性を確認する構造計算書の偽造があったことを公表したのです。これは構造計算書偽造問題とか耐震偽装問題と呼ばれて後々まで大きな波紋を呼ぶことになりました。偽造された構造計算書に基づいて建設されたマンションは耐震不適格と判断され、何も知らずに購入した入居者たちを苦しめる欠陥住宅問題が大きくクローズアップされたのです。この騒ぎが起こる1年も前から欠陥住宅撲滅問題に取り組んできた市成さんは、正義感あふれる建築士として一躍その真価を認められることになりました。

 市成さんは自分の強みを、住宅問題で迷っている人、悩んでいる人、困っている人を助ける「住宅業界のアンパンマン」であると明確に絞り込み、その認知度も高まりました。

 けれども、市成さんにはもう1つ大きな課題が残っていました。競争力です。構造計算書偽造問題以後、市成さんと同様のサービスを掲げる建築士事務所や調査会社も増えました。そんな競争の中で消費者に、市成さんを選んでもらうにはどうしたらよいのでしょうか。

 その時、市成さんが思いついたのはサラリーマン時代のことでした。建築社員である市成さんは、営業社員と二人三脚で動きます。たとえば新築住宅の契約を取るために、建築社員は顧客の希望とか条件を聞いて設計図を引きます。ところが市成さんはいつもその設計図が遅いといわれ、ダメ社員のレッテルを貼られていました。なぜ遅いかといえば、他の建築社員が顧客の話を2~3回聞いたうえで図面を引き始めるのに対して、市成さんは建設予定地へ何度も出向きじっくり土地を観察し、それから設計を開始するのです。このためお客様に設計図を提出するまでに時間がかかったわけです。

 今では独立した建築士事務所ですから、市成さんに時間制限はありません。そこで改めてお客様と何度も会って時間をかけてじっくり話を聴き、対話をしながら「イメージ設計」をすることにしました。そのやり方は、たとえばこんな風になります。

 これから土地購入と新築住宅を建てたいお客様がいた場合、市成さんは最初に「設計図が出来上がるのは半年後です」と伝えます。それから何度もお客様の話を聴き対話する機会をつくります。お客様が生まれてから今日までの人生を振り返り、これからどんな住宅がベストなのか、何が必要なのかを考えていきます。その対話はときにお客様自身の「現在→過去→未来→現在へと心の旅」となり、自分のこれまでの人生にどのような価値があったのか、自分の果たすべき使命・役割とは何か。それを実現するための住まい方とは?等までできるだけ詳しく描き出します。もちろん予算や場所などの条件がありますから、希望することがすべて実現できるとは限りません。ですが、対話を重ねていくうちに、おのずとその優先順位が定まり、市成さんの頭の中にあるイメージとお客様のイメージするものが合致していきます。市成さんはイメージ設計をします。土地探しはそれからでも間に合うというのです。

「もう1つ決めていることがあります。それは価格では勝負しないということ。家は高い買い物ですから、見積金額に100万円、200万円の差が出ることもめずらしくありません。それぞれの設計図書に基づいて積算・見積した金額になっているからです。それを、『他社と比べて高いから負けろ』といわれても一切値引きはしません。私は、設計図書完成までのストーリーからお客様に話をしています。その結果、見積金額が他社より高くても選んで頂きました」とサラリーマン時代を振り返ります。

 消費者が住宅で幸せになってほしいとの思いで、たとえ苦しくても妥協をしない姿勢を貫くがために、2004年50才の決断である欠陥住宅撲滅を目指して以来2008年まで長く苦しい経営難が続きました。「欠陥住宅やリフォーム詐欺から明石市民を守る」活動で忙しい日々を送っていましたが、脱下請宣言の2004年から事務所はずっと赤字続きで終に貯金を食いつぶしてしまい、借入金が増え続けました。

「不思議なことに貯金がゼロになったころから、ようやくクチコミが広がり着実に受注できるようになりました」(市成さん)

 このタイミングを見計らって、市成さんは積極的にインターネットの有料広告を含めたインターネットの活用をスタートしました。

 何年も前の新聞の切り抜きを持って講座や相談会に来られる明石市民やてるりんのブログの愛読者からの受注もめずらしくないそうです。明石市民を対象に講座や相談会を重ねてきた市成さんは、第三者の口コミ伝達者である、インターネットを利用することで、商圏を一気に拡大しました。

「下請けの仕事から手を引いて6年の歳月が経ち、ようやく事業が上向きかけたところで、第3者の口コミ伝達者の役割を担う専門家ポータルサイトをはじめとする積極的なインターネットの活用を始めましたが、これでよかったのだと思います。私は時間をかけて自分の強みを熟成させたのです。最初に強みを見極め、覚悟を持ってそれに十分な時間を使い、強みが出来始めたところで、口コミを拡大する為に有料の専門家ポータルサイトに登録した。もし強みをしっかり見極めないで、それを強化することもしないで、最初から広告だけに頼っていたら、今の成功はなかったような気がします」(市成さん)

 住宅の新築やリフォームは、個人の私的内面に踏み込まざるを得ないビジネスです。永きに渡り草の根の活動を続けてきた市成さんの人柄とポリシーを見込んで依頼を決めたお客様とは、最初からスムーズに心が通いあうことでしょう。

 太陽のような晴れ晴れとした笑顔を輝かせる市成さんのブログの最後の署名はいつも「情熱てるりん」で締めくくっています。そこには、明石という地域に特化したクチコミで足元をしっかり固めた喜びがあふれています。

人脈や伝手で営業しても成果が見込めない分野で成功する秘訣とは

 競合が多く価格競争に陥りがちな業界で、見事にパーソナルブランドを構築した、てるりんこと市成さんの成功した要因は何だったのか、もう一度まとめてみます。

①一級建築士という専門性の中から自分の個性、他者と異なるオンリーワンの強みを追求した。

②「てるりん」という印象に残る、そして覚えてもらいやすく忘れられないニックネームを自ら付けた。

③強みと相反する下請けの仕事から手を引き、手を引いた分で作った時間を強みの強化にあて欠陥住宅撲滅のために「てるりんの住まいる講座」というネーミングでセミナーを開催したり、「てるりんの住まいる相談会」を行った。

 このような覚悟をもった時間の有効的な使い方をすることにより、市成さんは、欠陥住宅のことなら「てるりん」というパーソナルブランドの構築に成功したのです。

 ついつい、忘れてしまいがちですが、すべての人々に平等に与えられているもの。それは「時間」です。とてもシンプルですが、平等に与えられている時間を得意分野に出来る限り割り当てていくことが、すでに自分よりも経験豊富である、または既にパーソナルブランドを確立している人に勝つための非常に効果的な手法となります。

 なぜなら…

1.強みに時間をかけることにより、成功体験を得られやすくなり自信を持つことが可能になる。反対に弱みに時間をかければかけるほど、不得意分野である為に自信を失ってしまう。

2.強みに時間をかけることで、人よりも多く強みを生かしたサービスを考えることが可能になる。

3.同じ強みを持った同業者よりも時間をかけることにより、より知識と経験を持ってお客様に提案をすることが出来る。

 このようなメリットが隠されているからです。

 是非自分の強みを大いに伸ばす時間を確保して下さい。

[DIAMOND online]

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Posted by nob : 2012年10月26日 11:03