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以前の記事ですが、、、それに長いです。。。

■「事故が起こっても手立てがないような状態のものを動かしてまで電気がほしい、なんてちょっとガクブルですだよ」もんじゅ君×津田大介対談

4月28・29日に幕張メッセで行われた「ニコニコ超会議」。その中で行われた「こんにちは、もんじゅ君~もんじゅ君がニコニコ超会議にやってくるですだよ」をレポートする。

高速増殖炉「もんじゅ」が擬人化されたキャラクター「もんじゅ君(@monjukun)」と、メディア・アクティビスト津田大介氏がステージ上で実際に対談し、さらには歌って踊るというニコニコならではの夢の顔合わせとなった。【取材:BLOGOS編集部 田野幸伸】

津田:皆さんってもんじゅ君ご存知ですか? 一応、知らない方もいらっしゃると思うので簡単に説明しておきますと。もんじゅというのは福井県の敦賀市にある、高速増殖炉もんじゅのことなんです。

去年5月11日に、もんじゅが擬人化されたもんじゅ君となり、ゆるキャラとして登場し、突然Twitterを始めました。元々はゆるキャラっぽいTweetをするんだけれど、たまに社会派っぽいTweetもします。

独自の立ち位置が話題になって、最近は本まで出しているのでその辺りもいろいろ聞ければと思います。今日ついにそのもんじゅ君がやってきて、対談するという企画を考えて実現にいたりました。

どうやってもんじゅが敦賀からここに来たのかが、まず気になるのですが。さっき舞台裏で話もしてきたので。皆さんもんじゅ君を楽しみにしているので、早速登場してもらいましょう。福井県敦賀市が誇るゆるキャラもんじゅ君の登場です!

もんじゅ君:ニコニコ超会議に来ている皆さん。おっはおはおはおはようだよ。僕今日は福井県敦賀市から来ました。原発銀座生まれ、MOX燃料育ちのもんじゅ君です!

津田:もんじゅ君、久しぶり。

もんじゅ君:津田さん、お久しぶりです~。

津田:もんじゅ君元気だった?

もんじゅ君:うん。相変わらず元気いっぱいっていうか、ボロボロっていうか。だって僕生まれた時からほとんどお仕事していないでしょう。毎日が夏休み、日本一のニートですから。

津田:もんじゅ君とメルマガで対談して、その時にニートのキングオブキングスと名付けたんです。

もんじゅ君:そうですよ。

津田:インタビューの時にナトリウムをお漏らししてしまうんで、敦賀から動けないという話だったのですが。今日こうやって幕張メッセまで来ちゃいました。ここまでどうやって来たんですか? 

もんじゅ君:東京無線。

津田:タクシー!? いくらくらいかかったの? 

もんじゅ君:15万6000円くらい。

津田:高っ! そんなお金はどこから? 

もんじゅ君:だって僕は今、1日5500万円くらいのお小遣いをもらっているんです。

津田:そうなんですよね。年間200億円ぐらいかかるから、1日にすると5500万円くらいかかっていてそれを自由に使えているということで。今までもんじゅ君にかかった税金って、いくらくらいなんですか? 

もんじゅ君:たったの1兆円ちょっとですだよ。

津田:十分多いっていうね(笑)。

もんじゅ君:ごめんなさい。申し訳なさ過ぎてナトリウムをお漏らししそうですだよ~。

津田:ちょっとマズいですよ。ここに絆創膏があるんですけれど、ナトリウムをお漏らしするともんじゅ君、かなり大変なことになっちゃうんですよね。

もんじゅ君:そうそう。僕、普通の原発フレンズと違って冷却に水じゃなくて、ナトリウムを使っているでしょ。ナトリウムは空気に触れるだけで燃えちゃうし、水と反応すると爆発しちゃうこともある。

津田:爆発する割には軽やかだなあと。大丈夫ですかね? 

もんじゅ君:今日は大丈夫。JAEAの仲良しのおじさんに絆創膏をつけてもらったの。これで僕、ナトリウムをお漏らししないよ。

津田:この絆創膏だけで大丈夫なのかという一抹の不安はあるのですが、JAEAってなんですか?

もんじゅ君:僕のパパの、日本原子力開発機構だよ。天下りとかいっぱいしている、文科省の研究機関なんだよ。

津田:なんか微妙に悪い感じがしますね、天下りというと。

もんじゅ君:うーん、そんなこと言われると困っちゃいますだよ~。

津田:今日ね、日本一のニートであるもんじゅ君が、初めて福井県を離れてこうやって具現化してここまで来たわけですが、どうですか? 福井県を離れて東京というか千葉県、都会に来たわけですが。福井と違いますか? 

もんじゅ君:人は多いし、ビルは高いし、キョロキョロですだよ~。

津田:どうですか。都会の気に入ったところは? 

もんじゅ君:東京無線。

津田:やっぱりタクシーなんだ。確かにもんじゅ君を乗せてきてくれたので。こうやって幕張メッセに来てくれたのも、昨年福島第一原発の事故があって、5月11日にTwitterを始めたからですね。そもそも、なんでTwitterを始めようと思ったのですか?

もんじゅ君:僕、ふくいちくんの事故があって、ほんとに悲しくて腹がたってたまらなかったの。だってね、これまで僕を含めて原発フレンズって「お前たちは安全だ!安心だ!」って言い聞かされてきたのに。

津田:確かにね。教科書とかいろんなニュースでも原発はどちらかと言うと安全だと。週刊誌や広告を見ても、安全だと書かれていました。

もんじゅ君:全然違うじゃんって。水素爆発とか、聞いていないし。レベル7とか聞いていないし。僕って一体なんだったんだろうって。

津田:急に、自分のアイデンティティに悩み始めたということですね。

もんじゅ君:それに僕、もんじゅっていつまでたっても完成しないしね。「僕って大丈夫なのかな」って、自分で疑問を感じちゃって…。もう悲しい事故が起こるのは絶対に嫌だから、もっとみんなに僕の存在とか危険性を知ってほしいなと思って、Twitterを始めたの。

津田:自分探しから自分は危険な存在だとアピールをしたいって、ちょっと中二病っぽい理由だなと思うんですが。もんじゅ君、なんでそんなに自分が危ない存在だと思っているの? 

もんじゅ君:僕、普通の原発フレンズと比べたら、すっごく危ないよ。

津田:え? すっごく危ない。どんなふうに? 

もんじゅ君:まず、原子炉の冷却にナトリウムを使っているから、もし配管が破けてお漏らしすると、それだけで火事になっちゃうの。

津田:もんじゅ君ってすごいお金をかけてるわけだから、配管にもすごくお金をかけてしっかりと作られているんじゃないかなと思うんですが。

もんじゅ君:もんじゅって配管が複雑でグネグネしている上に、管がとても薄いの。だから普通の原発フレンズよりも、地震に弱いんですだよ。

津田:管は弱いんだ。ナトリウムが漏れると危ないのに、弱い。病弱なんですね。

もんじゅ君:うん。あとね、原子炉も暴走しやすいし、おしりの下には活断層がありますだよ。

津田:活断層って言うと、こないだニュースで敦賀原発の話がありましたよね。もんじゅ君が住んでいるところから3キロ、4キロくらいのところに古い敦賀原発というのがあります。そこの原子炉の下に活断層があって、それが活断層だと認められたらこれは廃炉しかないんじゃないのって話題になっていますけど。

あの地域って、めちゃくちゃ活断層があるんだけれど、その上にもんじゅ君はいて、原子炉も管が破裂して暴走しやすくて、かつ、おしりの下にも活断層があって、なんかお金も掛かっているし。良くない条件の三冠王みたいなんだね。

もんじゅ君:三冠王だなんて。恥ずかしいですだよ。

津田:もんじゅ君、別に褒めているわけじゃないからね。時間も限られているので、これからもんじゅ君にいろいろ質問していきたいと思います。

毎日いろんなニュースが報道されています。もんじゅ君って、Twitterを見ていると原子炉関係のニュースを流す、ニュースbotみたいなところがあります。割と社会派なんですよ。そんな社会派のもんじゅ君が一番気になっているニュースってなんですか? 

もんじゅ君:僕が一番気になっているのは、大飯原発の再稼働ですだよ。

津田:さすがに原発に詳しいですね。これ、近所の原発フレンズだから気になるってことだよね? 

もんじゅ君:5月5日のこどもの日に、北海道の泊発電所が定期検査でお休みに入るの。そしたら日本で動いている原発フレンズは、ついにゼロになるのね。

津田:今動いている原発がついにゼロになるというので、脱原発の人も盛り上がってはいますけれどね。

もんじゅ君:でも少なくとも4月、5月のこの時期は今の状態、原発を動かしていない状態でも電気は足りるってことだよね。

津田:これにはいろんな意見の人がいますよね。たとえば原発がゼロになって動かさなくてもピーク電力は足りるという人もいれば、そうではなくて原発が無いと計画停電とかやらないとマズいんじゃないかみたいなね。

それこそ池田信夫さんなんかは「危ない」って言っているし、逆に飯田哲也さんなんかは「全然足りる」って言っている。それこそ大阪市長の橋下さんなんかは、「これは危ないんじゃないか」って再稼働の条件をつけたりしていて、激しくいろいろと意見が分かれているわけです。

ただ政治としては野田総理大臣が、「夏の電力需要を乗り切るためには必要だから動かすんだ」と言って、再稼働の方針を固めています。そこで事故の対策をちゃんとしていないまま、再稼働に向かって動き始めているけれども、そこは微妙に止まっているというところなんですね。野田さんとしては「あとは福井県さん、再稼働をお願いします」という段階になっています。

もんじゅ君:福井県や大飯原発が嫌だって言えば動かさないし、いいよ、動かしていいよって言えば動いちゃう。今その瀬戸際でハラハラしているの。

津田:1年のうち、電力が一番必要なのは7月なんですよね。そのピークの冷房をなんとかするために、ピークをカットしないといけないんです。

そのピーク時の消費電力を減らす工夫をするために、火力発電所を増やしたりだとかいろんな電力を工夫することで、原発が無くても乗りきれるんじゃないかっていう人もいますね。その辺はもんじゅ君は? 

もんじゅ君:ですだよ~。事故が起こっても手立てがないような状態のものを動かしてまで電気がほしい、なんてちょっとガクブルですだよ~。

津田:大飯原発の大飯くんって、再稼働についてどう思っているかわかる? 

もんじゅ君:僕は大飯君じゃないから本当のところはわからないけれど、大飯君は僕と違って働き者だったから、「このままお仕事休んでいたい、出来ればご隠居したい」と思っているんじゃないかな。

津田:なるほどね。今大飯君の話が出たわけですが、他にもたくさんいろんな原発フレンズが全国にいるんだけれど、他の原発フレンズたちと普段どういう手段で連絡を取っているの? 

もんじゅ君:Skypeとメッセ、あとはLINE。

津田:Skypeとメッセ、あとはLINE? LINE使うんだ、随分インターネットに詳しいんですね。

もんじゅ君:うん!

津田:ちなみに全国に何人くらい原発フレンズが? 

もんじゅ君:同じ福井のフレンズだと、さっき話に出てきた大飯君とか、高浜くんとか美浜君とか、敦賀君。もう引退した、ふげん君とか……。

津田:あとは福島、気になるのは福島第一原発、ふくいち君はどうなの? 

もんじゅ君:ふくいち君は事故でボロボロすぎて、連絡がつかないですだよ。あとは新潟の柏崎刈羽君。愛媛の伊方君(いかた)。福岡の玄海君とか。全部で54人のフレンズがいますだよ。あ、でも4月20日からようやくふくいちくんの一号機から四号機まで廃炉の申請が出されたの。だから、全国の現役フレンズは54人から50人に減ったんですだよ。

津田:コメントを見ていると他のフレンズを見たいとかありますね。ふくいち君は星になったんじゃないかとか。「柏崎刈羽君は怪我しすぎ」とかありますね。こういった原発フレンズのみんなは、今の状況をどう思っているの? 

もんじゅ君:みんないつ地震が来るかわからないから、不安がってますだよ。

津田:日本ってそんなに地震が多い国なんですか? 

もんじゅ君:日本って地球の0.3%の大きさしかないのに、世界中の10%もの地震が起こっているんですだよ。

津田:0.3%の表面積しかないのに、10%の地震が起きている。そんなに多いんだ。

もんじゅ君:そこに僕たち原発フレンズが全世界の13%も密集しているの。小さな国に地震と原発が密集しているってどうかしているですだよ。

津田:混みすぎとかヤバイヤバイとか、へぇとか密度高すぎとかいろんなコメントがありますね。Twitterの話をちょっと聞きたいんだけれど、1年近く経つんですが、もんじゅ君Twitterを始めて、もんじゅ君に対するTwitterの反応はどうなの? 

もんじゅ君:みんな優しいですだよ。もんじゅ君頑張ってとか、いや頑張らないでとか。とってもありがたいですだよ。

津田:Twitterってやっていると僕なんか毎日あるんだけれど、否定的な言葉で煽られたりするじゃないですか。そういうのはあったんじゃないですか? 

もんじゅ君:最初の頃はあったかな。何やってんだとかひっこめ!とか。炉は黙ってろ!とか。代案出せとか。CO2出しすぎで動物が死んでもいいんですか? ハァ? 的なものがあったんですだよ。

津田:けっこう否定的な反応が来たんだね。

もんじゅ君:うん。でも、100もらうリプライのうち10も無いですだよ。

津田:僕だと100のうち30から40くらい否定的な反応が来るんだけれど、そうやってネガティブな反応が来るとTwitter嫌になったりしない? 

もんじゅ君:批判の多かった去年の8月頃はなんか心がしんどくて。ずっと吐きそうな気持ちになったりして、いわゆるTwitter疲れしていた時もありましただよ。

津田:プルトニウムを吐いたら大変な事故になっちゃうんだけれど。原子炉なのにソーシャル疲れをしてしまったんですね。

もんじゅ君:ほんとにご意見のほとんどが、応援だったりご相談だったりするの。だからそっちの方を大事にすればいいのかなって。

津田:ちなみにもんじゅ君のフォロワーってどういう人が多いんですか? 

もんじゅ君:お子様をお持ちの女性の方が多いですだよ。頂くメンションとかからいつも感じていたんだけれど。

もんじゅ君、2冊本を出す

津田:職業ニートと呼ばれているもんじゅ君、本2冊出しているんですね。一冊は平凡社さんから出している「おしえて! もんじゅ君―これだけは知っておこう 原発と放射能」と、それと……。

もんじゅ君:「動員の革命 」!

津田:これは僕の本ですね。すいません、ステマありがとうございます(苦笑)。そうじゃなくて。

もんじゅ君:ステマですだよ。

津田:もうひとつ出しましたね、河出書房新社さんから出している、「さようなら、もんじゅ君---高速増殖炉がかたる原発のホントのおはなし 」という本も出していて。「ニートなのに作家」というとこないだ芥川賞をとった田中さんみたいな感じなんですけど、そもそもなんでもんじゅ君は本を書こうと思ったの? 

もんじゅ君:Twitterをやっていてもやっぱりリツイートしたりお気に入りのボタンを押すだけじゃ世の中は変わらないんじゃないかって、ずっと思っていたの。

津田:これ、そんなようなことを書いていたのが、「動員の革命」と言っていいのかな? 

もんじゅ君:「動員の革命」!

津田:実際に世の中を変えたいと思ってもなかなか活動出来る人や、本を出そうと思ってもなかなか出せるわけじゃない。

もんじゅ君:タブラ奏者のU-zhaanという人が「ムンバイなう。 インドで僕はつぶやいた 」っていうTwitterの本を出していたんだね。それでご相談してみたら、「もんじゅ君も出せばいいじゃん」って言って下さったの。それで企画書を作って出版社さんに売り込んだんですだよ。

津田:これ、本自体はどういう内容なんですか?

もんじゅ君:平凡社の「おしえてもんじゅ君」は、原発と放射能の基本的な情報を35のQ&Aで解説した本ですだよ。

津田:これはもんじゅ君1人で書いたの? 

もんじゅ君:うん。文も絵も、書いたのは僕一人ですだよ。でも、間違っていたら困るから監修として、左巻健男先生と大島堅一先生に内容を見て頂いたんですだよ。正確になるよう気をつけましただよ。

津田:これコメントだと、「1兆円返せ」とか厳しめのコメントもありますが。

もんじゅ君:ちょっと何を言っているかよくわからないですだよ。

津田:はははは。もう1冊、河出書房新社さんから出した「さよならもんじゅ君」という本の内容を教えて下さい。

もんじゅ君:こっちは、僕、高速増殖炉もんじゅは何のために生まれたのか、なぜここにいちゃいけない子なのかを自伝風につづってみました。核燃料サイクルとか、再生可能エネルギーの話もしていますだよ。

津田:この本を読んだ人から「さよならもんじゅ君は泣ける」、というコメントもあります。どっちも小学生の高学年くらいなら読めるぐらい、わかりやすい内容になっていますよね。

もんじゅ君:ありがとうですだよ。僕照れちゃいますだよ。

津田:ここで助っ人をお呼びしましょう。「教えてもんじゅ君」の監修をされている法政大学生命科学部教授の左巻健男先生です。

左巻:こんにちは。

津田:左巻さんよろしくお願い致します。

もんじゅ君:わーい。左巻先生はじめましてですだよ。その節はお世話になってありがとうございましたですだよ。

津田:お二人は初めてなんですね。

左巻:初めてなんです。

もんじゅ君:原稿のやり取りをしただけで、実際にお会いするのは初めてなんですだよ。

津田:どうですか? 実際にお会いした感想は? 

左巻:いや、かわいい…かな? 

津田:かわいいっっちゃかわいいんですが、デカいよね。

左巻:俺もデカいけどね。

もんじゅ君:感激です。

津田:なんかあれなんですよね。もんじゅ君の本を書く時に、原稿を直す時、ゲラに赤字を入れる時に、わざわざもんじゅ弁で「ですだよ~」と書いて直してくれたとか。

左巻:なんかすごい大変だったですだよ~って。

津田:左巻先生は、このもんじゅ君の本を作っていく上で大変だったことはありました? ちゃんとした原稿を書いていました? 

左巻:ちゃんとした原稿だったので、そんなに大きく直したところは無いですね。

津田:もんじゅ君、なんか動きが不穏になってきましたが。大丈夫?

もんじゅ君:こんなに大勢の人の前で話すのは初めてで、疲れちゃったですだよー。ちょっと休憩してくる~。

津田:もんじゅ君が疲れているっぽいので、一旦はけます。また後で出てくると思います。ここまで左巻さん見てらっしゃって、どうですか? 一応会話として成立していました? 

左巻:ちょっと、危ないところがありましたよね(苦笑)。

津田:せっかく左巻先生にお越しいただいたので、この原発の話や放射能に対して素朴な疑問などをお話いただければと思います。原発事故からその後放射線被害や被曝とか、気になるところがあるんですが、本を書かれたということで、もんじゅ君が消えているので欠席裁判するっぽい感じが嫌ですが。もんじゅ君の話をしたくて、もんじゅ君って「自分はもう働きたくない」と言っていたのですが、左巻先生は高速増殖炉もんじゅに対してどういう思いを持っています? 

左巻:存在としてですね、1995年かな、ナトリウム漏れ事故を起こしたのはご存知ですよね? それ以来、ほとんど働いていないんですよね。莫大な税金はかけられていて、もんじゅ君は登場した頃の1970年代には、実用的になるんじゃないかと考えられてはいたんです。

津田:設計の段階ではどんどん科学も進歩しているし技術も進歩しているから、それこそ97年くらいには実用化されるだろうと。

左巻:そうですね。アメリカやフランスやいろんな国が、高速増殖炉を考えたんですね。でも、実際に動かしてみたらすごい大変で、どの国もほとんど撤退しちゃった。

津田:今コメントで、「見切り発車だったのか」とあります。

左巻:原子力発電そのものが見切り発車だよね。非常に高いレベルの放射性廃棄物の処理もはっきりしないまま、「今にどうにかなるんじゃないか」って作っちゃった。

津田:原子炉そのものが動かして発電しているけれど、廃棄物の問題って先の対応がわからない。

左巻:「将来なんとかなるんじゃないか」って、見切り発車して今まで来ている面はありますよね。

津田:なるほど。夢の炉と言われながらも、95年以降ちゃんと働けてもいない。去年の秋には民主党が政策仕分け型の提案で、もんじゅを抜本的に見なおすとなりました。そういった話し合いがされています。もんじゅの今後は、もっと開発するべきか、もしくはそろそろ引き返すことも考えるべきか、どちらですか?

左巻:僕は止めた方がいいと思います。コストパフォーマンスの問題もありますが、1990年ちょっと、もんじゅが出来た頃からある科学の本で、東大に大橋教授(大橋弘忠)という人が書いた本があります。有名な原子力推進の学者さんです。

そこには高速増殖炉のナトリウム技術、普通の原子炉が水で冷やしているのに対して、液体ナトリウムという、金属を溶かした液体で冷やすことが書かれています。

その管理技術、コントロールする技術というのが確立したから絶対大丈夫とその本には書いてあるんです。それを見ながら、僕はナトリウムが大好きなものですから、水に投げ込んで遊んだりしていました。

水に入れるとナトリウムはものすごい爆発するんです。そんな簡単にナトリウム技術が確立するわけがないんです。と、思っていたらナトリウム漏れ事故ですね。それがフランスなどでも起こって、同じようなことがあって撤退していく。頭の中では夢の原子炉なんだけれど、実際にはまだまだ先の先の話なんだなと見えてきました。

津田:いろんな国で開発しては途中で止めていった。その中で日本だけ留まっている。そういう意味ではもんじゅ君はニートになった方がいいかもしれないんですが、もうひとつ、もんじゅと並ぶ日本の原発のエネルギー政策を考える上で避けて通れないのが、核燃料サイクルですよね。

使ったものを埋めちゃおうではなくて、再利用していこうという核燃料サイクル自体、六ケ所村の施設がずっと失敗して動いていません。この国の核燃料サイクル自体について左巻先生はどうお考えですか? 

左巻:核燃料サイクルの中心にもんじゅ君というのが位置づけられています。天然のウラン核燃料の中に、原子炉で使える核燃料は一部しかないんだよね。

ウラン235かな。それが全体の0.7%しかなくて、残りは核燃料に使えないウランです。それを普通の原子炉では濃縮してウラン235を核燃料として発電しています。高速増殖炉というのは、残った99.3%の使えないウランをプルトニウムに変えちゃうんです。

プルトニウム239に変えて、高速増殖炉の中でプルトニウムのまわりにそういうのを置くんです。普通の原子炉で使えないウランを。それが発電しているうちに、いっぱいあるウランがどんどんプルトニウムに変わっていく。

そうするとプルトニウムが発電しているうちに、数十倍に膨れ上がってきて、核燃料が節約出来てどんどん増やすことが出来る。それが夢の原子炉だと。普通の原子炉の使用済み核燃料の中にプルトニウムがいっぱいある。それを取り出すという作業をするわけです。

津田:錬金術というコメントがあります。

左巻:そうですね。再処理ということで、そのために、使用済み核燃料を液体にしたりいろんなことをしていく。そうするとその過程でいろんな放射能が、廃棄物が周りにも撒き散らされる。六ケ所村が機能するともっと放射能が出るという話です。

津田:そうなると、核燃料サイクルとは錬金術であるけれども、うまくいかないというのは難しい技術であると。

左巻:再処理にも、ものすごいコストがかかるわけです。その代わりに、ものすごく燃料が増えるという想像はしていたんですが、実際は1割、2割ちょっとプラスになるかなという感じなので、その他の再処理の過程での強い放射能汚染とかそういう諸々の事を考えると、割に合わないサイクルになっている。

津田:なるほど。そうなるともんじゅそのものの存続というのもそうだろうし、日本の核燃料サイクルというのも曲がり角に来ているということですね。それでもまだお金をかければ解決出来るのでしょうか?

左巻:高速増殖炉は先の先の先で、もんじゅというのは原型炉といって、まだ最初は試験的にやってみるという話でした。ちょっと発電してみようと。そこでずっと停滞していますから。その先の先までいかないと実用化されないんです。これはね、10年、20年ですむ話ではない。

津田:それで一日5500万円掛かる。

左巻:その間にプルトニウムがどんどん出来るんです。外国に再処理を頼んでどんどん戻ってくるので。そうすると今何が問題になっているかというと、再処理サイクルの中でMOX(燃料)というのがあります。普通の核燃料の中にプルトニウムをちょっと入れて、一緒に燃やしちゃおうと。そうするとプルトニウムをちょっと減らせるんじゃないかって。

津田:MOXの燃料はより危険度が高いんですよね? 

左巻:元々そういうものを燃やすために設計されていませんから。それで一応試験はするわけです。これだけ増やしたから大丈夫だろうって。だけれども、原子炉がさらに不安定になって、きっと暴走しやすくなる可能性が高まる。それを使ってプルトニウムをちょっと消費することは出来るけれども、危険性はより高まっているという状況だと思います。

津田:ほとんどの原子炉を止めずに動かしていく。使用済み核燃料のプールが無いのでそれをどうするのかという話があるがゆえに、それをどうにかしたいという核燃料サイクルの話でした。それ自身が止まっているからデッドロックになっちゃう。

もう一つ、この原発事故以降の問題。福島や線量が高い地域に暮らす方々で心配になっているのは、低線量被曝の問題ですね。郡山市や福島だと通常の空間線量でも1マイクロを超えたり、3マイクロくらい行く中で日常的に引っ越さないで暮らすと、どれだけ低線量被曝は健康に影響があるのか。いろんな学者によって意見が分かれているんですが、左巻先生はどうお考えですか? 

左巻:どのくらい下が低線量かというと、はっきりしていないのですが、一般には100ミリシーベルト。100ミリシーベルト以下を低線量といいます。

津田:年間ですよね? 

左巻:年間というか累積ですね。ある短期間の間も含めてですが、普通は年間ですね。100ミリシーベルト以下というのは広島長崎で被曝された方を、被曝5年後からずっと追跡して出た数値です。

それから、核兵器を作る工場がありますよね。その工場で働いている人たちを追跡したりして、低線量被曝についても少しずつわかってきている面もあります。だけどはっきりしたことがわからない。

なんでわからないかというと、普通の癌になるのが、その被曝の影響かどうか。それがいろんな要因の中の一つになっちゃうんですね。放射線でこの癌になったと簡単に特定出来ないんですね。

そういういろんな癌になる原因に紛れてしまうので、はっきりしたことが言えない。だけれども、放射線について、健康について学者たちの中でもニュアンスがいろいろあります。100ミリシーベルト以下だったらわからないということを元にして、安全だと言う人もいます。

わからないということをして、ものすごく恐怖感を持っている人もいます。わからないということが人々の不安を非常に増幅させていることがあります。

津田:山下(山下俊一氏)派か、菅谷(菅谷昭氏)派かという話もありましたけどね。

左巻:ただし、はっきりしていないという統計を取ると有意差が表れる。それが影響していないというはっきりした証拠がない。だから影響していると考えた方がいいわけです。国際放射線防護委員会がいうのは、低線量被曝でも「しきい値」が無い。

しきい値があるというのは、100ミリシーベルト以下なら安全だよという考えですね。それに対しては、しきい値が無くて、被曝に応じて何らかの障害が出ると考えた方がよいということですね。そうやって放射線から守る対策を考えた方がよい。今の世界的に標準な考え方ですね。

津田:僕も東大の児玉龍彦先生に話を伺った時に印象に残ったのが、1%の人にしか影響がなかったとしても、その人たちの癌の発生率が上がってしまうとその人にとっては100%の大問題であるので、その1%をなくすための方策を取った方がいいじゃないかという話になりました。そこは難しいところですかね? 

左巻:僕も昨年の今頃ですかね、放射線計を持って精密に測れるものからいろんな小型のものを持って福島を回ってみました。そしたらテレビでやっていたダッシュ村の入り口なんかはすごい高い。

津田:浪江町ですね。

左巻:ええ。普通の放射線計だと振りきれる場所がいっぱいありました。そういうところでずっと暮らしている人たちというのは、そこが一番の悩みだと思います。

プルト君の中の人?

津田:そろそろもんじゅ君は? お? !音楽が流れてきましたね。もしかして。来た。もんじゅ君が来ました。

もんじゅ君:おっはおはおはおはようだよ、もんじゅ君です。

津田:今ステージ上に元ジャーナリストの上杉隆さんがやってまいりました。

もんじゅ君:上杉さんってプルト君の中の人なんでしょ? 

上杉:違うよ。

もんじゅ君:プルト君ですよね? 

上杉:うるさい(笑)。いま、別のステージにも僕は出ていますので。なんで今日もんじゅ君とやっているの? 

津田:僕の持ち込み企画だったんですよ。このあとデモで渋谷に行くらしいんですけどね。

上杉:そうなの? 

もんじゅ君:うん。

上杉:頑張ってねもんじゅ君、さよなら。

もんじゅ君:上杉さんってプルト君の中の人なんでしょ? 

津田:もんじゅ君後ろで長いこと休憩していたけど、何やっていたの? 

もんじゅ君:動員の革命。

津田:読んでくれていたの? どうもステマありがとうございます。Twitterやっていましたよね。あそこの画面にも出ていますが。そろそろステージの終わりの時間も見えてきてしまったので、最後に言いたいことがあれば。

もんじゅ君:動員の革命ですだよ。原発フレンズを助けるために首相官邸前抗議だとかデモだとか行きたいですだよ。

津田:行きたいって言っても、こんなに人が増えて盛り上がってきているのに超会議を楽しんで練り歩いたりすればいいじゃない。

もんじゅ君:それが今日はほんとにデモに参加するんです。TwitNoNukesという人たちがいつも渋谷で集まった皆さんに反原発デモをやっているから今日はお邪魔してみようと思っているんです。

津田:このもんじゅ君がリアルな渋谷の街を練り歩くと、相当インパクトがある気がします。

もんじゅ君:お昼の3時に渋谷の宮下公園を出発するらしいので急がなくちゃ。おっつおつおつお疲れ様でしたよ~

津田:ちょっと!帰るのダメですよ。この後、もんじゅ君写真撮影会があるので、もう少しだけ待ってください。しかももんじゅ君、歌も歌うってTweetしていたでしょ? 歌って踊る段取りがあるって聞いてたけど。

もんじゅ君:うん。忘れてましただよ。もんじゅ君音頭っていうのは、僕もんじゅ君がどれくらい危なくて無駄遣いしているかということをお伝えするために作りました。

津田:はい。せっかくなんでもんじゅ君音頭を聞いてみましょうか。

左巻:津田さんもここで踊ることになるのかな? 

M ♪~もんじゅ君音頭~♪/サイクル池田とプルサーマル・オーケストラ

津田:先生結構ノリノリでしたね(笑)。もんじゅ君結構軽やかだね。すごいね。

もんじゅ君:そうですよ。

津田:どうでした? 

左巻:すごい軽快な踊りでしたね。僕はついていけなかったです(笑)。

津田:急遽ダウンロードが決まりました。これ、仕込みでもなんでもなく、プロジェクトFUKUSHIMAのサイトで。今日からダウンロード出来るそうなので。

もんじゅ君:そうですよ。

津田:収益はすべてプロジェクト福島の活動資金にあてられます。詳しくはもんじゅ君がTweetするということなので。もんじゅ君のTweetをチェックしていただければと思います。

もんじゅ君:頑張りますだよ。

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Posted by nob : 2012年12月18日 20:10