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一人一人が体制からの精神的経済的自立をはかろうとしない限り、泥濘(ぬかるみ)に塗(まみ)れもがき続ける他はない。。。

若者の失業問題
若者の就職難は自民党政権で一層加速か
正社員も非正社員も救われない危機の正体
――本田由紀・東京大学大学院教授に聞く
からの抜粋

■自民の唱える経済成長は本当に可能か
“つっこんどけ雇用政策”はもう通用しない

――先の衆院選では自民党が圧勝し、安倍新政権が誕生した。若者の雇用対策は期待できるか。

 経済がなかなか成長しなくなっている今、正社員の働き方の過酷さが強まってきている。特に、いわゆる「ブラック企業」で働く正社員は、凄まじいハラスメントを受けたり、ときに過労死・過労自殺・過労鬱に至るような働き方をさせられている。一方で非正社員の方はメンバーシップがないことから、いつでも使い捨てられる状況だ。

 そうした状況からも、これからの労働・雇用政策を考える上で、正社員の働き方の改善が不可欠だが、民主党も自民党も、そういう観点がほとんどない。ずっとやってきたのは、“つっこんどけ雇用政策”だった。それは、とにかく若者をどこかの会社の正社員につっこんでさえおけば、雇用政策は終わりだという前提に立った政策である。

 しかし、いくら若者を会社につっこんでも、つっこんだ先が荒れていれば、疲弊し、ぼろぼろになってそこからまた吐き出されてくる若者が後を絶えない。だからこそ、非正社員はもちろん、正社員側の働き方を是正することが必要である。いまやサービス残業を含む長時間労働で、最低賃金を実質割り込むこともめずらしくない。最低賃金を機能させ、労働基準法を機能させ、労働時間法制を拡充させるといったルールの実効化をしたうえで、先ほどから述べている「ジョブベースでの仕事の割り当て」が求められる。

 一方で自民党は、経済成長に最も力点を置き、世界で一番企業が活動しやすい国にしておけば、雇用と所得が自然と拡大すると考えている。もちろん経済成長そのものを否定しているわけではない。可能ならば望ましいが、経済成長率が長期的に低下する趨勢にあり、産業構造の変化が起こっているなかで、私にはそれが容易とは到底思えない。世界経済に緊密に組み込まれ、不安定要素が多い現代で、金融政策ぐらいで景気が回復するなら、他の国も困っていない。さらに、2004年頃から2007年頃までの景気回復期にも、企業収益が労働者の賃金にトリクルダウンしなかったことを思い起こせば、経済成長が仮に起こったとしても、それが人々の生活をよくする保障はない。したがって、経済成長という1点に、雇用や若者の生活の是正を依存させれば、経済成長が空振りに終わった場合、どうなるのか。

 だからこそ、経済成長戦略の成果が出るまで待つのではなく、若者の仕事や生活を支えるための働き方の是正を同時に進めるべきである。つまり、ジョブを基軸として、新しい仕事を作り出すとともに、今過重になっている正社員の仕事をシェアしてゆくことが重要だ。

 例えば、高齢化が進むいま、地域で孤立した高齢者を支える仕事は儲かるわけではないが、社会的には大事な仕事である。そういう地味な仕事でも頑張ってくれる人に、税金から報いる形での仕事のひねり出しが必要ではないか。そして、正社員のジョブの輪郭が不明確な中で、仕事の内容や分量と賃金との対応関係について納得感が失われてしまっている状況を是正するためにも、仕事を切り分けるとともに、どれだけの内容・分量の仕事ならどれだけの報酬が最低限得られるのかについて、できるだけ目安やルールを作っていくことが望ましい。

[DIAMOND online]

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Posted by nob : 2013年01月23日 08:07