« ようやく初めの一歩。。。 | メイン | 異なる才能が出会う場所、、、だから会社という。。。 »

新しい市場とは「探す」ものではなく、自らの手で「つくる」もの、探しているうちは、結局は誰かの後追いに、、、自らの人生を創り上げるクリエイティビティー。。。Vol.2

■「1円玉はどんな形か?」
凡人・秀才がこれからを生き抜くためのヒントは
「非まじめ」にあり!

 「あなたには、1円玉がどんな形に見えますか?」――常識的な社会人生活、仕事人生活を送っていると、知識や常識が邪魔をする「頭でっかちな秀才・凡人」になりがちなもの。「鉈タイプ・ナイフタイプ」という概念、スティーブ・ジョブズが本当は何がすごいのか、など、目からウロコの公開授業、第三回。

あなたは鉈タイプ?  ナイフタイプ?

 わたしはいつも「研究者には2つのタイプがある」と語っています。

 ひとつは、大きな鉈を手にした研究者です。未開のジャングルにひとり潜入し、道なき道をガンガン切り拓いていくタイプですね。手にしている道具は大きな鉈一本ですから、細かな作業はできません。この人に課せられた役割は、多少荒削りでもいいから道を拓いていくことです。

 もうひとつのタイプは、ナイフを手にした研究者です。先駆者が鉈によって切り拓いた道に入り、乱雑な道をナイフできれいに整えていく。鉈のように大きな枝を切り倒すことはできませんが、道を整えていくには欠かせない人たちです。

 ひょっとすると、仕事でも同じような役割があるのかもしれません。「ここにビジネスチャンスがある!」と察知して、持ち前の行動力で新規の顧客を開拓していく人。そして上司や先輩が開拓した顧客に対して、細かいフォローをしてより深い関係を築いていく人。どちらが欠けても、仕事は成立しないでしょう。

 わたしの見たところ、いまの日本には後者のような、ナイフの使い方に長けた器用な人材は大勢います。しかし、鉈を手にして道を切り拓くタイプの大胆な人材が圧倒的に欠けている。比率として、10人のうち9人はナイフでもかまいません。でも1人くらい、せめて全体の1割くらいは、鉈の使える人材が必要なのです。

ジャンルを作った男。それが、スティーブ・ジョブズ。

 たとえば携帯電話の分野で考えてみましょう。

 携帯電話の誕生以来、日本の携帯電話メーカーはカメラ機能や電子マネー機能、さらにはワンセグ機能など、世界に先駆けてさまざまな新機能を「追加」していきました。その先進性や技術力は、素晴らしいものだと思います。

 しかし2007年、ひとりの男が高らかに宣言します。「われわれは電話を『再発明』する」と。彼の名はスティーブ・ジョブズ。そう、スマートフォン(iPhone)の誕生です。

 この宣言以降、スマートフォンがどのように市場を席巻していったかについては、若いみなさんのほうが詳しいかもしれません。さて、iPhoneという「再発明」は、新しい電話機の発明だったのでしょうか?違いますね。彼は「ただの新製品」を発明したのではなく、「スマートフォンというジャンル」を発明したのです。

 思えばスティーブ・ジョブズという人は、Applen2によって「パーソナルコンピュータというジャンル」を発明し、iPodによって「携帯型デジタル音楽プレーヤーというジャンル」を発明し、iPadによって「タブレット型コンピュータというジャンル」を発明した人でもあります。

 いったいなぜ、彼はこれだけ多くの「ジャンル」を発明することができたのでしょうか?

 逆にいうと、どうして彼以外のみんなにはそれができなかったのでしょう?

 その答えは、ごくシンプルなスローガンに込められていると思います。一度は会社を追われたスティーブ・ジョブズがアップル社に帰還したとき、彼が掲げた広告スローガンは「Think different」というものでした。

「他人と違ったことを考えよう」、もっというなら「他人と違うからこそ、価値があるのだ」というメッセージです。いくら他人の後追いをしても、ほんとうのイノベーションはできない。新しいジャンルを生み出すことはできない。みんなと違うことを考えて、みんなと違う道を切り拓いていってこそ、世界に衝撃を与えることができるのだと。

 スティーブ・ジョブズという人物は、まさに巨大な鉈を手にした経営者だったといえるでしょう。

 じつは、スティーブ・ジョブズの「Think different」というフレーズを聞いたとき、わたしが真っ先に思い出した人物がいます。日本におけるロボット工学の第一人者であり、わたしの恩師でもある、東京工業大学名誉教授の森政弘先生です。 

 森先生については、ヒューマノイドロボットにおける「不気味の谷現象」の提唱者、また「ロボコン」の生みの親、といえばピンとくる方もいらっしゃるかもしれません。

『非まじめのすすめ』と1円玉

 森先生にとっての「Think different」は、「非まじめのすすめ」という言葉でした。森先生はその著書『「非まじめ」のすすめ』(1977年刊)のなかで、1円玉を例にこんな話をされています。

 まじめな人は「1円玉は丸い」と考える。不まじめな人は「1円玉は四角だ」と考える。それに対して非まじめな人は「1円玉は丸であり四角でもある」と考えられる。

 ……どういうことだかわかりますか?

 1円玉の図面を引いてみればわかります。たしかに1円玉を正面から見ると丸くなっているのですが、真横から見た側面図は四角になるはずです。頭でっかちになって「コインは丸に決まっている!」と決めつけていては、この発想は出てきません。

 鉈を手に新しいジャンルを切り拓いていく人とは、丸い1円玉の中に「四角」を見出すような人なのです。

[DIAMOND online]

ここから続き

Posted by nob : 2013年07月31日 23:26