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まずはすべて一切の薬を絶つことから。。。Vol.3

誰もがふとしたきっかけでいとも簡単に陥ってしまうのが心の病というもの、

貴方自身で感じているほどには実際はさほど深刻な状況ではない気がしています。


きっぱりと断薬してしまうことをお勧めしますが、このまま通院と薬による加療を継続していくのであれば、

薬を処方してくれた医師を頭ごなしに否定しているわけではなく、医師として常識的で理にかなった治療をしてくれているはずだとは思います。

私の知り合いに、投薬の判断には絶対の自信がある(そしてそれが治療のすべて)と公言して憚らない精神科医がいますが、そもそも本質的病因の認識と根源的治療は、彼らが受けてきた教育の範囲には含まれてすらもいないのです。


また、抗鬱剤や抗がん剤や抗生剤のような薬は、副作用の個人差が大きいものですし、まずそもそも効果があるかないかも、服用してみて初めて判ります。

服用しながら経過観察をして量を調整したり、薬を変更するわけで、ましてや複数の薬の飲み合わせによる副作用の観察など、一緒に暮らしているわけでもなし、実際は不可能と言わざるをえません。

結局のところ、患者自身が自ら判断して、その時々の状況や希望を医師に率直に伝えていくしかありません。


以下参考までにnikkeiBPnetの記事より、

うつ病は軽症のうちに治す! その治療法は?
和田秀樹(わだ・ひでき)
精神科医

うつ病は悪循環を生みやすく、放っておくと悪化する

 実際、うつ病というのは、このようなダメージが意外にも悪循環を起こしやすい病気だ。

 前にも認知療法について少し触れたが、うつ病になるとものの見方が悲観的になる。ところが、悲観的になるとうつ病がよけいに悪くなってしまう。うつ病による悲観を治していかないと、どんどん落ち込みがひどくなり、デフレスパイラルのようになってしまう。最悪、絶望から自殺につながることさえある。

 また、うつ病になると夜眠れなくなることが多いが、不眠でよけいにセロトニンのような神経伝達物質が減るために、うつがいっそう悪くなることが多い。

 とくに良くないのは、眠れないからといってお酒を飲むことだ。アルコールはセロトニンを枯渇させるとされ、一般的にうつ病のときにアルコールを飲むとよけいに悪くなるとされている。さらに、深酒が自殺の決行の契機になることも珍しくない。

 あるいは、うつ病になって外出しなくなり、日光に当たらなかったり、気分が落ち込んで暗い部屋にいると、やはりセロトニンの分泌が悪くなると考えられている。

 あるいは、うつ病になると食欲不振になることが多いが、あっさりしたものばかり食べて肉類をほとんど取らないようだと、セロトニンの材料のトリプトファンというアミノ酸が不足してしまう。

 このようにうつ病というのは、悪循環を生みやすいし、放っておくとよけいに悪くなる要因が多い。そういう点で、うつ病の早期治療は大切だと訴えたかったのだ。

うつ病の薬の恐ろしい副作用

 実は、前述の記事では、薬を早く飲んで脳内のセロトニンを早めに戻しておかないと神経がどんどん縮んでしまうという説を紹介したし、今のうつ病の薬は、昔のうつ病の薬と比べて、ずっと副作用が少ないという話もした。

 そのときに、「今のうつ病の薬は、吐き気や食欲不振などの副作用がないわけでないし、たまにひどい興奮状態になってしまうという副作用も問題になっているが、そういう場合に、本人なり周囲が気づいてやめるということを知っていれば、やはり有益なことが多い」とも書いた。

 ただ、その後、思うところがあって、うつ病の薬について勉強し直すにつれて、この書き方はやはり誤解を招くと反省した。

 一番の問題は、この書き方では、うつ病も躁うつ病(現在は「双極性障害」というのが正式な病名である)も一緒くたにされることだ。

 確かに、躁状態のない典型的なうつ病の場合は、今のうつ病の薬(SSRI、SNRIなどと総称される抗うつ剤)で、ひどい興奮状態になったり、異常行動を起こす(これをアクチベーション・シンドロームと呼ぶ)リスクは少ないが、躁うつ病の人に今のうつ病の薬を使うと、かなりひどい興奮状態を起こす。そして、最悪の場合には殺人事件にまで発展する。

 1999年に起きた全日空機ハイジャック事件で、機長を刺殺した犯人は、この新しいタイプの抗うつ薬を服用していて、判決でそのことが考慮された。

 そのほか、川崎の男児投げ落とし事件、京都の学習塾女児殺害事件、ドンキホーテ放火事件など、かなりの数の有名事件で、SSRIと呼ばれる抗うつ剤を犯人が服用していることが明らかになっている。

薬が効かない人もいる

 SSRIの副作用が注目されるきっかけになったのは、99年に起こったアメリカのコロンバイン高校銃乱射事件だった(それ以前からも問題にする人は多かったが、一躍注目を集めたという点で)。

 とくに、この副作用は躁うつ病の人に出やすいとされるが、典型的なうつ病でも起こり得るとされるようになった。

 「本人なり周囲が気づいてやめるということを知っていれば」と書いたが、最初は薬が効いて調子がよくなっているという感じになるので、そううまくいくとは限らない。

 確かにそんなに多い副作用ではないのだが、万が一これに当たってしまうと、ひどい場合は、本人の人生がふいになってしまうし、それ以上に周囲に大きな犠牲を及ぼすことになる。ここまでひどい副作用でなくても、私が学生時代とか研修医の時代には、日本には躁うつ病のタイプは少なく、典型的なうつが多いとされていたのだが、今は、薬で躁や興奮状態になる人が思ったより多いことがわかっている。これが薬のせいなのか、躁うつ病が昔考えられていたより多いためなのかはわからないが、注意するに越したことはない。

 こういう激しい興奮のほか、うつ病の薬は、うつそのものは改善するのだが、逆に自殺のリスクは増やしてしまうことも問題になっている。うつは治りかけが危ないというが、薬そのものは悪くないのだろうが、めっきり落ち込んでいる状態から不安定な状態になったときに、自殺がどうしても増えてしまうようだ。

 薬は効く人には効くというのは精神科医としては実感しているし、実際6割くらいの人には有効だとされている(逆に4割くらいの人にはほとんど効かないということも知っておくべきだろう)。おそらく、薬が効くことで、脳の変性も食い止めることができるから、早期治療で脳の障害が少なくて済み、ほとんどダメージを受けない人もたくさんいるはずだ。

カウンセリングがお勧めだが、まだ十分な環境ではない

 だが一方で、激しい攻撃性や自殺のリスクがある以上、周囲がうつ病の薬は怖いことがあることを十分理解してきちんと観察しておかないと、取り返しのつかないことになる。

 そういう点で、薬の副作用が大したことがないような書き方をしたのを反省したし、今回の本ではそういうことに注意を促すようにも努めた。

 ただし、うつ病というのは、悪循環を起こしやすい病気だし、早期治療をしないと脳にダメージが起こるという仮説も長年の精神科医の経験からおそらく当たっていると思える。

 だとすると、薬以外の早期治療を考えないといけなくなる。

 一つはもちろんカウンセリングだろう。

 本欄「うつ病になりやすい思考パターンとテレビ問題」で紹介した認知療法という治療法は、アメリカでも有効性が確認されているし、厚生労働省も有効性を認めている。

 うつになりやすい思考パターンを変えていったり、必要以上に思いつめないで済むようにしたりしていくと、うつ病の人でも気持ちが軽くなることは少なくない。

 そういう形でうつが改善しても、おそらくはセロトニンの出はよくなるようだ。

 早めのカウンセリング、早めの認知療法をお勧めしたいが、まだまだそれらのトレーニングを十分に受けている人は多くないし、認知療法に本来必要なだけの時間をかけていると保健診療では赤字が出てしまうということもあって、実際には十分に受けるのは困難だ。

 臨床心理士や、保険のきかない自費のクリニック(私も行っている)でカウンセリングを受けるのが理想だろうが、金額的には高くついてしまう。

早めに生活リズムを改善する

 二つ目は、早めの生活リズムの改善だ。

 周囲の圧力を気にせず、ゆっくり休む、体を動かす、日光に当たるなど生活の改善は、すぐにうつが治るわけではないだろうが、徐々に本調子に戻っていくためには大切な手段だ。実際、薬が開発される前は、このやり方しか治す方法がないも同然だった。

 でも、それでかなりの人が治っていったのも事実なのである。

 これは、休みが必要かもしれないが、お金は大してかからない(休むことで大幅な減収になる人にとっては、実はものすごい費用になってしまうが)。

 三つ目は、電気や磁気による治療だ。

 電気治療というのはいわゆる電気ショックのことだが、これは昔から自殺念慮を劇的に改善することで注目されていた。

 私がアメリカ留学していた頃に、筋弛緩剤というのを使った無けいれん(電気ショックを受けてもけいれんを起こさない)の修正型電撃療法というものが確立され、アメリカでは高齢者には薬を使うよりこちらのほうが望ましいと習ったので、びっくりした記憶がある。

 これは日本でも、いくつかの大学病院で導入されている。

 入院が必要だが、保険もきくし、アメリカでは麻酔のテクニシャンがやるところを、日本ではちゃんと麻酔科医がつくので安全性も高い。

注目されるTMS治療、ただし保険はきかない

 電気ショックには抵抗があるし、入院する余裕がないという人に朗報なのが、TMS(経頭蓋磁気刺激)治療である。

 これは、安全性が高いうえに通いで治療を受けられるので、会社を休む必要もない。

 4割くらいの人にしか効かないのが欠点だが、害がほとんどないのも嬉しい。すでにアメリカの医薬品の認可機関であるFDA(米食品医薬品局)も認可している。人によってはかなり有効なようで、私の知り合いの脚本家は何十年ぶりかですっきりした気分のなったとのことだった。

 ただ、残念ながら、日本では保険がきかない。そのため1回4万円程度、大体20〜30回の治療が必要とされているので、相当な高額になってしまう。

 うつ病で仕事を失った人などのことを考えると安いに越したことはないが、うつで職を失う、休職を重ねるなどの逸失利益を考えると、ある程度お金を使ってもいいのではないかという気がする。

 私の自費のカウンセリングのクリニックも大して流行っていないので、愚痴になってしまうが、日本人はもっとメンタルヘルスにお金を使っていい気がする。

 少なくとも、薬の危険性を認識しながら、うつは早いうちに治したほうがいいと、改めて強調したい。実際、うつは自殺のリスクがものすごく高い病気だし、免疫機能も落として、がんになりやすくなるという説もあるくらいだから。

ここから続き

Posted by nob : 2013年09月12日 21:15