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自業自得、、、もはや退路なし。。。

■首相汚染水発言 現場を縛って苦しくした

 「状況はコントロールされている」と言えるか‐。東京電力は福島第1原子力発電所でトラブルが起きるたびに問われる。そこは少し曖昧にするしかない。

 この言葉は、福島第1原発の汚染水問題に関する安倍晋三首相の発言である。先月7日に開かれた国際オリンピック委員会(IOC)総会の場でのことだ。

 放射性物質に汚染された水は、事故を起こした1~4号基の原子炉建屋などの前の港湾内にとどまっており、外洋には放出されていない‐との意味だった。

 発言直後から疑問の声が上がった。真偽はともかく、発言があったこと自体の影響は大きかった。何があっても「汚染水はコントロールされている」ことが東電や政府の大前提になってしまった。

 首相の発言が東電や政府に苦しい弁明を強いることはまだしも、結果として現場を苦しめることになったとしたらどうだろう。どんな小さなミスにも一段と厳しい目が向けられることになった。

 福島第1原発の地上タンク1基から新たな汚染水漏れが2日に見つかった。

 結果、高濃度の汚染水がタンク脇の側溝を流れ、外洋に流出したとみられる。

 地上タンクの汚染水が外に漏れないように周囲に「せき」が設けられている。雨が降ると、ここにたまる。そこで放射性物質に汚染されることがある。その雨水もきちんと管理しなければならない。

 ところが、台風18号が襲来した先月15日に失敗があった。ポンプによる移送が間に合わず、せきから約5分間、汚染された水があふれる事態が起きたのだ。

 これを教訓に台風22号が接近した2日は、せきにたまった水の移送を急いだ。地上タンクに入れたのは良かった。だが結果として計算を誤り、水が入りすぎてタンクの天井からあふれた水が漏れた。

 出たのが高濃度汚染水だった。せきにたまった低濃度汚染水を回収するために高濃度汚染水を外部に出してしまった。しかも海に達した。皮肉な結果である。

 原子力規制庁は4日、東電の広瀬直己社長を呼び、現場での汚染水管理を徹底するように指示をした。社長が呼ばれて直接指示されるのは初めてのことだ。

 「できている」と首相が大見えを切ったため、東電は「できません」「難しいです」と言えなくなった。注意された社長から厳しい指示が下へ下へと伝わり、結果的に一番割を食うのは現場となる。

 東電任せにせず、汚染水問題で国が前面に出ることになったのは、2020年夏季五輪の東京誘致が背景にある。

 東電による汚染水管理の不備が相次いで明らかになり、海外からの批判が強まったためだ。先月3日に開いた政府の原子力災害対策本部で、政府が総力を挙げて汚染水問題に取り組むと宣言した。

 国内外の英知を集め、汚染水を完全制御するための課題や有効な対策を検討してまとめる。政府主導の取り組みは始まったばかりだ。実態に合わせた発言をしないとつじつま合わせに現場が苦しむ。

[西日本新聞]

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Posted by nob : 2013年10月05日 17:12