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昨今の若手営業恐るべし、、、私は中間?、もちろん先方には連絡を入れたうえでタクシーかな。。。

■イマドキ職場のギャップ解消法
高城幸司 [株式会社セレブレイン 代表取締役社長]

電車が止まって取引先に遅刻寸前!
「自腹タクシー」と「運転再開待ち」どちらが正解か

 あなたは、もし仕事での移動中に電車が事故などで止まったらどうしますか?復旧するまで「待つのが当たり前」と思いますか?そうして復旧を待つ人がいる一方で、せっかちな気質、責任感が強い人の中には「待てない」「待っていたら約束の時間に遅れてしまう」と、別の手段を探して、時にはタクシーに乗るなど自腹を切ってでも目的地に急ぐ人がいます。

 果たしてこうした場面に遭遇したとき、どちらの判断の方が正しいのでしょうか?今回は地下鉄が止まってアポイントに遅れそうになった2人の営業マンを例に、この問題を考えてみましょう。

「タクシーに乗ろう」VS「遅延証明書をもらおう」

「時間がない、アポイントに遅れてしまうからタクシーに乗ろう」

 そう言い出したのは、営業経験が豊富なGさん(35歳)。営業先への移動中に乗っていた地下鉄が、「○駅先で車両故障が起きた模様。運転再開まで当駅に停車いたします」と社内アナウンスがあった後、動かなくなったのです。

時刻は12時30分。次のアポイントは13時です。

「遅れたらまずい」

 Gさんはとっさにそう思いました。ここから目的地まで4駅。おそらく1000円ちょっと払えばたどり着ける距離です。タクシーに乗れば、アポイントに間に合う可能性は大いにあります(交通事情が悪ければ、無理な場合もありえますが)。そこで、Gさんは当たり前の判断をしたつもりで、隣に座っている同僚のOさん(25歳)に進言しました。するとOさんからは、こんな言葉が返ってきたのです。

「車両事故で地下鉄が止まってしまった旨を先方に伝えて、地下鉄が動き出すのを待ちましょう」

 Gさんは、想定外の回答にびっくり。一瞬、2人の間に微妙な空気が流れました。ちなみに、この2人が同じ目的地に向かっている理由は、Oさんの担当取引先にGさんがついていくことになったから。同僚といっても普段は別々の職場に勤務している間柄で、そんな2人が同じ取引先に向かっているのは『若手営業サポートプロジェクト』というものが社内で始まったためでした。

 ここ数年、2人が勤務する会社では若手営業の成長が遅い、と経営会議でも問題になっていました。そこで、

「ベテラン営業は若手社員の育成に関わること」

といったルールが営業部に役員から下りてきたのです。そこで半期ごとの目標管理上でも、30代社員は『若手営業のサポート業務』を記載するのが必須となり、Gさんは『新製品の営業サポート』を自分の役割と定めました。そして、目標管理シートには、

<若手社員の営業に同行し、新製品営業の模範となる行動を示して、成長の機会を提供する。頻度は週1回、対象は都内に勤務する入社3年以内の営業担当者>

と書きました。そこで、そんな自分の業務を遂行するため、Oさんの営業に同行して新製品の紹介を手伝おうとしていた矢先、遅延に巻き込まれたのです。

 ちなみに2人は別々のオフィス(営業所)に勤務しているので、面識はあるような無いようなという微妙な間柄。ゆえに先輩Gさんが車内で待つというOさんの判断を否定して「いいからタクシーで行くぞ」と押し切るのも微妙な状態です。ここは担当営業の判断を優先しようと地下鉄に乗ったまま待つことにしました。

 ただ、待つこと15分が経過しました。その間に駅員からアナウンスが流れて、

「現在、次の駅にも電車が停車しております。運転再開の目途はたっておりません」

とのこと。ただ、代わりの交通手段はタクシーしか思い浮かびません。Gさんは再びタクシーで向かうことを提案しました。すると、

「公共の交通手段が遅れたときには遅延証明書が発行されます。取引先に遅れたことを指摘されても、理由を明確に説明することができます。ただ、タクシーでは遅れを証明することはできません。だから待ちましょう」

と、説き伏せられてしまいました。遅延証明書とは、事業者が運行する列車・バスの遅延を公式に証明する目的で発行する証明書。東京の地下鉄では時間帯別に5分以上の遅延に対し、「遅延証明書」がwebサイトにアップされています。

 遅延により遅刻をした場合、この遅延証明書を所属する勤務先に提出することで、その遅刻が不可抗力によるものであることが認められ、遅刻をしていないものと見なすといった配慮をする職場が少なくありません。ゆえに、最近では遅延証明書が出れば、「自分は悪くない」と「遅刻するのは仕方がない」と勘違いする人もいるようです。

 ちなみに2人が乗っている地下鉄は15分以上の遅れが出ていますので遅延証明書がサイトにアップされるのは確実。最近は、1つの路線が複数の私鉄と相互に乗り入れするようになり、便利になった一方で、遠方の駅で起きた事故で全体の遅延を引き起こす状態が見受けられるようになり、遅延証明書が発行される機会も増えてきているようです。

 当方は世田谷の東急線沿線に住んでいますが、他の路線との乗り入れが開始したことで、埼玉県あたりで起きた事故の影響で電車が大幅に遅れ、出勤に支障をきたしたことが何回もあります。路線が長いの電車になると遅延が発生するのは、仕方ないのかもしれません。

仕事相手の遅刻「許さない」47.9%

“大人の反応”の裏にある不信感

 さて、そんな遅延によって遅刻しそうなOさんは鉄道会社のサイトを印刷して、

「『事故による遅延』と証明書も出ています。だから遅れたのは仕方ない」

と取引先に主張するつもりなのでしょうか。

 ただ、Gさんは、これまでの経験上、遅れるのはどんな理由であれ良くない、仮に会社の経費で落とせなくても自腹でタクシーに乗って急ぐべきと考えて行動する人。そもそもGさんは待つのが大嫌いで、営業として遅れることは彼のプライドからも絶対に許されないことです。そういう考え方をするようになったのは、若手営業時代に遅刻について「絶対に許されない、代わりの手段を探して死んでも遅れるな」と上司や先輩社員からキツく指導されてきたことが染みついているからでしょう。

 ちなみに最近は、10分以内の“プチ遅刻”を平気でする人が増えているようです。そんなプチ遅刻に関して、マイナビが行った調査(2012年9 月)によると、「友人の待ち合わせでの遅刻」を「許さない」と答えた人が15.6%という結果に。恋人との待ち合わせでも「許さない」は20.3%となり、圧倒的に「許す」が大多数であることが分かりました。ただし、仕事となると様子が変わってきます。「仕事相手」の遅刻に関しては、47.9%がが「許さない」と回答しているのです。仕事で約束の時間に遅れることは、その理由に関わらず、

・ルーズにしか思えない
・表面的には大人な対応はするけど、信用はできない

とマイナスのイメージを与える可能性が大いにあります。

 Gさんは、そうしたことも踏まえて遅刻は絶対にするなと徹底的に指導されてきたので、「遅れたら商談は終わり」くらいの意識をもっており、タクシーで一目散に客先へ向かおうと考えたのです。

 実際、こうした習性が染みついているベテラン営業はたくさんいるのではないでしょうか。確かに交通費でタクシー代が請求できない(あるいはしづらい)職場はたくさんあります。それでも、営業として自腹でもタクシーに乗ってしまう感覚。現代では、古い考え方なのでしょうか。

「自腹でタクシー」は
若手営業には考えられない手段?

 遅刻しても理由があるなら「問題なし」と運転再開を待ち続けるOさんの感覚が理解できないGさんですが、ついに電車が止まってから30分が経過。もはや耐え難い状態です。

「自分だけタクシーで先に行く」

とGさんが言い出そうとした瞬間に駅で運転再開のアナウンスが流れました。結局、時刻は13時過ぎ。ただ、再開を待ちきれずに降りた乗客は僅かで、待っている間、スマホをいじったり、寝てのんびりと時間をつぶす人ばかり。Gさんのように時間に追われることに苛まれていた人は見当たりません。

「自腹でもタクシーで客先に向かう営業スタンスは間違っているのだろうか」

 Gさんにとっては、そう自問自答したくなる時間となったようです。こうして運転再開すれば、あっという間に目的地。駅から歩いて5分で取引先に到着し、応接に通されてから、数分経つとお客様が入ってきました。

「事故で電車が止まったのなら仕方ないよ。災難でしたね。それより、今日はどんな話でしたっけ」

とOさんが謝ることもないうちに、お客様から質問が投げかけられました。するとOさんからGさんの紹介があって、新製品に関する説明がスタート。何の問題もなかったかのように商談は進行し、1時間後にはお客様のオフィスを出ました。

 そこで、GさんはOさんに対して、

「お疲れ様。1つ聞いてもいいかな。地下鉄の駅で待っていたけど、あれ以上運転再開が延びても待つつもりだったの?」

と尋ねてみました。すると、Oさんからはこんな回答が返ってきました。

「サイトで代わりの移動手段は探していましたよ。あと5分延びたら、バスを乗り継ぐつもりでした」

 いずれにしても、タクシーはOさんの選択肢に入っていなかったようです。ただ、冷静に対策を講じていたOさんに対して時代の変化を感じたようです。
まずは遅れる旨を伝えること

「タクシーに乗る」だけが正解じゃない

 さて、お客様に対して遅れないためにタクシーに乗って向かう誠意も大事ですが、本来であれば、遅れる旨を伝えるのが先決でしょう。ちなみにOさんは13時のアポイントを14時に変更する対処を済ませていました。その上で14時には間に合うためにどうすればよいか、別の交通手段と地下鉄の運転再開の可能性の両方を加味しながら、考えていたのです。一方でGさんはタクシーに乗れば遅刻は最小限の押さえられる…とだけ考えて、その他の選択肢は全く考えていませんでした。

 もちろん、おかれた状況によってどちらが正しいと言い切れないときもあります。ただ、どんな場面であったとしても、冷静に、無理なく、行動したOさんに対してGさんは学ぶべき点があるのではないでしょうか。

[DIAMOND online]

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Posted by nob : 2013年10月07日 20:03