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■冬の節電 「原発ゼロ」に早く終止符打て
酷寒の季節に大停電が起きれば、人命にかかわる恐れもある。政府と電力各社は、冬の電力安定供給に万全を期さなければならない。
12月2日から、冬の節電期間がスタートする。沖縄電力を除く電力9社は、無理のない範囲で節電を行うよう呼びかける。
全国の原発50基がすべて停止したまま、暖房などで電力消費の増える冬を迎え、再稼働の見通しも立たないための措置である。
停電を防ぐには、電力需要に対して3%以上の供給余力が必要とされる。火力発電所のフル稼働などで、全電力会社が最低限の供給力を確保できる見込みだが、3・0%の関西電力や3・1%の九州電力はギリギリの余力だ。
家庭やオフィスで、照明のこまめな消灯やエアコンの設定温度引き下げといった省電力に努め、寒い冬を無事に乗り切りたい。
発電所の故障で突然、電力不足に陥った地域に、余裕のある電力会社が電力を融通する体制を強化するなど、業界をあげて不測の事態に備える必要がある。
なかでも綱渡りの電力供給を強いられるのが北海道だ。北海道電力は全国共通の節電要請に加えて、12月9日から来年3月7日の平日午後4〜9時、管内の企業や家庭に2010年度比で6%以上の節電を要請する。
数値目標を設けた冬の節電は2年連続だ。その背景には、厳しい電力事情がある。
北海道電力の火力発電所12基のうち8基が運転開始から30年を超え、故障による停止が増えている。今年6月には120万キロ・ワット近い大規模な電源喪失が起きた。
北海道の今冬の余力は40万キロ・ワットしかない。北海道と本州を結ぶ送電線の容量は限られており、他電力から融通を受けられる電力も最大60万キロ・ワットにとどまる。大規模なトラブルが起きれば、供給力不足による停電が懸念される。
北海道は氷点下30度に冷え込む地域もある。停電で暖房機器が使えなくなれば、凍死の危険に直面する人も少なくないだろう。
道路の融雪や水道管の凍結防止ができなくなり、社会インフラがマヒする事態も心配だ。「原発がなくても電気は足りる」などと考えるのは楽観的すぎる。
北海道電力は泊原発3基の再稼働をめざし、原子力規制委員会に安全審査を申請している。
泊原発に限らず、安全性を確認できた原発から着実に再稼働し、原発ゼロの状況に終止符を打つことが求められる。
[読売新聞]
Posted by nob : 2013年11月29日 20:07