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彼の真意がどこにあれども、、、脱原発への影響力に期待。。。Vol.23

■来春の原発再稼働判断に影響あり!?小泉元首相の執拗な「脱原発発言」は安倍首相の不義理が原因なのか
歳川隆雄「ニュースの深層」

 小泉純一郎元首相の「原発即ゼロ」発言、その企図するところはいったい何なのか。いまなおよく分からない。安倍晋三首相の「不義理」に対する不満からきたものだという見方がある。

 そもそも安倍首相が2006年の自民党総裁選で圧勝し、第1次安倍政権を樹立できたのは、総裁選を前に当時の小泉首相が外遊先で「私は安倍さんに(1票を)入れる。小泉内閣の構造改革を推進し、一番理解してきた人だ」と語り、事実上の後継指名をしたことにある。その意味では、小泉元首相が第1次安倍政権の「生みの親」である。

 安倍首相は07年9月に体調不良もあって僅か1年で退陣し、5年間の逼塞を経て、昨年12月に再び首相の座に返り咲いた。第2次政権は小泉氏が介在してできたものではない。小泉氏の存在感は薄く、安倍氏はむしろ森喜朗元首相に配慮してきた。本来の師匠であり、後継指名したと密かに自任してきた小泉氏が安倍氏の不義理を不満に思っていたことは想像に難くない。

 小泉元首相は首相在任中、「小泉構造改革」の名の下に自民党を事実上ぶち壊した。それ故に小泉後の自民党歴代首相は「小泉」の後始末に悪戦苦闘し、第1次安倍、福田康夫、麻生太郎氏といずれも1年程度の短命政権に終わり、09年8月総選挙で小沢一郎代表代行が率いた民主党に政権を取って代わられた。小泉氏の作った綻びを繕うのに精一杯で、消化不良政権に終わったのだ。がしかし、小泉氏にはその自覚がない。

 ある意味、小泉氏は「天上天下唯我独尊」でナルシスト中のナルシストだ。したがって、安倍氏が師匠である自分を蔑ろにして、袂を分かった飯島勲元首相秘書官(政務担当)を内閣官房参与に起用したのは何事だとの思いがあったのではないか。「原発即ゼロ」発言は、そうした心情も多分に起因していると考えられる。小泉氏が安倍現政権の原発再稼働方針と真っ向から対立する発言を繰り返すのは、安倍氏からみれば師匠による弟子イジメに他ならない。

 もう一つの見方は、息子の小泉進次郎内閣府政務官の将来を考えたうえでの援護射撃ではないかというものだ。小泉元首相は、動物的勘ともいえる直感で物事を判断するタイプである。と同時に、政策より政局という政治家でもあった。05年8月の「郵政解散」がその典型である。

 自民党内に対立軸を作り出し、自分に敵対する勢力を「抵抗勢力」とした上で、それを顕在化させて世論を味方につける。それが奏功して、小泉長期政権をもたらした。加えて、脱派閥、というよりも派閥無視の閣僚・党役員人事を断行、世間から拍手喝采を浴びた。

 その経験則から来たのが脱原発アピールだというのである。脱原発をみすみす野党に取られてたまるものかという気持ちが根っ子にある。「安倍1強」の自民党内では、たとえ本音が脱原発であっても、声を上げることが出来ない。ましてや進次郎氏は復興担当政務官に就き、立場上、言うことが出来ない。であれば、俺が代わりに言ってあげようといったノリではないか。換言すれば、それだけ進次郎氏が可愛いのである。

 今すぐには現実性がないことを承知している。だが、小泉氏の動物的勘は、そう遠くない将来には脱原発の時代が到来すると教えているのではないか。そして、今のうちにそれを言い切っておけば、息子の将来に役立つと判断しているというのである。単なる親バカだという声が上がるのは、そうした見方からくるものなのだ。

 ただ、小泉氏の直感力は無視できない。来春以降の原発再稼働の判断時に、現在の株高・円安基調に異変が起こり、アベノミクスが色褪せるようなことになれば、「やはりあの時の小泉発言が潮目を変えたのだ」という事態が起こらないとは限らない。が、安倍首相は未だ小泉氏の「原発即ゼロ」発言に危機感を抱いていない。

[現代ビジネス]

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Posted by nob : 2013年12月16日 08:50