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■昭和な会社が強い
報・連・相(ほうれんそう)を禁止せよ
決断力のない上司が部下に求める無駄な作業

宇賀神 宰司
日経ビジネス編集記者

 日経ビジネス2月17日号の特集「昭和な会社が強い」では、平成になって流行した経営手法やIT(情報技術)にあえて背を向ける企業のケーススタディーを掲載した。

 社員間の円滑なコミュニケーションで組織力を高めると期待された「報・連・相(ほうれんそう)」もその1つ。IT化の進展や携帯、スマホの登場などコミュニケーションツールも増え、企業は益々、声高に「報・連・相」の重要性を叫ぶようになった。だが、目的を誤ると、思わぬ罠に陥る。

 「今、名古屋駅です。これから新幹線で戻ります」
「報・連・相」をあえて禁止している岐阜県の未来工業。「営業日報もムダだから廃止した」と語る山田雅裕社長

 出張先から携帯やスマホで上司に連絡を入れる。常に自分の居場所を上司に知らせるのはビジネスパーソンの基本。ごくありふれた光景に映るだろうが、こうした連絡を全社的に禁止しているのが岐阜県にある未来工業だ。

 「小学生ではあるまいに、なぜ、いちいち連絡をしてくるのか。通話料も無駄だし、かけてくる社員の時間はもちろん、受ける事務員の時間も無駄」とばっさり切り捨てる。

 それだけではない。数年前、同社では営業日報も廃止した。

 山田雅裕社長は「『どこどこを訪問してカタログを置いてきた』といった報告を書かれてもなんの参考にもならない」と廃止した理由を語る。

多くの職場で「報・連・相シンドローム」が起きている

 報告、連絡、相談のそれぞれ一文字目をつなげた「報・連・相(ほうれんそう)」。この“経営ワード”が世に広まるきっかけとなったのは1986年のこと。当時、山種証券の会長だった山崎富治氏が自身で実践した「ほうれんそう運動」の経験をまとめた書籍『ほうれんそうが会社を強くする』を出版、大きな反響を呼んだ。

 1986年は昭和61年。日本経済はバブルを迎え、日本企業の歯車はどこかきしみだした。そして平成に入り、バブルは崩壊した。業績が急降下するばかりではなく、社内からバブル時代のさまざまな問題が表面化してきた。

 この状況を乗り切るには、まずは社内の透明化を図り、バブル時代の膿を出した上で、社員の結束を強めるほかにない。大きな投資がなくとも始められる「報・連・相」に多くの企業が飛びついた。

 そして「報・連・相」はIT(情報技術)化の進展ともに進化した。パソコンとインターネットの普及によりメール、グループウエアなど情報共有のためのツールも発達した。さらにスマホの登場により、いつでもどこでも報・連・相が可能になった。

 だが、商店街の活性化事業を手掛けITネットワークに詳しい木下斉、エリア・イノベーション・アライアンス代表は「ITシステムを入れて「報・連・相」させればコミュニケーションが図れるというのは幻想だ」と断言する。

 木下氏は街の活性化事業などで外部と連携してプロジェクトを進めることが多い。ビデオ会議やSNS、クラウドサービスをフル活用して効率的に仕事を進めている。その木下氏が「報・連・相」を批判するのは、そもそも目的をはきちがえている管理職を多く目にしているからだ。

ccメールなんて誰も見てない

 木下氏は「昭和から平成になり景気が悪化すると、リーダーは『決断して失敗する』リスクを避け、決断を先延ばしするようになった。会議では部下に意見を発表させるが何も決断しない。『各部署に持ち帰ってさらに検討せよ』が結論でこれが繰り返される。会議のたびに上司は部下に『報・連・相』を求める」と多くの職場で目にした状況についてこう語る。

 さらに「会議がどんどん増えるので『報・連・相』は乗数的に増える。上司は部下に『報・連・相』を指示することが仕事となり、部下は『報・連・相』のための書類を作ることが仕事となる。『報・連・相シンドローム』と呼ぶべき状況だ」と指摘する。

 こうなると部下は疲弊して大変だと思うかもしれないが、実は、部下にとってもこの終わりのない「報・連・相」は楽な側面もある。「どうせ上司は中身を見ない。見たとしてもどうせやり直しを命ぜられる。ということは、報告さえすればいい」と考える。そして「あとは、いかに手を抜くか」のみを考える。以前の報告書をコピペしてちょっと文言を書き換える、または見栄えをよくして内容はあまり変えないなど小手先の「報・連・相」テクニックで乗り切れてしまう。

 あとは「ccメール攻撃」。取引先のやり取りなどで上司にccメールを送り、報告を済ませてしまう。

 「上司も『ccメールばかり来てうんざりだ』などと部下を非難する前に、まずは自分自身の振る舞いをチェックした方がいい」(木下氏)

社外との無用な「報・連・相」も排除

 未来工業の山田社長に「『報・連・相』も禁止、営業日報もない。それでは部下の動きが分からなくなってしまうのではないか」という質問を投げかけてみた。その回答は以下だ。

 「上司の仕事は部下の様子を観察して、話しかけるなどして情報を聞き出すことだ。昭和の会社はそれが当たり前だったし、それができない上司は仕事をしていないのと同じことだ」

 同社ではさらに3年前、すべての営業スタッフのパソコンを取り上げ、処分した。その数、83台。取引先との連絡でメールに頼ってしまう社員が目についたからだ。社内だけではなく、社外についてもできるだけ無用な「報・連・相」を排除する考えだ。

 住宅やビルなどの電気設備資材を製造する同社にとって、新製品を生み出す技術開発力こそが会社の命綱。そして、それは営業スタッフが取引先と交わす生の会話に多くのヒントが隠されている。

 そう考えるからこそ、同社ではあえて「報・連・相」を禁止しているのだ。

 「報・連・相」を提唱した山崎富治氏が会長を務めた山種証券はバブル崩壊後、含み損を抱えた有価証券を転売する「飛ばし」問題が発覚し、経営危機に陥った。そして山崎氏自身、その責任をとって92年に会長を辞任、93年には取締役を退いた。

 だが、「報・連・相」だけはその後、むしろ導入する企業が増えたように見える。

 安易に「報・連・相」を導入していないか。今一度、見直してみる時期に来ている。

[日経ビジネス]

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Posted by nob : 2014年03月07日 14:56