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■サポート終了目前のXP、世界シェアいまだに3割
調査会社の米ネット・アプリケーションズは米国時間2014年4月1日、2014年3月時点におけるデスクトップOSの世界シェアを発表した。4月9日にサポートが終了するWindows XPのシェアは27.69%だった。
デスクトップOSの世界シェアの推移(米ネット・アプリケーションズのWebサイトから引用)
同社によると、2014年3月時点で最もシェアが高かったデスクトップOSはWindows 7で48.77%。Windows XPがそれに続き、以下、Windows 8が6.41%、Windows 8.1が4.89%、Mac OS X 10.9が3.75%だった。
Windows XPのシェアは、2011年9月までは過半数を占めていたが、2011年10月に5割を切り、2012年8月にはWindows 7に首位の座を明け渡した。その時点でのシェアは、Windows 7が42.76%、Windows XPが42.52%。
以降、Windows XPのシェアは毎月少しずつ低下していき、その分、Windows 7やWindows 8がシェアを伸ばした。ただ、Windows XPのシェア低下は緩やかであり、サポート終了が間近に迫った2014年3月時点でも、いまだに3割弱のシェアがある。
(日経コンピュータ 勝村幸博)
[日本経済新聞]
■しぶとく残るウィンドウズXP、来週サポート終了 リスクは存続
まもなくざっと3億台のコンピューターが新たなセキュリティー上のリスクから守られなくなる。その中には浄水場、発電所、下水処理場や現金自動預け払い機(ATM)を動かすコンピューターも含まれる。
ソフトウエア大手のマイクロソフトは今月8日(米国時間)をもって、同社の基本ソフト(OS)「ウィンドウズXP」の更新プログラムの提供をやめる。このため、多くの政府機関のパソコンや産業設備を動かしているコンピューターの一部のセキュリティーホール(欠陥)がそのまま放置されることになる。
XPのサポート終了は8日がデッドラインということで、大きな話題にはなっている。しかしサイバーセキュリティー会社のクアリスによると、世界の政府や企業で使われているコンピューターの10%以上がいまだにXPを使用している。調査会社のネットアプリケーションズによれば、消費者のパソコンを含めると、XPを搭載するデスクトップ型パソコンの比率は全体の30%近くに及ぶ。
マイクロソフトは何年もの間、顧客に注意を促してきており、同社サイトにはカウントダウン方式の時計が掲載されている。その最終日が迫るなか、米国政府は電力など公益事業会社やその他の機関のITアドミニストレーターにOSの更新を促している。
マイクロソフト自身も5月にウィンドウズ7とウィンドウズ8の更新プログラムを提供する際、この問題へのさらなる対応を行う予定だ。ウィンドウズ 7と8はXPより新しいが、XPと似た設計を持つ。同社がウィンドウズ7、8向けに提供する修正プログラムは、修正が提供されないXPの潜在的な弱点をハッカーに指し示す公算が大きい。
ゼネラル・エレクトリック(GE)のインテリジェント・プラットフォームズ部門で自動化ソフトウエアの責任者を務めるマーク・バーナード氏は、「タイヤの側面に今にもはじけそうな大きな気泡があるような状態だ。問題ははじけるかどうかではなく、いつはじけるかだ」と述べる。同社は発電所の電流から工場の組み立てラインまで、あらゆる管理に使う産業用制御システムとソフトウエアを販売する。
バーナード氏によれば、同氏の顧客の30〜35%は依然としてXPを使っている。同社は過去1年にわたって、顧客をウィンドウズ7.1に更新させようとしてきた。ウィンドウズ7.1は4年前にリリースされた。同氏によれば、更新に最も後ろ向きなのは浄水施設と下水処理施設で、費用が理由だという。ウィスコンシン州メリルの公益事業会社がウィンドウズ7.1に更新するのには、1台700 ドル(約7万3000円)の費用がかかった。これにはハードウエア代が含まれる。
金融機関が保有する21万1000台のATMの約95%はXPの一種を搭載する。ただし、3月に国土安全保障省が出した通達によると、この一部はマイクロソフトが16年までサポートを提供する特有のバージョンを搭載している。このほか、ガソリンスタンドなどの独立した企業が21万台のATMを保有する。
大手金融機関の幹部によると、大手金融機関は問題を最小限に抑える方策を取っている。この方策の一つは、ATMに新しいソフトウエアがアップロードされるのを防ぐソフトかもしれない。セキュリティー専門家が「ホワイトリスト方式」と呼ぶ手法だ。
シティグループの広報担当者は、「シティバンクはATMをウィンドウズXPから移行させる作業に取り組んでいる」と述べ、「この移行の間、ATMを保護し続ける方策を取っている」と話した。他の大手金融機関も似たようなことを述べている。
企業がOSを更新したがらない理由の一つは、その複雑さだ。とりわけ、一部の古いATMの更新には、実際にその設置場所まで赴く必要があるからだ。米国や世界のATM市場で30%のシェアを持つと言うNCR社の企業ソフトウエア担当責任者、ロバート・ジョンソン氏は、「それはデスクトップパソコンを更新するほど簡単ではない。ATMの更新は別次元の話だ」と述べる。
ハッカーは長年にわたり、保護されていないソフトを利用して現実の世界に被害をもたらしてきた。セキュリティー会社カスペルスキー・ラボの首席セキュリティー研究員によると、XPの脆弱性はウイルス「スタックスネット」が悪用した脆弱性の一つ。スタックスネットは2010年にイランのナタンツにある核濃縮施設の遠心分離器を破壊したと報じられている。
セキュリティー会社シマンテックの研究員によると、昨年春に韓国のATMやその他のシステムをダウンさせたハッカーらは、XPを標的とした悪意のあるコードを少なくとも1つ使っていた。
米国政府は起こり得る物理的被害への注意を促そうとしている。環境保護局(EPA)が12年に米国の公益事業会社に宛てて出した通達には、オーストラリア・クイーンズランド州のコンピューターシステムのセキュリティーが破られた結果、26万4000トンの下水が小川や公園に流出したと書かれている。この通達によると、あるハッカーは06年にインターネットを使ってペンシルベニア州ハリスバーグの水処理施設のセキュリティーを破った。EPAによれば、このハッカーはこの施設の水処理作業に影響を与える能力を持つ悪意のあるソフトを植え付けた。EPAはどちらについても、セキュリティーが破られた OSの種類を特定していない。
XPはマイクロソフトが01年にリリースしたが、いまだに多く使われているため、ハッカーにとって魅力的なターゲットであるほか、サイバー攻撃に対して脆弱なことが知られている。マイクロソフトの広報担当者は、「このOSを引退させる中核的な理由があるとすれば、それはセキュリティーの問題だ」と話している。
[THE WALL STREET JOURNAL]
Posted by nob : 2014年04月03日 11:32