« そもそもお腹など一部分に視点を置くことがナンセンス、、、食事・運動・生活習慣のトータルバランスが美しい心と身体を創っていく。。。 | メイン | 言い得ています、、、食生活とは「食べてイキイキ(生き活き)」大切にしたい。。。 »

ミネラルウォーター以外はすべて嗜好品、、、チェイサーを脇に美味しくいただきましょう。。。

■何でも飲み過ぎは体に毒?

笠井奈津子
栄養士、食事カウンセラー

コーヒー、トクホ飲料好きな人の飲み方のルール

「いやー、なんか、痙攣が止まらなかったんですよ。で、めまいもひどいし。ネットで症状を調べていたら、コーヒーの飲み過ぎだってことがわかって!やめたら本当にすっかり良くなりましたよ」

 先日、知人が笑いながらこんな話をしてくれた。

 この文脈だけを見るとなんだかコーヒーが悪者みたいに見えるかもしれないが、「毎日2リットル近く水代わりに飲んでいた」と聞いておもわず、「そりゃそうだ!」と突っ込んでしまった。でも同時に、「胃がすごく丈夫なんですね!」と感心もしてしまった。

 食事をする、ということに対して「お腹を満たせれば良い」という人は少なくない。時間がない、という理由もあるだろうし、仕方がない部分もあるかもしれない。でも、水分補給に関してまで、「咽と乾きを潤せれば何でもよい」となったらそれはまずい。

 飲み物は、同じような価格帯の中で、同じお店で手にするものをチェンジすれば、体への影響が改善できるなど、食べ物に比べてとてもお手軽である。そこで今回は、これから水分摂取が増えていく季節を前に、今一度飲み物について考えてみたい。

体の水分が20%失われれば生命の危機に!
生きるために欠かせない飲み物

 どんな飲み物を口にするかは、その人の健康をも左右する。なぜならば、体内にもっとも多く含まれ、かつ、酸素とともに生命維持のために必要不可欠なものは、間違いなく水だからだ。だからこそ、汗を多くかけば尿量が減ったり、水分を多く摂れば尿量が増加したりと、常に一定に保たれるように調整されている。

 コーヒーやビールなどの利尿作用が高い飲料を日常的に“大量に”口にするようになると、当然尿量は増えるが、そもそも、正常とされる1日の排尿回数は4回~8回程度とされている。1日に10回以上トイレに行くような場合は、水分のとりすぎや利尿作用の働く飲み物の飲み過ぎが考えられる(もしもその心当たりがない場合には、腎臓系の疾患や糖尿病など、病気の可能性もある)。また、運動量が多く、排尿回数が少ない、というのであれば、もう少し水分補給を積極的にする必要がある。

 すごく当たり前のことすぎてピンとこないかもしれないが、意識してほしいのは、出納のバランスが崩れれば、その調整のために体に余計な負担をかけることになる、ということだ。ただでさえハードな毎日、ただでさえ乱れた食生活…なのであれば、それ以上の負担はかけないに越したことはない。

 たとえば、体重の約1%の水分が失われれば“喉が渇く”ように、体は自然と水分が不足しないように働く。もしも10%ほど失われてしまうと、筋肉の痙攣や意識の混乱が起き、腎機能は機能しなくなり、20%以上が失われようものなら、それはもうダイレクトに生命にかかわってくる。日常においてはこのような事態にまで及ばないはずだが、それくらい大切なものなのだ、ということは認識しておきたい。

 なぜなら、体内の水分は、血液、細胞内液、リンパ液、皮膚、筋肉、臓器など、あらゆる部分に分布していて、栄養素など多くの物質を全身に運ぶためにも欠かせない存在だからだ。

お茶、ジュース、トクホ飲料に含まれる
水以外の成分に要注意!

 そして、栄養素の代謝は体液の中で行われている、ということを忘れてはいけない。栄養素は、体の中で、水に溶けた状態で消化吸収、運搬されている。中性脂肪のように、水に溶けないものもあるよね?と思うのだが、それもまた、水と油の両方になじむ胆汁のサポートによって、結局は水に溶ける。そして、水に溶けた栄養素に消化酵素が作用することによって、栄養素は水と反応して分解される。米や芋などに含まれるでんぷんがブドウ糖などに分解されるのは、この作用、加水分解によるものなのだ。

 同時に、不要になった栄養素は体液に溶けて細胞外に出て、血液によって腎臓に運ばれて排泄されている。女性の場合、エステやマッサージに関連してよく耳にしたりしているであろうリンパ液。リンパ液は古い細胞や老廃物や脂質を運搬してくれているから、「マッサージするときは、リンパの方に流してくださいね~。そうすると、体の老廃物が流れてキレイになりますよ~」なんて美容部員のお姉さんが言っているのは本当のことなのだ。

 体のために良いものをインプットするにも、悪いものをアウトプットするにも、水が必要不可欠な存在であることは間違いない。

 そして、そのためには、やはり、「咽を潤せれば何でも良い」という発想で飲料水を選ぶのではなく、日常的に、色がついていない、普通の水を口にすることが大事なのだと思う。

 お茶やジュースに含まれる成分には、良いものもたくさんある。トクホ飲料などは魅力的な機能成分を多く含むものもある。ただ、その分、消化吸収するために手間がかかるものもあるし、刺激物となったり、メタボの素になるものが大量に入っていることだってある。どんなものでも食べ過ぎれば毒になるように、どんなものでも飲み過ぎは良くない。1日に口にする飲料水の中で、水以外のものが大半を占める、というのはできるだけ避けるべき習慣といえる。

寝る前の「コップ一杯の水」が
翌日の仕事のパフォーマンスを変える!?

 ところで、睡眠前にはよく「コップ一杯の水」を勧められるが、これは、仕事のパフォーマンスを上げることにも関係する。睡眠中は体温を調節するためにコップ一杯分の汗をかいている、と言われるが、眠りにつくと発汗が始まり、明け方にはもっとも少なくなるとのであまり自覚がないだろう。でも、良質な睡眠をとるためには、こうして汗をかくことが大事なのだ。

 でも、風呂上りの脱水状態のまま、水分をとらずに寝てしまうと、十分な汗をかくことができないので、睡眠の質を下げることになってしまう。そうなると、夜のうちにリカバリーできず、翌日に疲労感を持ち越してしまうことにもなりかねないのだ。

 また、デスクにおいてある飲みかけのペットボトル、もしくは、仕事用鞄に入りっぱなしになっているペットボトル。それは何時間前にあけたものだろうか。男性で、ペットボトルにストローをさして飲んでいる人、というのはあまり見かけないが、15度から30度くらい、つまり、今時期の室温に、一度開封して口をつけたものをおいておくと、2時間ほどで雑菌が増え始めるらしい。しかも、スポーツドリンクよりも、保存料無添加の麦茶の方が細菌の増加が早かった、というショッキングなデータもある。

 時間をかけて飲むのはどうしたってお茶類になるだろう。すぐに食中毒に結びつくようなことではないが、安いから、とビッグサイズのボトルを買って、面倒だから、とコップを出さずにぐびぐびと飲むようなことは慎んだ方が良いだろう。

 ちなみに、ストローで飲むのは上品ではあるものの、衛生面から言うと、一度口と接触した飲料が再びペットボトルに逆流したり、唾液が入ってしまうこともあるので、口をつけて飲むのと大差ない、と心得ておこう。

 余談だが、私たちが飲み残した飲料水は下水処理場などを通して川や海に流れる。もちろん、そのまま流していては水中で暮らす生物たちを苦しめることになるわけだが、たとえばどの程度薄めれば魚たちが住めるようなレベルになるのかを解説した冊子を見てみた。すると、ジュース1杯(180ml)で浴槽10杯分、味噌汁1杯(200ml)で浴槽4.7杯、ラーメンの汁(500ml)で浴槽3.3杯分…だという。すごい量の水の量が必要なのだ。

 体のために、と思って飲み残すことは、地球のためにはなってないことは明らかである。出されたものはちゃんといただき、自ら選ぶときは、体のために飲む、ということを大切にしていきたい。

[DIAMOND online]

ここから続き

Posted by nob : 2014年05月12日 21:10