« また旅立つ君へVol.36/己のなかにすべてがあり、、、すべてのなかに己がある。。。Vol.3/諸行は無常だからこそまたみな至上。。。 | メイン | ミネラルウォーター以外はすべて嗜好品、、、チェイサーを脇に美味しくいただきましょう。。。 »

そもそもお腹など一部分に視点を置くことがナンセンス、、、食事・運動・生活習慣のトータルバランスが美しい心と身体を創っていく。。。

■中野ジェームズ修一が熱血指導! 『ぽっこりお腹解消メカニズム』
運動は“頑張らない”ほうが脂肪が燃える!?

中野ジェームズ修一
フィジカルトレーナー

「腹筋でお腹は凹むの?」「バランスボール、断食、サウナはダイエットに効くの?」……メタボが気になる中年男性の“ぽっこりお腹”を解消すべく、卓球の 福原愛選手など日本を代表するトップアスリートの指導も行うパーソナルトレーナーの第一人者、中野ジェームズ修一氏が熱血指導する!

 暖かくなったことをきっかけに、ダイエットを目的にしたウォーキングやランニングを再開された方は多いのではないでしょうか。

 調子が良いときは「ラストスパートで倒れるところまで頑張ろう」「今日はいつもよりペースを上げて追い込もう」などと思うことがあるでしょう。それ自体は決して悪いことではありませんが、「脂肪燃焼」のことを考えると、効率的とは言えないのも事実なのです。

 人間は安静にしているときでもエネルギーを消費していますが、実は運動をしていない状態だとエネルギー源のおよそ8割を「脂質」から得ています。一方、これがウォーキングになると、もちろん強度にもよるのですが、脂質がエネルギーとして使われる割合は約5割程度に減少します。

 ただ、ウォーキングをするより座っているだけのほうが、脂肪が多く燃焼するということではありません。

 少々細かい計算をしてみます。一般的な成人男性が1日で消費するカロリーは約1800kcalとされています。そのうちの約8割が脂質でまかなわれていますので、1800×0.8=1440kcalの脂質が1日で使われていることになります。これをさらに24で割って出てくる60kcalが1時間あたりに消費される脂質のおおよその値。体脂肪は1gあたり約7.2kcalですので、60を7.2で割った「8.3(g)」が安静状態でも1時間あたりに燃焼する脂肪量となります。

 では、ウォーキングの場合はどうなるのかも確認してみます。体重にもよりますし、当然のことながら個人差がありますが、一般的な数字で計算してみましょう。30代、体重65kg程度の成人男性が、時速5.4km(分速90m)ほどの速度でウォーキングをしたとします。1時間そのスピードでウォーキングをした場合、約339kcalのエネルギーを消費します。前述したようにウォーキング時に脂質が使われる割合は約50%ですので、1時間で約170kcal 分の脂肪が消費されることになります。これを先ほどと同じように7.2(体脂肪は1gあたり約7.2kcal)で割った「23.6(g)」が1時間のウォーキングによって燃焼する脂肪の量です。

 1時間で燃焼する脂肪量は安静時が約8.3g、ウォーキング時が約23.6g。ウォーキングをしたほうが安静時よりも脂肪燃焼量が多いことがはっきりと分かりましたね!

脂肪を効率的に燃焼させるカギは「心拍数」

 しかしどんどんスピードを上げていけばより多くの脂肪が燃焼するかというと、そういうわけではないのです。脂質をエネルギーとして消費する割合は安静時が約8割、ウォーキング時が約5割でしたが、ランニング、ダッシュになると、約3割、約2割と減っていってしまいます。消費カロリーは上昇しても脂質が使われる割合が低下し、どこかの時点で「速度を上げないほうが脂肪が燃焼するポイント」が現れるわけです。

 無駄なく効率的に脂肪を燃焼させるには、脂肪燃焼に適した強度でウォーキングやランニングを行うことが重要です。脂肪燃焼に適した強度とはどのくらいか、そして強度をキープしながら運動するにはどのようにしたら良いのでしょうか。

 そのカギとなるのは「心拍数」です。

 220から年齢を引いた数である程度推測できるとされている「最大心拍数」から安静時の心拍数を引いて0.6〜0.8を掛け、そこに安静時の心拍数を足した数字が、最も脂肪燃焼効率が高い心拍数とされています。ダッシュなどをして心拍数を上げ過ぎると心肺機能や持久力の向上には良いのですが、脂肪燃焼効率は低下します。逆に心拍数が低過ぎる場合も、脂肪燃焼に適した状態とはいえません。現在は心拍数が計測できるタイプのランニングウォッチが数多く売られていますので、これらで心拍数を計りながらウォーキングやランニングを行うと、効率良く脂肪燃焼を目指すことができるでしょう。

 心拍数を計測する機器がない場合は、「ややきつい」「息がはずむ」程度の強度を目安として下さい。「人と話ができるかできないか」くらいが脂肪燃焼効率が高い状態だといえます。肩を使ってぜいぜいと呼吸をするような強度だと心拍数を上げすぎていて、余裕でおしゃべりをしながら運動している状態は心拍数が低過ぎる状態です。

「EPOC」って何?

 効率的な脂肪燃焼を目指すうえで心拍数とともに知っておいてほしいことに「EPOC(運動後過剰酸素消費量)」があります。

 EPOCとはExcess Postexercise Oxygen Consumptionの略で、運動直後にカロリー消費効率が高くなる状態のことを指します。筋力トレーニングや有酸素運動をしたあとは、運動から生まれた代謝産物の処理、脂質の代謝の高進、筋肉の合成などが行われ、これが運動強度にもよりますが、約1時間半〜2時間ほど続きます。この間は普段よりも脂肪燃焼量が高い状態となります。

 逆にこのEPOCのときに座ったり横になったりして休んでしまうと、脂肪燃焼量が下がってしまい、せっかくの脂肪燃焼量が高い状態が有効活用できません。運動を頑張りすぎて家に帰ったらソファやベッドですぐに横になってしまうのは、脂肪燃焼効率を考えると非常にもったいない状態なのです。

 筋力アップや心肺持久力の向上が目的ではなく、あくまで脂肪燃焼を第一に考えると、動けなくなるほど追い込む必要はありません。余裕がある状態で運動を止め、EPOCの時間を有効に使ったほうが効率的ですし、追い込みすぎないほうが翌日もやろうという気持ちが続くものです。

 “EPOCの有効活用”といっても、それほど難しく考える必要はありません。例えば出勤前にランニングやトレーニングをした場合、通勤電車の中で立っていれば、それだけで十分です。出社の前に30分くらい運動をする。その後シャワーを浴びて家を出て、電車の中で立っている。駅からオフィスまで歩けば、デスクワークを始めるころにはEPOCが終わっています。電車で座れないことがラッキーだと思えれば、気持ちもポジティブになるはずです。

 仕事のあとにジムに行く方であれば、帰りの電車で立っていれば良いですし、ジムが家の近くなのであれば、少し遠回りをして歩いて帰るというのも良いでしょう。

 休日に運動をする方なら家族が寝ている間にランニングに出掛け、帰って来てEPOCの間に掃除や洗濯などの家事をすれば、脂肪燃焼効率だけでなく奥様からの評価も上がるのではないでしょうか(笑)。

 脂肪燃焼を考えた場合、頑張りすぎないで運動を継続することが大切です。運動経験者ほどついつい追い込みがちですが、張り切りすぎずに運動を楽しんでいただければと思います。

(取材/神津文人)

[日経トレンディーネット]

ここから続き

Posted by nob : 2014年05月11日 05:01