« 何がベストかは人それぞれ、、、一食で栄養のトータルバランスをコントロールできる人ならば悪くはないと思います。。。 | メイン | なるほど、、、日本なのですし「こんにちは」ですね。。。 »

現状の延長線上の未来は暗闇、、、私達一人一人の意識と社会構造の変革を図る分だけ明るい未来を築いていける。。。

■6割の人が「日本の未来は暗い」――
日本人は日本の将来像をどのように描いているのか

出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長兼CEO]

 内閣府は、10月20日、「人口、経済等の日本の将来像に関する世論調査」の結果を公表した。調査項目は大きく4つに分かれているが、なかなか面白いのでその概要を紹介してみたい。

「日本の未来は暗い」が60%
しかし、成長派が56.6%もいる

 50年後の日本の未来は、現在と比べて明るいか、それとも暗いのか。「暗いと思う」が60%、これに対して「明るいと思う」は33.2%だった。ほぼダブルスコアである。そうであれば、これからはできるだけ「元気の出る」明るい政策を打ち出していかねばなるまい。「病は気から」という言葉もあるのだから。

 目指すべき社会像をたずねると、「穏やかに成長・発展を持続する社会 42.8%」、「成長・発展を追求する社会 13.8%」と成長派が 56.6%を占めた。市民はしたたかだ。加えて、「現在程度の水準を維持した社会 14.3%」、「縮小しながら一人当たりの豊かさの保たれた社会  25.4%」という結果を見ると、暗いと見る人が60%を占める割には、市民の意識は健全かつとても建設的であるように思われる。そうであれば、例えば、「一人当たりのGDPを穏やかに維持・向上させる」などといった政策には、誰も反対しないのではないか。

 一方で、自身の将来については、「不安を感じる」が69.0%、「不安を感じない」が30.2%で(高齢者よりも)むしろ50代(79.9%)や40代(77.1%)の世代で不安感が目立つ結果となっている。

 では、不安感の要因は何かとたずねると(複数回答)、「自分や家族の健康状態の悪化 50.3%」、「大地震などの大規模な自然災害の発生  47.9%」、「社会保障や教育などの公的サービスの水準の低下 42.1%」がトップ3を占め、続いて「雇用状況の悪化 35.7%」、「国や地方の財政状況の悪化 34.8%」、「所得や資産の格差の拡大 33.3%」、「自然や環境の破壊 32.2%」、「日本経済の停滞、衰退 31.3%」となった。自然災害が2位につけたことには少し驚いたが、近年自然災害が多発していることに鑑みれば、宜なるかなであろう。ここからは、健康寿命を伸ばす政策や社会保障などのサスティナビリティを高める政策が重要であることが確認されよう。

「人口減少は望ましくない」が94.3%
市民の危機感の高まりが急速に広く浸透

 人口減少に対する意識については、実に94.3%が望ましくないと答えている。これは正直嬉しい意外さだった。その内訳を見ると「増加するよう努力すべき 33.1%」、「現在程度の人口を維持すべき 18.6%」と合わせて51.7%が、維持・向上を訴えている。次いで「減少幅が小さくなるよう努力すべき 23.5%」、「(望ましくないが)仕方がない 19.1%」であった。この結果は予想外で、人口減少に対する市民の危機感の高まりが急速に広く浸透していることが窺える。

「政府は総人口に関する数値目標を立てて人口減少の歯止めに取り組んでいくべき」という考え方についてたずねると、「大いに取り組むべき  41.1%」、「取り組むべきだが、個人の出産などの選択は尊重する必要がある 34.3%」合わせて75.4%となり、個人の選択を尊重するのであれば、人口政策には大いに取り組むべきというのが市民のコンセンサスに近いように思われる。なお、「個人の出産などの選択は尊重し、そうした取組は必要最低限であるべきである 18.3%」、「そうした取組は不要である 4.1%」であった。

 少子化が与えるマイナスの影響で特に重要だと思うことを複数回答してもらうと、「(年金負担など)社会保障 72.0%」、「(労働力人口の減少など)経済活力 53.1%」、「(子育て負担など)家庭生活 37.3%」、「(過疎化の進行など)社会の活力 35.3%」が上位を占めた。

「子どもを生み,育てることによる負担は社会全体で支えるべき」という考え方については、「賛成 92.3%」ともはや完全に社会に定着したと思われる。この結果もやや予想外であった(もう少し保守的かな、と考えていた)。

 少子化対策に関して、特に期待する政策をたずねると(複数回答)、「仕事と家庭の両立支援と働き方の見直し 56.0%」、「子育て・教育における経済的負担の軽減 46.6%」、「子育てのための安心、安全な環境整備 43.6%」、「生命の大切さ、家庭の大切さといった価値の伝授  40.9%」、「子育て世代の所得・雇用環境の改善 40.3%」、「地域における子育て支援 37.8%」、「妊娠・出産の支援 37.2%」が上位の項目を占めた。

 高齢者に対する社会保障給付のための国民負担をどうするかという設問については、「高齢者と若い世代に対する政策はともに抑制すべきでなく、国民の負担の増加は止むを得ない」とする大きな政府派が29.0%と首位を占めたことが注目される。次は、「若い世代に対する政策を拡充する一方、国民の負担の増加を抑えるために高齢者に対する政策は抑制すべき」という若者へのシフト派が23.5%、「高齢者と若い世代に対する政策はともに抑制し、国民の負担の増加を抑えるべき」という緊縮財政派22.8%であった。

 なお、「高齢者に対する政策を拡充する一方、国民の負担の増加を抑えるために若い世代に対する政策は抑制すべき」という敬老派は16.5%であった。面白いことに、敬老派は20代(21.4%)、30代(19.7%)で多く、70代(11.9%)、60代(15.7%)で少ないことである。わが国は若い世代に対する政策が相対的に遅れており、例えばGDP比でみると、先進国の3分の1程度であるというファクトが十分市民に周知されているのだろうか。

「働くのは65歳まで」は22.4%と少数派
生産年齢は20歳~70歳に再定義すべき

 経済の成長・発展や人の活躍のあり方について、まず50年後の日本の一人当たりの所得水準の順位(2012年は先進諸国中第10位)をたずねると、「上がると思う 17.6%」に対して、「下がると思う 53.9%」、「現在と変わらないと思う 20.9%」という結果が得られた。10位から更に下がるというのは、ちょっと寂しいものがある。

 では、(下がらないように)国際競争力を強化するために何が重要だと思うか、という問いに対しては(複数回答)、「世界に通用する人材を育成するための教育改革 61.6%」、「独自の技術を有する中小企業への支援 45.8%」、「労働者の能力開発 41.0%」、「科学技術の振興  32.4%」、「企業や個人の意欲を活かせる規制改革 29.7%」がトップ5を占めた。人材と技術が鍵を握っているというのは十分首肯できるところである。

 人口が減少した場合、日本経済の活力を維持していくための対策については、「女性が働きやすい環境をつくる 60.8%」、「子どもを産みやすく、育てやすい環境をつくる 60.2%」、「高齢者が働きやすい環境をつくる 59.1%」と、女性・子ども・高齢者を頼りにする意識構造が浮かび上がった。なお生産性の向上を指摘したのは26.8%、外国からの労働者の受け入れを指摘したのは11.8%にとどまった。

 次いで、生産年齢に対する意識をたずねると、「65歳未満 6.7%」、「65歳 15.7%」と65歳までは合わせて22.4%にとどまった。一方で、「66~69歳 30.3%」、「70~74歳 12.3%」(74歳までが合わせて42.6%)、「75歳以上 2.3%」、「年齢で一律に捉えるべきではない 32.3%」という回答が得られた。生産年齢は通常15歳以上65歳未満と設定されているが、上述した市民の意識は既に20歳~70歳(もしくは75歳)のゾーンに移行していると思われる。そうであればわが国は、20歳~70歳を生産年齢人口と再定義を行った上で、すべての政策にそれを反映させるべきではないだろうか。

コンパクトシティは反対が64.0%
推進には住民感情への配慮が必要

 今後の地域社会のあり方について、まず居住地である地域の将来に対する意識をたずねると、「不安を感じる 46.8%」、「不安を感じない  51.9%」とほぼ拮抗している。将来の不安要素は(複数回答)、「地域を支える担い手の不足 55.7%」、「商店街などのまちの中心部のにぎわいの喪失 48.0%」、「医療・介護施設の不足 38.4%」、「地域を支える産業の衰退 34.2%」、「就職する機会や職業の選択肢の減少  32.4%」、「地方公共団体の行政機能の低下 30.3%」の順となった。

 次に東京一極集中については、「地方から東京への集中は望ましくない 48.3%」、「地方から東京への集中は、現状程度が望ましい  15.7%」、「地方から東京へさらに集中するのが望ましい 2.3%」、となった。その一方で「居住地は自ら決めるべきであり、いずれでもよい  31.2%」という結果となった。居住地は自ら決めるべき(いずれでもよい)と回答した人が約3分の1いることが注目される。

 都市に居住している人に地方への移住の意向をたずねると、「移住してもよいと思う 39.7%」、「思わない 59.4%」となった。答えた人の移住条件(複数回答)は、次の通りである。「教育、医療・福祉などの利便性が高いこと 51.1%」、「居住に必要な家屋や土地が安く得られること  48.9%」、「買い物などの生活の場や文化イベント、趣味の場などが充実していること 42.6%」、「移住に必要な情報提供などの自治体の支援があること 35.3%」。

 地域が活性化するために特に期待する政策についてたずねると(複数回答)、「多様な世代が共に暮らせるための福祉、医療の充実 45.5%」、「地域に雇用を生み出す新産業の創出 42.6%」、「安心して住み続けるための防犯、防災対策の充実 37.7%」、「商店街の活性化対策や、まちなかの居住環境の向上などの中心市街地の活性化 37.2%」の順となった。

 地域を維持・活性化させるための方法としてのコンパクトシティ(居住地を中心部に集約)については、意外に不人気で、賛成が29.8%、反対が 64.0%にのぼった。しかし、コンパクト化が進み(残された自宅周辺に)病院などが不足した場合には、「中心部への移住を考える 48.8%」、「考えない 48.0%」とほぼ同数となった。人口減少社会にあっては、コンパクトシティのコンセプトそのものは正しいと思うが、その推進に当たっては、こうした住民感情に十分配慮することが望まれよう。調査は以上であるが、とても興味を引いた。

(文中、意見に係る部分は、筆者の個人的見解である)

[DIAMOND online]

ここから続き

Posted by nob : 2014年10月29日 09:09