« 言い得て妙。。。Vol.23/言語は「心の声」、、、語学力は、自らの言葉で話して、そして書いた分だけ身に付いていくもの。。。 | メイン | 何者にもならず、何処にも属さず、何も遺さない、、、近しいスタイル私の自然発生的漂流生活もはや二十有余年。。。Vol.3 »

もはや五十にして初めて立つ、、、他人の瞳に映る幻想の自身との別離から。。。

■<サラリーマン>「こころの定年」どう克服?

 若いころにがむしゃらに働いたサラリーマンが40歳前後で先が見え始め、組織で働くことの意味に悩み始める。現役サラリーマンで評論家の楠木新さん(60)は、そんな状態を「こころの定年」と名づけ、会社人間だけではない、もう一つの自分を持つことを勧めている。

 10月中旬。大阪市中央区のビジネス街にあるビルの一室で、楠木さん主催の「こころの定年研究会」が開かれた。仕事帰りの男女ら約10人が参加した。

 「こころの定年」とは、サラリーマン人生の前半戦と後半戦の境目にあたる40歳前後で、働く意味を見失っているような状態を指す。研究会はこれを理解し、克服する方法を考えようとスタートし、今回で52回目。座学もあればグループワークもあり、何度も参加する人も多い。

 この日の参加者は、3グループに分かれ「5年後、10年後のイキイキした自分の姿」を書き出した。

 「副業を成功させる」「子供たちを教える場を作る」「趣味のブログを多くの読者に読んでもらう」。参加者はそれぞれ、仕事の時とは違う、もう一つの自分の姿を語った。さらに「自分が何をすべきか、分かっておく」「年齢を否定せず動き出すべきだ」など、もう一つの自分になるための方策も次々と挙がった。

 大阪市東住吉区の会社員(60)は、出向先でこれまでのやり方が通用しなくなり、こころの定年の状態になったという。「研究会でいろんな価値観に接して刺激され、仕事とは別の自分の立場で、組織の姿を見直した。すると、これまでと違った景色がみえるようになった」と振り返る。

 ●自らの体験もとに

 楠木さんは生命保険会社で人事労務関係の課長を務めるなど、順調なサラリーマン生活を送っていた。しかし、出身地の神戸で阪神大震災に遭遇したことをきっかけに、会社だけで働く意味に疑問を持ち始めた。

 仕事は続けていたが、47歳の時の転勤を契機に「もっと出世したい」という気持ちと「誰のために働いているのか分からない」との感情に引き裂かれ、出社できなくなり、うつ状態と診断された。

 職場に復帰したものの平社員に降格。何をしていいのか分からない状態の中で、仕事を辞めて別の道を歩んでいる人たちに興味を持ち、片っ端から話を聞きに行った。

 通信会社の社員からちょうちん職人、市役所職員から耳かき職人−−など、中年になってからこれまでと全く違った職に転身する人たち。収入は下がったものの、皆いきいきとしていた。

 しかし、だれもが転身して成功するわけではない。楠木さん自身も「会社を辞める、辞めないの二者択一では精神的に追い込まれる。平社員をしながら、もう一つの自分の仕事をする第三の道もある」と、会社は辞めずに空き時間を使って、働き方についての執筆活動を始めた。

 ●二つの自分を持つ

 楠木さんは、外でいきいきと活動することで、会社での仕事にも打ち込めるようになったという。「二つの自分を持てば、これまでと違った視点で会社が見え、負の側面ばかりでなく、良いところが分かってくる。サラリーマンをやっていると無形の情報を取り入れられる。複数の道を持てば、働き続けられることを伝えたい」と話す。

 9月には東京都内で楠木さんのセミナーが開かれ、40人ほどの会場は満員に。参加者からは「励まされた」「もう一度話を聞きたい」という感想が多く挙がったという。中高年の先行きが見えない時代だけに、もう一人の自分をもつ必要性を訴える主張に共感が広がっている。

 厚生労働省の2011年の患者調査によると、40〜50代のうつ病患者は男性が約16万1000人、女性が約18万人に上る。自殺者は中高年の男性に多い。

 中高年のうつに詳しい新潟青陵大学の碓井真史教授(社会心理学)は「かつて中高年の男性は職場や家庭内で尊敬される存在だった。しかし近年、終身雇用や年功序列は崩れ、コンピューター操作の能力は若手のほうが上。これまでの経験がいかせないなど、職場でストレスがたまることも多い。家庭でもないがしろにされ、父親としての権威も失っているケースもある」と指摘する。その上で「職場や家庭以外の場所にやりがいをみつけることは、相対的に苦しみが減るので、ストレス解消に効果的な方法の一つといえるだろう」と話している。【柴沼均】

[毎日新聞]

ここから続き

Posted by nob : 2014年11月03日 06:26