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何者にもならず、何処にも属さず、何も遺さない、、、近しいスタイル私の自然発生的漂流生活もはや二十有余年。。。Vol.3

■堀江貴文氏が語る、「生きるのに必要なこと」
僕が「家もプライドも要らない」と思うワケ

吉川明日香
東洋経済オンライン編集部

9月に瀬戸内寂聴との共著『死ぬってどういうことですか? 今を生きるための9の対論』を上梓した。死ぬこと、生きることって何なのか。堀江貴文氏へのインタビューを前編、後編に分けてお届けする。

堀江貴文氏が考える「生きること」とは
先を考えることに意味ってあるの?

――瀬戸内寂聴さんとの共著本の中で印象的だったのが、「死にたいと思ったことがない」とおっしゃっている箇所でした。たとえば仕事に命やプライドを懸けている人は、それが思いどおりにならないと強烈にへこむことがある。場合によっては死を選ぶことがあると思うのですけど、堀江さんには無縁の発想だと感じました。

何でへこむんでしょうね。よくわからないです。

――自分の基盤が危うくなったと感じ、未来がかすんでくるからじゃないでしょうか。

そもそも、僕は未来なんか見てないですね。今を一生懸命生きるっていうスタンスです。逆に、先を考えることに意味があるのかわからないのです。何かメリットがあるのかというと、別にない気がする。未来のことを人に聞かれたら「先のことを考えたら何かいいことあるんですか?」っていつも聞くんですけど、ないでしょう? なんかあります?

――たとえば30歳で結婚して、40歳で家を買って、50歳で子供が成人して……と長期的視点で人生を思い描くことで、計画的に物事を進められたり、安心感が生まれたり。

それは何なんでしょうね。何かいいことあります? それで。

――堀江さんは計画的な人生はお好きではないですね…。

はい。割と行き当たりばったりで生きています。それが面白いじゃないですか。明日何があるのかわからないから面白いんであって、明日がわかっていたらつまらないでしょう。

世の中は、農耕からシェアへ

――確かに、それには反論はしにくいです。

だから、(未来を見ることは)意外と別に何の意味もない。何でかと言うと、たぶん、そういうのって、道徳とか倫理とか常識にとらわれているからじゃないでしょうか。なんでそうなったのかなって考えたら、たぶん、農耕に縛られていたからかなと思いますね。

――農耕民族の農耕ですか。

そうです。いわゆる長期的視点うんぬんっていうのは、そこが起源なのかなという気はしますけどね。農耕は予定も立てなきゃいけないし、先のことを考えないとできないでしょう。そういうふうにして初めて作物がちゃんと育っていくので。生きていくために必要だったのだと思いますよ。決して楽しいことではないんだけど、生きていくために必要だからやっていた。そのためにいろんな、たとえば一夫一妻制の結婚制度や家っていう概念、家族っていう概念もたぶん必要だった。

最後にオフバランス化したいのは、洋服

――本の中でも「家を所有しなきゃいけない理由はない」とおっしゃっていましたね。

そう。僕は、賃貸もやめました。家を契約して借りる意味もよくわからないから。今はホテルに住んでいますね。

――たとえ期間限定の家であっても、所有することが謎だと。

謎っていうか、なんかいいことあるのかなって思う。それはもう、僕自身が楽しく生きるために全体を最適化していく中で、当然、出てくる解で。人生のクオリティ・オブ・ライフを上げていくうえで非常に大事なことですね。ちなみに僕にとっては最後、いちばんネックになっているのは服ですね。

――えっ、服、ですか?

今は所有からシェアへという流れがあるわけじゃないですか。僕は服も含めて、いろんなものをシェアするのでいいと思っているんです。

僕、今は本当に何も持っていないですよ。持ち物は、スーツケース2、3個分ぐらいしかなくて。でも、そのほとんどを服が占めているのです。服をもっとオフバランス化(編集部註:資産から外すことで、リスクや負担を軽減する)したいというか。

――具体的に、どうやってオフバランス化できるでしょうか。

考えたのは「WEAR」というファッションコーディネートアプリがあるんですけど、たとえば「WEAR」で僕のお気に入りコーディネートを20人ぐらい選んでおくと、そこから推測して8割ぐらい僕の好みの服が送られてくるとか。

ほかには、僕のGoogleカレンダーの予定を自動でさらっていってもらって、結婚式の出席が予定に入っていたらフォーマルなタキシードを送ってきてくれたり、海に行く予定なら海パンなんかを送ってきてくれたりとか。さらに2割ぐらいは“ノイズ”を入れてくれるとうれしい。「こんなのどう? 最近はやっているけど」みたいなオススメのもの。

――自分の想像もしなかったコーディネートが入っているというのは、楽しいですね。

「あ、これいいな」みたいな。そうやってブラッシュアップしていって、送ってくる前にリストを出してくれて、「これはいるけど、これはいらないな」とか自分で選べるサービスだといいですね。

しかも、それがインテリアにうまくハマるようなオシャレなダンボール箱で送られてきて、回収にも来てくれるわけですよ、しかも洗濯しないでいい。着たらダンボール箱にばんばん入れていくだけ。そういうサービスあったら使いたいなと思っていて。

――TSUTAYAのネット宅配レンタルみたいなイメージでしょうか。

あ、そうですね。着ても着なくても定額でいくらって決まっていて、松竹梅みたいなコースがある。タキシードを手配したときはエクストラチャージがかかります、みたいな。

――所有欲というのはもともと少なかったんですか。それともだんだん減ってきたんですか。

だんだん減ってきたというか、これまでは所有せざるをえなかったわけでしょう。そういう状況だったということですかね。もちろん最初は考えたこともなかったですよ。

――シェアの意識が芽生えたのは出所後ですか?

いえいえ、全然、関係ないです。シェアに対して、バチッとここからですというのもないですよ。大学生のときはルームシェアしていましたし。たとえば友達2人で借りると、より広くて環境のいい部屋を安く借りられるじゃないですか。当たり前のことだと思ってたのですけど、意外とそういうことをやっている人はいなかったですね。

――今はあまり一般的でない服のシェアも、そのうち当たり前になってくるんでしょうか。

でしょうね、たぶん。実際、僕がいちばん最後に困っているのはそれなので。実現すると後はカバン1個になっちゃいますよね。誰か(服のシェア事業を)やってほしいですねぇ。

プライドって……それおいしいの?

――本の中では、プライドの話も出てきますね。「プライドなんか持つ必要はない、自分が自分を信じればいい」とおっしゃっています。堀江さんから見て一般的な人、特に男性のプライドが気になるときってありますか?

日本はプライド高い人が多いですよね。なんでだろうなあ。

――最初の話にも関連しますが、プライドの問題で会社を辞めたり、自殺したり……。

そうですねえ、意味がわからないですねえ。そんな大事なの? 何それおいしいの? みたいな(笑)。

――プライドを原動力に生きている人もたくさんいる気がしますが、プライドに代わりうる力ってどういったものがあると思いますか?

うーん、恋愛とか。

――恋愛ですか……。

恋愛ダメですか? あと食欲とか、「面白さ」じゃないですか。

――面白さを求めるのは自然のことだと思うんですが、日本人的には言いにくいですよね。

面白さは大事ですよね。そういう意味では昔から、僕はあんまり仕事している感じはないのです。そもそも、嫌なことはやりたくないんですよね。それで厳しい顔するやつとかいたら、罵倒してしまいますね。若い頃からそうで、けっこうぶつかっていましたね。今よりも、もっとぶつかっていました。

――一般人は、立場を考えて、ぶつかることを自粛しています。家でも会社でも。

僕には、立場ってのはもともとないですよ。その立場ってのは何ですかっていう話じゃないですか。ハブられるとかそういうことですか。

――集団の中で干されるとか、会社として不利益な結果を招くとか。

まあでも、会社からはハブられましたけどね、壮大に。まあでも、全員に好かれるってことはまず無理ですよ。それに自分の考えは折れたくないじゃないですか。

大事なのは自分の考え方であって、ぶつかってもいいんじゃないかと思うんすね。もちろん、それはその人の判断ですけど。

――堀江さんのお話を聞いていると、日頃、われわれが生きていくうえで大事だと思っているものが、そうでもないと思えてきますね。

※記事後編に続く

[東洋経済ONLINE]

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Posted by nob : 2014年11月03日 07:01