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また旅立つ君へVol.82/居るべき場所、進むべき道、考えることではなく自ずと感じること、、、何処で何をするかではなく、置かれた今にどう取り組むのかということ。。。
■天職は何か、考えてはいけない
迷っているなら「どっちもやってみたら?」
仲 暁子 :ウォンテッドリー株式会社代表取締役CEO
「世の中を変えたい」そんな熱い思いを持ってスタートアップに踏み切る人たちはどんなマインドセットを持っているのだろうか、どんなキャリアを積んできたのだろうか。そんな思いで、有名スタートアッパー達と対談を続けてきました。
ですが、「仲暁子」という個人について語ったことはありませんでした。今回は自分の歩んできたキャリアについて語らせてください。
どうすれば「ココロオドル」仕事を見つけることができるのかことができるのか。幸運なことに『ココロオドル仕事を見つける方法』という本を出す機会もいただきました。自分のキャリアに迷っているビジネスマンの皆様の一助になれば幸いです。
「やりたいことがわからない」
学生にも社会人にも、よく、こんな相談をされます。
そんなときにはいつも、こう答えます。
「わからなくて普通。将来の夢なんて、なくて普通」と。
その質問をされるたびに、思い出すことがあります。
それは、「3歳児に『好きな食べ物はなに?』と聞いたら、『カレーの王子さま』と答える。なぜならその子は、食べたことのないフカヒレやフォアグラのおいしさを想像することができないから」というものです。
3歳の子どもは、「自分が食べたことのある中でいちばんおいしい、カレーの王子さま」を、「好きな食べ物」だと思ってしまうというのです。
「やりたいことがわからない」という質問への答えも、それと同じだと思います。
人間は、体験したことのないもの、接したことのないものは、そもそも選択肢として選べません。3歳の子どもが食べたことのないフカヒレやフォアグラを選べないように、やったことのないこと、触れたことのないことを「これが絶対にやりたいことだ!」とは、なかなか言い切れないものです。
だから、今から、X年後にどうなっていたいか、なんて自分で考え続けても意味はありません。
「何になりたいか」「何のために、これをやるか」なんていう夢は捨てて、「無目的」でいること。目の前のことに、ひたすら真剣に、愚直に向き合うこと。
そうやっていれば、振り返ったときに、過去の自分が想像できたところよりも、はるか先まで来ていることに、気づいたりします。
では、天職を見つけるために、私たちは何をすればいいのでしょうか?
未来の可能性を潰すことから始めよう
わたしたちの未来にはさまざまな道が広がっています。大企業に就職して安定した会社員になるという道、資格を取って手に職をつけるという道、小説家になるという道――。たくさんの道、計り知れない可能性、そして夢は、みなさんの前に並べられた、数えきれないほどたくさんの「選択肢」です。
この「選択肢」が多ければ多いほど、豊かな人生を送れるに違いない──。
あるときまで、そんなふうに思い込んでいました。
でも本当はそうではありません。
自分の未来について悩んでいるとき、よく考えてみると、すべての悩みの大もとは「選択肢を捨てきれないこと」にあると思います。
前回、書いたように、私が、マンガ家になりたかったにもかかわらず、周りの目を気にしてゴールドマン・サックスに就職して悩んでいたことも同じです。
「やっぱり、マンガ家になりたい」
「もしかしたら、なれるかもしれない」そんなふうに考えて、「マンガ家」という人生の選択肢を捨てきれないからこそ、悩んでいたのです。
そして、私が「マンガ家」という選択肢を捨てることができたのは、「やってみた」からでした。
「あれだけやってダメだったんだから、もういい」心の底からそう思えたのです。
天職を見つける人の共通点はなんだろう?
だからこそ今、目の前の「ウォンテッドリー」に集中できている自分がいます。
「もしマンガ家になっていたら、大成功していたかもしれないなぁ……」
漫画家になるためにあがいた8カ月がなかったら、今もそんな夢を捨てきれず、週末のたびにマンガを描き、仕事に全力投球できない人生を送っていたかもしれません。
人生には限りがある。自分が人生でチャレンジできることやチャレンジできる時間にも限りがあります。
マンガもやりたい、仕事も成功させたい、何かあったときのために、こんな資格も取っておきたい……。それが全部うまくできるならば話は別ですが、1日は24時間しかないし、1年は365日しかありません。
アップルを大成功させたスティーブ・ジョブズはこう言っています。
「“集中する”というのは、集中すべきものに『イエス』と言うことだと誰もが思っている。だが本当はまったく違う。それは、それ以外のたくさんの優れたアイデアに『ノー』と言うことだ」と。
「何をやったらいいのだろう、何が自分にいちばん合っているんだろう」多すぎる選択肢を前に、そんなふうに悩んでしまったときに、まずできることは、「選択肢を潰していくこと」だと思います。
目の前にある選択肢を潰すためには、まずはチャレンジしてみる。思いきりぶつかっていく。そして、ひとつずつ見切りをつけていく──。
もちろん、ぶつかったものがうまくいったら、それに全力を注げばいい。
逆に、うまくいかずに、自分には向いていないことがわかるときは、「いつのまにか」次の選択肢に興味が移ってしまっているものだと思います。
まだ、ほかに興味が移らないうちは、ひとつのことをやり続ければいい。
いつのまにかほかのことを始めてしまっていたら、それが「選択肢を潰した」証拠です。「これは自分には向いてない」と思えたら、それはあなたの人生が定まっていっている証拠です。
「どちらか」で悩まなくていい
では、もしあなたにはどうしてもやりたいことが2つあって、どちらを選択すべきか決められないとしたら、どうするか。
たとえば、気象予報士になるために、つなぎで始めたはずの塾のアルバイトが面白くて、「先生にもなりたい」と思ってしまったら?
仕事はとても面白いけれど、子どもを産んで育児もしたい……と、どっちにするかで悩んでいたら?
私の答えは簡単です。
「どっちもやってみよう!」
どちらにするか迷ったときには「同時に2つともやってみる」。
社長になってからというもの、この大切さをますます実感するようになりました。
みなさんにも、こんな経験はありませんか?たとえば、ウェブサイトのデザインを決めるとします。チームの仲間が集まって、いくつかのアイデアを検討した結果、最後に残った2つのデザインがどちらも甲乙つけがたくて、いくらみんなで話し合っても判断がつかない……。
そんなときわたしは「同時に2つともやってみる」ことにしています。
このやり方は、フェイスブックにいたときに学びました。「答えはユーザーに聞いてみる」──これがフェイスブックの哲学です。
フェイスブックは、現場で実際にサービスを作っているエンジニアの裁量が非常に大きい会社でした。
普通の会社なら、多くの部署の人たちがたくさん案を出して、それをひとつずつ会議で議論して承認を受けてからでなければ、新しいサービスは発表できません。
しかし、フェイスブックは違います。「現場の職人」であるエンジニアの判断で、「これがいい」と思ったものは、どんどんユーザーに使ってもらうのです。そして、うまくいったものは残して改良を重ね、ダメだったものは潔く消してしまう。
そうやってつねに行動していくから、「いいか、悪いか」を考える手間が省けて効率がいい。「考える前に、作る」。フェイスブックの成長スピードが速い秘訣は、ここにあるのです。
「いつのまにか」が見つかるまで続けよう
そして、このやり方は人生にも応用が利きます。
「どっちもやりたいけれど、どっちを選べばいいかわからない」と迷うくらいなら、両方やってみればいいのです。
やってみて、周りの反応や、自分の行動や、気持ちの変化を見ていれば、どっちを選ぶべきなのかはいずれわかってくるもの。
現実が明らかにして、教えてくれるものです。
自分は何に一生をかけるべきか、
何を仕事にするべきか……。
そう悩んでいる人は、ぜひ、「可能性を潰す」ことから始めてみてください。
続けていればそのうち、「いつのまにか見つかる」もの。
それが見つかるまでは、悩まなくていい。ただ、やってみればいい。
そうすることで、あなたの「ココロオドル仕事」が手に入るものなのです。
[東洋経済ONLINE]
Posted by nob : 2014年12月15日 19:50