« 自らの主治医はあくまで自分自身、、、医療の活用と依存との間には天地の開きがある。。。 | メイン | 自らの主治医はあくまで自分自身、、、医療の活用と依存との間には天地の開きがある。。。Vol.2 »

何歳からでも、どんな健康状態からでも、まずは始めて、そして続けていくことのすべてが、やがて自らに還ってくる。。。

■暑さに負けずトレーニングをしたほうがいい理由

汗だくでぐったりな状態が好きな人なんていません。太陽にじりじりと焼かれるような日は、エアコンの効いたジムでワークアウトしたくなるのも当然です。けれども、暑さを耐え抜けば、トレーニングが楽になるだけでなく、気温が下がった時の持久力もアップします。

暑い中でのトレーニングは危険をともないます。気温が高い時に走る場合の常識的な注意事項はおわかりですよね。なかでももっとも大事なのは、十分な水分補給です(飲みすぎるくらいでも良いのです)。また、吐き気やめまい、だるさなどの熱中症の症状を感じ始めたら、すぐにトレーニングをやめて助けを求めることです。暑い環境でも走れる体力をつけるのは素晴らしいとはいえ、ムリは禁物です。

また、我慢できないほど気温が高い時は外に出ないでください。また、都会に住んでいる人は光化学スモッグやオゾン濃度に注意しましょう(気温が上がると悪化します)。

暑い日の運動がつらいのはなぜか

ランニングも暑さも両方身体に堪えるものです。さらに、暑い日のランニングはなおさら辛いですよね。でも問題はそれだけではありません。暑い日の運動は、必要以上にきつく感じられるのです。

暑い日に頑張ると、脳は通常とは異なる受け取り方をするので、オーバーヒートする前でもだるさを感じます。学術誌『European Journal of Physiology』で発表されたある研究によれば、被験者のサイクリストたちは摂氏35度の研究室でトレーニングをした時のほうが、摂氏15度で同じトレーニングをした時よりスピードが落ちました。これに関しては納得できます。でも、不思議なのは、オーバーヒートしたためにスピードが落ちたわけではなく、始めから動きが鈍かった点です。脳が暑さを感知し、エネルギーを節約しようとしたのです。この作用により、身体の動きをあえて鈍らせたわけです。

トレーニングを続けると、身体は熱を帯びてきます。別の研究にて、被験者たちに疲れ果てるまで自転車を漕いでもらいました。すると、スタート時の気温に関係なく、被験者たちが完全に体力を消耗したのは、深部体温が摂氏40度に達した時でした。学術誌『Journal of Applied Physiology』に掲載されたこの研究で、深部体温が40度に達するまでにもっとも時間がかかったのは、水分に反応するクーリングウェアを着ていたアスリートでした。運動する時に、キンキンに冷えた飲み物を飲み、頭から水をかぶると、これと同じ効果が得られます。体温を低く保てば保つほど、つらいトレーニングを長く続けられるのです。

とはいえ、ただ身体を冷やせば良いというわけではありません。コップ1杯の冷たい水を頭やお腹にかけたところで、涼しいのはほんの一瞬ですし、クーリングウェアは、生理学の研究室から一歩外に出れば実用的とは言えません。では、実際の状況で何が起きるのかを見ていきましょう。

身体は、汗をかくことで体温を下げようとします。皮膚の表面から汗が蒸発する際に、熱も一緒に奪っていくからです。しかし、蒸し暑い日は空気中がすでに水蒸気でいっぱいなので、汗はなかなか蒸発しません。ですから、「暑さ」といっても、実際は「暑さという感覚」であって、熱と湿気が結びついた状態を指しています。下の暑さ指数チャートを見るとその関係がわかります。

高温多湿の環境下では、走るスピードが落ちます。こちらのようなチャートを見れば、どのくらいスピードが落ちるのかを正確に予測することも可能ですが、実際は、暑さに対する慣れと、身体のサイズで変わってきます。

落ちるスピードは、どれだけ鍛えているかではなく、身体のサイズによって変わるのです。体格の良い人は筋肉や脂肪、またはその両方が多くなります。筋肉は熱を生み出し、脂肪は断熱材の役割を果たします。一方、身体の小さい人は熱の発生量は少なく、熱を発散させる皮膚面は増えます。古くから知られている、体表面積と熱発散の関係を示すアレンの規則のことですね。暑い日のレースでは、小柄なランナーのほうが速く走れます。

鍛えたほうが暑さに強くなると考える人もいますが、その反対もまた然り。鍛えれば鍛えるほど、激しい運動が得意になり、身体が発する熱も増えていくからです。

体型を変えずに暑さに耐えて運動できるようになるにはどうしたら良いでしょうか。その答えは簡単。暑い中でトレーニングを積めばいいのです。

暑さに慣れる方法

暑い時にトレーニングを積めば、暑さに負けず走れるようになり、ひいてはもっと速く走れるようになります。

仮に、自分が今年の夏中、すべてのトレーニングを屋外でこなすと想定します。一方、自分の双子の片割れは、エアコンの効いたジムでまったく同じ内容のトレーニングをします。そして、真夏の真っ盛りに5 マラソンに出場した場合、どちらが勝つと思いますか? 勝つのは、涼しい室内でトレーニングした双子の片割れではなく、自分です。

万が一、マラソン当日、季節外れの涼しさだったとしても、暑さの中でヒート・トレーニングを積んでいますから、勝つのは自分です。ヒート・トレーニングには、血管の血流量を増やすという魔法の効果があります(身体を冷やすためには皮膚の血流を促したほうがいいのですが、筋肉にエネルギーを運ぶための血流も十分にあるわけです)。その効果は言わば、合法的な血液ドーピングといった感じです。

とはいえ、良いことばかりではありません。暑さに慣れるには努力を要します。夏中ずっとエアコンの効いた室内にいて、たまに思い切って外に出て運動するだけでは不十分です。ウェブサイト「European Journal of Applied Physiology」に掲載されたある研究によれば、暑さの中での運動に取り組まなかった人は、暑さに対する耐性が春と秋で変化しないことがわかっています。ヒート・トレーニングで効果を得たいなら、そのための努力が必要です。

アメリカ陸軍が開発した、「暑さに順応するトレーニング計画案」は、暑さに慣れたい人にとっての良い手引きです。この計画案によると、毎日最低でも2時間は外で活動し、その一環として、心血管運動(ランニングやサイクリングなど、心拍数が上がるエクササイズなら何でも)を行わなければなりません。

2週間ほど経てば、暑さに慣れてくるでしょう。ただし、トレーニングの効果は始めてから数日で実感できるかもしれません。

始めからトレーニングをすべてこなせるわけではありません。トレーニング初期の脳は、まだ暑さを察知し、身体が疲労しているからスピードを緩めようと、指令を出してきます。労働者向けセーフティーガイドラインで、トレーニングが現実的であるかどうかチェックしてください。労働安全衛生管理局(OSHA)は、ヒート・トレーニング初日は通常の作業負荷の20%のみに抑え、1週間かけて徐々に100%に持っていくよう推奨しています。

また、暑さへの耐性をキープするためには、引き続き暑い環境下でトレーニングを積まなければなりません。数日なら休んでも構いませんが、1週間サボったら、暑さに耐える驚異的なスーパーパワーが失われ始めます。陸軍の推算では、3週間サボるとスーパーパワーの75%が失われてしまうそうです。

涼しい季節でもヒート・トレーニングを続けたいなら、長そでとタイツを着用しましょう。これは、2007年世界陸上競技選手権大会の開催地である蒸し暑い大阪でのレースに備えて、一流ランナーのKara Goucherが取り入れた方法です(1万m走では、アメリカ人初の銅メダルを獲得しました)。Goucherはさらに、レース前の数週間を大阪で過ごしています。熱心なランナーで、有給休暇が余っている方は、ぜひこの方法を参考にしてみてください。

また、以前、米ライフハッカーの記事「身体を涼しく保つ方法」を紹介していますが、それと正反対のやりかたを試してみてもいいでしょう。1日でもっとも暑い時間帯に、日の当たるアスファルトの道路を走ってみてはどうですか? いずれにせよ、ムリをせずに、新たに獲得したスーパーパワーを楽しんでください。

Beth Skwarecki(原文/訳:遠藤康子/ガリレオ)

[ライフハッカー]

ここから続き

Posted by nob : 2015年08月23日 12:40