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自らの主治医はあくまで自分自身、、、医療の活用と依存との間には天地の開きがある。。。Vol.2
■「1滴」でがん、うつ病、アルツハイマーまでわかる 血液検査は驚くべき進化を遂げていた【ドクター注目記事】
将来の疾患リスクがすべてわかる日も近い?
健康診断でおなじみの採血。今日では、血糖値や血中コレステロール値などを調べるにとどまらない。
日本や海外の研究機関では、1滴の血液からがんやアルツハイマー、うつ病、さらにこれまでのウイルス感染歴までわかるほど「進化」を遂げている。
206種類のウイルス判別で早期治療可能に
米ハーバード大学とマサチューセッツ工科大学の共同研究チームは科学誌「サイエンス」2015年6月号で、1滴に満たない血液から、過去に感染したすべてのウイルスが判明する血液検査「VirScan」を開発したと発表した。ウイルスに侵入された際に免疫系が出した抗体の有無を調べる。これまで、同様の分析方法では数種類が判別できる程度だったが、VirScanでは人が感染する206種類のウイルスを判別できる。感染歴がわかると、後天性免疫不全症候群(エイズ)やC型肝炎のような感染から発症までの潜伏期間が長い疾患の早期発見や、各ウイルスに対応する抗体の有無で今後の感染や発症のリスクがわかり、早期治療も可能になる。
血液検査の技術や精度向上によってわかるのは、ほかにもある。がんもそのひとつだ。 一般的に、大腸がんなら便潜血検査、胃がんなら内視鏡や胃X線検査、乳がんならマンモグラフィーと、がんの部位によって必要な検査は異なる。しかしここ数年、血液1滴から主要ながんを判定できる血液検査が、千葉大学や神戸大学、昭和大学、国立がんセンターから次々と発表、実用化されており、全国の医療機関で受診できるようになっている。アミノ酸の濃度やがん細胞が出す特定の物質の有無など、分析方法は異なるものの、どれも3〜7日と早い期間で判定できるのが特長だ。がんの有無だけでなく、発症リスクや従来の検査では見落としていたかなり早期のがんも発見できる可能性がある。
血液検査に加えて従来のがん検診も受診すれば、さらに精度が上がるという。
誤診による誤った投薬や治療の防止に
10年後の脳梗塞、心筋梗塞の発症リスクが高い精度でわかる血液検査も実用化されており、疾患予防のためにも欠かせない検査になりつつある。
血液検査の可能性はさらに広がる。例えば「うつ病」のように、進行しなければ診断できないとされてきた疾患も、正確かつ早期発見できるかもしれない。
うつ病は問診による診断が基本だが、うつ状態や躁うつ病と誤診して誤った投薬や治療法を続け、いつまでも改善がみられない場合もある。より正確な診断のための検査方法として、世界中で血液検査の研究が進められている。日本では臨床研究段階ではあるが、血液中のエタノールアミンリン酸という物質の濃度から診断する検査法が一部の病院で受診できる。
現在は治療法がなく、症状がかなり進行しなければ診断できないアルツハイマーも、健康な人が3年以内に発症するリスクを、90%以上の精度で判定できる初の血液検査法が2015年3月に米国で発表された。早期から発症を予測できれば、進行を阻止、症状を改善する方法も発見できるのではないかと期待されている。[監修:山田秀和 近畿大学医学部 奈良病院皮膚科教授、近畿大学アンチエイジングセンター 副センター長]
参考論文
Viral immunology. Comprehensive serological profiling of human populations using a synthetic human virome.
DOI: 10.1126/science.aaa0698. PMID: 26045439
[Aging Style]
■がん細胞を直に集中攻撃 極小カプセル「ナノマシン」の威力
今年6月、がん治療の現場に朗報が舞い込んだ。切らずに治療できる「ナノマシン」の開発が発表されたのだ。このナノマシン、未来の医療に大変革を起こす可能性を秘めている。
直径わずか50 nm(1nmは100万分の1mm)の「ナノマシン」が医療に革命を起こしている。
ナノマシンとは、抗がん剤など様々な機能を詰め込んだ高分子の極小カプセルのこと。東京大学大学院工学系研究科/医学系研究科の片岡一則教授を中心とする研究チームがナノテクノロジーを駆使して開発している。
その最大の特徴は、体内に取り込まれると自動的にがん細胞を検出し、抗がん剤を用いて「狙い撃ち」することだ。
臨床ではまず、静脈注射や点滴でナノマシンを人体に注入する。通常、体内に入りこんだ異物は除去されるが、ナノマシンは生体適合性が高く、除去されない仕組みになっており、血管内をスイスイと泳ぐ。
がん細胞の周辺には、高分子物質が集まる性質(EPR効果)がある。高分子の集合体であるナノマシンはこのEPR効果を利用して、血管の隙間からがん細胞内に侵入する。
「がん細胞の周囲は血管の目が粗く透過性が高い。ナノマシンは血管の目が細かい正常な細胞には届かないが、目が粗いがん細胞には届く絶妙な大きさになっています。そしてがん細胞の核に近づき、集中的に攻撃します」(片岡教授)
がん細胞は正常の細胞とは違い、やや酸性だ。ナノマシンはpH値の絶妙な違いを感知し、抗がん剤を放出する。
「魔法の弾丸」と呼ばれるナノマシンは、ターゲットとなる組織や細胞に薬を効果的に到達させる「ドラッグデリバリーシステム(DDS)」を高度に発展させたもの。がん細胞のみを標的とするため、健康な細胞への副作用が少ないことが最大のメリットだ。通常の抗がん剤治療や放射線治療の難点を克服できる。
さらにナノマシンと放射線を組み合わせた治療法も開発中だ。体外から中性子線を当てると反応してがん細胞を壊す放射線を出す物質をナノマシンに載せ、がん組織に集めるのだ。そのうえで患部に中性子線を当てれば、がん細胞だけが破壊される仕組みである。片岡教授らは、マウスでそれを実証した。この成果は今年6月に公表されたばかり。
「この治療法はMRIでナノマシンががん細胞に集まっていることを確認しながら中性子線を照射して、ピンポイントの放射線治療ができるのでより精度が高い。通常、がんの開腹手術は1か月近くの入院期間で費用もかさみますが、ナノマシンを利用した“切らない手術”が普及すれば、患者の負担を心身とも大幅に軽減できる。将来的にはがんの日帰り手術も期待できます」(片岡教授)
すでに現在、ナノマシンを利用した5つの抗がん剤臨床試験が進んでおり、乳がん用のナノマシンは今年中にも厚労省に承認申請される予定だ。長寿命にとって大きな壁となるがんを克服する日は一歩一歩近付いている。今後はアルツハイマー病や再生医療への展開も考案中という。
[NEWSポストセブン/SAPIO]
Posted by nob : 2015年08月23日 13:04