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■東京が壊滅する日 ― フクシマと日本の運命

国道6号・常磐道を走るクルマが、
東京に“死の灰”を運んでいる!?
――木内みどり×広瀬隆対談【中篇】

「もう一回原点に戻りたい」
と思って書いた本

木内 『東京が壊滅する日』を手にとったとき、最初は戸惑ったんです。
 ここに書かれている現実を、受け入れなくてならないだろう、と思ったからです。
 読みはじめてみると、やっぱりスゴイ事実がいっぱいあって。事実に目を背けてはいけないなと思いました。それで広瀬さんにお礼を言わなきゃと思いました。

広瀬 なぜですか?

木内 この本に出てくることは、広瀬さんの長く激しい人生の努力の結晶。それを抽象論ではなく具体的な固有名詞で断罪! 惜しげもなく闇の世界のことを全部出してくださって。覚悟の度合いが違うと思いました。

広瀬 僕は、どうすれば本当に原発を止められるか、いつも考えてきたつもりです。
 ところが、世論調査では100%勝っているのに原発が再稼働してしまう。

 そこで僕は、政治運動でなく、デモのような大衆行動で、一人ずつが社会を変えなければダメだと思っています。青森ではそういう体験があります。

 僕は再処理工場の核燃サイクル反対のために1985年から青森に入り、あらゆる農協を回りました。
 真冬が農閑期なので、寒い日々の中でしたが、10人くらいの集まりでも、100人の集会でも、絶えず放射能の危険性について、くわしく話しました。
 すると、やがて保守ゴリゴリの青森県が変わり始め、1988年の選挙のときは再処理工場反対の人が大勝したのです。
 つまり、選挙というのは、日々の活動があって、その結果が出るのです。

木内 それはすごいですね。

広瀬 でも次の選挙では、みんなが放射能のことは言わず、「誰々に投票してください」という、例の選挙運動になりました。
 僕は「これは危ない」と感じました。具体的な内容を言わずに「この人に投票してください」と言っても、人の心は動かせません。
 現在でも、中身のあることをどんどん言っていけば、人は変わるはずです。絶えず、言い続ける必要があります。

 先月、木内さんが本ステージで司会をした代々木公園の大集会でも、第二ステージでたくさんの人が、被曝問題を語ってくれていたので、うれしかったです。あの中身が大事なのです。

 同じように、もう一回原点に戻りたいと思って書いたのがこの本です。
 担当編集者から、嫌になるくらいしつこく質問されました。
 これは忍耐だと思って、忍耐に忍耐を重ねて丁寧に加筆していきました。この編集者を変えないと、世の中を変えるなんて夢のまた夢ですからね。

 結果として、それがよかった。僕にとっては当たり前のことになっていたことも、改めてわかりやすく書くことができました。苦労はしましたけど……。

東京でガン、心筋梗塞、
白内障、白血病が激増する!

木内 そうだったのですね。おかげで、とっても読みやすかったです。
 スゴイ事実が書かれていますけど。東京でも放射能の影響が出ているのですね。

広瀬 結論を言うと、東京を含む東日本地域住民の中で、これからガンや心筋梗塞などが必ず激増します。いやもう、その段階に入っています。

木内 放射能の影響というと、甲状腺ガンに代表されるガンの話になりがちですが、心筋梗塞も増えているんですか?

広瀬 セシウムは、ナトリウム系列の元素で、体に吸収されやすいという特徴があります。筋肉にたまりやすいので、絶えず筋肉が動いている心臓にたまります。

 心筋梗塞はすでに福島ではかなり増えています。ときどき福島から「また若い人が心筋梗塞で死んだ」という電話がかかってきます。
 そのたびに暗澹たる思いになります。また、放射性セシウムが角膜に付着すると微量でも、3~5年ぐらいから白内障が出始めます。子どもたちの目が混濁してきて見えなくなり、最悪の場合、失明をします。

木内 フクシマ原発事故のとき、東京にも放射性物質が飛んできたんですよね。

広瀬 福島から首都圏の千葉・東京に至るまでの太平洋側は、途中にまったく山がないので、事故後、4月になっても5月になっても、東京の新宿高層ビル街には、南下した高濃度の放射能雲が直撃し続けました。

 そのとき都内の人の多くは、ごく普通の生活をしていました。通勤・通学していたり、外で遊んでいたり。そのときに放射性物質を吸い込んでしまったのです。これは時限爆弾ですから、時間とともに身体を蝕んでいくでしょう。

木内 国道6号線と常磐自動車道を通る自動車が、東京に放射性物質を運んだという話も聞きました。

広瀬 自動車の群と、東北新幹線が、タイヤと車体によって広範囲に「死の灰」を拡散しています。今でもです。
 一番怖いのはプルトニウムや、ストロンチウムのような「ホットパーティクル」です。ホットというのは「エネルギーが大きい」という意味です。

 プルトニウムを吸いこんでしまうと、気管支や肺にへばりついて、同じ場所に放射線を浴びせ続けるという結果になります。一度、肺に入って付着したホット・パーティクルが、体の外に出ることは、まずありません。

 ストロンチウムやプルトニウムのような物質は、「遠くに飛ばない。おそらく敷地内にたまっている」なんて話をする学者もいますが、まったくのデタラメです。

 微粒子となったガスなので、空気に乗って遠くまで運ばれますし、細胞を直撃するアルファ線やベータ線を発する放射性物質です。アメリカで検出されているのだから、プルトニウムは重いから遠くに飛ばないなんていう話には、根拠がありません。
 セシウムは「測定できる」から騒いだけれど、ストロンチウムやプルトニウムは「簡単に測定できない」から、話題にならなかっただけです。
 2011年3月の連続爆発でまき散らされたのは、ガス状のあらゆる放射性物質です。さまざまな「時限爆弾」が体をむしばんでいることは間違いありません。

 東京都文京区にある順天堂病院では、2011年に比べて、2013年のあらゆる疾患が2倍から10倍近くに増えています。

 この事実は、重いです。来年から、「時限爆弾」はいよいよです。

[DIAMOND online]

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Posted by nob : 2015年11月02日 10:20