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貯金は最低の投資。。。
■「貯金に走る人」は経済的な成功者になれない
一流は考え方や行動、習慣がやっぱり違う
鳥居 祐一 :パーソナルブランディングコンサルタント
筆者は長年、人間の行動と心理を研究し、日米で多くの成功者や富裕層と交流して20年以上になります。彼らはどうして経済的な成功者になりえたのでしょうか。拙著『一流の人はなぜ、そう考えるのか?』(PHP研究所)でも解説しているのですが、一流の人と一般の人にはその考え方や行動、習慣に大きな違いがあります。
自問から始まる理想のライフスタイル
筆者の住んでいる東京都内のマンションには外国人の居住者も多いのですが、その中に日本の航空会社で国内線パイロットを務めているアメリカ人の友人がいます。彼の自宅はアメリカ・カリフォルニア州のレイクタホにあり、東京には単身赴任しています。
以前、彼はアメリカを拠点とする航空会社に勤めていましたが、今は2週間、日本の国内線で乗務すると、その足で家族の待つレイクタホに帰ってそこで 2週間を過ごし、また日本に戻ってくる――という生活をしています。以前に比べると給料は多少下がったようですが、「集中して仕事することで、毎月2週間もの長期休暇が得られるこのフレックススタイルがお気に入りだ」と話しています。
彼のような一流の人は考え方に柔軟性があり、「ライフスタイルに応じた生き方」を実践しています。「夏にはヨットやゴルフ、冬はスキーもできるレイクタホに住み、好きなアウトドアスポーツをしながら人生を送るにはどうすればいいか?」と問いかけた結果が、アメリカに家族を残しながらも異国の地である日本の国内線パイロットとして、柔軟な働き方を得るという選択肢でした。日本人には馴染まないかもしれませんが、理想の人生は、「どういうライフスタイルを送りたいのか?」という自問から始まります。
一流の人は望むライフスタイルなど、目的のためなら手段を選ばないという考えを持っています。もう10年以上前ですが、「どうしてもアメリカ西海岸に住みたいんです!」という日本人が筆者のもとへ相談にやってきました。「とにかくあの気候とライフスタイルが大好きなんです!どうしたら実現できますか?」と問われたのです。
グリーンカード(永住権)を持たない非居住者が、合法的にアメリカに住むのは決して簡単ではありません。まずは就労ビザが必要で、当時スポンサーをつけずにいちばんハードルが低いのは、専門的な職業に携わる外国人向けの「H1ビザ」でした。
明確な理由こそが、成功へのモチベーション
彼の意志は固かったので、私は少し考えて「では、寿司職人になったらどうですか?」とアドバイスしました。冗談ではなく本気で言いました。なぜなら、当時は日本の伝統文化を伝える寿司職人であれば、ビザが下りる可能性が高かったからです。
彼にとってはまったく予想をしていなかったアドバイスだったのでしょう。少し戸惑いもあったようですが、最終的に彼はアメリカで寿司職人への道を歩むことに決めました。どうしてもアメリカに行きたいという思いからの決断でした。その後、2年ほどは現場で修業を積み、やがて彼は念願の自分の店を持つことになりました。そして店を次々にオープンし、今や5店舗のオーナーです。彼は当初の夢を実現し、もう現場では握っていません。立派な経営者となり、南カリフォルニアで悠々自適な暮らしをしています。
もちろん最初は寿司など握りたくなかったでしょう。しかし彼は「長い人生の一時、やりたくないことも夢を実現させるために必要だと思った」と話しています。「どうしても成し遂げたい!」というこのあくなき執念こそが、不可能を可能にさせます。
その執念を引き出すためには「なぜそこまでやる必要があるのか?」という強い理由が必要です。これが英語でいうところの Big WHY ? でありCompelling reason (絶対にやらなければいけない強い理由)なのです。「あなたは、なぜそれをやりたいのですか?」。この明確な理由こそが、成功へのモチベーションとなります。一流の人はこれが明確に定まっており、次々と目標を達成していきます。
一流の成功者は「運」を大切にしています。私は複数の米国の超富裕層に、「あなたの成功の要因は何だったと思いますか?」と聞いたことがあります。彼らの多くは、
I was lucky. I was at the right place at the right time.
つまり、「自分は運が良かった。正しい時に正しい場所にいたからこそ成功できた」と答えます。
ただし、これは彼らが単に運を引き寄せたということではありません。「自ら運を取りに行った」というような積極的な言葉を意味します。彼らの言う運の定義とは、「最高の情報を最高のタイミングと、最高の環境、条件で受け取れるかどうか」です。「運」と「実力」は明確に区別されるものであり、彼らは「運」とは自分の心掛け次第でコントロールできることも知っています。
もし「運命を変えたい」あるいは「良くしたい」と考えるのなら、最も手っ取り早いのは付き合う人を変えることです。「運」にかかわっているのは、人間関係であり、運をよくするには運のいい人と付き合うことだからです。自分自身が「与える人」となることはもちろん、「与える人」と付き合うことが運を引き寄せる重要なポイントです。
「与える人」は運のいい人であり、運のいい人の周りには、運のよい人が集まるという好循環が生まれます。いかに「運のいい人と長時間付き合うか?」そして「人の悪口や不平不満ばかり言っている人を避けるか」こそが人生を成功に導く秘訣だと、一流の人たちの生き方から学べます。
また経済的に豊かになる人とそうでない人で、顕著な違いが表れるのは「おカネ」への意識です。一流の人たちを見ていると、普段は質素な生活をしていても、ここぞというときには大胆に使います。彼らはおカネを正しく使うことの重要性を知っており、貯める人よりも使う人に対して金運は引き寄せられることも知っているからです。
また彼らはどんなにおカネを持っていても、必要のないものを買うことは決してありません。彼らは「おカネを使う基準」を明確に持っています。それは「経済合理性」です。簡単そうに聞こえるかもしれませんが、実践するには広く深くモノの価値を知らなければなりません。つまり合理的におカネを使えるようになるまでは長い鍛錬が必要であり、成功者は富を得る前からこうした訓練を続けています。
一方で、金銭的に豊かになれない人は、必要以上におカネを守っています。極端なまでの貯金に走っているのです。ただし、貯金とは「最低の投資」です。おカネを銀行に眠らせることで、目標を実現させたり、刺激的な人に出会ったりといった、未来を充実させる機会を失ってしまうのです。
実は経済的に成功している人に「おカネを守る」意識は薄いのです。自分の快楽や欲求のための消費はしませんが、学びや体験、人脈に対しては積極的におカネを投じる。ひたすら貯める人よりも、おカネを正しく使い、人生の選択肢を広げていける人のもとおカネは吸い寄せられることを成功者は知っています。
「遊べば遊ぶほど富が増える」多くの成功者はこう言ってそれを実践しているのですが、なぜでしょう?実は本当の人間関係というのは、交渉術やテクニックからは生まれません。そういう打算的なつながりは、深く長い付き合いには発展しにくいのです。富裕層とお付き合いして感じることは、彼らはこういうアプローチに対して非常に敏感だということです。
成功者と仲良くなるにはどうしたらいいでしょう? それは仕事抜きで、ゴルフや釣りに行ったり、BBQパーティーをしたりなど「遊びの時間」を共有することです。旅行に行くなんて最高でしょう。実際にこの遊びの中でお互いに理解し合い、その結果、自然とビジネスの話に発展することが多いのです。こうした遊びの中で、仲間として越えなければいけないハードルが自然と越えられ、それが徐々に強力な応援力となっていきます。こうした友情こそが、やがてビジネスの大きな力となってくれるのです。
[東洋経済ONLINE]
Posted by nob : 2016年03月26日 11:45