« 内にも被害者 | メイン | 愚かしさの極み。。。 »

生涯労働、、、誰のためでもない、自分自身の幸せのために。。。

■そろそろ本気で考えたい「65歳以上の働き方」 小泉進次郎氏らの提言に思う

自民党の小泉進次郎農林部会長ら若手議員による2020年以降の経済財政構想小委員会が、「人生100年時代の社会保障へ」と題した社会保障制度全般の改革に関する提言をまとめました。「痛みを伴う改革から逃げてはならない」として年金支給開始年齢や、70歳以上の高所得者の自己負担額の上限、さらに介護サービスの自己負担額の上限の引き上げなどを主張。中期的な改革を求めたことが話題になっています。

「定年」から30年以上セカンドライフを過ごす

こうした提言がなされた背景には「人生100年を生きる」長寿化時代の到来があります。日本で100歳以上の人口は過去最多6.5万人で、46年連続で増加中。仕事をリタイアするメドとなる「定年」から30年以上、セカンドライフを過ごすことになります。

現在における定年のメドは65歳。実際は60歳が定年で、希望者全員の65歳までの継続雇用制度の導入を企業に義務付ける改正高年齢者雇用安定法が成立しています。よって、65歳定年制の時代に突入したと言われています。

1970年代は大企業であっても55歳が定年退職でした。ちなみに1970年に突入したタイミングで日本人の平均寿命は男性69歳、女性74歳。これは戦後間もない頃、人生50年と言われた頃に比べて、劇的に寿命が延びて話題になっていた時期でした。ただ、日本の平均寿命は延び続けて、2015年に男性も 80歳を超え、女性は 87歳と1970年から10歳以上も延びました。こうした背景も踏まえて「いつまで働くか?=定年の設定」は1980年以降60歳に引き上がり、2013年から現在の65歳に引き上げられてきました。が、

平均寿命の延び>定年の延び

なので、さらに見直す必要があると考えて、小泉氏たちは提言をまとめたのでしょう。

この提言では、定年は廃止すべきと書かれています。65歳以上を高齢者とする考え方を見直し、生涯現役と考えてのことなのでしょう。また、定年廃止が提言されたのは生涯働きたいという高齢者の要望に応えたいという側面があるようです。

厚生労働省の調査によると、過去1年の定年到達者約43.5万人のうち、継続雇用を希望した人は全体の75.4%、継続雇用を希望しない人が24.6%となっており、4 人のうち3人が引き続き働きたいという意向を示しています。こうした、調査結果を踏まえれば定年廃止の提言はもっともかもしれません。

65歳が働く年限の目安

ただ、これから65歳を迎える世代は、生涯働きたいと考えているのか? 厚生労働省の高齢期における社会保障に関する意識等調査結果によると、「何歳まで働きたいか」について、「65歳まで」とする人が27.3%と最も高く、次いで「60歳まで」が19.6%、「70歳まで」が17.6%となりました。「生涯働き続けたい」とする人は7.7%。生涯現役!というよりは65歳が働く年限の目安になっています。

ただ、年齢が上がると「もう少し働こう」と目安が徐々に後ろ倒しになります。29歳以下では60歳まで、50代で65歳までが、60代になると70歳までが最も高くなります。おそらく「70歳」が働きたい目安なのかもしれません。また、体力的に70歳までは働ける自信が出てくるのでしょう。

取材していても70歳前後で週5日のフルタイム勤務している方々の大半は「問題はない」と回答してくれました。ただ、70歳から80歳まで働けるか?と訊ねると??な回答が増えてきます。働きたいけれどもフルタイムは厳しいと感じるのが、このあたりの年齢のように感じます。おそらく、生涯現役を自身も国も目指すなら70歳までフルタイム、それ以降は可能な限り働ける環境づくりが望ましいのではないでしょうか。

では、60歳から70歳までの10年をフルタイムで働くとして、どのような仕事で働くか?一番の前提は既存の会社で継続雇用されて働くパターン。改正高年齢者雇用安定法の施行以降、7割の企業が継続雇用制度を導入しています。

これまでの経験を生かして「安定した収入」を得て「健やかな生活」が確保したいのであれば賢明な選択と言えます。ただ、なかには「残りの人生で別の経験をしてみたい」とキャリアチェンジをしたいと考える人もいます。雇用延長よりもリスクのある選択です。この選択をする人は意外にも手堅い業界で長く勤務していた人が多いようです。別の人生を歩んでみたい衝動をおさえてきたのかもしれません。

取材したSさんは製造業で工場長まで務めた人物。雇用延長も選択できたにもかかわらず、退職を決断。ホームヘルパーの資格を取得して、介護会社に転職しました。慣れない仕事に戸惑いを感じた時期もあったようですが、現在は「ありがとう」と言われることに喜びを感じて、仕事に邁進しています。ちなみに工場長時代には「ありがとう」とユーザーの声を直接に聞くことは皆無だったとのこと。Sさんのように新たな資格を取り、その専門性を生かすキャリアチェンジを目指す人は徐々に増えています。

なかには会社勤めをやめて、開業をする人もいます。たとえば、飲食店やリサイクルショップを開店。やりたいことを突き詰めようとすると求人が見当たらないので、自分でやる、という選択になるようです。

こうしたキャリアチェンジの道を選ぶと環境も大きく変わり、収入面の不安もはらんでいますが、「楽しい」「やりがいがある」と前向きな声を継続雇用を選んだ人よりも多く聞きます。

女性も70歳まで働くことを希望している

みなさんはどちらのセカンドキャリアを選びますか? また、男性だけでなく女性も70歳まで働くことを希望している人は同じくらいいることを忘れてはいけません(厚生省の調査でも働きたい年限は男性と大差ありません)。

取材していて、子育てのために50歳まで専業主婦で「50歳で社会人デビュー、20年以上は働きたい」という女性や、パートタイムでさまざまな仕事を経験しながら生涯現役を目指したいと語る女性に出会いました。働き方の選択が柔軟で、働くことに意欲的なのが印象的でした。

ただ、男性のように長年勤めた会社の継続雇用が、70歳まで働きたい女性の受け皿になりにくいのは明らか。女性の勤務年数は男性に比べてはるかに短く、結婚・出産などのライフイベントで働くことを諦めているケースも多いからです。小泉氏の提言を実現するには、女性が70歳まで働ける仕事を増やしていく方法を考えなければいけないことは押さえておくべきでしょう。

[東洋経済オンライン]

ここから続き

Posted by nob : 2016年11月09日 14:01