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老若男女、何も中高年に限ったことではありませんが、昨今富みに著しい。。。

■キレる中高年、精神科医が指摘する哀しき理由

光浦晋三[フリーライター]

インターネットの登場以来、以前にもまして巷にはニュースがあふれ返っています。そうしたニュースや出来事の中から、DOL編集部が気になる出来事を厳選し、正面のみならず右から左から、価値あるニュース、楽しいニュースをお届けします。

駅のホームや病院の窓口など、公共の場所で激昂し、キレる中高年が増えている。しかもそうした人たちは一見、見た目も普通で良識がありそうな男性に多いという。なぜ中高年はキレるのか。
(フリーライター 光浦晋三)

中高年だからこそキレる
その危ない実態

血気盛んな若者がキレやすいと思いきや、些細なことでキレるのは、むしろ中高年が多いという。その心の底には、意外な理由が潜んでいた

 ごく最近、70歳過ぎの男性がキレる瞬間を見たことがある。夕方のスーパーで、幼稚園の女児が商品棚に隠れ、母親相手に1人でかくれんぼを始めていた。母親は女児に「やめなさい」と小声で叱るのだが、女児はニコニコ笑って遊び続けている。冷静に見て、それほどうるさいという感じではなかったと思う。

 
ところが突然、女児の近くにいた男性が「うるさい。クソガキ!ここは遊ぶ場所じゃない!」と大声で女児に怒鳴ったのだ。母親が女児のもとに急行すると、男性は母親に対しても「前から言おう言おうと思ってたんだ。最近のガキはうるさい。親のしつけもなってない。そもそもな…」と激怒。母親は「すいません」と謝るのみだった。男性はなおも「こんなんじゃ気持ちよく買い物ができないだろ。お前らのせいで、食べ物がおいしくなくなるんだ」などと怒鳴り続けた。


 恐らく店内の別の棚を見ていたのだろう、そこに女児の父親が戻ってきた。見知らぬ男性が妻子を“罵っている”ところを見るや、「やめろ。うちの子どもも悪いけど、あなたの声もでかいですよ。子どもが怯えてますよ」とキレる男性の前に立った。すると男性は急に黙り込み、そのまま店を出て行ってしまった。


 中高年のキレやすさを端的に示すデータはない。しかし、全国のJRと私鉄計33社が2016年夏に発表した「鉄道係員に対する暴力行為の件数・発生状況について」によると、15年度の暴力行為は792件で、20代以下は127件(16%)、30代は149件(18.8%)、40代は140件(17.7%)、50代は153件(19.3%)、60代以上は188件(23.8%)、不明は35件(4.4%)となっている。

 40代以上の中高年が481件で60%を占めている計算となる。駅員にキレるのは自制心がなく、精神的に未熟な若者のイメージだが、実は中高年が多くキレているのだ。

 ブログ「プラセボのレシピ」での情報発信を行う医療法人社団榎本会榎本クリニック池袋の山下悠毅院長は「なぜ、いい年をした中高年がキレるのか。そんな思いの方は少なくないと思います。しかし、私に言わせれば、むしろ中高年だからこそキレるのです」と指摘する。


ビビリな人ほどキレる!
中高年を取り巻く「不安」の正体

 そもそも怒りをコントロールできないのが“キレる”ということ。その怒りを理解するには、大まかに3つの視点があるという。


 まず始めに、「怒りは二次感情である」という点だ。

 私たちは「楽しい」「おいしい」「悲しい」「驚き」といった様々な感情を日常の中で体感している。これらは一次感情と呼ばれ、反射的・反応的な感情だ。しかし、こと「怒り」に限ってはこれらと異なり、二次的に自分が生み出す感情なのだ。山下院長は「怒りはあくまでも二次感情です。そして、その二次感情を生みだす一次感情は不安です。つまり、すぐ怒る人は極めて不安耐性の低い、いわば『ビビリな人』なのです」と話す。


 たとえば、道を歩いていて、乱暴な運転手のせいで車とぶつかりそうになり、歩行者が「危ねーじゃねーか!」と運転手にキレたとする。しかし、歩行者の本音は、実は「怖かったじゃねーか」なのだ。まずは「怖かった」という一次感情が湧き、その後「次はしないでほしい」という防衛本能から、怒りという二次感情が生まれ「危ねーじゃねーか!」と怒鳴るというわけだ。


「長年生きてきた中高年は、多くの不安を抱え続けています。頼るべき親もいない、先生もいない。そして、人は先が見えないと不安になりますが、実は先が完全に見えきってしまっても、同じくらい不安になるのです」

「この先も同じ会社にいて、給料はいくら、お小遣いはいくら、買えるものはこんな感じ、妻とはこう、子どもとはこう、そしてそのまま定年を迎えて死んでいく…。こんな状況では誰も希望は見出せません。つまり、先が見えない不安、そして先が見えきってしまう不安、この2つの状況が相まって不安が強くなってしまう方がいるのです」

 こうして常日頃から、中高年が心に抱き続けている不安。それはいつ爆発するとも知れないマグマだまりのように、心の中に溜まり続ける。


「人の心の中には“不安を溜めるバケツ”があり、私たちが日常の中で感じている様々な不安はそのバケツに溜まっていきます。そして、それがいっぱいになったところに別の不安が生じると、ついには不安がそのバケツから溢れ出し、それが「怒り」という二次感情となって出現するのです」(同前)

 つまり、直前に起きた出来事だけでキレるのではなく、むしろ問題の本質は、日常的にその人の心のバケツが不安で満たされてしまっていることにあるのだ。実に些細なことも、人間には「不安」として認識される。たとえば睡眠不足や疲労、残業やネットなどでの夜更かしも、中高年のキレを加速させる要因なのだという。


キレるのは別の理由
無意識に相手を探している?

 次に「人が怒る理由の9割は別の理由だ」という点がある。

 たとえば、サラリーマン中高年にとって、“かわいい後輩”と“いけすかない後輩”がいるとする。かわいい後輩が遅刻しても、「しょうがねえなあ」と思う程度だ。しかし、いけすかない後輩が遅刻すると、「あのバカ、なに遅刻してるんだ」と腹が立つ。つまり、後輩の“遅刻”という出来事自体は、怒りとは関係がない。いけすかない後輩を怒るためのアラを日頃から秘かに探していて、それ見えた瞬間、「待ってました!」とばかりに怒り、キレるわけだ。


 山下院長は「キレる人の心には、怒っても反撃できない人を見つけると『チャンス!』となり、その相手がミスなどをした瞬間『オレの日常の怒りをぶつけよう!』といった無意識の構造が働いています。それで駅員や窓口の係員、子どもなどにキレるわけです」(同前)

 確かに、駅員にキレる中高年も、ヤクザがどんなマナー違反をしたからといって、キレたりしないだろう。

「それはヤクザを見ても『チャンス』とはならいからです。つまり、不安の強い人は、本人の中の無意識が、キレる相手や理由を探しているのです。そして、そうした心の動きについて、人は自分では気がつくことができないのです」(同前)


 最後に「怒りは自己紹介である」という点だ。

「他人の遅刻に厳しい人は自分も遅刻魔なんです。後輩の服装に厳しい人は自分が若いときに服装がだらしなく注意されていますし、『空気読め』が口癖の人も同様で、自分はどこか空気を読めていない人だと思っています」

 なにか逆さまにも見えるロジックだが、ここにも人間心理の微妙なアヤがある。

「そもそも『自分は空気を読むことが苦手』というコンプレックスがなければ、空気を読む、読まないということに、意識のアンテナが立たない。そして、そんな人は 空気を読めてない人を見つけて怒ることで、『自分は空気を読めている』と安心したいのです。つまり、駅員さんに『仕事をちゃんとしろ』とキレる人は、『自分は仕事をちゃんとしていない』と心のどこかで思っているのです」(同前)

 この3つのどれか、もしくは複数が、中高年が公共の場にもかかわらず、突然キレてしまう理由だという。では、どうしたら“キレない中高年”になれるのか。

キレない大人になるために
怒りをマネジメントする方法

「自分が本当にやりたいことがある人は、それ以外のことはすべて雑音(どうでもいいこと)になります。目標に向かって動いている人は、他人が何をしてようと、人から何を言われようが、そんなことには無関心になれる。結果、他人にキレないわけです。せいぜい、『あー、世の中にはそういう人もいるよね』程度です」

「加えて、自分の進むべき方向性が明確になっている人は、日々の生活の中でも充実感が生まれ、心のバケツに不安も溜まらないのです。そして、これは怒りのマネジメントとして大切な話なのですが、その目標は壮大なものである必要はなく、はたから見たならほんの小さな目標でもいいのです。しかし、それが他人から与えられたものではなく『自分が設定した』、ということが重要なのです」(同前)


 近年、キレる中高年が増えているのは時代的な側面も関係しているという。

「終身雇用や年功序列制度の時代には、年を重ねるごとに給与や役職は上がり続け、尊敬も得られるという不文律が存在していました。しかし現在、終身雇用の制度は崩れ、年功序列もなくなり、パソコンができなければ無能のレッテルを貼られてしまう時代になってしまった」

「加えて、昔はいわゆる『年の功』というものがありました。年を重ねれば自然と知識量も増え、質問されたり、それがゆえに尊敬もされたのです。しかし、現代は知識がものを言わない時代です。知識量でスマホに勝てる人は存在しませんからね」(同前)

 あらゆる職場や個人にパソコンやスマホを普及させた、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズの功績がキレる中高年を大量生産しているのか。いずれにしても、現代の中高年が充実感や安心感を抱きにくくなっていることは間違いないようだ。

[DIAMOND online]

Posted by nob : 2017年04月26日 13:07

呼吸、姿勢、歩行が健康づくりのキホンのキ。。。Vol.4/実践している方も多いかと思いますが、私もお薦めします。。。

■健康や美を損なう「口呼吸」を「あいうべ体操」でストップ!
第1回 お風呂や就寝前に舌の体操を!

「口をぽかんと開けて無意識に行う“口呼吸”が、健康や美を損なう元凶」──そう確信する医師が、口呼吸をストップさせるメソッドを考案。そのメソッドとは、口呼吸の原因である“たれ下がった舌”を引き上げるというもの。不調が改善するほか、顔のたるみがなくなる人が続出! 驚くほど簡単な舌の体操、ぜひ身に付けて。

舌の体操で顔のたるみは取れる!

 「口呼吸の害に向き合うきっかけは、関節リウマチ患者特有の“におい”だった」と話すのは、みらいクリニックの今井一彰院長。「病気が治るとにおいが消えることから、においの一番のもとと思われる口臭を消せば病気が良くなると考えた」(今井院長)。

 今でこそリウマチの症状の悪化は歯周病が関係し、歯周病菌を増やす原因となる口腔乾燥を防ぐことが大切だと分かってきた。しかし、2000年当時は口呼吸を止めるとリウマチの症状が改善するのが不思議だったという。今井院長は、花粉症やアトピー性皮膚炎なども、口呼吸をやめて劇的に良くなる患者を数多く見てきた。

 どうすれば口呼吸をやめられるのか─と考えたところ、自然と口が開く人は、舌の位置が下がっていると判明。「原因は、舌筋(ぜっきん)が弱くなっていることだった」(今井院長)。

 舌の筋肉には下あごを支える働きもある。舌の筋肉が弱って舌の位置が下がると、下あごの上にべったりのって、その重みで下あごが下がり、口が自然と開いてしまうと分かった。「舌が下がっている人は女性全体の9割」(今井院長)という。あなたも、舌の位置を知るチェック法(次ページに紹介)でぜひ確認しよう。また舌が下がる要因には、舌の筋肉の構造も大きく関係するようだ。

新発見! 口呼吸は「舌のたるみ」が原因だった

舌が下がり、前歯の裏についている

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舌が上の歯の裏側についているのが分かる。これは舌が下がっている証拠で、口呼吸をしている可能性が高い。もっと舌が下がっている人は下の歯の裏側につく。

舌が上あごにべったりつく

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上あごの歯茎の上にあるくぼみ、硬口蓋(こうこうがい)に舌がぴったりくっついている。この状態だと自然と口が閉じ、逆に開けづらい。

 美容面でも大きな影響がある。“舌のたるみ”で、あごがたるみ、ほうれい線やシワができてしまう。さらには乾燥肌を招く一因にも。「口呼吸は体内の水分をどんどん気化させ、水分量を減少させてしまう一因に」(今井院長)。まさに顔のエイジングにかかわる舌のたるみ。舌の体操で舌を引き上げて口呼吸をストップさせよう!

あなたの「口呼吸」レベルをCheck!

確かめてみよう! 正しい舌の位置はココ

音を鳴らしたときの場所が正解!

 舌先を丸め、上あごにつけ、「カッ♪」と音を出そう。最初に舌が当たる場所が、本来舌があるべき位置になる。

 次回は、あいうべ体操の実践編を紹介する。


■「あいうべ体操」で舌筋を鍛えて舌と顔のたるみをとろう!
第2回 舌はどこででも鍛えられる!

「口をぽかんと開けて無意識に行う“口呼吸”が、健康や美を損なう元凶」──そう確信する医師が、口呼吸をストップさせるメソッドを考案。そのメソッドとは、口呼吸の原因である“たれ下がった舌”を引き上げる「あいうべ体操」。今回はいよいよ「あいうべ体操」を実践してみよう!

あいうべ体操で、舌&顔のたるみをとる!

 前回の記事(「健康や美を損なう「口呼吸」を「あいうべ体操」でストップ!」)では、口呼吸が美容や健康に与える悪影響を紹介した。口呼吸の原因は「舌のたるみ」。みらいクリニックの今井一彰院長は、「舌のたるみは顔のたるみに直結する」という。だから、下あごを支える舌筋と口まわりの表情筋をストレッチして、舌とフェイスラインをぐ~んと引き上げよう。まずは上の「あ」「い」「う」「べ」の動作を1セットとし、連続して10回行ったあと、口を閉じて舌の位置を確認してほしい。舌の先が引き上がっているのが分かるはずだ。

 大げさなくらいに大きく口を動かしゆっくり行うのが効かせるコツ。お薦めは入浴時や就寝前だ。「浴室は湿度が高く口の中が乾燥しない。また就寝前に行うことで、就寝中に極端に少なくなる唾液の分泌をカバーする効果もある」(今井院長)。顔や首の血行も良くなる。

 舌先が上あごについているか、そうでないかの舌の位置は1cm差。「この1cmが顔のたるみや健康を大きく左右する」(今井院長)。さあ始めよう!

step 1 : 「あ~」と口を大きく開ける。

縦の楕円形に近くなるようにして、のどの奥が見えるくらい口を大きく開ける。

step 2 : 「い~」と口を横に開ける。

ほおの筋肉が両方の耳の前に寄る感じがするくらいが目安。首に筋が浮き出るくらいに。

step 3 : 「う~」と口をとがらせる。

思い切り唇を前に突き出すようにする。

step 4 : 「べ~」と舌を伸ばす。

舌の先を舌あごの先端まで伸ばすような気持ちで、舌を出す。

「あいうべ体操」のポイント

* 口を大きく動かすことを意識する。
* 1つの動作(例:「あ」)を約1秒で。1セット(「あ」「い」「う」「べ」)を約4秒かけて行う。
* 1セットを10回続けて行う。
* 1日に3度に分けて(10回×3=計30回)行うのがお薦め。
* お風呂や就寝前がベスト。
* 声は出さなくてOK、少し声を出して行うとストレッチ効果がアップ。

あいうべ体操直後、下あごが持ち上がった。

さらに舌を鍛えるなら…
舌を唇と歯の間でぐるぐる回そう。

 舌先を出す角度を変えても複数の舌筋が鍛えられる。どこでもできるので、気付いたときにどんどんやろう。

「あいうべ体操」終了60分後も、表面皮膚温度が持続。

 29歳の女性があいうべ体操を30回行った直後と60分後のサーモグラフィーによる表面温度の測定結果。あごや鎖骨のデコルテ部分の血流改善効果が長時間持続した。

寝ているときに口が開いてしまう…
マウステーピングをして寝よう。

 「うつぶせ寝や横向きに寝ると、口が開きやすい」(今井院長)。12mm幅のテープを5cmの長さに切り、唇の真ん中に縦に貼って寝る。「あくまで対症療法であることを忘れずに」(今井院長)。

 テープはなんでもOK。サージカルテープだと、はがすとき痛みが少ない。


いずれの記事も

今井一彰さん
みらいクリニック(福岡市博多区) 院長

[日経Gooday]

Posted by nob : 2017年04月26日 12:01

呼吸、姿勢、歩行が健康づくりのキホンのキ。。。Vol.3/そして生活習慣。。。Vo.2/まずは睡眠。。。Vol.2/8時間睡眠も昼寝もなかなか難しい。。。

■人間が本当に必要な「睡眠時間」は何時間か?

Popular Science : 睡眠には本当に時間を取られますよね。推奨されている1日の睡眠時間(成人の場合は8時間)に平均寿命(アメリカでは78.8歳)を掛けると、なんと約9,587日になります。人生の3分の1は意識の無い状態で過ごすわけです。

進化論的見地からは、睡眠は文字通り時間の無駄ですが、そうは言っても、果てしない歳月を重ねて地球上のほとんどすべての生物が睡眠を取るように進化してきたわけですから、きっと重要に違いありません。

現に、身体のほぼすべての器官が機能するには睡眠が極めて重要な役割を担っていることが科学的に実証されています。

同時に、病気の有無、多忙なスケジュール、そして、加齢という単純にして回避不可能な現象により、睡眠に充てられる時間が違ってきます。そうなると、私たちには実際には何時間の睡眠が必要なのでしょうか。睡眠時間を短くする訓練はできるのでしょうか?

世間一般に知られている8時間睡眠

睡眠時間は何時間でもいいというわけでは決してありません。8時間は、間違いなく人間が自然に必要とする睡眠時間数であり、これには確固たる論拠があります。

太陽の光も一切の視覚的手がかりも無い実験室に被験者を入れて、夜は必ず9時間の睡眠を取る機会を与えるという実験が行われました。数週間にわたり被験者が毎晩これを実行したところ、常に同じ結果が出ました。それは、人間はどれだけたくさん時間があっても、睡眠に費やす時間は通常平均8時間になるということです。

8時間睡眠を支持する研究は他にもあります。さかのぼること1938年、Nathaniel Kleitmanという名の睡眠学者とその学生の1人がケンタッキー州のマンモス洞窟で32日間過ごしたという研究があります。

マンモス洞窟は、世界で一番深い洞窟で、太陽の光が完全にシャットアウトされた環境です。そこで過ごした期間の睡眠パターンを分析した結果、やはり1晩に8時間から8時間半の睡眠を取っていたことがわかりました。

では、睡眠時間が8時間より少ないとどうなるのでしょうか? 

それに関しては、多くのことがわかっています。2003年に、ペンシルべニア大学の睡眠学者、David Dinges氏と『Walter Reed Army Research Institute』の睡眠学者、Gregory Belenky氏が睡眠不足の結果に関して極めて重要な研究を行いました。この研究の目的は、人間は認知能力に影響を及ぼすことなく、どこまで睡眠時間を減らせるか調べることでした。

睡眠については多くの実験で証明されている

2週間にわたって実施されたこの2つの研究では、被験者の睡眠時間をさまざまに変える実験が行われました。実験を始める前に、被験者に8時間睡眠を取らせ、翌日一連の認知テストを受けてもらいました。

これにより、被験者の回答速度、文章の読解力、1秒か2秒ウトウト居眠りをする回数(専門用語では『マイクロ睡眠』といいます)を測定して、各被験者の平常時の認知能力の基準値を割り出しました。

Dinges氏の研究チームは被験者を4つのグループに分け、それぞれのグループに8時間、6時間、4時間の睡眠時間を割当て2週間観察しました。最後のグループには全く睡眠時間を与えずに最長で連続3日間観察しました。

カリフォルニア大学バークレー校睡眠神経画像研究所のディレクター、Matthew Walker氏によれば、最後のグループを観察することで、たった1晩全く睡眠を取らなかっただけで認知能力がどれだけ低下するかがわかりました。Dinges氏のチームは、1晩徹夜しただけで脳の認知能力が酩酊状態とされる状態と同じぐらい低下することを発見しました(これは、その後に続く諸研究でも証明されています)。

残りのグループから得られた結果もそれほどかけ離れたものではありませんでした。

8時間睡眠のグループは2週間の実験期間を通して認知能力に目立った変化は見られませんでした。6時間睡眠のグループは、実験を初めて10日目以降は、1晩全く睡眠を取らなかった人たちと同じ程度の認知能力の低下が認められました。それと同程度の認知能力の低下が4時間睡眠のグループの場合は、たった3日目で起こり、実験10日目には、2日間徹夜した人たちと同程度に認知能力が低下しました。こうした認知能力の低下は日を重ねても緩やかになることはありませんでした。

「データのグラフを見ると、どこまでも限りなく低下していきます。これは実に恐ろしいことです。」とWalker氏は語っています。

『Walter Reed』でも同時期に全く同じ実験が、睡眠時間を7時間、5時間、0時間という奇数の時間数にして行われましたが、得られた結果はDinges氏のチームが得た結果と基本的には同じでした。

1晩に7時間睡眠を取ったグループでさえ(7時間も眠るなんて贅沢だと考える人もいますが)、実験5日目にして、ウトウト居眠りをする率が8時間睡眠のグループに比べて3倍も高くなったとWalker氏は言います。ですから、認知能力を低下させずに睡眠時間を8時間から何時間減らせるか、と言えば、その答えは、1時間未満ということになります。

残念ながら「例外なく、1日8時間は睡眠を取るべきだ」ということに確定のようです。

そうは言っても、誰もが特に平日はとても忙しい生活をしています。週末だけエクササイズしているのに健康でいられるツワモノの例もあることから、平日に不足した睡眠を週末に補うことはできるのでしょうか。それにより平均睡眠時間を8時間にできるなら何よりです。この疑問の答えを見つける研究も実施されました。

睡眠時間を削る実験をした後で、同じ被験者に「睡眠を取り戻す」ために3日間を与え、その間はいくらでも好きなだけ眠っていいことにしました(予想通り、ほとんどの被験者は8時間以上寝ました)。

3日目の終わりに、同じ認知力テストを受けてもらうと、最初に割り出した各人の基準値レベルには戻っていませんでした。言い換えれば、睡眠時間が1日7時間以下だと睡眠不足になり、週末に補完しただけでは本来の認知能力には戻れないということになります。どれだけ長く回復期間を取れば本来の能力に戻れるのかは、わかっていません。

「睡眠は貯金できると思われています。借金がかさんでも、ある時点で巻き返せると思いたいからです。しかし、睡眠に関してはそうはいかないことがわかっています。」とWalker氏は言います。

脳には失ったものを全部取り戻す能力はありません、とWalker氏は説明しています。なぜでしょうか。カロリーを脂肪にして蓄えることで飢えをしのぐのと同じやり方で睡眠不足を補う方法が進化しなかったのはなぜでしょうか。

「その答えは簡単です」とWalker氏は言います。「意図的に睡眠時間を削る種は唯一人間だけだからです。」地球上の生物は睡眠を蓄えるシステムを作る必要が無かったので、脳の中にそういうシステムがないのです。

この記事を読んで、「いつも6時間睡眠で問題なく暮らしているのに、どうしてそれ以上の睡眠時間を無理に作らなければならないのだ。そんなことは時間の無駄だ。」と冷笑している人も多いことでしょう。

そんな人には、こんな実験結果をご紹介しましょう。Dinges氏の実験チームが、6時間睡眠の被験者が6時間睡眠の夜を1晩経た後で受けた認知テストの出来栄えを聞くと、誰もが「良くできた」と回答しました。

しかし、実際には、8時間睡眠後に受けた実験開始前のテストの結果と比較すると、著しく劣っていました。

「睡眠不足のときは、自分が睡眠不足だと自覚していないのです」とWalker氏は言います。

「多くの人が、自分は6時間睡眠かそれ以下で大丈夫だという誤った考えを持ってしまうのです。」睡眠時間を削る効果的な訓練の方法は存在しないとWalker氏は主張しています。慢性疲労に慣れてしまうことはあっても、疲労を実際に抑制できるわけでもなければ、認知力テストで8時間眠ったときと同じ成績を出せるわけでもありません。

午後の昼寝はパフォーマンスを上げる

さらに、タンザニアのハッツア族のような、いまだに電気が全くないままの文化に目を向けてみると、特に夏場は、2回に分けて睡眠を取る傾向があることがわかりました。

夜に6時間眠り、午後に2、3時間眠るのです。これにより、人間は果たして16時間連続して起きていた方が良いのかという問題が提起されるとWalker氏は言います。

実際、誰でも午後はちょっと能力が低下する時間帯があります。このように注意力が生理的に低下することは専門用語で食後性低下と呼ばれており、代謝システムの変化や脳波や認知反応時間の調整を通して測定できます。

誰でも認知能力が一時的に低下するなら、その時間帯に昼寝をすると良いのかもしれません。「まだ明確にはされていませんが、もしかしたら、人間のパフォーマンスを真に最適化するためには、睡眠を2回に分ける必要があるのかもしれません。」とWalker氏は語っています。

1点科学的に実証されていることは、毎晩の睡眠が少ないほど、日を追うごとに認知能力が低下し続けるということです。

Walker氏いわく、睡眠が1時間減ると人間にどの程度の影響が及ぶか立証したいなら、アメリカなら毎年3月に冬時間から夏時間に変わった直後の感覚を思い出してみることです。そのときは、全国一斉に睡眠時間を意図的に1時間減らすことになるからです。

しかしWalker氏に言わせれば、一番覚えておくべきことは、「やるべきことが多すぎて睡眠時間は5時間しか取れない」と言う人に対して、次のように言い返すことです。

「残念ながら、それは皮肉な話だね。そんなにやることがたくさん残っているのは、5時間しか眠らないせいで認知機能が低下しているからかもしれないよ。だからいつまでたっても仕事が終わらないんだよ。」

How many hours of sleep do you actually need? | Popular Science

Claire Maldarelli(訳:春野ユリ)

[ライフハッカー]


■夜の睡眠は「5時間」でもOK グーグル、ヤフーが勧める「昼寝」の方法

□睡眠のプロが提案する「5時間快眠法×朝5時起き」とは

2017年の年明けから、はや4カ月。皆さんは、毎日、「自分の時間」を確保できていますか? このまま時間に追われてしまえば、あっという間に年末です。それを避けるために、自由な時間をつくる方法を考えてみたいと思います。キーワードは「睡眠」です。

日本睡眠学会所属の医師・坪田聡さんは、著書『朝5時起きが習慣になる5時間快眠法 睡眠専門医が教えるショートスリーパー入門』(ダイヤモンド社)のなかで、「5時間快眠法×朝5時起き」というスタイルを提案しています。睡眠の質を向上させれば5時間でもぐっすりと眠ることができ、朝早く起きることもできる。また、睡眠時間が5時間になれば、自分が自由に使える時間も確保しやすくなります。

たとえば、23時に寝て7時に起きるようなサイクルだと、勉強やワークアウトに使える時間、趣味にあてられる時間などはほとんど確保できないはずです。ベッドのなかでスマホを見るくらいがせいぜいでしょう。

これを24時に寝て5時に起きるサイクルに変えるとどうなるでしょう。寝る前と起きた後、合計で3時間の余裕が生まれることになります。これを「自由に使うことができる時間」として活用するわけです。

朝の時間帯はしっかりと休んだ後なので頭がよく働きます。また、日を浴びれば心身も活性化します。早朝は周囲も静かですから、集中して物事に取り組むこともできます。語学や資格の勉強には最適でしょう。こうした時間をつくるためには何をすればいいのか。大切なのは睡眠の質を上げることです。

坪田さんは、著書の中で「いたずらに長いだけの睡眠に費やす時間の多くは『無駄」」と指摘しています。

睡眠のよしあしは、単純に「時間」だけで測れません。一般的に「1日の疲れをとるには6時間〜8時間程度の睡眠が必要」などといわれますが、坪田さんの考えによれば、重要視すべきは「睡眠時間の長さ」よりも「睡眠の質」だというのです。

これを数式にすると<時間×質=満足度>。仮に睡眠時間が短くても、睡眠の質が高ければ得られる満足度は同じという考え方です。

同書では次のような例が紹介されています。これまで7時間睡眠をしていたとしましょう。1時間あたりの睡眠の質が50点だった場合、7時間×50点で満足度は350ということになります。一方、睡眠の質が70点だったとしたらどうでしょう。5時間睡眠でも、同じ満足度が得られるわけです。

□朝5時起きはクリエイティブな作業と相性良し

その他、坪田さんが推奨する、睡眠の質を上げるための条件はこちらです。

・寝付きを良くするために就寝3時間前までには食事を終える。
・ラベンダーの香りなど寝室でアロマを焚く。
・興奮を鎮める効果がある緑色の寝具に揃える。

さきほど「就寝前にベッドの中でスマホをみる」という生活スタイルを例に出しましたが、そんな方は要注意。この行為は「エスプレッソ2杯分の興奮状態になる」と説明されています。

睡眠の質を高めるには、部屋着ではなくパジャマで寝る、というのも効果的なようです。オムロンヘルスケアとワコールが行った実験によると、スウェットやジャージなどの部屋着で寝た場合は一晩で平均3.54回目覚めてしまう一方、パジャマで寝た場合は平均3.01回と、中途覚醒(夜中の目覚め)の回数が約15%も下がりました。

筆者も、この3年ほど朝5時起きに挑戦しています。この原稿も朝5時から書き始めました。3歳の子供が起きてくるのは毎朝7時ごろ。それまでの2時間は、本当にひとりになれる時間だと実感しています。

まだ家族が寝ているうちに、コーヒーを淹れ、気になっていた本を開き、窓の外を眺める。そうすると、とてもリフレッシュできるのです。また、クリエイティブな作業とも相性がよく、原稿執筆や企画書作成も非常に捗ります。とはいえ、私の場合は24時まで起きていられず、22時〜23時には寝入ってしまうので、坪田さんの提案する効率的なショートスリープはまだ実践できていません。

筆者の周囲にも短時間睡眠を上手に取り入れている人がいます。ハフィントンポスト編集長・竹下隆一郎さんは、24時ごろに寝て、朝5時に起床するスタイル。早朝の時間は、ニューヨークで暮らす仕事仲間とSkypeで会話しながら現地の最新情報を収集したり、子どもの朝ごはんを作ったりして過ごしているといいます。子どもの宿題をみてあげることも多く、「朝は雑音が少ないので、普段より集中して勉強してくれる」と語ります。

「早起きのため、寝る前にはユーカリの香りを嗅ぎながら瞑想します。息の色を想像しながら、ゆったりとした呼吸を繰り返し、心を落ち着かせるんです」(竹下編集長)

ショートスリープを実践している人の多くは、眠りに入るためのルーティンを持っているようです。寝室には、心地のよい香りやリラックスできる音楽、落ち着いて過ごせる照明を用意します。そして、歯を磨き、パジャマに着替え、ベッドに座って瞑想する……。自分なりの“眠りの作法”を見つけることができれば、睡眠の質も自ずと高まるのでしょう。

□グーグルやヤフーは社員に仮眠を推奨

睡眠の満足度をあげる方法は、夜だけではありません。日中の「仮眠」も重要です。『朝5時起きが習慣になる5時間快眠法』には、「中世のころには1日の睡眠を2、3回にわけてとっていた」「多くの動物も、1日に短時間の睡眠を繰り返す『多相睡眠」をおこなっている』という記述があります。

現在、日米のIT企業では、社員に仮眠を推奨する企業が増えています。たとえばグーグルは、米シリコンバレー・マウンテンビューの研究機関に「睡眠マシン」を導入しています。上半身をドームが覆い、睡眠を促す音楽が流れて、外部からの光と音を遮断。体を休めるのに最適の姿勢をとることができ、短時間でもぐっすり眠ることができるのです。タイマーをセットしておけば、振動でやさしく起こしてくれるので、寝過ごす心配もありません。

また日本では、昨年9月に社屋を移転したヤフーが、千代田区紀尾井町の新オフィスに「仮眠スペース」を設けました。従業員が好きな時に「昼寝」のために利用できるスペースで、予約制の「個室」もあるそうです。狙いは、従業員の集中力を高め、生産性を向上させること。就業時間のなかで「昼寝」をとったほうが残りの就業時間の効率が高まる、という考え方のようです。

こうした「昼寝」の効果に、科学的な根拠はあるのでしょうか。睡眠に詳しい東京福祉大学の栗原久教授は、「仕事中の仮眠にはメリットが多い」といいます。

「仕事を続けると脳が疲れて集中力や記憶力が低下して、間違いや事故のリスクが高まります。とくに、午後は疲労の影響が強まります。そこで、午後の早い段階で仮眠をとると、脳の疲労を解消することができ、仕事の能率を保つことにもつながるのです」

つまり仕事で高いパフォーマンスを発揮したい人ほど、仮眠を積極的に取り入れたほうがいいようです。具体的にはどんな環境で「昼寝」をしたほうがよいのでしょうか。栗原教授は次のように解説します。

「刺激が多いと脳は休まりません。通常、脳に入力される刺激の内訳は、視覚が85%、聴覚が10%、皮膚・筋肉感覚が4%、嗅覚・味覚が1%です。そのため、仮眠をうまく取るには、刺激がマイルドな淡い暖色系の照明、超音波(※1)を含む適度な音楽、心地よい香り、そして身体全体を均等に支えてくれる自分にフィットした寝具が大事です。すべてが整った環境を用意するのは難しいと思いますが、できるだけ脳への刺激が少ない場所を選ぶことで、仮眠の質は高まりますよ」

「昼寝」をとる時間帯にもコツがあるそうです。

「午前中に一仕事を終えて、昼食を済ませた12時から14時ごろは生理的に眠気が出てくる時間帯です。そのため、ランチ後に仮眠をとり、脳機能を回復させることが、午後の仕事の効率アップに有効となります。ただし、深い眠りは覚醒までの時間が長くなるので逆効果になりかねない。寝入りすぎてしまうのを回避するには、昼寝の前にコーヒーを飲んで眠り、カフェインの効果が強まる30分後くらいに目覚めるようにするのが効果的でしょう。昼食後の仮眠は生産性の向上に大きく寄与しますから、その仕組みづくりに真剣に取り組んだ企業ほど、成長できる可能性も上がると考えます」

栗原教授は「今後、社員に仮眠をすすめる企業はますます増えていくだろう」といいます。日々の忙しさにてんてこ舞いの皆さん。思い切って「昼寝」を取り入れてみてはいかがでしょうか。

※1:超音波は2万ヘルツ以上の音。人間の耳では音として聞き取れないが、音波が脳に働きかけ、リラックス感を向上させるという説もある。MP3などのデジタル音源は、人間が聞き分けられない音域をカットしてデータ量を圧縮しているが、最近広まりつつあるハイレゾ音源はデータ量も多く、超音波域まで収録している。なお、テープやレコードには超音波が含まれているので、従来からリラックス効果が高いとされてきた。

(上沼祐樹=文)

[プレジデントオンライン]

Posted by nob : 2017年04月19日 10:54

確かに運動後のリセット体操は面倒そうですが、早速試してみたいものです。。。

■【ニッポン柔道式】最先端トレーニングで体力復活!

仕事や運動の疲れを速攻回復、日本柔道式エクササイズを伝授
長時間の仕事で凝り固まった筋肉を伸ばして疲れを取る

松尾直俊=フィットネスライター

2016年のリオデジャネイロ五輪で全7階級でメダルを獲得し、復活と躍進を遂げた柔道男子日本代表。これには科学的なトレーニングによるフィジカル強化に加え、疲労を素早く回復させて、次の日も効率的な練習を繰り返すことができるようになったことも大きい。そこで、井上康生監督のもと、総務コーチとしてトレーニングプログラムの組み立てや疲労回復メニューの指導に当たった日本体育大学准教授の岡田隆氏に、ビジネスパーソンが仕事やオフタイムの運動で感じる疲れの回復にも役立つ“日本代表式ストレッチ”を教えてもらった。

 トレーニングや練習を行うと、大きな力を出した筋肉には小さな損傷が起こり、エネルギー代謝によって作り出された代謝物が残る。これらが疲労を感じる主な原因だ。できるだけ早く回復させないと、筋肉痛が長引いたりして、次の練習が効率的にできないことになる。また、回復しきらないうちに新たな負荷がかかることで、筋肉の損傷が重なって大きなケガにつながることにもなりかねない。

 「練習や筋トレで大きな力を出した後は、以前より筋肉が短くなったままの状態になります。すると、血管が圧迫されて血液の流れが悪くなり、老廃物の排出が遅くなる可能性があります。また、損傷を起こした筋肉を補修するために必要な、たんぱく質を中心とした栄養の補給も滞るかもしれません。それが選手たちのパフォーマンスを落とす原因となるのです」

 こう語るのは柔道男子日本代表の総務コーチを務める、日本体育大学の岡田隆准教授。疲労回復を促すには、筋肉が何度も強く収縮し硬くなって阻害された血流を、いかに早く元に戻すかが大切ということだ。

縮んだままの筋肉が疲労につながる

 「シンプルに考えれば分かることですが、筋肉が収縮して固まっているのですから、伸ばしてあげるストレッチが最も適した方法です。意外に思われるかもしれませんが、一流アスリートの中にも、練習前の準備運動は念入りに行っても、練習後のリカバリーやケアをおろそかにする人が結構いるのです。選手たちには、それがパフォーマンスを落とし、けがの原因になることを伝え、練習後のケアをしっかりするように言いました」

 これは、一般のスポーツ愛好家も陥りがちなミスだ。例えば久しぶりにジョギングなどを行う時、走り出す前にはストレッチを行うのに、終わってしまえばそのままシャワー、そしてビール…というパターンになる人が多いだろう。すると、翌日からは筋肉痛が続くということになってしまうのだ。

 選手たちも同じだ。キツイ練習が終わった後は、早く食事をしてリラックスしたいがために、リカバリーのためのエクササイズを軽く終わらせてしまうことが多いのだという。

 「練習を始める前にはできるだけ体を動かす動的ストレッチや、以前にも紹介したHIITなどを行って体を温めることが必要です。しかし練習で動かし、力を出して収縮固定の状態になっている筋肉に対しては、ゆっくり静的ストレッチをすることで血行を回復させてあげるほうが、柔軟性を取り戻すことができて、疲労回復の役に立ちます」(岡田さん)

 これはスポーツを行う時だけではない。ビジネスパーソンであれば、長時間のパソコン作業や会議、海外出張時の長時間のフライトなどによって同じ姿勢を強いられることでも、筋肉は収縮して硬くなってしまう。それが筋肉の不快感やコリとして現れ、疲れと感じるのだ。

オフィスでもできる疲労解消ストレッチ

 柔道の日本代表選手たちも、練習後に収縮した筋肉を伸ばすストレッチを日々実践している。今回は、一般ビジネスマンの疲労回復にも有効なストレッチを、岡田准教授が実演してくれた動画で見ていこう。

1.胸部と肩甲骨周辺のストレッチ

 長時間のパソコン作業で固まりがちな肩周辺の疲労を取る。

動画
両腕を左右に開き、背骨が動くことを意識しながら背中を丸めて行き、顔の前で手のひらを顔のほうへ向けて合わせるようにする。元に戻す時は、肩甲骨を背骨に向かって引き寄せるような感じで動かし、胸を広げる。5往復1セットが目安だが、気持ちよく感じるのであれば、数セット行ってもいい。※音声は入っておりません

2.股関節周辺のストレッチ

 意外と盲点。座りっぱなしで動きが悪くなる股関節を回復させる。

動画
膝からすねにかけて、脚を椅子の座面に載せる。反対の脚を曲げていき、太ももの内側にある内転筋とお尻の大臀筋をゆっくりと伸ばしていく。15秒程度伸ばしたら、反対側も同様に行う。※音声は入っておりません

3.ハムストリングスのストレッチ

 太もも裏を伸ばし、脚の血流を促進する。

動画
椅子の背もたれに片手を添えて立つ。膝を軽く曲げるようにして、少しお尻を突き出しながら上半身を前に曲げていく。太ももの裏のハムストリングが伸びるのを感じるはず。15秒程度伸ばしたら、反対側も同様に行う。※音声は入っておりません

4.上部体幹のストレッチ

 肩甲骨周辺と首後面の疲労感を軽減する。

動画
椅子に浅く座る。背もたれに背中をつけて両腕を上げ、その重みで体を後ろに反らせるイメージで上半身前面の筋肉群を伸ばし、背面の筋肉を押しほぐす。力で無理やり伸ばすのではなく、脱力する感じで15秒程度その姿勢をキープする。ゆっくり元の姿勢に戻す。※音声は入っておりません


 どのストレッチもオフィスで簡単にできるものだ。少し疲れを感じたら、どれか一つでもいいので実行すると、疲れが蓄積して不快感が強くなるのを防げるはず。また、仕事中にこのような小さなブレイクタイムを入れることで、作業の効率もアップするはず。ぜひ試してみてほしい。

岡田隆(おかだ たかし)さん
日本体育大学 准教授

[日経Gooday]

Posted by nob : 2017年04月18日 20:05

最低限の消極的対策として、、、何より参戦しないさせないという積極的基本的対策から。。。

■【北ミサイル】有事で身を守るためには 情報見極め、地下街へ避難、地面に伏せる…

 朝鮮半島をめぐる緊迫感が増す中、日本に影響が及びかねない有事が万一起きた際に身を守る方法を、確認しておくことは大切だ。識者は確度の高い情報が提供される必要性を指摘している。

 北朝鮮によるミサイル発射が確認された場合の避難先について政府の担当者は「堅牢(けんろう)な建物。理想は地下街」とするが、自然災害のように避難場所が定められているわけではないため、混乱も予想される。

 政府の担当者によると、周囲に建物や地下街がない場合は、頭を抱えて地面をはったり、しゃがんだりするのが有効という。こうした対応は、イスラエルの民間防衛組織のパンフレットにもあるという。また、車に乗っている場合はガソリンに引火する恐れがあるので、下車して地面に伏せる必要がある。

 東京都が作成した防災ブック「東京防災」でも、テロや武力攻撃の際の対策や避難方法を紹介している。

 爆発に対しては、姿勢を低くして頑丈なテーブルなどの下に身を隠す。爆発は複数回続く可能性もあり、安全な場所への避難が必要だ。閉じ込められた場合は配管などをたたき、居場所を周囲に知らせるといいとしている。また、化学剤や生物剤を使った攻撃が疑われる場合には口と鼻をハンカチで覆い、密閉性の高い屋内や風上の高台など、汚染のおそれのない安全な場所へ避難する。

 情報の見極めにも注意が必要だ。東京女子大の広瀬弘忠名誉教授(災害リスク学)は「仮にミサイルが着弾すれば、『次はどこに来るんだろう』といった臆測や噂が拡散し、パニックにつながるおそれがある」と指摘。「大事なのは、国などが確度の高い情報を国民に十分に提供すること。受け取る側も、正確な情報なのかをきちんと判断しなければいけない」と話す。

 また、普段から家族や学校などで緊急時の連絡方法や集合方法について話し合い、「有事の際には常に警戒心を失わず、絶えず情報や状況を把握することが必要だ」としている。

[産経新聞]

Posted by nob : 2017年04月18日 12:14

ほどほどにバランス良く。。。Vol.2/尽きぬ珈琲と緑茶論議。。。

■何杯飲めばいい? 飲むタイミングは? コーヒーVS.緑茶

 日本人が好む飲み物の代表格であるコーヒーと緑茶。2015年の国内でのコーヒーの消費量は約46万トン、緑茶の消費量は約8万トンだ。1日にどちらかを必ず飲んでいる人は多いのでは。この2大嗜好飲料は健康にもいいと、ニュースにもなっている。いったいどれだけ飲めばいいのだろうか。

 まずは国立がん研究センターの「多目的コホート研究」を見てみよう。この研究では長期観察型の疫学調査を行い、これまでに約14万人を追跡している。

「1990年から調査を続けていて、5年に1回、生活習慣に関するアンケートをとっています。開始時から追跡してデータを蓄積しているので、たとえば病気になった人が20年前にどんな生活をしていたのかがわかるというのがコホート研究です」(同センター社会と健康研究センター疫学研究部室長・澤田典絵氏)

 直近のコーヒーと緑茶に関わる調査では、「コーヒーを1日に3杯以上飲む人は脳腫瘍(しゅよう)のリスクが低下する」という結果が出た。

 一方で、緑茶をよく飲む人には同様の結果は見られなかったという。

 なぜだろうか。東京大学医学系研究科特任助教の齋藤英子氏は言う。

「コーヒーに含まれているクロロゲン酸という抗酸化物質が作用しているのではないかと考えられます。クロロゲン酸はほかにも血糖値の改善や血圧を適切にする効果があると言われています」

 では、がぶがぶとコーヒーを飲めば脳腫瘍リスクはぐんぐん減るのか。どうやらそうでもないようだ。澤田氏は言う。

「脳腫瘍に関して言えば答えは出ていないです。海外ではコーヒーを7杯以上飲むとリスクが上昇するという報告もあるんです」

 センターでは、日本人の主要死因であるがん、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患と、大きなくくりでの全死亡リスクも調査している。それによれば、1日にコーヒーを3〜4杯飲む人はまったく飲まない人に比べて24%低いという。やはり量をたくさん飲めばいいのかと希望を持ちたくなるが……。

「1日4杯の人まではリスクが下がっているのですが、5杯以上の人になると結果がぼやけているんです。まったく飲まない人と5杯以上飲む人で効果に差はないように見えます」(齋藤氏)

 とはいえ、無類のコーヒー好きでも1日に5杯以上飲む人はなかなかいない、と語るのは全日本コーヒー協会専務理事の西野豊秀氏だ。もちろんコーヒーミルで豆をひいていれるコーヒー党だが、それでも毎日4〜5杯だという。

「午前中に2杯、昼に1杯、午後に1〜2杯です。あくまでも嗜好品ですから、健康のためと言って義務的に飲むことはやめてほしいですね。エナジードリンクなどに含まれるカフェインの過剰摂取でアメリカや日本でも死者が出ています」

 コーヒーといえば、カフェイン効果を期待して眠気覚ましに飲むという人も多いだろう。その際の注意点はあるのだろうか。

「カフェインの錠剤を併用したり、極端な量を飲んだりというのでなければ問題ないです。140ミリリットルのカップ1杯で約80ミリグラムのカフェインが入っているのですが、カフェイン摂取にうるさいヨーロッパでは、1日400ミリグラムに抑えましょうと言われています。これは単純計算でも5杯以上。やはり飲みすぎはよくないですね」(西野氏)

 対して、緑茶はどうだろうか。前述どおり、脳腫瘍に関する調査では緑茶を飲む人にリスクの低下は見られなかった。

「ただ、主要死因による全死亡リスクの調査では、緑茶を飲めば飲むほどきれいにリスクが下がっているんです。これはコーヒーとは異なる点です」(齋藤氏)

 緑茶については、1日1杯未満から5杯以上までの調査で、男女ともに摂取量が増えるにつれリスクが低下しているが、特に脳卒中との関連性に注目したい。

「データを見ると、1日に4杯以上飲む人には脳卒中や脳梗塞、脳出血に対して有効に働いています」(澤田氏)

 飲めば飲むほど効果抜群!とも言えそうな緑茶だが、飲みすぎることで弊害はないのか。大妻女子大学「お茶大学」校長で農学博士の大森正司氏に聞いた。

「飲みすぎて悪いということはないです。嗜好品として飲む形であれば、飲みたいだけ飲んでください。ただし、実際にはものすごく飲む人でも5杯から10杯。現実的な量で、ということです」

 また大森氏によれば、緑茶に含まれているカテキンは、がんの抑制や認知症予防にも効果があるとされているという。

「がん細胞を植え付けたネズミによる実験で、緑茶を飲ませたほうが発がんしなかったんです。加齢による衰えを調べるために迷路の出口に餌を置いた実験では、飲ませていないネズミは出口まで来られなかったんですが、飲ませたほうはちゃんとたどり着くといった結果が出ています」

 カテキンにはコーヒーに含まれるクロロゲン酸と同様に抗酸化作用があるため、体によいとされる。バランスのいい摂取方法はあるのだろうか。

「体に吸収されるカテキンの量は飲んだ量の約100分の1です。ですので一気に大量の茶を飲むのではなく、1日に何度もこまめに飲めば、成分を効率よく吸収できます」(大森氏)

 緑茶のいれ方にもコツがあると大森氏は力説する。

「お湯の温度によって成分のバランスが変わってくるんです。カフェインは熱湯でしか溶け出しませんが、カテキンはぬるま湯でも溶けます。ですので、カフェインを抑えてカテキンをとりたければ50度ぐらいのぬるま湯でいれるのがいいです。味も温度によって変わりますから、なんでもかんでも熱いお茶というのではなく、おいしいいれ方を探してほしいですね」

 コーヒーと緑茶。どちらも共通して言えるのは「1日にほどよい量」を「好んで飲む」のが肝要なようだ。澤田氏は言う。

「私たちのデータは無理やり飲むことをおすすめするものではないです。飲んでいればよい効果があると言えますが、人それぞれの適量があると思いますし、普通に飲んでいただくのなら害はないと言えますね」

[週刊朝日]

Posted by nob : 2017年04月18日 12:09

呼吸、姿勢、歩行が健康づくりのキホンのキ。。。Vol.2/そして生活習慣。。。/まずは睡眠。。。

■あの習慣は逆効果? 睡眠を改善する「4つのNGと3つの法則」
「4つのNG」を回避、「4-6-11の法則」を守ればOK

伊藤和弘=フリーランスライター

仕事やプライベートの時間をやりくりするために、真っ先に削ってしまうのが「睡眠」ではないだろうか。また、年齢とともに、眠りが浅くなったり、目覚めが悪くなったりする人も多いに違いない。もう眠りで悩まないための、ぐっすり睡眠術をお届けしよう。

 作業療法士・睡眠健康指導士の菅原洋平さんが、企業の依頼を受けて「睡眠マネジメント研修」を行うユークロニアを設立したのは5年前のこと。当初は外資系企業が中心だったが、最近は国内企業からの依頼も増えてきたという。

 「事故防止、社員のメンタルヘルス、生活習慣病の予防、生産性の向上、といった目的で依頼される企業が多いです。特に外資系では“スリープ”はビジネススキルの一つと見なされていますので、社内研修に取り入れる企業が多かったのですが、日本でもストレスチェックの義務化をきっかけに昨年から睡眠改善に関心を持つ企業が増えてきました」(菅原さん)

 菅原さんが睡眠研修を担当した出光興産で研修に参加した人たちに聞くと、82%が研修による睡眠の改善を自覚したという。加えて、生産性の向上も確認された。

 その菅原さんが指導する睡眠改善法の基本は、「4つのNG」を解消することと、「4-6-11の法則」を守ることだ。それはどんなものなのか、順番に説明しよう。

良かれと思ってやっている習慣が逆効果に

 まず、「4つのNG」から。例えば「眠る前にコーヒーを飲むと良くない」なんていうのは誰でも知っているだろう。問題は「いい睡眠を取ろうとして逆効果になっている習慣」だ。

1. 寝室で本を読む

 眠る前に本を読む習慣がある人は少なくない。それ自体は悪くないのだが、「まずいのはベッドの上で読むこと」と菅原さん。テレビを見る、スマホをいじるといった行為も同じ。要するに、「ベッドの上で眠ること以外の何かをやる」のが良くないという。

 菅原さんは「脳にはフィードフォワードという働きがあり、場所と行為をセットで記憶するんです」と説明する。その結果、次にその場所に行ったとき、よりスムーズに同じ行為ができるようになる。本を読んでいれば「ベッドは本を読む場所」、テレビを見ていれば「ベッドはテレビを見る場所」と脳は思い込んでしまうわけだ。それが安眠を妨げてしまう。

 それを防ぐには、眠らないうちはベッドに入らないこと。睡眠以外の行為は極力しない。そうすることで、「ベッドは眠る場所」と脳に覚えさせるのだ。

 ただし、これまでの生活習慣をやめろというわけではない。「ワンルームマンション暮らしだったら、就寝前にベッド以外のイスなどに座って本を読んだり、テレビを見てもいい。とにかく、ベッドの上でしなければOKです」と菅原さんはアドバイスする。

2. 眠くないのに早起きするため早くベッドに入る

 翌朝、出張で早く起きなければいけないときなど、睡眠時間を確保するためにいつもより2時間も早くベッドに入る。ところが、なかなか眠れず、深夜になるまで悶々と過ごしてしまった――こんな経験はないだろうか?

 「人間は目覚めて光を見てから16時間後に眠くなるようにできています。無理に早く眠ろうとしても、なかなか眠れるものではありません」と菅原さん。眠れないと、いろいろなことを考える。それが前述のフィードフォワードによって、「ベッドは考え事をする場所」と脳が信じてしまうと、慢性の不眠症にもつながりかねない。

 例えば、朝7時に起きたとしたら、「寝るのに丁度よいのは、16時間後の午後11時くらい」などと計算してベッドに向かうといい。多少の早寝は構わないが、眠くもないのに、いつもより早い時間にベッドに入って、無理に寝ようとしてはいけない。

3. 毎日同じ時刻にベッドに入る

 規則正しい睡眠リズムを作るため、毎日同じ時刻にベッドに入る。いいことに思えるが、まず意識すべきなのは就寝時刻ではなくて起床時刻が正解だ。一般的には目覚めて光を見てから16時間後に眠くなるので、「就寝時刻ではなくて、起床時刻を一定にすることが大切なんです」と菅原さんは話す。

 毎日同じ時刻に眠って同じ時刻に起きられれば確かに理想的だが、仕事に追われるビジネスパーソンが毎日同じ時刻に就寝するのは難しい。ときには眠くならない日もあるだろう。そんなときに無理にベッドに入っても、なかなか快適な眠りはやって来ない。

 一方、毎日の起床時刻を同じにして、同じ時間に朝日を見ていると、少しずつ就寝時刻もそろってくるようになるという。

 特に注意してほしいのは休日だ。平日は出社のため早く起きなければいけないが、休日なら昼まで寝ていることもできる。しかし、そうすることで平日にできていた体内時計のリズムが崩れてしまう。平日と同じ時刻に起きるのは無理でも、「寝坊による起床時刻の遅れはせめて3時間以内に。そうしないとメンタルの不調が起こりやすくなります」と菅原さんは注意する。それでは足りないという人は、前日に少し早めに寝るようにしよう。

4. 帰りの電車で睡眠不足を補う

 通勤電車で睡眠不足を補っているビジネスパーソンも多い。行きの電車で寝るのはまだいいが、帰りの電車で寝るのはいけない。睡眠圧といって、起きている時間が長いほど直後の睡眠は深くなる。「夕方以降に眠ると睡眠圧が減って、夜間のメジャースリープが浅くなってしまうんです」と菅原さん。

 特に通勤時間の長い人は要注意だ。夕食後のうたた寝も同じく良くない。夕方以降は眠くてもガマン。たっぷり睡眠圧をためて爆睡しよう。

3種類の生体リズムを整える

 「4つのNG」を覚えたら、次は「4-6-11の法則」を実行してほしい。これは睡眠に関係する3つの生体リズムを整える方法で、数字はそれぞれの時間を表している。

■起床後4時間以内に光を見る(メラトニンリズムを整える)

 夜になると、脳の松果体からメラトニンというホルモンが分泌されて眠くなる。一方、早朝を迎えて強い光を見ると、メラトニンの分泌が止まって眠気が消える。だから、起きたら光を見ることが大切なわけだ。前に触れたように、光を見ると16時間後に再びメラトニンが増加する。

 起きても窓を開けずに薄暗い部屋で過ごしていると、メラトニンの分泌が止まらず、いつまでも目が覚めない。メラトニンを止める感度が最も高いのは起床後1時間以内。時間が経つほど感度が落ちて、起きてから4時間以上経つと光を見ても反応しなくなる。起きたら1時間以内に朝日を浴びるのがベスト、自宅に籠もりっきりの日でも4時間以内には光を見るようにしよう。

■ 起床後6時間経ったら仮眠タイム(睡眠-覚醒リズムを整える)

 目覚めてから最初の眠気がやって来るのは8時間後。朝7時に起きている人なら午後3時頃だ。「この時間に眠くなりやすい人は、起床後6時間が経った頃、一般的には昼休みの時間に仮眠を取るといいでしょう」と菅原さん。

 昼間の仮眠のポイントは「眠くなる前に」「1~30分以内」「イスに座ったまま」「起きる時刻を3回唱える」ことだ。

 わずか1分目を閉じるだけでも、脳を休めることができる。6分以上の仮眠で、その後のパフォーマンス低下を防ぐことも確認されている。ただし、30分以上寝ると睡眠が深くなって、夜のメジャースリープに影響するのでNG。仰向けにならず、イスの背もたれにもたれて寝たほうがいいのも同じ理由だ。

 「自己覚醒法といって、寝る前に起きる時刻を3回唱えると意外とスムーズに起きられます。夜の就寝前にも、ぜひやってみてください」と菅原さん。目覚まし時計を使わずに決めた時刻に起きると、気分がいいのはもちろん、日中の居眠りも少なくなるという(Psychiatry Clin Neurosci. 2002 Jun;56(3):223-4)。

■起床後11時間経ったら体を動かす(深部体温リズムを整える)

 睡眠中は体温が下がる。起床後は体温が上がり出し、起床してから11時間経つと、体温が最も高くなる。このタイミングで運動すると、さらに体温が上がり、眠るときスムーズに下がりやすい。逆にこの時間帯に眠ってしまうと、夜中に体温が下がりにくくなり、眠れなくなってしまうという。

 朝7時に起きた場合、11時間後となるのは午後6時だ。快眠のためには、運動は夕方から夜のほうがいい。会社からの帰りに、一つ前の駅で降りて歩くのもいいだろう。特に気をつけてほしいのは休日の夕方だ。つい家でゴロゴロしがちな時間帯だが、散歩でも買い物でもいいので体を動かすことを心がけてほしい。

 この「4-6-11の法則」すべてを実行しようと思わなくてもいい。「一つ整えば自然と他のリズムも整っていきます。やりやすいものを一つ注意するだけでも効果はあるはず」と菅原さんは話す。睡眠を改善したい人は早速今日から試してみよう!

菅原洋平(すがわら ようへい)さん
ユークロニア社長、作業療法士、睡眠健康指導士

[日経Gooday] 

Posted by nob : 2017年04月16日 23:40

生前の関係性の問題かと。。。

■遺骨の「送骨サービス」 申込は4年間で数千件に到達

【遺骨の扱いにも変化が現れている】

 多くの友人、知人が葬儀に参列し、親しかった人たちに骨を拾ってもらう。そして毎年、墓参りには子や孫が訪れる──かつて当たり前だったそんな「死に方」が、もうすぐできなくなるかもしれない。

 話題書『無葬社会』の著者で浄土宗僧侶でもある鵜飼秀徳氏がいう。

「きちんと地縁や血縁に根ざした供養を受けられず、誰にも見送られず、宗教的な弔いもなく送られていく。そういうケースが、年々増えています。それを私は“無葬社会”と呼んでいます」

 葬送をめぐる実態の深刻さは、こんなニュースにも表われている。2015年4月、東京都練馬区のスーパーの屋外トイレで人の頭蓋骨が発見された。骨は焼かれた状態で、洋式便座の中に転がっていたという。

「骨を捨ててしまう事件は後を絶ちません。遺棄される場所でとくに多いのは、電車内です。網棚に骨壺を乗せ、置き忘れたフリをして去っていく。近年、骨壺は警察に届けられる遺失物、拾得物の定番になっている」(鵜飼氏)

 兵庫・大阪・京都の2府1県における遺骨の拾得物は10~15年で少なくとも91件にのぼり、うち69件、76%が所有者が不明だと報じられた。

 お骨をどうするか。そんな悩みに応えるために、NPO法人「終の棲家なき遺骨を救う会」が2013年4月にスタートさせたのが、「送骨サービス」、通称“ゆうパック送骨”である。

 申し込むと、3万円の代金引き換えで「送骨セット」が送られてくる。骨を入れた骨壺の蓋をガムテープで固定して桐箱に入れるなどし、火葬証明書と埋葬承諾書とともに段ボール箱に入れて送る。すると、「終の棲家なき遺骨を救う会」にお墓を開放している南春寺(東京・新宿)に埋葬され、永代供養してもらえるという仕組みだ。同会理事長の柿崎裕治氏が説明する。

「火葬場からお骨を持って帰宅し、そのまま何年もご遺骨を自宅に置いているという人が少なくありません。一説によると100万人分のご遺骨が自宅に眠っているともいわれています。

 新しくお墓を建てようにもお金もない。そうした方のための埋葬支援としてこの方法を考えました。3万円の永代供養の申し込みは、この4年間で数千件。こちらからお骨を取りにうかがう迎骨(手数料別)もやっています」

 ゆうパックで南春寺に送られてきた遺骨は、1週間分をまとめて僧侶が供養してから、永代供養墓である「有縁塔」に埋葬される。

「骨壺からお骨を取り出して塔の内側のカロート(納骨室)に撒いていきます」(柿崎氏)

 さらには「骨も残さない」という選択肢すら出てくる可能性がある。欧米では1200度以上の高い温度の炉で遺体を焼いて、骨が灰になるまで焼き切ることも多い。

「都心部を中心に、遺骨を焼き切って引き取りの必要がない状態にしてほしい、といったニーズも出てきています。火葬場に遺灰がある程度溜まったら、僧侶がお経を上げて埋葬してくれればいい。そんなスタイルがこれから主流になるかもしれません」(前出・鵜飼氏)

[NEWSポストセブン]

Posted by nob : 2017年04月16日 23:31

神経ガスとトマホーク、そもそも攻めても攻められてもそこで人が死ぬのは同じ、大国や時の権力者の思惑に翻弄され抑圧され犠牲になるのはいつも戦争など決して望まない一般国民。。。

■米国のシリア攻撃、一番得をするのは中国だ

北野幸伯:国際関係アナリスト

米軍は4月7日、シリアのシャイラト空軍基地をミサイル攻撃した。理由は、アサド軍が4日、イドリブ県ハンシャイフンを空爆した際、化学兵器を使用したとされること。唐突に感じる米軍のミサイル攻撃だが、これで世界はどう変わるのだろうか?(国際関係アナリスト・北野幸伯)

過去6年にわたって
内戦が続いてきたシリア

 少し詳細に、何が起こったのかを見てみよう。シリアでは、2011年から内戦が続いている。「アサド派」と「反アサド派」の戦いだ。ロシアとイランはアサドを支援し、米国、欧州、サウジアラビア、トルコなどは、反アサド派を支援している。

 13年8月、オバマは、「アサド軍が化学兵器を使った」ことを理由に、シリア攻撃を実行しようとした。しかし、翌9月、戦争をドタキャンして世界を仰天させた。

 その後、反アサド派から分かれた「イスラム国」(IS)が勢力を拡大。14年8月、米国と有志連合はISへの空爆を開始した。さらに15年9月、有志連合とは別に、ロシアがIS空爆をはじめた。

 つまり現在、シリアには、ロシア、イランが支援するアサド派、欧米、サウジ、トルコなどが支援する反アサド派、そしてIS、大きく分けて3つの勢力が存在している。

 米国とロシアは、シリア問題での協力関係を深め、16年2月には、「停戦合意」がなされた。しかし、この合意は破棄され、現在は、ロシア、イラン、トルコがアサド派、反アサド派の仲介をしながら、停戦に向けた努力が続けられている(米国は、事実上このプロセスに関わっていない)。

 アサド軍は4月4日、シリア北西部イドリブ県の反体制派支配地域を空爆。86人が死亡した。この時、化学兵器サリンが使われた疑惑が浮上している。

 トランプ大統領は、「文明世界は、この事件を看過できない」とアサドを批判。英国のジョンソン外相は、「わたしが目にした全ての証拠は、アサド政権が自国民に対し違法な兵器を使用したことを示唆している」と語り、アサドの仕業と断定した。国連のグテレス事務総長は、「シリアで戦争犯罪が続いている」と化学兵器使用を非難。フランシスコ・ローマ法王は、「受け入れられない虐殺だ」と嘆いた。

鵜呑みにするのは危険
米国もウソをつくことはある

 非常に苦しい立場に立たされたアサドだが、彼自身は化学兵器の使用を否定している。では、アサドを支持するロシアの主張は、どうだろうか?時事通信4月5日付を見てみよう。

<ロシア国防省はシリア軍が「テロリストの倉庫」を標的に空爆を実施し、倉庫に毒性物質が含まれていたと主張している。報道官は国連安保理の緊急会合で「われわれの国防省の資料を示す」と語った。>

 つまり、アサド軍が空爆をしたのは事実だが、化学兵器は使っていない。反アサド派の倉庫に化学兵器があり、それが漏れたのだと。

 このような2つの矛盾する情報に接すると、日本人はほとんど無条件に、「米国は本当のことを語っている」「プーチンとアサドは、ウソをついている」と信じがちだ。

 しかし、実をいうと、米国もウソをつくことはある。

 例をあげてみよう。米国は03年、フセインが「アルカイダを支援している」「大量破壊兵器を保有している」ことを根拠に、イラク戦争を開始した。しかし、この2つの理由が「大ウソ」だったことは、米国自身が認めている。読売新聞06年9月9日付には、以下のようにある(太線筆者、以下同じ)。

<米上院報告書、イラク開戦前の機密情報を全面否定

[ワシントン=貞広貴志]米上院情報特別委員会は八日、イラク戦争の開戦前に米政府が持っていたフセイン政権の大量破壊兵器計画や、国際テロ組織アル・カーイダとの関係についての情報を検証した報告書を発表した。>



<報告書は『フセイン政権が(アル・カーイダ指導者)ウサマ・ビンラーディンと関係を築こうとした証拠はない』と断定、大量破壊兵器計画についても、少なくとも一九九六年以降、存在しなかったと結論付けた。>

 もう1つ例を。既述のように、オバマは13年8月、アサド軍が「化学兵器を使った」ことを理由に、「シリアを攻撃する」と宣言した。今回と同じパターンだ。ところが、国連調査委員会は、「化学兵器を使ったのは、アサド軍ではなく、反アサド軍」と報告していた。

<シリア反体制派がサリン使用か、国連調査官

AFP=時事5月5日(月)配信

[AFP=時事]シリア問題に関する国連(UN)調査委員会のカーラ・デルポンテ調査官は5日夜、シリアの反体制派が致死性の神経ガス「サリン」を使った可能性があると述べた。
 スイスのラジオ番組のインタビューでデルポンテ氏は、「われわれが収集した証言によると、反体制派が化学兵器を、サリンガスを使用した」とし、「新たな目撃証言を通じて調査をさらに掘り下げ、検証し、確証をえる必要があるが、これまでに確立されたところによれば、サリンガスを使っているのは反体制派だ」と述べた。>

国際機関の調査を待たずに
トランプは空爆に踏み切った

 もちろんこの報告書は、「アサド軍が化学兵器を使っていない証拠」にはならない。しかし、アサド派も反アサド派も化学兵器を使っているとすれば、米国は、なぜアサド派を責め、(同じく化学兵器を使う)反アサド派の支援を続けるのか?米国の論理は、非常に矛盾している。

 筆者も、「米国は常にウソをつく」とか「アサドやロシアは正直だ」と主張するつもりは、全くない。ただ、米国は、過去にイラクやシリアの件で、はっきりとウソをついたのだから、「即座に米国の主張を妄信するのは危険」と言いたいのだ。

 では、どうすればいいのか?常識的に考えれば、化学兵器禁止機関(OPCW)の調査結果を待つべきだろう。実際、OPCWは、すでに調査を開始している。

<シリア化学兵器疑惑、調査を開始 OPCW
朝日新聞デジタル 4/7(金) 18:03配信
 シリアの反体制派が拠点とする北西部イドリブ県で化学兵器が使用されたとされる問題で、オランダ・ハーグの化学兵器禁止機関(OPCW)は6日、調査に着手したと発表した。すでに情報の収集や分析を開始。シリア当局とも連絡をとり、情報提供を求めているという。>

 しかしトランプは、調査結果を待たず攻撃することを選択した。トランプは4月7日、シリア攻撃に関する演説を行った。曰く、

<火曜日(4日)、シリアのアサド大統領は恐ろしい神経ガスを使って、罪のない市民に恐ろしい化学兵器を発射した。>
 
<シリアが禁止された化学兵器を使用し、化学兵器禁止条約に違反し、国連安全保障理事会の説得を無視したことは疑いの余地がない。>

 トランプはOPCWの調査結果を待たず、アサドの仕業と断定した。

 <かわいい赤ん坊までもが、この非常に野蛮な攻撃によって無情にも殺害された。どんな神の子も、このような恐怖に苦しんではならない。>

 キリスト教徒が大部分の米国民は、この部分を聞いて同意したことだろう。そしてトランプは、「シリア攻撃」を指令したことを明かした。

<今夜、化学兵器による攻撃をしたシリアの航空施設に標的を定めた軍事攻撃を命じた。>

<多くの困難を抱える世界の挑戦に直面する我々に、神の英知を求める。負傷者や、亡くなった人々の魂のために祈る。米国が正義と平和、調和の側に立つ限り、最終的に勝利を得ることを望んでいる。米国と世界全体に神のご加護を。>

 米国が、正義と平和、調和の側に立つというのは、大いに疑問のあるところだが、大部分の米国民は、トランプを支持するだろう。

 こうして、米軍によるシリア攻撃が実施された。巡行ミサイル「トマホーク」59発が、シャイラト空軍基地に向けて発射された。この基地は、アサド派が化学兵器を使った空爆を実施したとされる戦闘機の拠点である。

米軍のシリア攻撃で
世界はどう変わるか?

 次に、米軍のシリア攻撃で何が変わるかを見てみよう。

1.シリア情勢は、あまり変わらない

「米国が決意したのだから、アサドは終わりだ」と考える人も多いだろう。 しかし現時点では、米国がアフガン、イラク戦争並みの兵力をシリアに投入してアサドを倒すという話にはなっていない。

 シリア内戦は、始まってからすでに6年が経っている。そして、今後もダラダラと続いて行く可能性が高い。哀れなのは、犠牲者になるシリア国民だ。

2.トランプ人気は上がる

 一方、トランプの人気は上がる可能性が高い。前述した、13年のオバマのシリア戦争ドタキャンは、「オバマ最大の失態」とされ、彼は「史上最弱の大統領」と呼ばれることになった。トランプは、オバマの失敗を繰り返さないために、シリア攻撃を即決したのだろう。

 これまでトランプは、政権基盤が非常に脆弱だった。民主党は全部敵。共和党の「反ロシア派」も敵。ことあるごとに「フェイクニュース」と批判するので、マスコミも概して敵。特に、CNN、ABC、ニューヨーク・タイムズなどは、はっきりと反トランプである。

 しかし、「シリア攻撃」でトランプは救われるかもしれない。「化学兵器を使った」という衝撃的な事件ゆえ、マスコミもトランプを強く批判できないだろう。
 
 とはいえ、リスクもある。OPCWの調査で、「化学兵器を使ったのはアサド軍ではなかった」との結果が出れば、今度は逆に厳しい批判にさらされることになる。支持率は、一転急降下することになるだろう。

3.米ロ関係は悪化する

 アサドを支援し続けるロシア。アサドを攻撃する米国。当然、米ロ関係は悪化する。

 プーチンは7日、米軍のシリア攻撃について、「主権国家に対する侵略だ!」と強く非難した。大統領選挙戦中、トランプは「プーチン愛」を語り続けてきたが、就任後わずかな期間で米ロ関係はボロボロになってきている。

早くも米ロ関係はボロボロ
漁夫の利を得る中国

4.一番得をするのは、また中国

 元「世界の警察官」米国は、世界3つの地域で問題を抱えている。

 中東では、イラン、シリア問題。
 欧州では、ウクライナ、ロシア問題。
 アジアでは、中国、北朝鮮問題。

 オバマは、シリア、ウクライナ問題に深入りし、中国を放置した。彼が、シリア、ウクライナで、ロシアと「代理戦争」を戦っている間、中国は着々と南シナ海を埋め立て、軍事拠点化していたのだ。

 オバマは、15年3月のAIIB事件でようやく目覚め、中国へのバッシングを強めた。そして、彼はロシアと和解し、ウクライナ、イラン、シリア問題解決への道筋を作った。

「ロシア好き、中国嫌い」のトランプ大統領が誕生し、「ようやく米国が中国の暴走を止めてくれる」との期待が高まった。しかし、蓋を開けてみればトランプは、15年以前のオバマと同じ過ちを繰り返している。すなわち、シリア問題でロシアと激しく対立しているのだ。

 米軍がシリア軍基地を攻撃したその日、トランプは習近平と会談している。「シリア攻撃」の命令を出し、夕食中にそのことを習近平に伝えた。習はトランプの説明に謝意を示し、攻撃に理解を示したという。

 このタイミングでシリアを攻撃したのは偶然ではないだろう。

 米国は、「間もなく米本土に届く大陸間弾道ミサイルを完成させる」と宣言している金正恩を放置するだけでなく、支援し続けている中国に憤っている。今回のシリア攻撃は、「もし中国が北を放置するなら、米国はシリア同様、北朝鮮攻撃を開始するぞ!さっさと金正恩をなんとかしろ!」というメッセージだったのではないだろうか。

 それにしても、米国のシリア攻撃を「侵略だ!」と強く非難したプーチンと、「理解を示した」習の反応はずいぶん違う。(習の場合は、唐突に切り出され、アドリブで適切な反応ができなかっただけかもしれないが)

 ロシアは米国の行動に「敵対的」であり、中国は米国に「融和的」である。シリア攻撃で米ロ関係は悪化するが、米中関係は、これまでと変わらない。

 中国の「理想的な戦略」は、「2頭のトラの戦いを、山頂で眺めること」といわれる。つまり、「米国とロシアを戦わせ、中国が漁夫の利を得ること」。中国は、またもや理想的なポジションを確保しつつある。 

[DIAMOND online]

Posted by nob : 2017年04月12日 08:31

重傷ですね、、、薬剤は即効性はありますがあくまで対症療法、私はじっくりと自然療法で克服というよりも協調できるようになりました。。。

■ライブ続行で荒療治…円広志さん「パニック障害」を語る

「パニック障害」と診断されるまでが苦しかったですね。診断されたときはホッとしました。「気持ちの問題じゃなくて病気なんだ」とわかって、とてもうれしかったんです。

 この病気は、脳の中の不安や危険を感じたりする神経が誤作動を起こし、不安や危険がないのに恐怖や回避行動を起こしてしまう病気です。今でもトイレが怖い日もあるのですが、薬で劇的に良くなりました。

 発症したのは、約20年前。そのころは、毎日の生放送を含め週10本以上の仕事があって、ものすごく忙しかったんです。にもかかわらず、金曜は学生時代の友人とほぼ毎週、夜遊びに興じていました。当時は二日酔いと寝不足を楽しんでいたんです。忙しいのがうれしかったし、仕事がどんなに忙しくても夜遊びもちゃんとするのが“ザ・芸能人”みたいなね(笑い)。「たぶん、関西で一番寝不足なのは俺ちゃうかな」なんて言っていた時期でした。

■スタジオが怖くて生放送では時計ばかり見ていた

 いつごろからか、クルマを運転していたらなんとなくトンネルが怖くなっていて、「嫌だな」と思っていたら、ある日異変が起こりました。渋滞でブレーキを踏んでいるのに景色の方が動いている感覚になったのです。「このままじゃぶつかる」とブレーキをさらに踏むけれど、止まっているからぶつかるわけがない。でも、景色はまた動きだす。そんな現象が帰宅するまで続いたのです。それをきっかけに、急にすべてのことが怖くなりだしました。

 症状としては、小さい音がやたら大きく聞こえてびくびくするとか、夕暮れになるとなぜか怖くて泣いてしまうという状態。仕事でもスタジオが怖いのです。1時間の生放送の前半はずっと怖くて、「倒れるんじゃないかな」「いつ終わるんだろう」と時計ばかり見ていました。最後の10分ぐらいになると落ち着くんですが、日に日に恐怖感が増していくばかり。

 そしてある日、番組終わりのテレビ局の駐車場で「俺を責めないでくれ!」と号泣してしまったんです。景色が動きだした症状が出てから、たぶん半年後ぐらいでしょうか。マネジャーもさすがにおかしいと思って、すぐにすべての番組を降板。病院へ行きました。

 でも、当時はパニック障害という病気はあまり知られていなくて、「精神的な病気」と言われました。確かに食欲もなくなるし、ゴハンの味もない。一番ひどいときは「死ぬんじゃないか」とか「本当に生きているんだろうか」と思ったりして、「鬱」のようにもなりました。

 脳の検査もしました。過呼吸や心臓が痛くなったりもしたので、心臓の検査もやりましたけど異常なし。トイレはドアを開けっぱなしにしても怖いし、散髪も怖い。行きつけの散髪屋ですら、店内が怖いので路上で切ってもらっていたほど。店内で大丈夫になったのは最近です。でも、10分ぐらいが限界ですよ。

 故郷の高知に帰った時期もありました。それでも、夕暮れになるとメソメソ泣く症状は治まりません。ただ、お酒を飲むと落ち着くのです。だから、この病気でアルコール依存症になる人もいるらしいですよ。

■番組降板後もライブは続行。“荒療治”が運よく功を奏した

 病名がわかったのは、番組降板から2〜3カ月後のことで、とある病院の「めまい科」でした。ふらつきがあったので受診したら三半規管に異常はなく、「パニック障害」と診断されました。処方された薬は毎食後に飲む安定剤のような薬と、症状が出たときに飲む頓服薬。で、その頓服薬がすぐ効きました。神経を鈍らす薬なんでしょうかね。そこから少しずつ楽になりました。

 実は番組降板後も、ライブはキャンセルすると違約金が発生してしまうのでやるしかなくて、ステージ脇にベッドを置いたり、ピンスポットが怖いので客席が見えるように明かりをつけてもらったりしながら続けました。普通は外出なんてできず、今日は1歩だけ外へ、明日は2歩……といった経過をたどるわけですから、いわばかなりの荒療治です。でも、その荒療治が運よく功を奏したことと、頓服薬のおかげで今に至っています。運転も大丈夫になりました。

 ただ、寝不足になるとお約束のように体調が悪くなります。医師には「君の病気は死ななきゃ治らないよ」と言われました。つまり、病気は自分そのもの。顔と同じで「持って生まれたものなんだ」と病気を受け入れました。多くの人は今の社会のスピードや仕組みに追いついているけれど、それに馴染めない人もいる。私も若いころははね返せたけれど、年齢とともに無理ができなくなったのだと思います。

 今言えるのは、「がむしゃらに頑張るのもいいけれど、勇気を出して自分の生き方を探すことがあってもいい」ということ。私にとってのパニック障害は、今や体調のバロメーターです。

▽まどか・ひろし 1953年、高知県生まれ。78年、自身が作詞・作曲した「夢想花」でレコードデビュー。森昌子の「越冬つばめ」など数々の作曲を手掛ける。現在は関西テレビ「よ〜いドン!」にレギュラー出演中。著書に「パニック障害、僕はこうして脱出した」がある。

[日刊ゲンダイDIGITAL]

Posted by nob : 2017年04月11日 15:32

同感です、、、自ら話す分だけしか英語は身に付きません。。。Vol.2

■英語を話せる人は何を「音読」しているのか?
話せない「根本的理由」から見える対策

青野 仲達 :ビジネス・ブレークスルー大学経営学部教授

これからは、英語が不可欠だ。
そう言われ始めてから、はたしてどれくらいの時間が経っただろうか。中学校・高校だけでも、多くの日本人は1000時間以上、英語を勉強している。しかし、「英語を話せる日本人」は、なぜいまだにこれほど少ないのだろうか。
大前研一監修、ビジネス・ブレークスルー大学編の新刊『プロフェッショナル イングリッシュ』が刊行された。執筆者の1人である青野仲達氏は、日本人が英語を話せない「根本的な理由」を知ることが、「話せるようになる」ための最短ルートだという。どういうことか、解説してもらった。

英語が話せない。そう悩んでいる人は多いのではないでしょうか。私は多くのビジネスパーソンと日々お付き合いをしていますが、胸を張って「英語を話せる」と言える人は、本当に一握りにすぎません。

では、中学校、高校、大学受験であれほど勉強し、社会人になってもTOEICなどの学習をこれほど続けているのに、なぜ多くの日本人ビジネスパーソンが「英語を話せない」のでしょうか。その理由を考えてみましょう。

主な理由は3つあります。最初に、発音ができない。次に、話したことがない。最後に、話すことがない。意外に思われるかもしれませんが、私はこの最後の理由が最大の障壁だと考えています。

順番に見ていきましょう。

「発音」「経験」はいくらでも克服できる

理由1:発音ができない

最初の理由が「発音ができない」です。

英語と日本語はいろいろな意味で「かけ離れた」言語です。その違いは音声面でも顕著です。日本語に比べて英語には圧倒的に多彩な音があります。訓練を受けていない日本人が「発音できない」のも当然です。

ただし、発音に関しては解決策があります。書店に行けば、発音に関する多くの本が並んでいます。敵を知り、己を知れば、百戦危うからず。英語の音の特質を知り、日本語との違いを理解したうえで練習を重ねることによって、道は開けます。

さらに言うと、世界にはさまざまな英語話者が存在します。たとえば米国の人とオーストラリアの人、シンガポールの人では、その発音はかなり違います。つまり、「正しい発音」などというものに、それほど神経質になる必要はないのです。

ですから、「発音ができない」ことは大きな問題ではありません。

理由2:話したことがない

次の理由が「話したことがない」です。

やったことがないことは、うまくできません。できてしまうとしたら、その人は天才です。話したことがないのに「英語が話せない」と悩んでいる人は、「なぜ自分は天才ではないのか」と考え込んでいることになります。ソファに寝転び、テレビでオリンピックの体操を観ながら「あの演技がなぜ自分にはできないのか」と悩む人はいないでしょう。

そして、この理由についても解決策があります。話したことがないのであれば、話す練習をしましょう。

とにかく、英語を話してみる。その方法を考えましょう。そう言われても、自分の周囲には英語のネーティブスピーカーがいない。英会話スクールに通う時間もおカネもない。いろいろと「できない理由」を挙げることは簡単ですが、要はやる気の問題です。

たとえば、外国人をほとんど見かけることがない地域に住んでいても、ネットでスカイプ英会話を利用することができます。料金が気になる人には格安のサービスもあります。

また、わざわざ有料サービスを使わなくても、たったひとりでできる練習があります。それは音読です。音読とは「英語の文章を声に出して読む」ことです。黙読では、頭で内容を理解したつもりでいても、いざ話そうとしたときに英語が口から出てきません。

野球の打者は素振りをします。ボクサーはシャドーボクシングを欠かしません。どちらも、本番を想定しながらひとりで行うトレーニングです。

英語も同じです。話すことは口を動かす運動ですので、話すためには普段から口を動かしておく必要があります。英語を読むときは音読する。まずはそこから始めてみてください。

「話すネタ」を仕込んでいますか?

理由3:話すことがない

さて、最後の理由が「話すことがない」です。

私は、これこそが多くのビジネスパーソンが「英語を話せない」根源的な理由だと考えています。

みなさんの中には、英会話スクールに通っている方がいるかもしれません。以前通っていた方もいるでしょう。慣れてくると、講師との会話が続くようになり、英語が話せるようになってきたと感じます。

ここで、少し冷静に考えてみてください。それはもしかして、決まり文句やあいさつ文を覚えただけではないでしょうか。英語を趣味として楽しみたい人が、海外旅行に役立つ会話を覚えるのであれば、それで十分かもしれません。しかし、それだけでは仕事の現場で「結果を出す」ことはできません。ビジネスでは発言の中身が問われます。内容のある発言をするためには、当然ながら事前の準備が不可欠です。

ビジネスで成果をあげる人たちは、話すべきことの整理収集を習慣にしています。いわば「ネタの仕込み」です。うれしいことに、それは仕事以外にも役立ちます。持ちネタが増えると、外国人とも自然に「中身のある」会話が続けられるようになります。英語が話せている実感が生まれるので、義務だと思っていた英語が楽しくなります。

自分は英語が話せない。そう思っている人は、自分自身に問いかけてみてください。あなたは「話すネタ」を持っていますか。

「自分が書いた文章」を音読しよう

では「話すネタ」は、どのように仕込んでいけばいいのでしょうか。

まず大前提として、英語学習(というよりも語学全般)において、音読は圧倒的に重要です。音読とは「自分が読んだことを自分の口で話し、それを自分の耳で聞く」ことです。「読む」「話す」「聞く」を同時にこなすことになる音読は、英語の実践力強化に直結します。

この音読をさらに一歩進める方法があります。それが「自分が書いた文章の音読」です。先ほどの「読む」「話す」「聞く」に「書く」が加わりますので、英語の4技能がそろい踏みすることになります。これで力がつかないはずがありません。ちまたではやりの「英語の聞き流し」とは、その効果に雲泥の差があります。

一般的な音読の素材としては、英文講読用の教科書やニュース記事などが挙げられます。また、洋楽を口ずさむことも立派な音読です。ただし、いずれにしても、それは「他人が書いた文章」です。自分の意見でもなければ、声を大にして言いたいことでもありません。

一方、自分が書いた文章は自分の意見そのものです。ビジネスパーソンが書くべき英文は、「自分の考え」をあらかじめ整理しておくものです。当然、他の音読素材に比べて実際に話す可能性が高くなります。

そのようにして作った文章は、音読を重ねることによって「自分の言葉」として定着していきます。話す必要があることを、あるいは話したいことを、最初から話すつもりで書いているのですから、そこには不要な語彙も文法もありません。すべてが実践に直結します。

具体的な文章の書き方は、以下「英語がペラペラになる『魔法の5行エッセイ』」という記事でご紹介しました。新刊『プロフェッショナル イングリッシュ』でも、詳細に解説しています。

これらを参考にしながら書いた文章を、自信を持って音読する習慣をつけてください。「話せる人」は、そこから始めています。


■英語がペラペラになる「魔法の5行エッセイ」
ハーバード流「非ネイティブ」の英語勉強法

青野 仲達 :ビジネス・ブレークスルー大学経営学部教授

ビジネスシーン、学校など、今やどこでも「英語を話す」ことが求められているが、英語を話すための近道は「英語を書く力」を鍛えることにあるらしい。これは意外に感じられるが、ハーバード大学をはじめとする世界に冠たる教育機関では、標準的な学習法だとのこと。『グローバル時代を生き抜くための ハーバード式英語学習法』(秀和システム)の著者であり、自身も外資系企業勤務後にハーバード大学でMBAを取得し、現在はビジネス・ブレークスルー大学(BBT大学)経営学部で教授を務める青野仲達氏に話を聞いた。

書けない英語は話せない

――「英語を話す」ためのいちばんの近道が「英語を書く」ことだというのは、意外ですよね。

今、英語学習法というと、とにかく「英語を話す」ということからスタートすると思うのですが、実は英語を話す前に書く力を鍛えるほうが、はるかに効率がいいのです。

というのも、英語を話すことより、英語を書くことのほうが、ハードルが低いのですね。書くときは、しっかりと時間に余裕を持って自分の考えを整理することができます。一方、話すとなると相手が目の前にいるので、ゆっくりと考えている暇もありません。

逆に言えば、そもそも書けない英語は、どんなに頑張っても話すことができないのです。ですから、英語を話したいのであれば、まずは書くことから始めるほうが入りやすいですし、何より簡単なので、挫折しにくいのです。

――ハーバードといった世界的に有名な教育機関でも、「書く」からスタートしているのでしょうか?

はい。ハーバードのビジネススクールには、英語を母国語としない「非ネーティブ」の学生を対象に、「英語で生き抜く技術」を教えるプログラムがあります。その最重要項目が「エッセイの書き方」なんですね。

ここで言う「エッセイ(essay)」は、日本語の「随筆」ではありません。気ままに思いついたことを書きつづったものではなく、相手に伝えることを前提に「自分の考えを整理して書いたもの」です。

エッセイの書き方を習得すると、それまでは自信なげにうついむいていた人も、理路整然と話すようになっていくのです。欧州出身者も、中南米出身者も、アジア人も同じです。

――話す前に、自分の考えを整理する必要があるのですね。ただ、エッセイと聞くと、少し難しく感じられますが。

たった5行で書けるエッセイ

そうですね。本格的なエッセイとなると難しいのですが、エッセイの基本的な部分はたったの5行で書くことができます。たとえば、「私は夏が好きだ」ということが言いたいのであれば、こんなエッセイが書けます。

I like summer best.(私は夏がいちばん好きだ)
The days are longer.(日が長い)
We can dress down.(楽な服装ができる)
I can travel with my family.(家族と一緒に旅行ができる)
My favorite season is summer.(私の好きな季節は夏だ)

特に難しい単語や文法を知らなくても、こうして自分の考えを伝えることができます。

――なるほど、これならすぐに実践できそうですね。何かコツのようなものはあるのでしょうか?

5行のエッセイを書くのは、とても簡単です。次の3つのルールに沿って書いていくだけです。

ルール1 結論を書く

「要は何が言いたいか」を書きます。「私は◯◯が好きだ」「◯◯はこうあるべきだ」という表現を使うと、うまく結論を導くことができます。たとえば、「夏が好きだ」と言いたいのであれば、シンプルに次のように書けばOKです。

I like summer best.(私は夏がいちばん好きだ)

ルール2 理由を3つ挙げる

結論を述べたら、理由を3つ挙げます。結論の後に理由を挙げるのは、それが自然な流れだからです。理由を3つにするのは、「それくらいがちょうどいいから」です。ひとつや2つだと頼りないけれど、「3つあると安心」という心理が人間にはあるからです。

夏が好きな理由は人によってさまざまだと思いますが、あまり難しく考えず、思いつくままに書いていきましょう。たとえば、こんな簡単なものでOKです。

The days are longer.(日が長い)
We can dress down.(楽な服装ができる)
I can travel with my family.(家族と一緒に旅行ができる)

ルール3 結論を繰り返す

結論を述べ、理由を3つ挙げたら、最後にまた結論を繰り返します。結論を繰り返す方法は2つあります。ひとつ目は「反復」です。これは、単純に結論とまったく同じことを書きます。この場合だと、単純に次のように書けばいいわけです。

I like summer best.(私は夏がいちばん好きだ)

もうひとつは「換言」です。1行目の結論と同じことを、言い方を換えて書いてみます。「夏がいちばん好きだ」は、「好きな季節は夏だ」と同じ意味ですので、最初の結論は次のように言い換えることができます。

My favorite season is summer.(私の好きな季節は夏だ)

「最初に結論を述べる」「理由を3つ挙げる」「最後に結論を繰り返す」。たった3つのルールですが、自分の考えを伝えるための次のようなエッセイが完成します。

I like summer best.(私は夏がいちばん好きだ)
The days are longer.(日が長い)
We can dress down.(楽な服装ができる)
I can travel with my family.(家族と一緒に旅行ができる)
My favorite season is summer.(私の好きな季節は夏だ)

5行エッセイで作る「自分の意見」

――とてもシンプルな方法ですね。これは英語学習だけでなく、「自分の意見や考えを整理する」のにも役立ちそうですね。

そうですね。英語が話せない人の特徴として、そもそも「話すことがない」というものがあります。日本では空気を読んだり、あいまいさを理解する気遣いがよしとされます。

しかし実際に世界へ出ていくと、つねに自分の意見が求められますし、意見は明確な理由がないと通りません。つまり、ロジカルであることが要求されるのですね。そうした意味で、さまざまなトピックについてこの5行エッセイを書いておくと、「自分の意見」が持てるようになるはずです。

文法や単語の勉強は「最重要」ではない?

――5行エッセイを書いていれば、「文法」や「単語」、「発音法」の勉強はしなくてもよいのでしょうか?

しなくてよいというわけではないのですが、文法や単語の勉強というのは、個別にやるべきものではありません。

5行エッセイを書くうえで、これは英語で何と言うのだろうと立ち止まることが必ずあると思います。その際は、ネットなどを使って、単語や文章を調べることができます。

たとえば、「サッカーが好きだ」と書きたいのであれば、「サッカー 好き 英語」と調べれば、Web辞書の例文を調べることができます。そうして5行エッセイを書くうえで、つまり自分の考えを伝えるうえで、必要な単語や文法を調べるだけで十分です。

むやみに単語を2000個覚えたり、英文法をすべて暗記するのは時間がかかるうえに、それを使う機会が訪れないので、頭に残りません。

5行エッセイであれば、それは自分の考えや意見ですし、何より自分で書いたものなので、使った単語や文法はしっかりと頭に残ります。おまけに海外では自分の意見が求められることが頻繁にありますので、使いながら覚えていくこともできます。

5行エッセイを会話やスピーチで使う

――実際に、この5行エッセイを会話やスピーチに応用することは可能なのでしょうか?

もちろんです。書いた5行エッセイは何度も音読・暗誦してください。そうすることで、一つひとつの英文が頭の中に残っていきます。たとえば、「コーヒーが好きだ」ということについて、次のような5行エッセイを書いていたとします。

I like coffee.(私はコーヒーが好きだ)
It tastes and smells good.(味や香りがいい)
It keeps me awake.(眠気が覚める)
It is good for health.(健康にいい)
Coffee is my favorite drink.(私のお気に入りの飲み物はコーヒーだ)

食後に会話がコーヒーの話題になったときに、書いておいた5行エッセイの中から「It tastes and smells good.(味や香りがいい)」と言ってみるだけでも、会話がつながっていきます。

大切なのは、普段からさまざまなトピックについて、5行エッセイを書き、自分の意見を整理しておくことです。そうしてしっかりと準備をしておくことで、世界中のどこへ行っても通じる形で、英語が話せるようになるはずです。


[いずれも東洋経済ONLINE]

Posted by nob : 2017年04月11日 09:56

同感です、、、自ら話す分だけしか英語は身に付きません。。。

■英語が聞き取れない人に共通する5つの弱点
ただ英語を聞いているのは時間の無駄

谷口 恵子 :英語学習コーチ

いくら英語の勉強をしても、なかなか聞き取れるようにならない、と感じることはありませんか。外国人に電話をかけなければいけない時、相手の言っていることがわからない。1対1の会話なら聞き返せるけれど、大人数のミーティングになると、聞き取れなくて置いていかれてしまう……。そうした「聞き取れない」悩みを持っている人は少なくありません。

こうした悩みを解決するにはどうしたらいいのでしょうか。『3ヶ月で英語耳を作るシャドーイング』の著者で、英語学習コーチの谷口恵子氏が、英語が聞き取れない原因と、その効果的な対処法を紹介します。

英語の電話が怖くてかけられない!

仕事で使えるレベルの英語力を身に付けたい、と思っている方は多いと思いますが、中でも「聞き取れない」という悩みは切実です。ある程度の文法力と辞書があれば、読み書きは何とかなりますが、「聞き取り」に関しては、タイミングやスピードなどを自分がコントロールできないうえに、そもそも聞き取れなければ会話にもなりません。そのため、リスニング力を上げていくことが緊急の課題という方は多いでしょう。

私も、今では英語学習コーチとして英語のトレーニング法を広めていますが、かつては、どうしたら仕事に使える英語力を身に付けられるのか、悩みながら社会人生活を送っていました。

新卒で入社したIT企業では、ときどき米国やインドの同僚に英語で電話をしなければなりませんでした。自分が言いたいことは練習すれば何とか言えますが、相手の英語が聞き取れないときの焦りを想像すると、なかなか受話器を上げることができませんでした。「Sorry? 」と何度も聞き返してもダメなときには、「念のため今の内容のサマリーをメールでも送ってください」とお願いして電話を切るようにしていました。

英語が聞き取れないのは、英語を聞く絶対量が足りないからに違いない、とたくさん英語の音声を聞いている人も多いでしょう。しかし、残念ながら、聞き流しだけでは聞き取れるようになりません。多少英語の音に耳が慣れる、という効果はあっても、それだけではリスニング力が劇的に伸びることはないのです。

私も、効果的な英語のトレーニング法に出合うまでは、通勤時間や自宅で、Podcastやニュース、英語のリスニング教材など、とにかくいろいろな英語を聞き続けました。でも1年やってもリスニング力はまったく上がりませんでした。聞き流しが効果を発揮するのは、意識的なリスニングのトレーニングもしっかり行っている場合だけです。聞き流しだけで聞き取れるようになることはありません。

やはりリアルな英語に触れたほうがいいだろうと、英会話スクールに通っている方もいらっしゃるでしょう。英会話スクールはうまく活用できれば、とても良い実践の場として使えますが、英会話スクールに通うだけではリスニング力はアップしません。

なぜでしょうか。まず週に1回や2回では、英語に触れる頻度として少なすぎます。また、英会話スクールのような実際に英語で会話をする場は「試合」のようなもので、それ以外の日に「自主トレ」をした成果を試す場なのです。試合では、場馴れをして度胸がつくことはありますが、英語力自体はそれほど伸びません。英語力を本当に伸ばすには自主トレが欠かせないのです。

英語力を向上させるには、体を変える必要がある?

自主トレとして、どんなトレーニングが有効なのでしょうか。特に忙しいビジネスパーソンの方々には、リスニングを柱として伸ばしていくことをお勧めしています。それは、リスニング力を伸ばすためには、単語力、文法力、発音力、そして情報処理のスピードなど、さまざまな力が必要となるからです。リスニング力を伸ばした結果、英語の総合的な力をつけることができます。

では、リスニング力を効果的に伸ばすためには、どんなトレーニングが必要か。ここを勘違いしてしまうと、大切な時間を無駄にしてしまいます。「聞けるようになりたい、ではたくさん聞こう」ではダメだということを、まず知ってください。

聞けるようになるためには、実は「音声を聞いて真似すること」がいちばん効果的なトレーニング法です。まず、真似をするつもりで集中して聞くことで、音の特徴をしっかりつかむことができます。また、その特徴を真似して話すことで、しっかりと音の特徴が定着します。自分で正しく言えるようになった発音は聞き取れるようにもなります。聞いて真似をするトレーニング法として有名なのが、「リピーティング」や「シャドーイング」です。

英語を「勉強」だと思っている方も多いと思います。文法や読解などの基礎力は確かに勉強で身に付けることができるので、ある意味でそれは正解なのですが、勉強だけでは身に付かないスキルがあるのも事実です。特にリスニング、スピーキングにおいては、スポーツの練習と同じように、自分の体を変えていくための意識的な「トレーニング」が必要です。

そして、忙しいビジネスパーソンが限られた時間で英語力を上げたいと思ったら、できるだけ自分の弱点を知って、効果的なトレーニングをすることも大切です。一日中英語に浸っていられるわけではないからです。

ただし、リスニング力を上げる前に、1つやらなければいけないことがあります。それは、「聞き取れない原因」を突き止めることです。自分の弱点を知ることが、効果的なリスニングトレーニングの出発点となります。ここでは、ありがちな5つの原因と、効果的なトレーニング法をご紹介します。

「聞き取れない!」が起こる5つの原因

(1)使われている単語や表現を知らない

「聞き取れない」という前に、そもそも使われている単語や表現は知っていますか? まず、英文を読めば100%理解できるのかをチェックする必要があります。使われている単語や表現を知らなければ、いくら音としては聞き取れたとしても、自分の中にその意味が入っていないので、マッチングができません。

【効果的なトレーニング】

「単語や表現を知らない」というのが原因で聞き取れなかったら、その単語や表現の意味を知り、覚える必要があります。ただし、意味を日本語で丸暗記するよりも、できるだけイメージを結びつけて、反射的に意味を思い浮かべられるようにするのが効果的です。そして、必ず正しい発音も一緒に覚えましょう。オンライン辞書などで正しい発音を聞いて、真似してみたり、イメージをしながらその単語を繰り返し発音してみるのがお勧めです。

「単語は知っているけれど、そういう表現を知らなかった」という場合もありますね。たとえば、”Our project is running behind schedule.” という一文を聞いたとします。すべて知っている単語でも、”run behind schedule” =「予定より遅れている」という表現だということを知らなければ、この文の意味を理解することができません。

英語の音声を聞いたときには、できるだけ自分の知っている単語や表現に置き換えようとしますので、running behind scheduleの部分が違う単語に聞こえてしまうかもしれません。こうした「表現」も、単語と同じように、正しい発音で口に出しながら、意味をイメージしながら定着させていくのがお勧めです。

(2)正しい発音を知らない

単語も表現も知っているけれど、音では聞いたことがなかったり、自分の思い込んでいる発音が正しい発音と違ったりすると、聞き取れません。それもやはり、聞こえてくる音と、自分の中にある音とがうまくマッチングできないからです。このときには、「正しい発音をしっかり覚え直す」必要があります。

【効果的なトレーニング】

正しい発音を覚え直したいときには、音声を聞いてから真似をする「リピーティング」をしましょう。真似をしようと思って聞くことで、聞くときの精度、集中力がグンと上がります。また、どこが強くなるのか、どこが上がるのか、というアクセントやイントネーションの特徴がつかみやすくなります。

「英語の発音は大事ではない」と言う人もいますが、私は仕事で使える英語力を身に付けたい人には、発音に敏感になることを強くお勧めします。英語らしい発音を身に付けていくと、リスニングにもスピーキングにも効果が現れるからです。ただ、発音といっても、LとRの使い分けや、thの発音といった、「発音記号どおりに正しく言えること」よりも、アクセントやイントネーションなどの「英語の音の特徴をしっかりとらえること」のほうが、実は即効性があります。英文スクリプトにアクセントやイントネーションの特徴を書き込んで印象づけるのも効果的です。

英語の音に慣れるには?

(3)英語の音の特徴に慣れていない

アクセントやイントネーションをしっかりつけたり、リズミカルに話したりする英語特有の話し方自体に慣れていないと、英語を聞いたときに、どの部分に注目して聞けばいいのかわかりません。また、イントネーションの付け方によっては、同じ文章でも意図が変わることがあります。同じ “Why didn’t you do it?” でも、単に理由を聞かれている場合もあれば、責められている場合もあります。

【効果的なトレーニング】

こうした英語の音の特徴に慣れるためには、英文を見ながら聞いて繰り返す「リピーティング」、英文を見ながら音声と重ねて話す「オーバーラッピング」、英文を見ないで音声のすぐ後を真似して話していく「シャドーイング」のトレーニングが効果的です。

リピーティングでは、しっかり落ち着いて英語の音を聞き、真似をすることができます。オーバーラッピングでは、音声と重ねて話すので、イントネーションやリズムのずれが見つけやすく、自分の弱点を把握して集中的に練習することができます。シャドーイングでは、英文を見ないで音だけを聞いて真似するため、自分の思い込んでいる発音から離れて、聞いた音声の発音に近づけていくことができます。ですから、できるだけ自分が得意になりたい英語の音声に近いものを教材として使うのがお勧めです。

(4)単語と単語がつながって音が変化している

「単語と単語がつながる」ということが英語では頻繁に起こります。英語の場合、基本的には単語ごとに切って話すのではなく、一文や、カンマまでの区切りを一気に話して、少しポーズを置く、という話し方です。このとき、なめらかに話すために、単語と単語がつながる部分で「音の変化」がよく起こります。

たとえば、What are you doing here? という文章の場合、「ワット・アー・ユー・ドゥーイング・ヒア?」のように区切って話すのではなく、「ワラユードゥーインヒア?」のようになめらかにつなげて話します。ここで、What areの部分がワラのようになるのが、「音の変化」です。音が変わる場合もあれば、音が省略されて聞こえない場合もあります。

【効果的なトレーニング】

こうした「音の変化のパターンに慣れる」ために効果的なのが、音声だけを聞いて、そのすぐ後を追いかけるシャドーイングです。ただし、いきなりシャドーイングで真似をしようとすると、自分が話すのに一生懸命になってしまい、しっかり音を聞くことができません。そこで、この場合にも、(3)と同じようにリピーティング、オーバーラッピング、シャドーイングの順でトレーニングをしていくことがお勧めです。

スピードについていけない場合は?

(5)スピードが速すぎて理解が追いつかない

話されるスピードが速いと、自分の頭の中で情報処理が追いつかない、という状態になります。前の文を理解しているうちに、話は次に進んでしまいます。単語力はあるし、音の変化や、英語の音の特徴にも慣れているものの、速く話されると聞き取れない、という人は、これが原因になっている可能性が高いでしょう。特に頭の中で和訳をしてしまうクセがある人は、どうしても理解に時間がかかるので、スピードが速いと追いつけなくなってしまいます。

【効果的なトレーニング】

この場合には、英語を聞くときの情報処理のスピードを上げる必要があります。そのために効果的な方法が2つあります。1つは「意味をイメージしながらの速音読」です。速音読とは、できるだけ早口での音読のことですが、意味を意識しながら速音読ができるようになると、情報処理のスピードは上がっていきます。

ただし、いきなり意味を意識しながらの速音読にチャレンジするのは難しいので、3段階でスピードを変えた音読をお勧めします。順番は「速音読」→「意味を意識しながら、やや早口の中速音読」→「意味をしっかり意識しながら、普通音読」です。

2つ目の方法は、「意味を意識しながらのシャドーイング」です。最初のうちは意味を意識せずに音の特徴だけを真似するシャドーイングで構わないのですが、余裕が出てきたら「意味を意識しながらのシャドーイング」に移りましょう。これができると、そのスピードで情報が処理できる、という状態になっていきます。

私自身、かつて「英語が聞き取れない」ために、仕事で何度も悔しい思いをしてきました。だからこそ、今そういう思いを持っている方には、一刻も早く、効果的なトレーニングを始めていただきたいと思っています。原因を突き止めて効果的なトレーニングをすることで、必ず英語は聞き取れるようになっていきます。自分の体がトレーニングで変わっていくことを実感しながら、英語力をアップしていきましょう!

[東洋経済ONLINE]

Posted by nob : 2017年04月11日 09:04

ほどほどにバランス良く。。。

■「酒は百薬の長」はあくまで“条件付き”だった
「適量の飲酒なら健康にいい」は、すべての病気でいえるわけではない

葉石かおり=エッセイスト・酒ジャーナリスト

お酒は一般に、「適量の摂取なら健康にいい」といわれている。左党の多くにとって、これがお酒を飲む際の安心材料の一つとなっている。しかし、これは本当なのだろうか。そして、すべての人に対して言えることなのだろうか。そこで今回は、“適量飲酒”の健康への影響をまとめた。

「適量の飲酒は長生きにつながる」は本当か

 「酒は百薬の長」―。

 そんな言葉を裏付けるよう、昔から「お酒は適量摂取」なら健康効果があるといわれている。まさに左党にとっては印籠のような言葉になっているといってもいいだろう。「酒を飲まないより、飲んでいるほうがカラダにいい」と勝手に解釈し、飲む言い訳にしている人も多いのではないだろうか。

 この「適量の飲酒は長生きにつながる」ことを裏付けるデータがある。専門用語で「Jカーブ効果」と呼ぶものだ。飲酒量を横軸に、死亡率を縦軸にとると、グラフの形状が「J」の字に似ることからそう呼ばれている。

 つまり、適量を飲む分には死亡率が下がるが、一定量を超えてくると、死亡率が上がってくるというものだ。このグラフは、酒の健康効果を示す図としてさまざまなシーンで登場するので、左党はもちろん、そうでない方も少なからず目にしたことがあるのではないだろうか。かくゆう筆者もそうで、酒を飲む際の安心材料の一つとして、ありがたく崇めている。

 しかし、ふと冷静になって考えてみると、このJカーブ効果は、実際のところどうなのだろうか。死亡率が下がるというのはもちろんだが、すべての病気、すべての人に対して同じ傾向を示すのだろうか。世の中には、例えば高血圧などの持病を抱えている人は多いし、アルコールに対する耐性が強い人もいれば弱い人もいる。男女差、年齢などなど、考え出すときりがない。

 うううむ、ここはひとつ、より安心して酒を飲むためにも、真偽を確かめねばならない。ということで独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター院長の樋口進さんにお話をうかがった。

Jカーブ効果は、すべての病気にいえるわけではない

 「結論から言いますと、コホート研究などにより、飲酒と総死亡率についてはJカーブ効果が認められています。ただし、すべての疾患に対してあてはまるわけではありません。つまり、病気によっては、少量の飲酒でも悪影響を及ぼす可能性があります。少量の飲酒がすべてに対していい効果が出るというわけではないのです」(樋口さん)。コホート研究とは、一般住民の集団を対象にした長期にわたる観察型の疫学研究のことだ。

 樋口さんによると、飲酒量と健康リスクについては、欧米や日本で研究が進められており、飲酒量と総死亡について「Jカーブ」の関係にあることが示唆されているそうだ。「欧米人を対象とした14の研究をまとめて解析し、1996年に発表された報告では、男女ともに1日平均アルコール19gでの飲酒者の死亡リスクは非飲酒者より低くなっています」(Holman CD,et al. Med J Aust. 1996;164:141-145.)。

 国内でも、大規模コホート研究により、適量飲酒が死亡リスクを低下させているという結果が出ている(Ann Epidemiol. 2005;15:590-597.)。これは国内の40~79歳の男女約11万人を9~11年追跡した結果で、総死亡では男女ともに1日平均23g未満(日本酒1合未満)で最もリスクが低くなっている。

 このような国内外での報告から、「適量飲酒は死亡率を下げる」ということが通説となっているわけだ。なお、樋口さんは、次のように補足する。「コホート研究の結果によって、少量飲酒者の死亡率が低いという結果が出ていることは確かです。しかし、これは飲酒との因果関係を示すものではありません」。また、「Jカーブ効果が認められているのは、先進国の中年男女だけ」(樋口さん)だという。

高血圧、脂質異常症などは少量飲酒でもリスクは高まる

 先ほど樋口さんが話したように、Jカーブ効果が認められるのは、ある一定の疾患に限られるという。

 私はこれまで、「酒は百薬の長」で、「適量飲酒はカラダにいい!」と長年信じてきたが、樋口さんの一言でかなり怪しくなってきた…。では一体、少量飲酒であってもリスクが高くなるのはどんな疾患なのだろう。

 「少量飲酒であっても、リスクが上がるのは主に高血圧、脂質異常症、脳出血、乳がん(40歳以上)などです。これらの疾患は、飲酒量に比例してリスクは直線的に上がっていきます。つまり、少量でも飲酒すればリスクは上がります。乳がんは遺伝的な要素が強い疾患ですが、それでもアルコールを飲まないより、飲むほうが罹患リスクは上がります」(樋口さん)

 「肝硬変の場合は、指数関数的な傾向を示します。飲酒量が増えるとリスクが上がるのは同じですが、少量の場合のリスクの上がり方は穏やかで、ある水準を超えると一気にリスクが高くなります」(樋口さん)

 樋口さんの挙げる疾患名を聞いて、恐れおののく。高血圧も脂質異常症も乳がんも、いずれもミドル以上におなじみの病気だ。しかしそうであれば、なぜ全体の死亡率については、「適量の飲酒でリスクが低くなる」という傾向が見られたのだろうか。

 「上のグラフにあるように、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患、脳梗塞、2型糖尿病などは、少量飲酒によって罹患率が下がる傾向が見られます。そして、心筋梗塞などの心疾患が死亡率に及ぼす影響はとても大きいのです。つまり先に挙げた少量飲酒によってリスクが上がる疾患より、心疾患などリスクの下がる疾患の影響が大きいために、全体の総死亡率としては、Jカーブのパターンになっているのです」(樋口さん)。このほか、樋口さんによると、(高齢者の)認知機能低下についても、発症するリスクが低くなることが確認されているという。

 なるほど、そういうことだったのか。では、これらの結果をどう受け取り、飲酒をどうしていけばいいのだろうか。樋口さんに聞いてみた。

 樋口さんは、「高血圧、脂質異常の持病を持った方、肝機能の数値がおもわしくない方、乳がんに罹患した人が身内にいる方などは、少量飲酒でもリスクが高まるわけですから、通常の方より飲酒量を抑えるように注意したほうがいいのは確かです」と話しながら、こう続けた。「とはいえ、飲酒はコミュニケーションツールであり、日常のストレスから解放してくれる楽しみの一つでもあります。例えば高血圧の方が飲酒量を抑えた方がいいのは確かですが、過度に神経質になる必要はありません」(樋口さん)

 注意するに越したことはないが、過度に神経質になり過ぎることはない。これを聞いてちょっとホッとする。ムチャ飲みせず、楽しむ程度にたしなめば、酒は決して怖いものではないのだ。

お酒を飲んで顔が赤くなる人は注意

 ここまでの説明で、飲酒によるリスクが病気により異なることはよくわかった。では、アルコールに対する耐性が弱い人、つまりお酒を飲んですぐ顔が赤くなる人はどうなのだろうか。
久里浜医療センター院長の樋口進さんは、「高血圧や脂質異常症などの疾患がある方はもちろん、アルコールが弱い方、高齢者の方も飲酒量を抑えた方がいいでしょう」と話す。

 「アルコールを飲んで顔が赤くなる人、つまり生まれつきアルコールの分解能力が低い人は注意が必要です。こうした体質の人は飲酒によって食道がんなどのリスクが高まることがわかっています。飲酒量は、飲める人に比べて抑えた方がいいでしょう」(樋口さん)

 さらに、樋口さんによると、リスクがより高いのは高齢者なのだという。「高齢者はアルコールを分解するスピードが遅く、体内の水分量も少ないため、血中アルコール濃度が高くなりやすいからです。持病を抱えている人が多いですしね。また、飲酒時の転倒リスクも高まります。これが原因で骨折して、寝たきり生活になってしまうというケースも少なくありません」(樋口さん)

 高齢者の飲酒は、さまざまなリスクとの背中合わせということか…。筆者はまだ高齢者に分類されるに至ってないが、確かに年齢を重ねるごとに、酒が抜けにくくなっているのは事実。樋口さんの言葉がザクザクと突き刺さる。

 「結局、飲まないに越したことはないの?」と悲観的になってしまいそうだが、樋口さんは「無理に断酒することはない」と話す。飲み過ぎの人は飲む量を減らすことから始めてほしいと話す。

 「アルコール健康障害で病院を訪れる患者さんにも同じことが言えるのですが、習慣化している飲酒をいきなり断つことはストレス以外の何ものでもありません。『飲酒をやめなさい』という上から目線の指導は逆効果です。ではどうしたらいいか? それは“無理のない範囲”で量を減らすこと。その量も本人が決めることが大切です」

少しでもいいから減らすことが大切! 記録をつけよう

 「よく飲酒量の目安として、男性の場合、アルコール換算で20g程度(ビール中瓶1本、日本酒なら1合程度)などと言われますが、いつも飲んでいる量をいきなり3分の1や2分の1に減らせと言われてもなかなかできません。ですから、目標をつけて、少しでもいいから減らすことが大切です。お酒の量を多少減らしただけでも、リスクは確実に下がります」

 「例えば、一日に焼酎を2合飲むのが通例なら、1.5合に減らすといった具合に小さな目標を設定するのです。そして、さらに大切なのが目標をクリアできたら手帳に〇(マル)をつけること。すると、自然と飲む量を頭でモニターするようになります。そうした日々の小さな成功体験を重ねることで、飲む量は自然と減っていきます」(樋口さん)

 ダイエットにも言えることだが、飲酒においても「レコーディングする」ことで飲酒量を減らす成功率はアップする。また樋口さんによると、「周囲に公言することも効果的」だという。公言してしまった手前、やらずにはいられなくなるからだ。

 なるほど、断酒はできなくとも、これだったらすぐにでも実践できそうだ。

 前述のように、アルコール摂取の適量は、男性なら純アルコール換算で20gだが、女性は半分の10g(ビール小1缶)程度だ。「す、少ない…」と思う方も多いだろう。左党にとって、この量を守るのはかなりハードルが高いが、飲み過ぎの自覚がある人は、この量に少しでも近づこうとする努力はしたほうがよさそうだ。

 しかし、量を減らしたり、休肝日を作ったりすると、やってしまいがちなのが「どか飲み」。左党は「昨日、休肝日だったから倍の量を飲んでも大丈夫」と自分に都合のいい言い訳をつけてしまいがちだ。

 「適量である20gを一週間続けるのと、一日にまとめて140g飲むのとでは、後者のほうが数段、カラダに負担がかかります。休肝日をつくりつつ、まとめてどか飲みするのではなく、日々適量を守ることが大切です」(樋口さん)

 樋口さんによると、そもそも休肝日という言葉は日本だけのものだという。「欧米では肝臓を休めるというよりも、アルコールに依存しないために飲まない日を作るという考え方をします」(樋口さん)

         ◇        ◇        ◇

 地道に毎日、適量を守る。飲み過ぎの人は少しずつでも量を減らす―。

 結局のところ、さまざまな疾患のリスクを減らすには、これ以外の得策はないようだ。といってもJカーブのからくりを知ってしまった以上、少量、適量であっても安心はできないということを心しておかねばならない。「酒は百薬の長」という言葉は、あくまでも条件付きなのだから。

樋口 進(ひぐち すすむ)さん
独立行政法人国立病院機構 久里浜医療センター院長

[日経Gooday]

Posted by nob : 2017年04月09日 17:30

呼吸、姿勢、歩行が健康づくりのキホンのキ。。。

■あの人のカラダマネジメント術
正しい姿勢で「ドローイン」それだけで体幹は鍛えられる
人気トレーナー・木場克己さんのカラダメンテ術

松尾直俊=ライター

 年齢を重ねるに従って筋力は低下し、そのまま高齢になると健康な生活を送れなくなってしまう。それを防ぐために日々できることと、自らが実践している方法を体幹トレーニングで有名なトレーナー、木場克己さんに聞いた。

 木場克己さんは、サッカーの長友佑都選手をはじめ、多くのアスリートや有名人、将来を有望視されるサッカーのジュニアユース選手などに“体幹バランストレーニング”を指導し、実績を上げている人物。第1回「腹を凹ますだけ! プロ直伝、太りにくい体になる体幹トレーニング」では「ドローイン」を紹介したが、今回は、体幹部や下肢の強化につながる「姿勢の正し方のコツ」について教えてもらった。

◇     ◇     ◇

 第1回では「ドローイン」について話しましたが、ちょっとしたコツを覚えると、より効果的にドローインで体幹深層部にある筋肉、インナーマッスルを鍛えることができます。そのコツとは「姿勢を正すこと」です。実は、日常生活の中で正しい姿勢を意識するだけでも、体幹を強化していくことができるのです。

 最近は会社での長時間のパソコン作業や、電車の中などでのスマートフォン(スマホ)いじりなどの影響で、背中の丸まった、いわゆる「猫背」の人が増えています。猫背は見た目が悪いばかりでなく、胸を圧迫するために呼吸が浅くなり、体に十分な酸素を取り入れられない状態を作り出します。また、頸椎(けいつい)の自然な湾曲がなくなる「ストレートネック」の原因にもなり、肩こりや頭痛、ひどい場合は頚椎ヘルニアになることもあります。さらに、脳から頸椎を通って全身に張り巡らされている神経を圧迫したり、脳への血行を阻害したりするために、内臓の不調やうつ症状を促すという医療関係者もいます。

正しい姿勢のコツは、肩甲骨を意識すること

 猫背になっていないかをチェックするには、まず、いつも通りの姿勢でまっすぐに立ってみてください。この時に、ご自分の手が太ももの横にまっすぐに来ていれば、まず大丈夫です。しかし、猫背になっている人は、手が太ももの前に出ます。この状態だと頭が前に下がって重心が前になるので、脚を引き上げられずに階段や段差でつまずきやすくなるんです。

まっすぐに立った時、自分の手が太ももの真横に来ていればOK。猫背になっている人は、手が太ももの前に出る。

 正しい姿勢を作るコツは、胸を張るよりも肩甲骨を意識することです。多くの人が長時間のパソコンやスマホ操作のために肩が前に入り、肩甲骨周りが広がっています。つまり胸の大胸筋が縮んでしまっているんです。それが猫背の原因ですが、是正するにはまず腰に軽く手を当てて、肩甲骨を背骨に寄せるようにします。肩こりがある人は、それだけでも気持ちがいいはずですよ。

 そして自然に肩周りの力を抜き、頚椎の上に頭部がのるように意識します。すると横から見た時に、背骨が自然なS字を描く姿勢をつくることができるのです。

 姿勢を正して体を固定すると、体幹部や腰の周りの筋肉を使うので、その強化につながります。そうして膝とつま先をまっすぐに前に向け、膝をしっかり引き上げて歩けば、全身に刺激が入ります。

 これは私も意識して実行していることで、特別な時間を作らず、日常生活の中でできる体幹バランストレーニングの方法です。そうした姿勢で日々過ごしていると、体幹にある太ももを引き上げるインナーマッスル(腸腰筋)が強くなりますから、下肢もよく動かせるようになります。すると、脚全体の筋肉の衰えを防ぐこともできます。買い物や通勤途中の移動、散歩の時などに試してみてください。

正しい姿勢でドローインをすると、より効果的
今こうして話している間もドローインをしています。

 正しい姿勢でドローインをすると、インナーマッスルの腹横筋や多裂筋、腹斜筋群、腸腰筋などをうまく刺激することができます。時間がある時には、ドローインをしたまま3秒で鼻から息を吸って、5秒かけて吐き出すというのを10回くらい繰り返してみてください。息を吐き出す時に、ドローインした腹部が緩まないように気を付けることが、効かせるためのコツです。そうすることで効率良くインナーマッスルが鍛えられます。

 正しい姿勢を保つことやドローインは、今こうして話している間にもできます。実際に私も取材や打ち合わせの時、そして移動で電車に乗っている時や歩く時にも、肩甲骨を引いて胸を開き、ドローインを実践しています。そうすればわざわざトレーニングの時間を取らなくても、常に体幹を鍛えることになりますから。

 ただ、最初のうちは四六時中やっているのは難しいかもしれません。その場合は、日常生活の中で気がついた時に、正しい姿勢とドローインを30秒から1分くらい維持することから始めるのでもいいです。

 インナーマッスルは加齢とともに衰え、その衰えは、首・肩のこりや腰痛、脚の筋力低下、ダイエット後のリバウンドしやすさなど、様々な体の不調につながります。そのインナーマッスルを鍛えるのに役立つ体幹トレーニングは、1回や2回で効果を出すことを求めるのではなく、地味な運動と心がけを継続することが大切です。選手たちにもそう言って指導しています。私も50歳を過ぎましたが、インナーマッスルを意識しながらここで紹介したような方法で日々体を鍛えています。こうしてメンテナンスしながら、求められる限りはトレーナーとしての仕事をやっていこうと思っています。

木場克己(こば・かつみ)さん
鍼灸師、柔道整復師、日本体育協会公認アスレティックトレーナー

[日経Gooday]

Posted by nob : 2017年04月06日 21:17