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同感です、、、自ら話す分だけしか英語は身に付きません。。。

■英語が聞き取れない人に共通する5つの弱点
ただ英語を聞いているのは時間の無駄

谷口 恵子 :英語学習コーチ

いくら英語の勉強をしても、なかなか聞き取れるようにならない、と感じることはありませんか。外国人に電話をかけなければいけない時、相手の言っていることがわからない。1対1の会話なら聞き返せるけれど、大人数のミーティングになると、聞き取れなくて置いていかれてしまう……。そうした「聞き取れない」悩みを持っている人は少なくありません。

こうした悩みを解決するにはどうしたらいいのでしょうか。『3ヶ月で英語耳を作るシャドーイング』の著者で、英語学習コーチの谷口恵子氏が、英語が聞き取れない原因と、その効果的な対処法を紹介します。

英語の電話が怖くてかけられない!

仕事で使えるレベルの英語力を身に付けたい、と思っている方は多いと思いますが、中でも「聞き取れない」という悩みは切実です。ある程度の文法力と辞書があれば、読み書きは何とかなりますが、「聞き取り」に関しては、タイミングやスピードなどを自分がコントロールできないうえに、そもそも聞き取れなければ会話にもなりません。そのため、リスニング力を上げていくことが緊急の課題という方は多いでしょう。

私も、今では英語学習コーチとして英語のトレーニング法を広めていますが、かつては、どうしたら仕事に使える英語力を身に付けられるのか、悩みながら社会人生活を送っていました。

新卒で入社したIT企業では、ときどき米国やインドの同僚に英語で電話をしなければなりませんでした。自分が言いたいことは練習すれば何とか言えますが、相手の英語が聞き取れないときの焦りを想像すると、なかなか受話器を上げることができませんでした。「Sorry? 」と何度も聞き返してもダメなときには、「念のため今の内容のサマリーをメールでも送ってください」とお願いして電話を切るようにしていました。

英語が聞き取れないのは、英語を聞く絶対量が足りないからに違いない、とたくさん英語の音声を聞いている人も多いでしょう。しかし、残念ながら、聞き流しだけでは聞き取れるようになりません。多少英語の音に耳が慣れる、という効果はあっても、それだけではリスニング力が劇的に伸びることはないのです。

私も、効果的な英語のトレーニング法に出合うまでは、通勤時間や自宅で、Podcastやニュース、英語のリスニング教材など、とにかくいろいろな英語を聞き続けました。でも1年やってもリスニング力はまったく上がりませんでした。聞き流しが効果を発揮するのは、意識的なリスニングのトレーニングもしっかり行っている場合だけです。聞き流しだけで聞き取れるようになることはありません。

やはりリアルな英語に触れたほうがいいだろうと、英会話スクールに通っている方もいらっしゃるでしょう。英会話スクールはうまく活用できれば、とても良い実践の場として使えますが、英会話スクールに通うだけではリスニング力はアップしません。

なぜでしょうか。まず週に1回や2回では、英語に触れる頻度として少なすぎます。また、英会話スクールのような実際に英語で会話をする場は「試合」のようなもので、それ以外の日に「自主トレ」をした成果を試す場なのです。試合では、場馴れをして度胸がつくことはありますが、英語力自体はそれほど伸びません。英語力を本当に伸ばすには自主トレが欠かせないのです。

英語力を向上させるには、体を変える必要がある?

自主トレとして、どんなトレーニングが有効なのでしょうか。特に忙しいビジネスパーソンの方々には、リスニングを柱として伸ばしていくことをお勧めしています。それは、リスニング力を伸ばすためには、単語力、文法力、発音力、そして情報処理のスピードなど、さまざまな力が必要となるからです。リスニング力を伸ばした結果、英語の総合的な力をつけることができます。

では、リスニング力を効果的に伸ばすためには、どんなトレーニングが必要か。ここを勘違いしてしまうと、大切な時間を無駄にしてしまいます。「聞けるようになりたい、ではたくさん聞こう」ではダメだということを、まず知ってください。

聞けるようになるためには、実は「音声を聞いて真似すること」がいちばん効果的なトレーニング法です。まず、真似をするつもりで集中して聞くことで、音の特徴をしっかりつかむことができます。また、その特徴を真似して話すことで、しっかりと音の特徴が定着します。自分で正しく言えるようになった発音は聞き取れるようにもなります。聞いて真似をするトレーニング法として有名なのが、「リピーティング」や「シャドーイング」です。

英語を「勉強」だと思っている方も多いと思います。文法や読解などの基礎力は確かに勉強で身に付けることができるので、ある意味でそれは正解なのですが、勉強だけでは身に付かないスキルがあるのも事実です。特にリスニング、スピーキングにおいては、スポーツの練習と同じように、自分の体を変えていくための意識的な「トレーニング」が必要です。

そして、忙しいビジネスパーソンが限られた時間で英語力を上げたいと思ったら、できるだけ自分の弱点を知って、効果的なトレーニングをすることも大切です。一日中英語に浸っていられるわけではないからです。

ただし、リスニング力を上げる前に、1つやらなければいけないことがあります。それは、「聞き取れない原因」を突き止めることです。自分の弱点を知ることが、効果的なリスニングトレーニングの出発点となります。ここでは、ありがちな5つの原因と、効果的なトレーニング法をご紹介します。

「聞き取れない!」が起こる5つの原因

(1)使われている単語や表現を知らない

「聞き取れない」という前に、そもそも使われている単語や表現は知っていますか? まず、英文を読めば100%理解できるのかをチェックする必要があります。使われている単語や表現を知らなければ、いくら音としては聞き取れたとしても、自分の中にその意味が入っていないので、マッチングができません。

【効果的なトレーニング】

「単語や表現を知らない」というのが原因で聞き取れなかったら、その単語や表現の意味を知り、覚える必要があります。ただし、意味を日本語で丸暗記するよりも、できるだけイメージを結びつけて、反射的に意味を思い浮かべられるようにするのが効果的です。そして、必ず正しい発音も一緒に覚えましょう。オンライン辞書などで正しい発音を聞いて、真似してみたり、イメージをしながらその単語を繰り返し発音してみるのがお勧めです。

「単語は知っているけれど、そういう表現を知らなかった」という場合もありますね。たとえば、”Our project is running behind schedule.” という一文を聞いたとします。すべて知っている単語でも、”run behind schedule” =「予定より遅れている」という表現だということを知らなければ、この文の意味を理解することができません。

英語の音声を聞いたときには、できるだけ自分の知っている単語や表現に置き換えようとしますので、running behind scheduleの部分が違う単語に聞こえてしまうかもしれません。こうした「表現」も、単語と同じように、正しい発音で口に出しながら、意味をイメージしながら定着させていくのがお勧めです。

(2)正しい発音を知らない

単語も表現も知っているけれど、音では聞いたことがなかったり、自分の思い込んでいる発音が正しい発音と違ったりすると、聞き取れません。それもやはり、聞こえてくる音と、自分の中にある音とがうまくマッチングできないからです。このときには、「正しい発音をしっかり覚え直す」必要があります。

【効果的なトレーニング】

正しい発音を覚え直したいときには、音声を聞いてから真似をする「リピーティング」をしましょう。真似をしようと思って聞くことで、聞くときの精度、集中力がグンと上がります。また、どこが強くなるのか、どこが上がるのか、というアクセントやイントネーションの特徴がつかみやすくなります。

「英語の発音は大事ではない」と言う人もいますが、私は仕事で使える英語力を身に付けたい人には、発音に敏感になることを強くお勧めします。英語らしい発音を身に付けていくと、リスニングにもスピーキングにも効果が現れるからです。ただ、発音といっても、LとRの使い分けや、thの発音といった、「発音記号どおりに正しく言えること」よりも、アクセントやイントネーションなどの「英語の音の特徴をしっかりとらえること」のほうが、実は即効性があります。英文スクリプトにアクセントやイントネーションの特徴を書き込んで印象づけるのも効果的です。

英語の音に慣れるには?

(3)英語の音の特徴に慣れていない

アクセントやイントネーションをしっかりつけたり、リズミカルに話したりする英語特有の話し方自体に慣れていないと、英語を聞いたときに、どの部分に注目して聞けばいいのかわかりません。また、イントネーションの付け方によっては、同じ文章でも意図が変わることがあります。同じ “Why didn’t you do it?” でも、単に理由を聞かれている場合もあれば、責められている場合もあります。

【効果的なトレーニング】

こうした英語の音の特徴に慣れるためには、英文を見ながら聞いて繰り返す「リピーティング」、英文を見ながら音声と重ねて話す「オーバーラッピング」、英文を見ないで音声のすぐ後を真似して話していく「シャドーイング」のトレーニングが効果的です。

リピーティングでは、しっかり落ち着いて英語の音を聞き、真似をすることができます。オーバーラッピングでは、音声と重ねて話すので、イントネーションやリズムのずれが見つけやすく、自分の弱点を把握して集中的に練習することができます。シャドーイングでは、英文を見ないで音だけを聞いて真似するため、自分の思い込んでいる発音から離れて、聞いた音声の発音に近づけていくことができます。ですから、できるだけ自分が得意になりたい英語の音声に近いものを教材として使うのがお勧めです。

(4)単語と単語がつながって音が変化している

「単語と単語がつながる」ということが英語では頻繁に起こります。英語の場合、基本的には単語ごとに切って話すのではなく、一文や、カンマまでの区切りを一気に話して、少しポーズを置く、という話し方です。このとき、なめらかに話すために、単語と単語がつながる部分で「音の変化」がよく起こります。

たとえば、What are you doing here? という文章の場合、「ワット・アー・ユー・ドゥーイング・ヒア?」のように区切って話すのではなく、「ワラユードゥーインヒア?」のようになめらかにつなげて話します。ここで、What areの部分がワラのようになるのが、「音の変化」です。音が変わる場合もあれば、音が省略されて聞こえない場合もあります。

【効果的なトレーニング】

こうした「音の変化のパターンに慣れる」ために効果的なのが、音声だけを聞いて、そのすぐ後を追いかけるシャドーイングです。ただし、いきなりシャドーイングで真似をしようとすると、自分が話すのに一生懸命になってしまい、しっかり音を聞くことができません。そこで、この場合にも、(3)と同じようにリピーティング、オーバーラッピング、シャドーイングの順でトレーニングをしていくことがお勧めです。

スピードについていけない場合は?

(5)スピードが速すぎて理解が追いつかない

話されるスピードが速いと、自分の頭の中で情報処理が追いつかない、という状態になります。前の文を理解しているうちに、話は次に進んでしまいます。単語力はあるし、音の変化や、英語の音の特徴にも慣れているものの、速く話されると聞き取れない、という人は、これが原因になっている可能性が高いでしょう。特に頭の中で和訳をしてしまうクセがある人は、どうしても理解に時間がかかるので、スピードが速いと追いつけなくなってしまいます。

【効果的なトレーニング】

この場合には、英語を聞くときの情報処理のスピードを上げる必要があります。そのために効果的な方法が2つあります。1つは「意味をイメージしながらの速音読」です。速音読とは、できるだけ早口での音読のことですが、意味を意識しながら速音読ができるようになると、情報処理のスピードは上がっていきます。

ただし、いきなり意味を意識しながらの速音読にチャレンジするのは難しいので、3段階でスピードを変えた音読をお勧めします。順番は「速音読」→「意味を意識しながら、やや早口の中速音読」→「意味をしっかり意識しながら、普通音読」です。

2つ目の方法は、「意味を意識しながらのシャドーイング」です。最初のうちは意味を意識せずに音の特徴だけを真似するシャドーイングで構わないのですが、余裕が出てきたら「意味を意識しながらのシャドーイング」に移りましょう。これができると、そのスピードで情報が処理できる、という状態になっていきます。

私自身、かつて「英語が聞き取れない」ために、仕事で何度も悔しい思いをしてきました。だからこそ、今そういう思いを持っている方には、一刻も早く、効果的なトレーニングを始めていただきたいと思っています。原因を突き止めて効果的なトレーニングをすることで、必ず英語は聞き取れるようになっていきます。自分の体がトレーニングで変わっていくことを実感しながら、英語力をアップしていきましょう!

[東洋経済ONLINE]

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Posted by nob : 2017年04月11日 09:04