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■中枢同時テロから6年 広がるアルカーイダ思想 パレスチナや欧州へも
【カイロ=村上大介】「対米ジハード(聖戦)」を唱える国際テロ組織アルカーイダは、米中枢同時テロ後の「反テロ戦」を生き延び、無視できない影響力を維持している。それは「組織」としてではなく「過激思想」のネットワークとして、イラクをはじめ、少数派ながらもパレスチナやアルジェリアなどで具体的な形を取りつつある。一方、多数のイスラム教徒を抱える欧州では、アルカーイダに共鳴する小グループによるテロや未遂事件が続く事態が進んでいる。
米国にとって「イラク問題」の焦点は、「反テロ戦」から宗派抗争激化や本格的内戦突入の懸念にとって代わられた。これに対し、イラクを「第2のアフガニスタン」「聖戦遂行の現場」と位置づけるイラク聖戦アルカーイダ組織などの過激派は、宗派抗争をあおる一方で、昨年秋、大同団結して「イラク・イスラム国」樹立を宣言した。
イラク・イスラム国は、20世紀初頭までイスラム世界をまとめた「カリフ制」の復活を唱えている。アラブ世界の伝統的なイスラム過激主義は、腐敗した為政者を倒し、イスラム法統治による「理想的な社会」の実現を目指す、いわば「一国革命論」だったが、アルカーイダは、イスラム世界統一の象徴だったカリフ制の復活が局面打開に不可欠とみる。
イスラム世界の大多数やキリスト教など非イスラム世界からは荒唐無稽(むけい)にみえる考え方だが、インターネットとグローバリゼーションが進んだバーチャル(仮想)な世界で、各地の過激派運動を糾合する「世界同時革命論」として以前より説得力をもって広がるようになっている。
そして、依然、少数派とはいえ、これに共鳴する勢力が各地に根付きつつあることも鮮明になってきた。一つの例は、かつて世俗派のパレスチナ解放機構(PLO)が支配権を握っていたレバノンのパレスチナ難民キャンプへのアルカーイダ系組織の浸透だ。
レバノン北部の難民キャンプで政府軍と3カ月にわたり戦闘を続けた「ファタハ・イスラム」はその一例に過ぎず、他の難民キャンプでも同様な思想を抱く、別グループが活動している。
今月8日、アルジェリア北部の町で起きた自爆テロでは、「イスラム・マグレブ諸国のアルカーイダ」が犯行声明を出した。90年代のアルジェリア内戦の生き残りの過激派が今年1月に改称した組織で、ここでもアルカーイダ的な思想への傾きが強まっていることがうかがえる。
アルカーイダは、かつてイスラム帝国が支配したイベリア半島をイスラム圏と認識し、現状を「キリスト教徒による占領」とみる。こうした見方に加えて、世界同時革命的な“イスラム世界解放論”は、欧州のイスラム教徒の一部をひきつける要因ともなっている。
[産経新聞]
Posted by nob : 2007年09月12日 23:19