« 人為的ミスや経済の法則で済まされる問題ではない。。。 | メイン | 何人にも、如何なる場合においても、他人の生命を侵す権利はない。。。 »

日々加速していく経営者としての資質の低下。。。

■子会社→親会社に低賃金労働力 “違法”野放し『専ら派遣』 あいまい禁止基準

 企業が人件費を抑える目的で人材派遣会社を設立、正社員より安い賃金で親会社など特定の会社だけに労働者を派遣する「専ら派遣」が増え、不安定な非正規雇用を拡大させる原因となっている。労働者派遣法は専ら派遣を原則禁じているが、規定があいまいなため、事実上の野放し状態が続いている。

 関西地方に拠点を置く大手アパレルグループは四年前、全額出資の派遣子会社を設立。約百人の派遣社員は数人を除き、グループ企業に派遣されている。本社に派遣され、業務書類の作成を任された二十代の女性は「一日約八時間労働で月収十七万円。同年代の正社員は二十五万円で、待遇の差が大きすぎる」と不満を訴える。

 このアパレルグループの本社は「新ブランドの設立など本社の業務拡大で、人材が必要になった」と説明。賃金格差の理由は「派遣社員は簡単な作業が多いため」と話す。しかし、派遣されていた女性は「正社員がやっていた仕事を引き継いだので、仕事の内容に差がないはず」と証言する。

 兵庫県の信用金庫が100%出資する派遣会社は今年一月、派遣先が親会社一社しかなく、違法な専ら派遣だとして、兵庫労働局から是正指導を受けた。

 正社員と同じように自動振り替え手続きなどを担当していた元派遣社員の女性(45)は「五年間勤務して一度も昇給がなかった。派遣会社の幹部に訴えても、彼らは親会社に頭が上がらず対処してもらえなかった」と憤る。

 政府の調べで、金融・保険業界では、六割以上の企業が100%出資の派遣会社を持つ。日本郵政も100%出資の「日本郵政スタッフ」を設立。百五十人の派遣社員のうち数人を除いて日本郵政グループに派遣している。

 こうした派遣子会社は一九八六年の男女雇用機会均等法施行で、主に女性社員の受け皿として始まった。その後、安い労働力を安定的に確保する手段としてさらに拡大した。

 労働者派遣法の規定は、社員をどの程度、特定企業に派遣すると違法になるかの基準がないため、実効性が上がっていない。

 非正規雇用を増大させ、格差や貧困を拡大する原因として、浮かび上がった「専ら派遣」問題。民主、共産両党は、労働者派遣法の改正で、日雇い派遣の禁止などとともに、専ら派遣の規制強化を盛り込むことを目指している。

 同法の規定には、派遣元が親会社など特定の会社に自社が抱える派遣労働者の何割以上を派遣すると専ら派遣に該当するかの基準がない。厚生労働省は、派遣会社が特定の会社以外からの派遣依頼を断ったり、派遣努力が認められない場合を取り締まりの対象としており、二〇〇六年度で全国の労働局が是正指導したのは十三件にとどまる。

 このため、派遣子会社が社員全員を親会社やグループ会社に派遣した場合でも、「営業努力はしたが、不況で親会社しか派遣先が見つからなかった」と釈明すれば、労働局の取り締まりを逃れることができる。

 形式的に営業用パンフレットを作るなどして、“努力”を装うことも可能だ。

 民主党は近く国会に提出する改正法案で、特定の企業以外への派遣実績がない場合は、派遣業の更新を許可しないように規定。その際、規制対象となる特定企業への派遣実績の基準は、厚労省の省令で定めるとした。同党関係者は「七−八割を想定している」という。共産党は法で二分の一以上と規定する方針を固めている。 (高橋治子)

 脇田滋龍谷大教授(労働法)の話 専ら派遣は外国には存在しない日本独自の仕組みだ。企業は安上がりに派遣労働者を長期確保する目的で系列派遣会社を利用している。だが、常用雇用の代替として派遣労働を利用しないことが労働者派遣法の基本であり、これに反する専ら派遣は許されない。非正規雇用を拡大させ、雇用の不安定を招く重大な要因となっており、厳しく規制する必要がある。

[東京新聞]

ここから続き

Posted by nob : 2008年04月14日 19:53