« 武力行使を続ける限り、テロという名の弱者の捨て身の抵抗は終わらない。。。 | メイン | 拡大して生き残るか、縮小して生き残るか、、、サスティナブルな基準をどこに設定してリサイズするかが重要。。。 »
絵に描いた餅。。。
■追加経済対策決定 総事業費26兆9000億円 消費税率、3年後に引き上げ
政府・与党は30日、事業総額26兆9000億円の追加経済対策を決定し、麻生太郎首相が同日夜に記者会見して発表した。国の財政支出は5兆円に上る。家計の緊急支援を目的に、2兆円規模の給付金を全世帯に支給するのが柱で、給付は「4人家族で6万円程度になる」(麻生首相)。世界金融危機で景気低迷の懸念が高まり、追加経済対策の一部を先行実施するため、給付金などは2008年度第2次補正予算案に盛り込み、開会中の臨時国会に提出される見通し。
生活対策や市場安定化、中小企業支援、地域活性化、雇用の安全網などの政策を総動員した追加経済対策の事業規模は、8月にまとめた総合経済対策の事業規模約11.7兆円の2倍以上になった。国の財政支出額も、8月の約2兆円を大幅に上回り、財政負担が拡大した。
赤字国債は増発せずに、財政投融資特別会計の積立金など、「霞が関の埋蔵金」を活用して財源を捻出(ねんしゅつ)する。その上で、社会保障の安定財源を確保する必要から、麻生首相は会見で、「3年後に消費税率引き上げをお願いしたい」と述べ、年末に税制改革の中期プログラムをまとめ、増税の道筋をはっきり示す考えを表明した。首相が消費税率の時期を明言するのは異例だ。
追加対策は、中小企業向けの融資や保証枠を21兆円規模で追加した。8月の総合経済対策で実施した9兆円と合わせ、30兆円規模に拡大し、資金繰りに万全を期す。雇用保険の料率も、現在の1.2%から、09年度に限り最大0.4ポイント引き下げる。
住宅ローン減税は最大控除額を過去最高の600万円に拡充し、延長する。道路特定財源の一般財源化に伴い、1兆円を地方の実情に応じ使える新たな仕組みを設ける。自治体が社会資本整備などに使える臨時交付金6000億円も支給する。
麻生首相は、追加経済対策の重要性を繰り返し強調しているが、どこまで消費が刺激され、景気回復につながるかが注目される。
◇
【予報図】
■見えない未来の成長ビジョン
「今、世界は『100年に1度』とも呼ばれる金融危機の中にあります」−30日朝発信された麻生太郎首相の官邸メールマガジンは、こんな出だしで始まった。
そして、「家計のやりくりにご苦労されている家庭の皆さん、さらに、不安定な雇用にお悩みの皆さん、子育てにご苦労されているお父さんお母さん、住宅資金にお困りの方々にきめ細かく対応します」と、意気込んだ。
この言葉の通り、追加対策のメニューには、住宅ローン減税や高速道路料金の引き下げなど、暮らしに直結した政策がずらりと並ぶ。「生活対策」と位置付けただけあって、家計の財布を暖めるのは事実だ。企業業績の悪化で賃金抑制に拍車がかかろうとする中、国からの「定額給付金」はまさに“ボーナス” だ。
とはいえ、そこには、麻生内閣が目指す経済成長シナリオはみえない。原油価格の高止まりに対応した総合経済対策と今回の追加対策をあわせても、景気への影響は限定的とみるエコノミストは多い。
みずほ証券金融市場調査部の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「金融危機を日本の政策対応で抜本的に変えるのは困難だ」と指摘し、「社会政策と割り切って、中低所得者層など必要な人に集中して使ったほうがいいのでは」と語る。
野村證券金融経済研究所の野木森稔エコノミストは、GDP(国内総生産)の押し上げ度合いを「0.4ポイント前後」とみる。効果が疑問視される中、対策が手をさしのべようとする先は誰なのか。それは、所得の目減りに不安を感じる家庭や中小・零細企業、活力に乏しい地方にほかならない。与党の大きな支持基盤とも重なる。
そもそも追加対策は、年内解散を想定し、与党のマニフェスト(公約)への盛り込みを視野に入れつつ、自民、公明両党の幹部が中心にとりまとめを進めた経緯がある。解散・総選挙のタイミングをうががう選挙対策色が透ける。「『お金をくれる』、『有料道路を走ったら安かった』というのはやっぱり(有権者に)効くだろう。国民に直結するとなるとどうしてもバラマキになっちゃう」。与党のある地方組織幹部はこう吐露した。
「全治3年」(麻生首相)という景気後退からいかに抜け出すのか。中期的な財政再建の後に描く、構造改革の姿とは−。「金融危機」の旗のもとで作られた追加対策には未来の成長ビジョンはない。足元の不安を緩和する一方で、財政負担のツケを増税でまかなうシナリオだけが先行している。(比嘉一隆)
[FujiSankei Businessi]
Posted by nob : 2008年10月31日 17:18