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米国がまだやるべきこと、、、それは侵略の償い。。。
■[米軍イラク撤退]
中東和平への第一歩に
オバマ米大統領がイラク駐留米軍の撤退方針を明らかにした。
イラクには今なお14万人を超える米軍が展開している。このうち10万前後の戦闘部隊を2010年8月末までに引き揚げ、この時点で「イラクでの戦闘任務を終了」する計画である。
残る部隊はイラク治安部隊の訓練などに従事したあと、11年末までに撤収する。
米軍がフセイン政権下のイラクに攻撃を開始したのは03年3月。5月にはブッシュ大統領が米空母の甲板で、凱旋将軍のように顔を紅潮させ早々と勝利宣言を行った。あれから6年。イラク開戦に批判的だったオバマ大統領によって、ようやく米軍撤退の道筋が示されたことになる。
撤退は当然の措置である。だが、イラクに対して米国が負うべき責任は、軍の撤退によってすべてが果たされるものではない。
米国にはイラクの復興や社会安定に努める責任がある。財政負担がきついからといって、その責任から目をそむけることは許されない。
「米国は経済危機でたいへんだから、いつまでもイラクにかまってはいられない」―そんな安易な考えから撤退するとすれば、自分の犯した過ちの後始末を他に押しつけるようなものだ。
米軍撤退後、民族対立や宗派対立が噴き出し、治安が悪化するおそれもある。治安情勢が悪化すれば撤退計画にも影響を及ぼしかねない。スムーズな撤退を実現するためにはイラク政府や中東諸国との綿密な調整が必要だ。
それにしてもイラク戦争とは何だったのか。
イラク戦争による米兵の死者は4000人を超えたが、イラクの民間人犠牲者は、その正確な数さえはっきりしない。数十万人という推定値は、この戦争の、目もくらむような非対称性を示してあまりある。国土破壊と非戦闘員犠牲の「戦争責任」は誰がどのように負うのか。
先制攻撃を正当化するために持ち出した大量破壊兵器は見つからず、フセイン大統領とテロ組織アルカイダのつながりを示す明確な証拠も発見できなかった。
ブッシュ政権が唱えた「中東民主化」構想は、自分たちの価値観を強引に広めようとして逆にイスラム世界の反米感情を高めただけである。
国連は大義のない戦争、正当化できない先制攻撃を食い止めることができなかった。イラク戦争は国連が敗北した戦争でもあった。
オバマ大統領は、イラクからの米軍撤退と併せ、中東安定化のための新たな枠組みづくりに取り組む考えを明らかにした。
「イラクの将来は中東全体の未来と切り離せない」というオバマ大統領の指摘は、裏を返せば、中東情勢の複雑さと中東和平の難しさを吐露したものともいえよう。
確かに、中東和平の実現は容易なことではない。だが、それを実現しなければ暴力と報復の連鎖が繰り返されるだけである。
米国にはまだやるべきことがある。
[沖縄タイムス]
Posted by nob : 2009年03月02日 21:10