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■イラクの「多国籍軍に幕」 米軍以外の全部隊が撤収
【ロンドン=木村正人】イラクの多国籍軍に参加していた米軍以外の全部隊が31日までに撤収した。オバマ米政権は、現在イラクに駐留する米軍13万人を2011年末までに完全撤退させる方針で、今後の治安はイラク国民の手に委ねられる。多国籍軍が名実ともに姿を消すなか、英国ではイラク戦争参戦を包括的に検証する独立調査委員会が始動。ブレア前英首相の召喚も予定されており、ブッシュ前米大統領と二人三脚で遂行したイラク戦争の是非が改めて問われることになる。
2003年に始まったイラク戦争にはブッシュ大統領の呼びかけに応じ、「有志連合」として計38カ国が参加した。イラク情勢の悪化で撤退する国が相次いだが、米軍の増派で治安は改善。昨年末に多国籍軍駐留の根拠になっていた国連安全保障理事会決議の期限が切れ、日本も含め大半の国が撤収した。
イラクとの地位協定も7月末に切れるため、ルーマニアの部隊17人が今月23日にイラクを離れ、オーストラリアの部隊12人も28日に米軍機でバグダッドを飛び立った。米軍に次ぐ最大4万6000人の部隊を送り込み、179人の犠牲者を出した英国は4月末に作戦を終了、約4000人の部隊を撤収した。イラク海軍を訓練するため残留していた150人も地位協定の延長手続きが間に合わず、今月28日にいったん隣国クウェートに引き揚げた。
英国では、開戦理由となった大量破壊兵器が見つからなかったため、世論の反対を押し切って参戦したブレア前政権への不信感が根強く残っている。
7月30日に始動した独立調査委員会(チルコット委員長)は、米中枢同時テロ直前の2001年夏から今年7月末までを対象に、参戦に至った経緯や占領政策などを1年がかりで検証する。遅くとも2011年までに報告書を作成する。
ブラウン英首相は当初、同委員会の審議を非公開にする方針だったが、戦死した兵士の遺族から批判が相次ぎ、ブレア前首相から非公開にするよう依頼されたという疑惑も浮上。このため、審議内容は安全保障にかかわる場合を除き、原則公開されることになった。
ダナット英陸軍参謀総長は30日、英国際戦略研究所で講演し、「イラク戦争は民衆の中で、民衆のために行われた。英軍は治安改善に貢献したが、イラク戦争を省みてアフガニスタンでの任務に生かす必要がある」と話した。
[産経新聞]
Posted by nob : 2009年07月31日 22:50