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高速道路で地方が活性化する、、、遠い過去の記憶。。。
■私はこう見る:09衆院選/6 高速道路 山崎養世氏/杉山雅洋氏
高すぎるとしてユーザーの不満が強い日本の高速道路料金。原則無料化すれば、人と物の流れが今より活発となり、地方経済の活性化が期待できるとの意見がある一方で、財源はないとの主張もある。無料化で高速道路が利用しやすくなるのは明らかだが、利用する人としない人の負担の公平性や、渋滞の増加、環境への悪影響といった課題も多い。【構成・位川一郎】
◇大都市圏以外無料に--シンクタンク代表・山崎養世氏
旧国鉄と違い、旧道路公団の民営化時には借金40兆円は全く処理されなかったために、世界一高い通行料金はそのままだ。これから20兆円を借金して高速道路を造り、50年までに返済して無料にする計画だが、金利が上昇したり収入が不足したりして破綻(はたん)すれば国民の負担となる。金利の低い今のうちに借金をすぐ処理し、大都市圏以外は無料にすべきだ。
米独英などは税収の範囲内で高速道路を造る。だが日本は高速道路のユーザーが払ったガソリン税など車に関する税金は、高速道路の建設や借金返済ではなく一般道路の建設に流用されてきた。その上で、年間2・5兆円もの通行料金を取っている。税金と料金の二重取りだ。ユーザーからの年2兆円もの税金を使えば、年1・3兆円とされる無料化の財源は出てくるはずだ。
他の財源には、道路会社が持つサービスエリアなどの不動産がある。農商工が連携した施設や病院、学校などを造れば地方経済の拠点となる。不動産の簿価は1・4兆円だが、道路会社を不動産開発会社に転換できれば、上場益が5兆~10兆円出る。年間7・8兆円という経済効果による税収増も見込める。
無駄な道路建設は年間5000億円減る。一般道の車が高速道を利用するから、一般道の渋滞対策で新たな一般道を造る二重投資はいらなくなる。交通事故とガソリン消費も減る。料金所を廃止し出入り口の数を3倍に増やして病院や消防署近くに設置すれば、高速道は生活に必要なライフラインにもなるだろう。
◇受益者負担好ましい--早稲田大商学学術院教授・杉山雅洋氏
高速道路を無料化すると、フェリー、鉄道など他の交通機関との競争条件が大きく崩れる。自分は高速道路を使わないのになぜ費用を負担するのかという議論も出る。一般道より高速道路の方がサービス水準が高いのだから、無料化で納税者負担とするよりも、利用者が受益に応じて支払う受益者負担の方が好ましい。無料化は受益と負担の観点からの公平性を損なう。
道路の利用に料金を課し、それによって需要をコントロールして施設の有効利用を図る「ロードプライシング」という考え方が実践されているが、無料化はそれとは全く逆だ。無料化で一般道から車がどんどん入ってきて一般道と高速道路の需要量が同じになるまで続く。高速道路は混雑し本来の高速走行ができなくなる。高速道路と一般道が適切に組み合わせられなくなることが最も懸念される。
ただ、現行のシステムのままでいいとは思わない。高速道路の通常料金はどこを走っても「1キロ24円60銭×距離+150円」という画一料率制だが、都市と地方では利用の仕方が違うから、全体として収支が合うよう料金制度を変えるべきではないか。騒音、振動、大気汚染など利用者以外の経済的負担となる部分のコストを利用者が受け持つことを新たに考えてもいい。50年までとされる債務の償還期間が適切かどうか、いろいろな意見はあるが、償還後も無料開放するのでなく、維持管理費を利用者が負担する「維持管理有料制」にしてはどうか。(次回は18日に掲載予定)
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■人物略歴
◇やまざき・やすよ
東大経卒。ゴールドマン・サックス投信社長などを経て02年「山崎養世事務所」を設立。50歳。
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■人物略歴
◇すぎやま・まさひろ
早大大学院修了。81年から早大教授。交通経済学専攻。日本交通学会などに所属。68歳。
[毎日新聞]
Posted by nob : 2009年08月14日 23:35