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一億総自営業者社会、、、それがすべて一人会社であることが究極の理想。。。Vol.7
■社長は会社を「大きく」するな!【実践編】
山本憲明 [税理士]
「会社を小さくした日」。
ある経営者の実体験。
「小さくても、しっかり儲かる会社を作る」がモットーの税理士、山本憲明氏。日本に根強くある「会社は大きくするもの」という思想を排し、日々、多くの経営者をサポートしている。その山本氏に「なぜ、一度大きくした自分の会社を、小さくしようと思ったか」を語ってもらう。
「なぜ会社を小さくしたか」。
その実体験を語る。
税理士の山本憲明と申します。10月から『社長は会社を「大きく」するな!』というタイトルで連載をやらせていただき、そこで非常に多くの方々から反響をいただきました。誠にありがとうございます。
反響として多かったのは、「大きくしてはいけないという考えはわかった。でも実際、実行に移すのは難しいのではないか」という声です。
規模が小さいとはいえ、私は「自分の会社を小さくした経験」があります。そこで今回の連載は、その経験をお話しすることで、少しでも皆さまの会社経営のご参考になればと思っております。
私が税理士事務所を開いたのは2005年1月です。はじめは仕事も全くなかったため、自宅を事務所にして、1人で開業しました。その後、順調にお客さまも増えていき、その年の夏には顧問先も20社を超え、1人で仕事を行うのは厳しい状況になってきました。
そこで、ホームページやメールマガジンで求人の募集を出し、1人の方がアルバイトで働きたいと言ってきてくれました。
その方は他の税理士事務所でも働いていたため、週に1日しか来られないので、自宅に来てもらおうと思いました。しかし家族がいたり、私も外出することがあるので、事務所を借りることにしました。
どんどん人が増えていった。
しかしある日、、、
初めて借りた事務所は、駅の近くの1Kのマンションです。その方は事情により辞めてしまいましたが、新たに男性1人と女性1人がアルバイトとして入ってくれました。その後、仕事も順調に増え、4名位になった状況で手狭になり、引っ越すことにしました。
引っ越しをしたのは2006年8月ですが、それと同時くらいに女性2名がパートタイムで入社します。ついには公認会計士の方も入社することになり、私を合わせて7名の体制になったことがあります。そのころ事務所は20坪で、20万円強の家賃でした。
当時、ホームページなどで求人をしている会計事務所などがあまりなかったので、一度の求人で、多くの方が面接に来てくださいました。「来る者拒まずの姿勢でやっていたら、いつの間にか人数も増えていた」という感じです。
そこで転機が訪れます。ある経営コンサルタントの方に自分の事業を相談したところ、「税理士業界は長く安泰なわけではない。アシスタント1人くらいにして、他のこともやったほうがいい」というアドバイスをいただきました。
会社を大きくすることで、
さまざまな問題が!
そのころ私は、たくさんの人に給料を払いながら経営していくことにプレッシャーを感じていました。それもあって、そのアドバイスをとり入れ、規模を小さくしていこうと決意したのです。
また、さらに手狭になってきたということもあり、もう少し広い事務所を借りようかと考えていたことでした。そのアドバイスがなければ、事務所を拡張・移転し、大変なことになっていたかも知れません。
社員だった人が独立するとのことで退職し、さらにアルバイトの方々もいろいろな事情で退職されました。現在では1人を雇っているのみです。
最大で7名体制だったのですが、内訳を考えると、社員が1名、週3回のパートさんが3名、週2~1回の方が1名ずつ、そして私という布陣でした。パートさんの都合に合わせてそう決めていたのですが、業務の引き継ぎや分担などを考えると、非常に効率が悪い体制です。
また、お給料をお支払するのも大変でした。お金が足りなくなり、家族のために貯金していた口座から持ってくることも何度かありました。
「人が増える=業績アップ&
業務がラクになる」わけではない!
それを考えると、今は非常に気楽です。お客さまが極端に減ったわけではありませんが、時間が増えています。
「パーキンソンの法則」というものがあります。その第1法則は、「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」というものです。まさに私の事務所がそうでした。
それほどお客さまが大量にいるわけではないのに、忙しくて人手が足りないような気がして、さらに人を雇いたい、と常に思っていたものです。
今は人数が少ないため、仕事(必要性のない仕事)がそれほど増えない気がしています。
「人が10人いて、忙しいように感じていたとしても、実は2人でもやっていける」というような状況はどこにでも発生するのではないかと思っています。人が増えると、ラクになるどころか、さらに忙しくなるものです。それなら、「増やさない」という選択もあるのではないでしょうか。次回は、人数の増減による「お金」への影響についてお話ししたいと思います。
[DIAMOND online]
Posted by nob : 2012年12月19日 10:24