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すぐに弾けるプチバブル。。。

■TPP参加で成長が期待される企業群

 安倍首相は3月15日、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉参加を正式表明した。TPP参加となれば日本のマクロ経済面のプラス・マイナス効果が注目される。当欄ではミクロ面の関連企業群を探る。

日本政府がTPPへの交渉参加を正式表明

 安倍首相はTPP交渉参加を正式表明した当日に、マクロ面の経済効果の政府統一試算も発表した。それによるとプラスとマイナスの効果を総合して、実質国内総生産(GDP)を3.2兆円(0.66%)押し上げる効果がある、としている。

 プラスの効果は、日本の関税撤廃で安い農産品などの輸入が増えることによる「消費の拡大効果」が3兆円(0.61%)と最も大きく、次いで関税撤廃による日本の工業品などの「輸出増」の効果が2.6兆円(0.55%)、「日本への投資拡大」などの効果が0.5兆円(0.09%)あるとみている。マイナスの効果は、「安い農産品などの流入」が国内の農林水産業に与える打撃を2.9兆円(0.6%)と見積もっている。

TPPは日本を含む12か国で交渉へ

 TPPは、環太平洋地域の国々による経済の自由化を目的とした多角的な経済連携協定 (EPA) である。2006年5月28日にシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国で発効した後に、2010年3月にはその4カ国に加えて米国、豪州、ペルー、ベトナムの8カ国で交渉が開始された。その後マレーシア、メキシコ及びカナダが交渉に参加し、現在は11カ国で、非関税分野や新しい貿易課題を含む包括的な協定として交渉が行われている。

 今回、日本が交渉参加を正式表明したことにより、早ければ今年6月ごろ、遅くとも10月ごろには日本を含む12か国での交渉が開始されることになろう。
TPPは高い水準の自由化を求める

 TPPの基本的な考え方として、まず「高い水準の自由化」が挙げられる。アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)に向けた道筋の中で実際に交渉中のものであり、環太平洋地域における高い水準の自由化が目標になる。物品市場アクセスの交渉対象については、全ての品目を自由化交渉の対象としてテーブルに乗せなければいけないとされているが、最終的な関税撤廃の原則については定かではなく、微妙な、あるいは問題となりそうな品目の扱いは交渉分野全体のパッケージの中で決まるとされる。

 もうひとつは「非関税分野や新しい分野を含む包括的な協定」を目指していることである。物品市場アクセス(物品の関税の撤廃・削減)やサービス貿易のみではなく、非関税分野(投資、競争、知的財産、政府調達等)のルール作りのほか、新しい分野(環境、労働「分野横断的事項」等)を含む包括的協定として交渉される。


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TPP参加で成長が期待される主な企業群

 日本の交渉参加が承認され関税撤廃などの協定締結となれば、日本の輸出企業には相手国の関税撤廃による製品・サービスの価格競争力アップ、日本の輸入企業には日本の関税撤廃による原材料費の減少などのメリットが期待されよう。

■自動車関連■

 トラックや二輪車、ベアリング(軸受け)などは米国を筆頭に交渉参加国の輸入関税が比較的高いとされる。関税引き下げによる日本製品の競争力拡大に期待。

 <トヨタ自動車>…日本を代表する自動車メーカー。グループで軽自動車からトラックまで幅広くラインアップ。

 <いすゞ自動車>…小型トラックやピックアップトラックに強み。トラックや二輪車、ベアリング(軸受け)などは米国を筆頭に交渉参加国の輸入関税が比較的高いとされる。

 <富士重工業>…北米市場で高性能車の販売拡大に期待。

■原材料価格・製品コストの低下関連■

 日本の輸入関税引き下げにより、農産物では食材コストの低下が見込まれる。衣料品などの製造を東南アジアで行い、日本に輸入する小売業も恩恵を享受する。

 <日本マクドナルドホールディングス>…小麦や食肉などの日本における関税低下・撤廃により、食材コストの低下につながると期待。

 <ゼンショーホールディングス>…外食大手で、牛丼の「すき家」のほか、「ココス」「ビッグボーイ」を展開。牛肉は豪州産が主力。

 <ファーストリテイリング>…アパレル製造業/小売業の代表格。アジアに生産拠点を展開。

■農業競争力の強化関連■

 コメなど一部農産品などは関税撤廃の例外になるとの見方もある一方で、輸入農産物との競争激化に伴い国内農業は政府支援の下で農地集約化や、企業による農業参入が進む可能性もある。

 <井関農機>…農業機械の大手。大型トラクターやコンバインが好調。輸入農産物との競争激化に伴い国内農業市場の活性化が進む可能性があろう。

 <クボタ>…農業機械の国内最大手。建設機械や鋳鉄管も手掛けている。

 <丸紅>…大手総合商社の一角で、穀物の取り扱いに強みを有する。TPP交渉国間における貿易量の拡大も追い風に。

■その他■

 TTP交渉国間における貿易量の拡大で、荷動きの活発化が見込まれる。国内外における金融や医療、メディアなどの各種サービスの自由化が進もう。

 <日本郵船>…海運大手で、海運売上高国内首位。足元では自動車船が復調。貿易量の拡大で、荷動きの活発化が見込まれる。

 <ジップヘルスヘルスケアホールディングス>…海外における病院の新設・移転、手術室の設営サービスなどを開始。

鈴木東陽(すずき・とうよう) 日本証券アナリスト協会検定会員。証券専門紙や経済誌、三洋経済研究所、いちよし経済研究所などを経て、現在、いちよし証券シニアアナリストとして、投資セミナーや経済講演などに従事。

[読売新聞]

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Posted by nob : 2013年03月20日 10:42