« 溜息ばかり、、、日本人の一人として心底恥ずかしい。。。 | メイン | そのとおり!!!Vol.25、、、大多数の物差しをわかったうえで、そこから距離を置くことができるかどうか。視点を引いて見られるかどうか。それが自分軸をつくるうえで一番難しい。。。 »
人の本当の姿は見えない部分にある、、、ハルキ氏近況。。。
■ 村上春樹氏 ボストン爆破テロで寄稿
ボストンマラソンに参加した経験がある作家の村上春樹さんが、先月の爆破テロ事件で傷ついた人たちへのメッセージをアメリカの雑誌に寄稿し、苦しみから目をそらすことなく静かに時を重ねることで困難を乗り越えていこうと呼びかけました。
村上春樹さんが寄稿したのは、今月3日付けのアメリカの雑誌「THE NEW YORKER」の電子版です。
「ランナーを自任する一人の世界市民よりボストンへ」と題した寄稿文の中で村上さんは、かつてボストンで3年間、暮らしたことや、ランナーとしてボストンマラソンに6回参加したことを紹介し、これまで33回走ったマラソンの中でも、ボストンマラソンこそが「一番好きだ」と語っています。
そして、村上さんは18年前の地下鉄サリン事件で被害者を取材した経験を踏まえ、ボストンの爆破テロで身体的、精神的に傷ついた多くの人たちに対し、「悲しみと怒り、絶望がない交ぜとなった気持ちを打ち消すのは容易ではない」と思いを寄せました。
そのうえで「報復を考えても安らぎにはならない。傷を忘れず、苦しみから目をそらすことなく、正直に、そして静かに時を重ねていくことが必要だ」と呼びかけました。
さらに、村上さんは「テロ事件を克服し、ボストンマラソンが、再び、美しく自由な雰囲気にあふれる大会として復活することを心から願う」ということばでメッセージを締めくくっています。
[NHK NEWS WEB]
■村上春樹さん 書くことの意義を語る
世界的な人気作家で、公の場で語ることの少ない村上春樹さんが、京都でファンを前に講演し、「小説を通して心のつながりを作りたい」と、書くことの意義を語りました。
講演会は、臨床心理学者で、生前、村上さんと親交の深かった、河合隼雄さんのゆかりの財団の呼びかけで実現しました。
会場の京都大学のホールには、熱心なファンが開演の1時間以上前から訪れ、抽せんで選ばれたおよそ500人が講演を聴きました。
講演は、カメラ撮影や録音が認められないなか、対談形式で行われ、村上さんは小説を書くことについて、「人の本当の姿は見えない部分にあり、小説は見えていない物語を描き出すことが必要だ」と指摘しました。
そのうえで、「小説を通してそれぞれが持つ物語が共感し合い、深みを増していくもので、心のつながりを作りたい」と、書くことの意義を語りました。
また、先月、発売された長編小説、「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」について「人は心に傷を受けても時間をかけて少し成長する。そうした成長物語を書きたいと思った」と、新作に込めた思いを語りました。
さらに、地下鉄サリン事件の遺族を取材したあと涙が止まらなくなった経験を語り、「本当に悲しい体験が小説を書かせてくれる。事件の遺族を題材にした作品を読み返すと、あの時の気持ちがよみがえってくる」と、作品を書き続ける原動力の1つとして悲しみがあることを明かしました。
村上春樹さんと河合隼雄の関係
今回の催しは、臨床心理学者で、文化庁長官も務めた故・河合隼雄さんの遺志を受け継ごうと、ことし新たに創設された「河合隼雄物語賞・学芸賞」を記念して開かれました。
平成19年に亡くなった河合さんは、ユング心理学の研究で知られましたが、文学にも深い関心を持ち、多くの作家と交流がありました。
村上春樹さんとも親交が深く、村上さんは、河合さんと会話を交わすことについて、「頭の中のむずむずがほぐれていくような不思議な優しい感覚があった」と著書の中で明かしてます。
阪神・淡路大震災やオウム真理教による地下鉄サリン事件が起きた平成7年には、村上さんが河合さんの地元の京都を訪ねて対談を行い、その内容は、「村上春樹、河合隼雄に会いにいく」と題された本にまとめられました。
この対談の中で大きなテーマとなったのは、個人と社会との関わりについてでした。
対談では、二人が、かつての学生運動や震災、オウム真理教の事件に触れ、自身と社会との関わりについて考えを語り合いました。
この中で、村上さんは「関わりのなさ」を意味する「デタッチメント」が自分にとっては重要だったが、自分の社会的責任感のようなものをもっと考えてみたくなったと述べたうえで、「関わり」を意味する「コミットメント」について最近よく考えるようになり、自身の心境が変化していると語っていました。
[NHK NEWS WEB]
■村上春樹さん デビューしたころを語る
6日、18年ぶりに一般の人を前に語った催しの中で、村上春樹さんは、小説家としてデビューしたころのことについて語りました。
村上さんはデビュー当時はジャズバーを経営していて、仕事を終えてから時間を見つけて小説を書いていたということです。
誰からも小説の書き方を学んだことのない村上さんは、最初は短い話を断片的に重ねていく書き方しかできなかったということで、当時について、「村上龍さんの長編、コインロッカー・ベイビーズを読んでこういうふうに書きたいと思って、店をやめました。自由になって、好きな時間に書けるのがうれしかったです。とにかく長いものを書こうと思い、結末も分からないままに最初の数ページを書いてどんどん進めていくと、それがうまくできたので、僕はこういうのがあっているんだなと思いました」と、回想していました。
また、先月発売され、自身の作品では史上最短で100万部を突破したことでも話題になった小説、「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」についても創作のエピソードを語りました。
この小説は、主人公が4人の仲間から突然関係を絶たれ、そこから自分を見つめ直す長編の物語で、村上さんは、最初は短編を書こうと思っていたということです。
村上さんは「書いているうちに4人のことを書きたくなって長編になりました。どうして関係を切ったのかを書きたくなった。登場人物の一人が、主人公に対して4人に会いに行くように言いますが、それと同時に、僕に書きなさいと導いてくる。不思議なことですが、そういうことがあるのです」と話したうえで、「これは成長物語で、(主人公のような)そういう経験をされた方は少なからずあると思うんです」と語っていました。
また、村上さんは小説を書く意味についても語りました。
村上さんは「僕は結局、魂のネットワークのようなものをつくりたいと思うようになったんです。読者が僕の本を読んですごく共感するものがある、自分にもそういう経験があると思うと感応する。僕の物語に呼応して感応する。また別の読者がいて、僕の物語に感応するとネットワークができるのです。それが物語の力だと思います」と、語っていました。
[NHK NEWS WEB]
■【村上春樹さん公開インタビュー発言要旨】魂のネットワークのようなものをつくりたい
▽冒頭発言
河合隼雄 (かわい・はやお) 先生とは20年ぐらい前に初めてお会いし、その後あちこちで時間を一緒に過ごした。
われわれが共有していたのは物語でいうコンセプトだったと思う。物語というのは人の魂の奥底にある。人の心の一番深い場所にあるから、人と人とを根元でつなぎあわせることができる。僕は小説を書くときに、そういう深い場所におりていき、河合先生も臨床家としてクライアントと向かい合うときに、深い場所におりていく。そういうことを、犬と犬がにおいで分かり合うように分かり合っていたのではないか。僕がそういう深い共感を抱くことができた相手は河合先生しかいませんでした。
▽インタビュー
〈初期作品について〉
デビュー作「風の歌を聴け」や「1973年のピンボール」などは、店をやりながら時間を見つけて書いた。 村上龍 (むらかみ・りゅう) さんの「コインロッカー・ベイビーズ」を読み、こういう書き方をしたいと思い、店をやめた。結末が分からないまま最初の何ページかを書き、うまくできたので、僕はそういうのに向いているのだなと思った。
〈小説家の仕事について〉
(徐々に)魂のネットワークのようなものをつくりたい気持ちが出てきた。みんな自分が主人公の複雑な物語を、魂の中に持っている。それを本当の物語にするには、相対化する必要がある。小説家がやるのは、そのモデルを提供することだ。
〈新作「色彩を持たない 多崎 (たざき) つくると、彼の巡礼の年」について〉
「ノルウェイの森」のときは純粋なリアリズム小説を書こうと思った。(新作は)僕の感覚としては、頭と意識が別々に動いている話。今回は前作「1Q84」に比べて、文学的後退だと思う人がいるかもしれないが、僕にとっては新しい試みだ。
(多崎の恋人の) 沙羅 (さら) さんが、つくるくんに名古屋に行きなさいと言うが、同じように僕に書きなさいと言う。彼女が僕も導いている。導かれ何かを体験することで、より自分が強く大きくなっていく感覚がある。
今回は生身の人間に対する興味がすごく出てきて、ずっと考えているうちに、(登場人物たちが)勝手に動きだしていった。人間と人間のつながりに、強い関心と共感を持つようになった。
(多崎は友人4人との共同体から切り捨てられるが)僕も似たような経験をしたことはある。人はそういう傷を受けて、心をふさいで、時間がたつと少し開いて、ひとつ上に行くことを繰り返しながら成長する。
〈読者に向けて〉
僕の本を読んで泣きましたと言う人がときどきいるけど、僕は笑いが止まらなかったと言われる方がうれしい。やっぱりユーモアの感覚がすごく好きなんです。
僕自身は一生懸命書いているが、好みに合わないことはもちろんある。ただ、理解してほしいのは、本当に手抜きなしに書いているし、それが誇りになっている。もし今回の小説が合わないとしても、村上は一生懸命やっていると考えてもらえるとすごくうれしい。
(共同通信)
[47NEWS]
Posted by nob : 2013年05月07日 00:52