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私はそんなスマホ世代が創り出す新たな未来に大いに期待しています。。。

■団塊ジュニア世代 vs.ゆとりのスマホ世代
デジタル世代のホンネとは?
週刊東洋経済編集部

U40(アンダー・フォーティ、40歳以下)は、それより上の世代からすると「理解不能」といわれることが少なくない。しかし、育ってきた社会背景から考えると、違いを感じるのはむしろ当然のことといえる。

今の40歳の多くは、1973年に生まれ、96年に大学を卒業し、就職している。バブルが崩壊し、「就職氷河期」という言葉が浸透し始めた時期だ。その頃から日本経済は「失われた20年」に突入している。つまり今のU40は社会に出てからというもの、低成長の経済しか知らないのだ。物価はほぼ一貫して下がり続け、給料はなかなか上がらないことを痛感している。

これに対し、上の世代はバブル景気や高度経済成長を経験している。今よりも未来のほうがよくなるという成長を一定期間、実感している。そうした成長体験のある人からすれば、U40は欲がない、将来のための我慢ができないと違和感を覚えるのは当たり前なのだ。

しかも、日本の会社組織は、90年代後半以降、大きく変貌した。97年に山一証券や北海道拓殖銀行が破綻し、4大証券や都市銀行でも潰れることを思い知らされた。2000年前後には大企業が競ってリストラをした。民間企業の平均給与は97年をピークに低下傾向が続いている。人事評価の厳しい成果主義も90年代後半から導入が進んだ。

U40からすれば、上司の言うことを聞いたところで、その上司はいずれリストラされるかもしれない。上司からの無理難題に従うよりも、自分の成果として評価されるかどうかのほうが気になる。上の世代からの「会社のために」という命令や依頼は、ケース・バイ・ケースで判断すべきことで、絶対的に従うべきこととは考えていないのである。

女性のキャリアアップ志向が強い団塊ジュニア

40歳超とは異なるU40だが、その中にも差はある。大きく四つのタイプに分かれると考えられる。30代後半の「団塊ジュニア世代」、30代前半の「ポケベルPHS世代」、20代後半の「ケータイ世代」、20代前半の「スマホ世代」だ。

まず団塊ジュニア世代について。団塊ジュニアの定義はさまざまあるが、ここでは30歳代後半~40歳前後を指す。彼らは中学生~高校生の頃に、バブル景気を経験している。子ども時代は豊かだったのだ。そのため、消費したいという願望はある。90年代後半の就職氷河期を乗り越え正社員になれた数少ない人や、懐に余裕が出たときは、それなりに消費をする。

また、就職してすぐに経済が悪くなり、上司のリストラを目の当たりにしているため、キャリアアップ志向が強い人も多い。71~74年生まれの40歳前後は、年間出生数が200万人を超えるという第2次ベビーブーマー。子どもの頃の受験戦争は激しく、競争の厳しさを知っている。こうした傾向は40歳より上の世代と似たところがあり、40歳超との話が通じやすい。

「団塊ジュニアの中でも、特に女性がキャリアアップの必要性を強く感じている」と指摘するのは、博報堂若者研究所リーダーの原田曜平氏だ。団塊ジュニアは大学進学率で女性が男性を上回った最初で最後の世代。男性より高学歴な女性が多く、競争が厳しかった。テレビドラマ「ラスト シンデレラ」や漫画『働きマン』『ホタルノヒカリ』などで描かれる“おやじ女子”(仕事は頑張るが自宅が汚いなど、男性化してきた女性)は、団塊ジュニア女性がモデルとなっている。

ゆとりで育った スマホ世代

一方の20代前半はスマホ世代といえるだろう。スマートフォンが本格的に普及したのは10年ごろ。高校生~大学生の頃からスマホを利用している。パソコンは使わずスマホだけでネットにつながっている人も少なくない。いつでもどこでもつながれるので、ネットでの友人と親友になるケースもある。現実世界の友人よりも簡単にやり取りができるからだ。

この世代の大きな特徴は、ゆとり教育を受けてきたということだ。ゆとり教育は、02年から小中高校で段階的に実施されたため、ケータイ世代の後半も一部ゆとり教育を受けている。だが、小学校からゆとり教育だったというのは、スマホ世代が初だ。

ゆとり教育によって小中高校での授業時間数が少なかったことが、その人にどのような影響を与えるか、正確なことはまだわからない。だが、ここ2~3年に入社してきた新人を見れば、その傾向が垣間見られるはずだ。

博報堂の原田氏は、ゆとり教育を受けたビジネスパーソンを集めて、好きな上司のタイプを聞いたところ、最も多く返ってきた回答が「かわいい上司」だったことに驚いた。ふざけているのかと思ったが、本気で言っているのだという。

どういう上司が「かわいい」のか尋ねると、「メタボを気にして、OLみたいなサラダとかを食べている男性上司」「よく鼻血を出して、ティッシュをせがんでくる人」「仕事で意見したときに、新人が言ったことでもいいことは認めてくれる人」との答えが返ってきた。

要は「『上から目線』ではなく、自分と同じ目線を持ってくれるような上司」を求めているのである。もはや上司に対して、仕事を教えてくれる人、仕事のスキルアップを図ってくれる人、というイメージはないのかもしれない。

これは経済成長への期待が薄いことの表れともいえる。この世代は、仕事で頑張っても見返りがあるとは考えていないフシがあり、原田氏はこの世代と話していると、「ほどほど」という言葉をよく聞くという。「ほどほどの出世」「ほどほどの付き合い」といった具合だ。スマホ世代は、無理をするよりも、この程度ならできるということだけをやろうとする傾向がある。嫌なことはやりたくなく、やりたいことだけを志向する。就職活動をしていても、本音では専業主婦か一般職の正社員になることがカッコいいと思っている女性も少なくない。彼女たちにとって頑張って上を目指す団塊ジュニアの女性たちは「イタい」存在なのである。

上司という概念は理解されない

こうした現実を、40歳より上の世代はどうとらえたらよいか。ここで挙げてきたことは一つの傾向だ。必ずしも自分の周りにいるU40と同じではないだろう。U40にいい仕事をしてもらおうと思ったら、一人ひとりをしっかり見ることが大事だ。

「とにかく話を聴くしかない」と説くのは、リクルートワークス研究所の豊田義博主幹研究員。

今の20~30代には、上司という概念を理解できない人が増えているという。上司が上司然として命令しても、それを聞かなければいけない理由がわからないというのだ。

彼らの多くは、小学生から大学生の間に、上意下達のタテ社会を経験していない。家庭でも、親子の関係が「友達化」しているところが少なくない。U40は、学生時代の友人など、ヨコ社会のつながりは重視するが、タテ社会の命令には慣れていない。

そうした状況では「自分が主役という感覚を持てるように仕事をさせることが大事。この仕事が社会とどうつながっているのか、どのような社会的意義があるのかを、面倒でも一つひとつ説明して、理解させる必要がある」(豊田氏)。

U40がわからないというOver40(40歳超)は、まずは自らの仕事のやり方から変えなければならないだろう。

今週号の週刊東洋経済の巻頭特集は「U40(アンダー・フォーティ)大図鑑」。40歳以下についての世代論です。起業家やシューズデザイナーなど独立したプロフェッショナルのほか、一般企業に勤める20代、30代で活躍している人もピックアップ。できる若者の特徴を探るとともに、U40を部下に持ち「理解できない」と悩んでいる人に、U40が成果を出すにはどうしたらよいかをさまざまな角度から解説しています。

(週刊東洋経済2013年7月27日号)

[東洋経済オンライン]

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Posted by nob : 2013年07月23日 13:48